今月中に投稿できました……と言いたいのですが既に月末…。
約束通りとは言えない時期になってしまい申し訳ありません。
ごく少数とはいえ、心待ちにしていた皆様を大変お待たせさせてしまった事、本当にすみませんでした。
精進しなくては…。
それでは、どうぞ。
「……それで、あそこにいる態度の悪いヤツを車に乗せてもいいか、ってことでしょ?」
「姉上、それは少し言いすぎではないかのう…」
「なに言ってんのよ秀吉。見なさい。見るから傲慢な雰囲気醸し出してるじゃない」
「わたしは別に構いませんよ?」
「ウチも別に気にしないわよ」
「……雄二さえいれば後はいい」
と、姫路さんと美波と霧島さん。
「んー、ボクも構わないよ」
「まぁ…いいわよ」
「ワシも勿論無文句じゃ」
と、工藤さんと木下さんと秀吉。
「ありがとう。みんな」
姉さんは自分が説明すると言っていたけどこのくらいの説明だったら僕でもできた。
僕の話を一通り聞いた後女性陣は快く二つ返事をしてくれた。
木下さんは少し気になるとこがある様だけどそれでも拒みはしなかった。
「お待たせしました」
「そちらの予定を崩したなら謝るが?」
「い、いえそんな…」
いい人なんだろうけど僕はどこか苦手だ…。
もしかしたらこの人、雄二並に頭の回転が速いのかもしれないな…。
姫路さんは悪いけど例外と言わざる負えないけど雄二や霧島は一介の進学校の中でもキレるほうだろう。
それと同レベルと考えると…この人もどこかの主席とかエリートなのだろうか…。
「男四人に女六人か…」
「うだうだうるさいわね。いいって言ってるんだから早く乗りなさいよ」
木下さんがいかにもご立腹と言った様子で腕を組む。
が、それでもーー
「なんだ?」
「あの…よく考えれば僕、まだあなたの名前を知らないんですけど…」
ふぅっ、と息をつかれる。
今のは呆れだろうか、それともやっとかという意味だったのだろうか。
「響 雪夜だ」
「あの、響さ「雪夜でいい」……雪夜さん、どうしたんですか?」
「これは我の記憶違いかもしれないが…」
眼鏡の奥の目が鋭く光る。
あまりの迫力に姐さんと霧島さんを除いた全員が思わず肩をすくめる。
「確か普通車の限界は10人だったと思うのだが?」
くっ…やっぱりこの人キレる。
痛いところを突かれた。
その通り、現在日本の法律で普通車は10人以下と決められている。
それ以上の人数を乗せる車を運転するには他に免許が必要になってくるが生憎僕の姉はそれを持っていない。
雪夜さんを乗せるとなると合計11人、定員オーバーだ。
もしかして雪夜さんってめちゃくちゃ正義感の強い人で許せないとか…。
「我は後ろで荷物の中に埋れているぞ。ポリ公が近くにいたら知らせてくれ」
「「「え?」」」
そう言うと雪夜さんはまたふっと息を吐く。
でも今回のは口角が釣りあがっていて、鋭い瞳にはわずかな淀みがあった。
クールで鋭利な見た目を完全に裏切る物言いに場が固まりつく。
「ん?どうしたのだ?」
「いえ…その…あの…」
真顔の質問に口ごもってしまう。
あまりにも汚れているので…つい…なんて言えたもんじゃない。
「まるでバカみたいな考え方だな」
「全く…これだからバカはいやなのよ」
しかしそんな僕の細やかな心遣いも無意味に終わった。
雄二はともかく木下さんは雪夜の一体何が嫌いなのだろうか。
「我も急ぎでなければこんな策は使わん。しかし今は時間を優先するのでな。なんとでも言うがいい」
しかし雪夜は二人の皮肉を気に留めることなく車のステップに足をかける。
「待ってください」
が、姉さんが声をかけてそれを留める。
「なんだ?」
「今、私達にとって貴方は客という位置にあります。お客さまを荷物と同じ場所にいさせるということはできません」
「……我は自分を侵入者と思っているのだが」
「そ、そんなことありませんよ」
「そうですよ。別にウチらは迷惑に思ってませんし」
「さあ、早く早く」
空気を読んだ女子三人の声。
