僕は仮面ライダーアマゾン   作:ふくつのこころ

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昨日にたくさん押し込んだ感あるので、今日は短いほうです


日本へ

 空港に到着すると、サーゼクスの使いだと言う悪魔に案内され、チェックインもすでに済まされているようで搭乗口から通称を“ルシファージェット”に乗せられた。カラーリングはクリムゾンレッド一色とお世辞にも趣味がいいとは言えない。しかも、旅客機でかつ音速で飛行すると来た。魔法陣で移動すればいいのではないだろうかと思うアモンだが、悪魔の、それも金持ちの考えることは分からない。

 

 プライベートジェットということもあって数名の黒服とサーゼクスのメイド、グレイフィアともう一人がついてきているらしい。「お元気ですか?お久しぶりです、お姉ちゃんですよ?」と微笑みながらアモンを抱きしめてきたグレイフィアには驚くことをしなかったアモン。今日はこれを何度見たのかと数えるだけ無駄であるからである、そんな様子を見て同世代らしい制服姿の少年は苦笑いしていた。

 

「はじめまして、アモンくん。僕はサーゼクス様の妹君、リアス・グレモリー様の騎士を務めている木場祐斗と言います。僕らと同じくらいの年で武者修行をしているんだって?感心しちゃうなあ」

「なんだ、名前を知られてるのか。自分の力不足を感じたことがあった。それだけだ」

 

 ようやくグレイフィアの柔らかい感触と拘束から抜け出すことができたアモン。タイミングを見計らい、高級そうなシートに互いに向かい合って金髪の柔和そうな笑みを浮かべた少年――木場はアモンに手を差し出した。はじめての空の旅、窓から見える景色は一面真っ青。いつも見上げている空が左右両方、どの位置からでも見えると言うのは不思議な気分だ。

 

 そういえば、同世代の同性の知り合いというのは初めてできた気がする。今までまわりにいた同性と言えば、婚期を逃した発明馬鹿と戦闘狂、さらには赤い魔王と隻眼の神とマゾヒスト堕天使くらいだ。なかなか濃厚なメンツだが、異性の知人というのもだいたいが年上だったはず。そう言った星の下に生まれてきてしまったのではないかとも思う。

 

 淡泊な返事だが、それでも言葉には力がこもっていた。ほっそりとした肉体の割には鍛えている武人独特の雰囲気もあるし、肩から掛けるショルダーバッグを手持無沙汰に弄っている手もまた同様だ。サーゼクスの言うところでは、「普通の人間」らしいのだが気迫だけは悪魔にも匹敵できるだろう。

 

「それでも大したものだよ」

「そんなものなのか、ユウト?」

「もちろんさ」

 

 首を傾げるアモンに対し、木場は力強くうなずく。甘いマスクと雰囲気から彼の主が支配する学園では女子からの人気がある木場は異性からの支持は厚くとも、同性からは嫉妬を集めるばかりで同性の友人はいない。そんな経歴があるとアモンに名前で呼ばれるのは嬉しく、つい力が入ったのかもしれない。背も木場より小さく、年頃の平均身長と比べても小さい方のアモンと共通の話題ができたと感じたのが大きいか。

 

 それからのフライトは木場にとっては予想外の出来事が起きた。否、予想の範疇というべきか。アモンはほとんど話さなかった。窓の方を見ることもないが、ただずっと牙の方だけを見つめている。何か考え事をしているのではないかと思うが、その様子はない。グレイフィアが紅茶と茶請けを持ってきたとき、それがスコーンだったのには思うところがあるのかスコーンを見つめて咀嚼していた。もちろん、木場もご相伴に預からせてもらったわけだが、料理上手なグレイフィアのスコーンは美味しい。一流シェフ以上のレベルだ。

 

「あのさ、アモンくん?」

「どうしたの?」

「スコーン好きだったりする?」

「特にブルーベリージャムがつけ合わせだといい。ずっと食べれる」

 

 ちなみにこのスコーンの付け合わせはレモンクリームである。

 

「それは、惜しいことをしました。また作りましょうか?アモンくん」

「いいよ、気にしないで」

「私には遠慮なさらなくていいのに。“おねえちゃん”、ですよ?アモンくん」

 

 どこからかおかわりの紅茶をティーカップに注ぎ、グレイフィアは顔を輝かせる。そんなグレイフィアと対照的にやはりアモンの表情は変わらない。それに妙に親密度が高いグレイフィアの反応と言い、二人は知り合いなんだろうか?

