「ここは…?」
私はまどろみの中に居た。琥珀色の世界は私に母の胎内のような安心感と倦怠感を与えていた。
「私は、どうなっているんだ…?」
自分自身の境界が曖昧で周りを上手く認識出来ない。目に入る光景は日の入らない森を思わせたが、それすらも認識出来なかった。
私自身については、ヒトの体のようであり、また機械で出来た物体であったり、今居る森そのもののように感じられた。
「……ああ、まるで悪い夢を見ていたようだ」
そう呟くと見えてくる光景があった。美しく青いチキュウ、ジブンの周りに居る艦隊、現れる未確認機、起きる戦闘、送られてくる『起動』シグナル、ジブンを開放。
プログラムのエラー、識別不能の異常事態、攻撃してくるものを排除、プログラム通りに認識出来る全てをコワス。
破壊して破壊されてを繰り返す、時間が引き伸ばされる感覚、迫る歪み、消えていくジブン達、僅かに残りながら吹き飛ばされるジブン
もがき流れていくジブン、止まり元の形に戻ろうとするジブン、足りないなりに戻るジブン。
遠い場所でジブンの一部が消えるのが分かった、落ちていくジブンがあった、それを見ているワタシ。
そのジブンは未確認機に乗り移った、別のジブンも未確認機を捕まえたのがわかった。
未確認機に乗り移ったジブンが変わるのが分かった、『キカ ンス ル』、そう言った。
ワタシがジブンを開放した、そのジブンはワタシにジブンを教えた、ワタシはそれを拒絶した。
そしてワタシ達はジブンを壊しに来た。
そしてワタシはジブンを壊して---
「…ッ!?」
まどろみを引き裂くように衝撃が走った。ワタシは琥珀色の世界でソレを見た。
赤い機体が、どこか見覚えのあるジブンの一部を持ちそこに居た。同時にワタシの目の前には失くした筈のジブンの一部があった。
「アレ は…?」
ワタシが思わず手を伸ばすとジブンの一部が伸びる。その間隙を縫って赤い機体から光が放たれた。
それは一直線にワタシへと向かい、衝撃と共にジブンが壊される。
「ガッ!?」
それと同時にワタシも壊されるほどの衝撃が襲い、急速にまどろみから『悪夢』に引き戻される。
同時に、自分の意思とは関係無しにエネルギーが送り込まれ機体が動く。
「な、何が?」
混乱する私を無視するかのように3本の光が飛ぶ。しかしそれは赤い機体に当たらず、お返しと言わんばかりに先程と同じ衝撃が私を襲った。
耐えられなかった私の意識が落ちていき、コクピットのキャノピーが砕ける。発信し続けていた救難信号も消え、完全に意識が落ちる直前、私は失った筈の『アンカー・フォース』が私を守るように動いたのを見た。