これには流石の雪夜さんも足をおろした。
数秒考えた後でこのイケメン堅物お兄さんは、
「…わかった。しかし我が椅子を取ると誰かがやはり荷物に埋もれることに…」
「……わたしが雄二の膝の上に座るから平気」
「なっ…翔子お前なにいってやがる!?」
「そうか、なら問題ないな」
「あんたもこの雰囲気に慣れ過ぎだろうが!」
微笑ましく僕とムッツリーニの間で処刑について議論された雄二がなにか吠えてるけど、まあいいや。
ちなみに両者即答で屋上投げっぱなしジャーマンの刑に決定した。
そうすると、
運転席に姉さん、助手席にムッツリーニ。
一列目に姫路さん、美波、工藤さん。
二列めに秀吉と木下さん。
で、三列目には僕と雄二(with霧島さん)と荷物、ということになるから……。
「雪夜さんは二列目にお願いします」
「うむ」
短い返答のあと雪夜さんは僕の言われたとおり二列目の奥まで進み、腰をおろした。
「それじゃあワシもお先に乗りこませてもらうぞい……っとと。なんじゃ、姉上。いきなり引っ張ったら危ないのじゃ」
「秀吉、アンタは端よ」
短く答えると木下さんは素早く秀吉の前に出て車に乗り込み、
「変わってるな、貴様も」
「どういう意味よ」
ーー雪夜さんの隣に座った。
「弟をわざわざ除けてまで我の隣に来るとは貴様も随分と酔狂な女だ、という意味だ」
「ふん…どうだっていいでしょ!って秀吉アンタいきなりなにを…」
秀吉はムッツリーニも驚く程のスピードで車に半ば飛び込みながら乗り、木下さんの隣では止まらず雪夜さんの目の前に止まり、手を取り胸前で握りしめた。
その動きに僕らは頭でも目でも追いつけなかった。
しかしそのなかで雄二だけがただ一人、苦笑いを浮かべていた。
「はは…こりゃ驚いた……」
「雄二、どゆこと?」
「………理解不能」
「ウチらにも説明しなさいよ」
「はぁ…。おまえらは本当に馬鹿だな」
こいつ…わざわざ馬鹿の部分を強調して言いやがったな…なんて悪趣味卑劣な…。
顔面を手のひらで覆い、これでもか、というふうにため息を前置きにして雄二は説明を始めた。
「いまのあいつのことば聞いていなかったのか?」
「えっと…」
「…………『弟をわざわざ除けてまで我の隣に来るとは貴様も随分と酔狂な女だ、という意味だ』………っ!?」
「えっウソ!?」
なんということだ……。
僕は今、恐ろしい瞬間を目撃してしまったに違いない。
雪夜さんは雄二並の思考力や洞察力を持っているどころかーー
「ひ、一眼で秀吉を男と見抜いた…!」
思わず、ありえない!と叫びたくなる程のことだ。
「あぁ、こりゃ俺も驚いたぜ…」
雄二の声は少し震えてるように聞こえた。
手を取られ呆気に取られていた雪夜さんだったが、手をそのままに冷徹無表情に僕らに言った。
「いいから早く乗り込め。急いでいると再三言っているだろう…!」
「「「は、はいっ!ただ今!」」」
威圧と殺気。
この瞬間、僕らはどこぞの軍人と見間違う程背筋を伸ばし、声に張りをつけてあくせくと行動したに違いない。
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「「「…………」」」
「どうした貴様ら。先程とは打って変わって急に静かになって…」
ものの十数秒で発進させた車内は沈黙に包まれていた。
「きっと緊張しているんですよ。そうですよね、アキ君?」
「は、はい…その通りで御座います…」
唯一、姉さんだけが雪夜さんに臆せずに対応している。
秀吉は先程から惚けていて、木下さんはイライラで周囲が見えなくなっている。
幸せいっぱいな顔をした霧島さんを膝に乗せた雄二はそれを拒む事をせず、ただ僕の隣で俯いていた。
「この俺がビビっちまうなんて……情けねぇ…」
どうやら雄二のプライドはボロボロにされてしまったようだ。
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ーーでは