歴代の主人公の中でいちばん幼いからか……?
アモンは、アモンアマゾンは雷を纏いながら、仮面ライダールシファーに拳を向ける。
それはただの拳ではない、雷を帯びた怒涛のラッシュである。アモンは未知の力を得、その力のおかげで
アモンは仮面ライダーではない、と仮面ライダールシファーは言った。ルシファーは、リゼヴィムは身近で仮面ライダーを見てきたものかもしれない。
しかし、
祝福された誕生でなくてもいい、自分には存在していることを認めてくれる者達がいる。
好きな女の子がいる、それだけでアモンの身体には力が漲ってくる。大切な人を守りたい、そのためには力が必要だと気づかせてくれた
「お前は!何のために生きる!正体不明の力を使って恐れを感じないのか?」
「生きたいから生きるんだ!だから、どんなものも使ってやる。力に振り回されないよう、僕は僕の大切な人に教わって育ったんだ。お前に勝って、僕は未来を生きる!」
アモンとリゼヴィムの殴り合い、それは一見すると高レベルの実力者同士のそれであった。
それもそのはず、リゼヴィムもリゼヴィムの血を引いているアモンもルシファーの血統だからだ。
アモンはいつかのヴァーリの兄弟、と言う発言を思い出した。あのとき、彼はアモンから大切なものを奪い取り、戦意を漲らせるといった旨の発言をしたとき、アモンはこれ以上にないほどの怒りを感じた。
あのときと今とではアモンの感情はかなり変わっている。その理由は、アモンが戦うための理由が
拳同士が打ち合い、重なり、そして互いの纏う魔力によって弾ける空気。新たなる雷の力を纏うアモン、その姿をライジングフォームと呼ぶのならば、アモンにとってはじめての強化形態となるだろう。
朱乃はその力の源流は分からなかったが、それでも、自分と父親、そして彼が同じ力を扱えることに喜びを感じていた。
二人とも、同じような存在がいないことに心のどこか、満たされたものはあっても孤独感を抱いていたのだ。
かたや、自分が人間と堕天使のハーフであること、かたや異形の姿へと変貌し、大切なものを傷つけてしまうのではないかと言う恐怖。
そうして惹かれあった二人、アモンは自分が求めていたモノを思わぬ形で手に入れることができたのである。
「自分だけが生き残ったことに対し、後悔は抱いていないか?」
リゼヴィムは突き刺す、言葉の棘を。
「他の兄弟を殺し今日まで生き延び、あまつさえ、
リゼヴィムはアモンに心の揺さぶりを与えたかった、彼がどういう理屈で立ち上がったのか知らないが、とにかく気に食わなかった。
「父親ですらない男が何を言っているんだ?確かに、僕は相手が朱乃やアザゼル先生、僕が尊敬できる仮面ライダーの名前を授けてくれた男だったら、僕は戦うのを躊躇っていただろう」
リゼヴィムの言葉をアモンはすっぱりと切り捨てる。今度は迷いなく。さきほど、自分が
少し前の出来事、と言っても、最近の事。アモンは自分が師事していた男と戦うことがあったが、そのときは相手に対し、戦うことに躊躇いを覚えていた。
それは、少なからず、アモンが想っていた相手だったからだ。
アモンはどこまでも純粋だ、好きなものは好きだし嫌いなものは嫌いだ。そこに建前と言うものは必要ない。
誰もアモンの在り方を問いただすものはいなかったが、アモンは自分がかつて嫌っていた獣の姿に影響されていた所もあったのか、思っている以上に獣のように本能に従って生きている。
それは、アモンの価値観へと影響を与えており、それがアモンの言う躊躇いである。だから、リゼヴィムの言葉を一蹴する。
仮面ライダールシファーの顔からでは到底窺うことができないが、アモンは分かっていても訂正しない。
仮面ライダールシファー、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーはアモンの父親ではない。
アモンの父親は堕天使総督で、変なところで子供っぽくて、どこか過保護だけど、見守ってくれる男だ。
それに気づいている今のアモンはたとえ、アマゾンズから見れば
「だけど、お前は
「お前はそんなルシファーの血を引いているんだぜ?事実が明るみになれば、現魔王は対策を採らなければならない。となると、お前は処分されるだろう」
「それは……!」
朱乃の言葉をアモンは制した。
「なら倒す、一人残らず。生まれてきたからには、僕は生きていきたい」