 

「ねえ、アモンくんとグレイフィアさんは知り合いなの?」

「昔に会ったことがある」

「それって――」「仕事の内容、話してよ。依頼を受けた以上はそっちを聞かないと」

 

 魔王の女王(クイーン)と知り合いであるというのは、なにげにアモンという少年は凄いのではないだろうか。もう少し深く掘り下げたい木場だったが、きっぱりとアモンに切り捨てられてしまった。仕事を優先するのはなんというか、この短い間に感じたことだがアモンらしいともいえるという表現が一番しっくりくる。

 

「今回、アモンくんには僕らの手伝いをしてほしいんだ」

「手伝い?傭兵とか用心棒みたいな?」

「そんなところかな」

 

 今回、アモンが日本に呼ばれたのはリアス・グレモリーがまだまだ未熟であることから一人だけでは完全に管理しつくすことができないだろうと踏んだサーゼクスの計らいによるものである。当初、この提案に対してリアスは当然のように難色を示したが、外部協力者との活動の良い経験になるとサーゼクスやグレイフィアに説き伏せられて首を縦に振ったそうだ。ここまでの話だけでアモンはサーゼクスがどれだけシスコンなのかを知らされた。

 

 アモンが駆り出された理由としては、アモンがフリーランスの身であること、アザゼルという一大勢力をまとめ上げる代表のお墨付きであること、オーディンのテストに合格したという実績があることが挙げられるそうだ。最後のところだけは完全にはめられたのだが、言っても爽やか金髪少年はそれすらもよしとするだろうと見たので言い訳はしない。

 

 あと、本能からこれを言うとグレイフィアがロスヴァイセや朱乃並に心配してきそうで少々面倒だなと思ったのが理由であったりもする。ちなみにアモンが滞在している間に宿泊する予定であったホテルはサーゼクスの所有物だそうで、そこでもまたグレイフィアが世話を焼く気満々であったんだとか。

 

 あった、というのはアモンが断ったためである。

 

「ホテルはやめとく。ずっと世話されるの、なんだかむず痒いし」

「私は構いませんと言っているのに……」

「どこかアモンくんは宿泊するあてでもあるのかい?」

「ああ、あるよ」

 

 渡された資料と地図の住所が書かれた部分を見る。ちょうど、この住所は幼馴染の少女が暮らしている地域のはずだ。唐突に押し掛けるようで悪いが、そこは彼女が受け入れてくれると信じるしかあるまい。流石に残念そうにしているグレイフィアを申し訳なく思う気持ちはあるが。ルシファージェット内にあるモニターに映っている時計によれば、そろそろ到着時間らしい。到着してからすぐに連絡しなければならないが、少々返事が怖いところだ。

 

「幼馴染の家があるんだ、ここに」

 

 久しぶりに会う幼馴染、あのときから数年が経つ。一日に何通かやってくるメールの頻度は世間的には多いんだろうが、五通くらいは必ず要件を別にして来るものだから、完全に疎遠になったわけではない。そうだとしたら、サーゼクスの用意してくれたホテルに元から断らずに泊まるつもりだった(そうなったにしても、グレイフィアの申し出は有り難く断らせてもらうのだが)。

 

 バラキエル、朱璃、朱乃と顔を合わせるのは数年ぶりだ。何も変わってなければいいが、と考えるアモンの表情は木場が驚くほどに柔らかかった。

 




次回、幼馴染と再会
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