暗い夜道、月が雲に覆われて完全に暗闇の中
小屋を守っている二人の男達は前から聞こえてくる足音に注意を向けた。
段々と足音が近づいてくる事に二人の男は警戒を最大限に引き上げた。この小屋にはあるお方がいらっしゃる敵など絶対に来てはならない。
暗闇の中に雲が晴れ現れた月に照らされ、足音の正体の姿が二人の男に見えた。鼠色のボロボロのマントを着ていてフードを被っている。明らかに怪しい者。
「止まれ!誰だ、顔を見せろ!」
二人の男のうち一人が正体不明の人物に声を掛ける。
正体不明の人物は立ち止まりフードを外す。そこに表れた顔は無表情ながらも気迫のある少女の物だった。
「っは、ラクカ様でしたか。ご無礼をお許しください。これも仕事なので…」
二人の男は顔が分かると敬意を見せた。
ラクカ
襲撃事件後、国王だったヘヴァンの弟が国王になった。新国王は独裁政治を行い、今では反乱軍との戦いで国は混乱状態になっている。国は今、国王軍、反乱軍、市民軍の三軍に別れて三つ巴の戦いになっている。国王軍は新国王を、反乱軍は新国王の義兄を、市民軍は国民のまとめ者をそれぞれ指導者としている。
数年前の襲撃事件以前にお城で働いていた者達に新国王に不条理な理由で処刑されたはずだった。ラクカは早々に身の危険を感じ逃げた。こうしてラクカは平和の王家ツァーリ家臣等の唯一の生き残りになり三軍から身を追われている。
ラクカが三軍から身を追われている中ラクカの事を様付けで呼び、今はまだ小さく三軍から敵対すらされていない組織があった。ラクカは今夜その組織のトップに『会えないか』と手紙を受け差出人を知ると直ぐに返事を出した。
「仕事ならしょうがないです。私があなたの立場なら同じ事をしました。」
「ご理解ありがとうございます。では中にどうぞ。主がお待ちしております。」
ラクカは頷くと小屋の中に入っていった。中に入ると外の薄汚い外見は作り物だと分かる。小屋の中は綺麗とは言えないがそこらの家よりは掃除が行き届いている。それともラクカが訪れる為に綺麗にしたのか。会う人があの人だから後者のかもしれないとラクカは結論付ける。
部屋の奥まで進むと更に二人の男がいた。今度は先ほど人と違い鎧を着けている。二人の男はラクカの姿を確認すると床を持ち上げた。隠し階段の入り口だ。
そして深々と貴族のお辞儀をしてラクカが通り過ぎるのを待った。
階段を降りるとそこは豪華な作りとなっていた。
「ラクカ様ですね。こちらへどうぞ」
一人女性がラクカを案内する為先導する。
すれ違う人達は皆忙しそうにバタバタしているがラクカの顔を見た途端立ち止まって深々と頭を下げるのだ。ラクカはここでもしかしてこれは罠なのではないかと考えた。が直ぐに消えた。
一室に入るとそこにいたのは
「お待ちしておりました。ラクカ様。」
ラクカの主ソフィア様の従妹、ヴィクトリア様がいた。