アモンのスタイルが変わる。どこか武術めいた動きから、本能に身を任せたラフファイトへと。
そうしてスタイルが転じたことからルシファーは押されはじめた。予測が出来ないのだ。
アモンからとっていたデータには、アモンは自分の本能に身を任せて戦わないというデータであったが、感情に身を任せ、思考を捨てた戦いへとなれば、ルシファーにも予想がしにくい。
朱乃のことは守るが、周辺被害を顧みなくなり、リゼヴィムの放つ魔法を大切断を使用する為に使っているアームカッターで
切断面から零れ落ちるリゼヴィムの赤い血、自分とは違う血の色にアモンは冷ややかな目を向ける。
「お前の血の色は、赤いんだな」
「おい、おい……、全部捥いじまうのか?オレの四肢をよ」
リゼヴィムのルシファーへと転じた腕の匂いを嗅ぐも、それをすぐに投げ捨てる。声色はどこか怯えた風を装うも、その声はどこか楽しそうだ。
「別に食らうつもりもない。それに、お前を食っても栄養にならない。僕は朱乃のらいすぼーる、いや、おにぎりのほうが好きだ」
アモンが距離を詰め、力いっぱいリゼヴィムの顔面を殴りつけると、雷と勢いも相まって顔の骨が凹むのを感じる。
かつてない、自分が感じたことのなかった痛みを経験しているものの、リゼヴィムは自分の死よりもこれまでにない興奮に身体が包まれているのを感じる。
燃え盛る炎、
超接近戦となり、間近で殴りつけるアモンと魔法をぶつけるリゼヴィム、アモンは更に左腕を口を開き、牙を見せつけるようにして喰らいつき、左腕を引きちぎる。
再度、その腕を放り投げる。リゼヴィムは仮面の下で笑みが込み上げてくる。仮面ライダーとしては最低の出来だが、このまま、その殺戮衝動に敗北してしまった時のアモンの顔が楽しみだと。
将来、アモンが朱乃を食い殺し、叫ぶところを想像する。
『僕は、僕は……』
血に塗れた怪物を愛した女、女に愛された怪物。
『いいのよ。飢えているなら、私を食べて欲しい。ねえ、アーちゃん。貴方は生きないと』
そうして、怪物の頬に手を伸ばす女。その後、飢えに耐え切れず、女の身体を口付けするようにしつつも食い尽くす怪物。
ああ、想像するだけで興奮する。
「あァ……、勃ってきたァ……」
ルシファーは恍惚とした声を漏らし、笑っているような動作を取る。腕を二本奪われ、どういうことか、無抵抗になってしまったリゼヴィムをアモンはアームカッターでトドメを刺した。
「地獄で“兄弟達”に食われてしまえ」
アームカッターでリゼヴィムの首をそぎ落とすと、アモンはドライバーをリゼヴィムの腰から外し、ベルトを踏み潰した。
それから、変身を解くと血塗れになりながら、朱乃の方へと歩んでいく。朱乃はアモンのほうに向かっていくように歩み、それからアモンを抱きしめた。
「朱乃、大丈夫か?」
アモンの声は、朱乃を気遣うものだった。
「うん……、アーちゃんが守ってくれたから。……ねえ、アーちゃん。その、アーちゃんは変わってない?……アーちゃんが変わるの、怖いから嫌」
「僕は僕だよ、朱乃。アザゼル先生の養子の、アモンだ」
なんでもないように笑い、朱乃を抱きしめてくれる腕はあのときのアモンのように小さくて恐怖に震えていたものではなかった。
サタンライナーでの会話でアモンの全てを受け止めたつもりだったが、それでも、リゼヴィムと殺し合いをする彼に感じた感情は隠し通すことが出来ず、打ち明けてしまった。
「あ、ご、ごめんなさい!そんなつもりじゃなかったの。アーちゃん、なんだか、その怒っているように見えたから」
「僕のほうこそ。……でも、抑え切れなかったんだ。僕の中から溢れ出てくる感情を。朱乃、僕がお前に持っている感情は変わらない。僕は君と生きていきたい」
昔のように区切るような話し方ではあったが、確かに彼はアモンだった。これから、アモンに訪れる苦難を彼一人で乗り越えさせるわけにはいかない。
怒っているように見えた、というのは朱乃の嘘だった。正しくは、アモンはリゼヴィムを殺したときに笑っていたように見えたから。
アモンのプロポーズとも取れる言葉、朱乃は少し迷った。
「もちろん。アーちゃんは知らないことも多いんだから。私が教えてあげなくちゃ」
得意気にする朱乃は昔のようで可愛らしく、それでいて、見惚れるような笑顔だった。
===
事の顛末を朱乃に聞いた後、アザゼルは内心、公人としては頭を抱えるほどの問題であった。
