皆様お久しぶりでございます。
こちらとしても久しぶり過ぎて勘やら何やらだいぶ鈍っての仕上がりとなってしまいました…。
ではでは、桜散りし春に明久たちの混沌の灼夏をお楽しみください。
「ね、姉さん…」
瞬時にこの歩く危険物質の異名をもつ姉の体をスキャンする。
ふむふむ、普通の黒のビキニタイプの水着…その姫路さんにも勝る豊満な胸と美波よりもスレンダーなウエストを主張も隠しもしない普通の物でよかった…。
もしもこれでハイレグとか着て出て来られたら僕は卒倒していただろう。
「そんなにジロジロ見ないで下さい。夜にちゃんと私の全てを見せてあげ「ストップ!ストォップ!流石に姉さんそれはマズイ!色々と!」…そうですか。残念です」
ふう…取り敢えず僕の骨が折れるような自体は回避出来たわけだ。
………でも一応確認しておこう。
「ねえ、姫路さん、美波」
「…………」
「…………」
…あれ?
「ね、ねえ…二人とも?」
「…………」
「…………」
「ど、どうしたの……?」
ま、まるでお葬式のような雰囲気だ。
まさかこの短時間に何回もこんな空気になるとは…。
一体、何が原因なんだ!?
「くっ……やるわね、吉井君のお姉さん…!」
「服の上からでもわかってたけどもの凄いプロポーションだよね。ボクも少しダメージ受けたよ」
なるほど、原因が知れた。
それにしてもそれ程のものだろうか。
もちろん、姉さんの容姿はまあ人並みには良いものかは考えたことはなかった…。
ここは一つ、悪友二人に聞いてみるか。
『ギァァァア!し、翔子!やめっ、おまっ、おゥバるぁ、くぴッ、ガルァアアア!?』
『もっと…もっと…』
訂正、人間の悪友一人に聞いてみるか。
あの叫びはは人間じゃない。
「ねえ、ムッツリーニ?」
「…………」
「な、なにしてるの?」
振り返るとそこには我が痴姉に向かって深々と土下座をする悪友の姿があった。
僕が声を掛けるとその土下座はより強く頭を砂浜に押し付け、
「………土下座をしている」
「そ、そうなんだ…」
「………明久、お前の姉は俺のカメラに収められないほどの大物だ」
失礼した、と姉さんの死角で土下座をより深くする。
ムッツリーニが撮れないってじゃあ誰が撮れるのさ、と言おうと思ったがやめた。
言うだけ無駄だろう。
「……玲さん」
「あ、霧島さん、戻ってきたんだ」
黒髪をなびかせ我らが学年主席が混沌の場に足を踏み入れた。
「雄二は?」
「……あそこ」
「…………」
あれ?思ったより普通だ。
俯いて突っ立ってるけど特に外傷はないようだ。
「
あぁ、あれはもうダメだ。
しかしそんな事はいざしらず、カオスは止まることはない。
「どうしましたか翔子ちゃん」
「……一つ、お願いが」
「なんでしょう?私にできることなら仰って下さい」
なんと関大な姉さんだこと。
その慈悲をほんの少しでいいから僕に向けて欲しいものだ。
すると霧島さんは少し、頬を紅く色付けてポソリと言った。
「…………腕を挙げて貰えますか?」
「?こう、ですか?」
「……失礼します…!」
姉さんが腕を上げた瞬間、霧島さんは突然ガラ空きになった腰に腕を巻きつけた。
何かを確かめるようになんどもホールドすると、
「……すごい…」
とてもがっかりした表情で姉さんから離れた。
その表情とうなだれている姫路さんと美波を見て柔らかい笑みを浮かべると、
「ふふ……そうです、翔子ちゃん、それに他の女性のみなさん、海の店などに買い物に行きませんか?」
「……わかりました。雄二、行こう」
「あー…うー…」
「………行って来ます」
「………」
「あはは…ムッツリーニ君、荷物番頼んだよ」
霧島さんは下僕を従え、姫路さんと美波は相変わらずの雰囲気で、工藤さんはそれを見て苦笑いして歩いて行った。
それにやや送れるように木下さんが続く。
「あ、吉井君」
「ん?なに木下さん」
「今更だけど貴方、いつもこんな空間に居るのね…正直にすごいと思うわ」
「ど、どうも…」
じゃあ、と踵を返した。
順応とは怖い物だ。
……さて。
「ムッツリーニ!」
「…………準備、万端…!」
皆には悪いけどこれは絶好の機会!
美波や姉さんが居ないこの状況、秀吉の水着姿をじっくり見られる!
ーー数分後
「二人とも、待たせたのう」
こ、この声は秀吉!
「………っ!」
どうやらムッツリーニも同じ事を思ったらしく、再び息を吹き返した。
僕らは互いにタイミングを計る。
そう、タイミングだ。
風、周りの雰囲気、その他色々で被写体はより一層映えるのだとこの前ムッツリーニが言っていた。
と、ビュオウ、と海からの潮風が僕の肌を撫でた。
ーー今だ!