しかし、アザゼル自身がアモンに彼の正体を話さなかったと言う責任を感じていたのも事実である。
それと同時にアザゼルは自分の産みの親と出会ったとき、アモンがどういった選択を取るのかといったところまでは考えることができなかった。
いや、考えなかったと言うのが正しいのではないだろうか。内心、アモンと過ごしてきた時間を思い、離れるのが惜しく感じたのかもしれない。
自ら離れたヴァーリと反対にアモンは手がかかることが多かったが、だからこそ、可愛がっていたのだろうと実感する。
「あいつらが出発してから、数年か。しかし、今度は朱乃がついていくとはな……」
アモンがまたどこかに旅に出る、と言った時に提案したのは朱乃の方だったと言う。バラキエルに殴られるぞ、と目に入れても痛くない娘を連れて行くのはどういう意味を持っているのかを暗に示すと、アモンは口元を弧に描いて笑った。
『上等だ。いつかはそうなるんだから』
我ながら、あの時は驚いたもの。しかし、アモンの出生を思えば、アモンはよく成長した方ではないだろうか。
どんな育ち方をするのかまったく予想できなかったが、真っ直ぐに育ってくれたと想う。
今でも幼少期に買ってやった臙脂色の上着を着ているのは、目を丸くしてしまった。流石にボロボロになっていたけど、朱乃の裁縫もあってツギハギだらけだ。
そろそろ買い換えたほうが良いんじゃないかと言うが、「これはこれでいい」と言っているんだそう。
「さて、オレの馬鹿な息子に会いに行くとしようか」
仕方なくといった口調の割に喜びを隠せないアザゼル、なんだかんだいっても今日、久しくアモンたちに会うのが楽しみなのだ。
===
アーちゃんの産みの親との戦いの後、私は学校を卒業してから、アーちゃんと旅に出た。
かあさまはアーちゃんとの卒業旅行を許してくれたけど、とうさまはなかなか許してくれなかった。
アザゼルおじさまと違い、まだどこかアーちゃんのことを疑っているとうさまはアーちゃんのことを知れば、私のことを彼から引き離すだろう。
あんな今までに見たことがないくらいに怖いアーちゃんのことを話せば、間違いなく引き剥がす。
「そろそろ昼食にしよう、腹が減った」
「なら、お昼にしましょう」
そう言って、アザゼルおじさまがアーちゃんの旅立ちに備え、準備してくれたバイクを停め、森の中でシートを広げた。
そこで数日前に作ったお茶とおにぎりでお昼ごはん、旅の中での楽しみだ。
「ねえ、美味しい?アーちゃん」
「美味しいよ。朱乃のらいすぼーるは美味い」
にこにこ笑顔のアーちゃん、可愛い。
あれから、アーちゃんは私よりも大きくなった。あの異形の姿、アマゾンに変身しなくても強くなり、たまに襲ってくるはぐれ悪魔を素の状態で返り討ちに出来るくらいになった。
あのとき、アーちゃんが蘇った時のことは、
いろんな種類があると聞くし、その中には一度の復活が許されるものがあってもいいのではないだろうか、と思ったからだ。
今日はアーちゃんの身体の調子をアザゼルおじ様に見てもらう日、なんでこうやって会いに来て貰っているのかと言うと、ルシファーの子であるリゼヴィムを魔王にという過激派がアーちゃんがリゼヴィムを殺したと知り、探し回ってるんだそう。
そして、アーちゃん自身がルシファーの息子の血を引いていることから、更に事態がややこしくなった。
その話は本人の前では出来なかったけど、アーちゃんの命が狙われているのは間違いない。
だから、二人で“旅行”という体で旅に出た。私がついていったのはただの我儘、アーちゃん一人なら生き残れるかもしれないけど、独りにしたくないから。
生きていきたいとアーちゃんが言うなら、私は貴方と一緒に生きていくよ。
これで最終話
リゼヴィム殺害、過激派始動(オリジナル)
それから、悪魔側の上層部がアモンの正体が明るみになったことで主張しだす、「仮面ライダーアモンは自分達のもの」という事態。
アモンの人生を奪わせないため、朱乃が取ったのは、旅と言う形でのアモンとの逃避行。
悪魔の因子に引っ張られ、ヴァーリ“らしさ”が出てきてしまったことで朱乃に怖がられるも、サタンライナーでのやり取りから、見捨てられず、一緒に逃げ出した。
もちろん、バラキエルげきおこ。
今作で思ったのは、アマゾンズシーズン2公開の前に作ったことから、親友ポジがいなかったこと。「自分とは何か」を書けたから良かったのではないかな、とは思っている。
では、また他の作品で。
SeeYou