右足を軸に左足と腰を使って高速で回る。
「………!」
横目にムッツリーニが瞬間的に立ち上がるのが見えた。
さっきまで瀕死の息だったとは思えない動きだ。
さらち、両手に二個ずつ構えたカメラのシャッターに既に指が届いてるのだから驚きだ。
「見えーー」
「なあ、おぬしら!」
海風に髪がなびかれ、暑い光により少しだけ紅づいた秀吉が一瞬だけ見えたが、それは本当に一瞬。
僕の視界は突如白色染まった。
それが人の髪ということに気づいたのは白色が動いて茶色を揺らす瞳が見えてからだった。
「わっ!?」
思わず後ろに転んでしまう。
下から見上げるように声の主を見る。
髪は銀糸のような白、それに対比するように黒いカチューシャをつけて、肌は透けるように白く頬は綺麗に朱色に染まってーー秀吉に引けを取らぬ程の美少女だった。
「これ、義経。お主がフレンドリー過ぎるから明久が転んでしまったじゃろうか」
白髪の美少女の後ろから秀吉がやれやれ、と言った様に歩いてくる。
「秀吉、なんでパーカーなんて着てるのっ!?水着は!?(秀吉、この可愛い娘は誰?知り合い?)」
「落ち着くのじゃ明久。相変わらず本音と建前が入れ替わっておる。それにムッツリーニ、悔しげに俯くでないぞ」
水色のパーカーを羽織った秀吉。
涼しげな色が浜辺に降り注ぐ熱を和らげてくれているが…。
「大丈夫かえ?すまんかったの」
「え?いや、別に大丈夫だよ」
あはは、笑ながら立ち上がって砂を払い落とす。
僕の無傷を確認したのだろうか。
白髪の娘はまだ発達してない胸に手を当てて自己紹介を始めた。
「ワシの名前は常盤 義経。名前で呼んで構わんぜよ」
「義経とは…まあ、先ほど面倒事があってのぅ…その時に助けてもらっての」
「いざ話してみるとこりゃまた面白いくらい話が合ったんぜよ」
す、と手を伸ばされる。
握手ということなのかな?
僕はしっかり手の砂を払った後で手を握る。
すると義経さんは歯を出してニコッと笑い、
「友人の友人はまた友人、よろしく頼むぜよ、明久」
「こちらこそよろしく、義経さん」
「そっちは秀吉の話によると康太よの?写真の腕がすごいとか」
「………こう…よろしく」
慣れない名前呼びに戸惑ったもののムッツリーニはカメラを置いてしっかりと手を結んだ。
最近の女子高校生に珍しいくらいフレンドリーで快活だなあ、と正直に思った。
きっと他の皆とも直ぐに打ち解けるだろう。
「……あ、そうぜよ明久に康太」
「ん?なに?」
急に思い出したのか義経さんは人差し指を立てて声を上げた。
「もう一度お手を拝借」
す、と両手を伸ばしてきた。
なんだろう?もう一度握手をして欲しいのかな?
「てい」
ぺた
「………ふぁ?」
「…………」
「最初のうちに誤解の要素は壊しておこうと思ってな」
…あれ?
義経さんの腕が僕らの腕を掴んでる。
で、その伸びてる先はワンピースーーと言う名の胸。
「…………のぁ(ブシュッ)」
そして隣では先程工藤さんに治療してもらったばかりというのに鮮血を飛ばす変態。
なんなんだろうこれ。
僕の頭が処理し切れない何かが起こってる。
「これでワシが男だとわかったかえ?」
「よ、義経さん……」
「うん?」
「その…こんな公共の場でこんな不埒なことは……」
「秀吉の言う通り、微塵も理解できとらんな!?」
だ、ダメだ、こんなこと!
姉さんや美波に見つかったらそれこそ微塵も残らないし、なによりこんな事はダメだ!
でも義経さんは僕らの腕は離してくれない。
それどころか胸の感触を確かめさせるように擦らせる。
「………あぁ…う(ガクガクガク)」
隣のバカはとうとう膝をついた。
しかしその顔はさっきと同じ、笑顔にで溢れていた。
「これでワシが男ということはわかったぜよ?」
「………」
ダメだ、まだ受け入れなれない!
というかありえないよ、こんなこと。
こんなに可愛いのに男だなんて。
「…はぁ…仕方ない。こうなりゃ下を触らせるぜか」
「だ、ダメダメダメ!それはなんだか越えちゃいけない一線を越えちゃうような気がーー」
「問答無用!男なら覚悟を決めんか!」
むんず
柔らかく温かい、ある意味知り慣れた感触が僕の手の手の平に収まった。
この瞬間、僕はこの世の怪異と厳しさに項垂れることになる。
そして何故か散々僕の手を動かして触らせた
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