猟犬の見る悪夢   作:大2病ガノタ

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「ふー…」

 

 

 

私は『R-13B カロン』のコクピットに居る。

あの戦闘の後、我々は適当にゲートの傍で集まり休息していた。

 

 

 

「結局、こうなるのか」

『何で奴ら攻撃してきたんだ』

『本当に26世紀の人間だったのか?』

『くそがっ。警告も無しかよ』

 

 

 

生き残ったパイロット達が不満を噴出する。帰れない道を進んだ先であのような手洗い歓迎をされれば、聖人でない限り憤慨するだろう。

そして今居るのは軍人、R乗りであり人間である。

 

 

 

『教官! 通信を試みたのですよね? 轟沈したのは…』

『ああ、通信は開かず敵意を最後まで示していた。危険だと分かってはいたが一度だけコクピットを開けて姿も晒してみせたのだがな』

『!? そんな事まで…』

『相手も人間、無駄な消耗は避けたかったのだが…。どうやら、この世界の景色を楽しむには仕事を終わらせても難しいらしいな』

 

 

 

大隊長の言葉に皆、あの演説を思い出し苦笑する。中には大隊長に呆れる者も居たが、やはりじきに笑うのだった。

…かくいう私もその一人だが。

 

 

 

『さて、改めて状況を整理しよう。我々は『R-13B カロン』が開いたゲートに突入し26世紀へと到着した。それは、あの戦艦と残骸に紛れて漂う戦死者を見たから分かるだろう』

 

 

 

その大隊長の台詞で視線が一斉に私に集まるのが分かった。

 

 

 

『問題はこの後。我々の任務は、この26世紀からバイドを始めとした兵器が流れてこないようにすることだ。我々が通ったゲートは未だ閉じていない故に、先にそちらをどうにかする必要がある』

 

 

 

私が横に意識を向けると、我々が通ってきた空間が宇宙空間に歪みとして見えていた。

 

 

 

『ゲートを閉じるのも『R-13B カロン』が行う。…最終確認だ。皆、覚悟はいいな?』

 

 

 

大隊長の確認に皆肯定の意思を示す。私も、もうその後の覚悟まで決めていた。

 

 

 

『では我々は警戒を行う。カロン、ゲートを閉鎖せよ』

「了解」

 

 

 

隊長の指示でR大隊はゲートを守るように展開し、私はゲートの中心へ。

歪みの中心で停止し、次元航行システムを最大限使用して閉じる。

しかし、そんな我々をあざ笑うかのような出来事が襲った。

 

 

 

『! 11時の方向に高エネルギー反応! 先程の部隊と反応が一致!』

『D系機体は波動砲による迎撃を行え! 当てなくてもいい、ゲートが閉じるまでカロンを防衛せよ!』

 

 

 

26世紀の地球の戦闘機郡が再び襲来し長距離ビームを撃ってくる。だが今回は警戒していたおかげで狙撃機である『R-9D シューティングスター』と『R-9DH3 コンサートマスター』が迎撃を行った。

しかし、私は胸騒ぎが収まらなかった。ただ単に()の戦力が分からないというのもあるし、味方の消耗もある。

だがそれ以上に、敵の居る方向から覚えのある嫌な感覚がしていた。私ではなく、私の中のバイドが。

 

 

 

『何だ、何かがおかしい』

『亜空間にも敵は居ませんが?』

『だからだ。思い出せ、ここはあのバイドを製作した世界だ。我々にとって未知だらけだ。何が起きてもいいように警戒しておけ』

『了解』

 

 

 

大隊長の呟きに、『カメラフォース3』装備の『R-9E3 スウィート・ルナ』が返事をする。

私はその会話を聞いて、ブワッと汗を流す。

 

 

 

「(バイドを製作した世界、思い出す…。今、私はゲートを閉じている。だがこのゲートを生み出す切欠は?)」

 

 

 

空間の歪みが修復され消えていく。しかし敵からのビームは止まない。が、同時にこちらへ接近してくることも無い。

故に大隊は回避と迎撃に専念し誰も当たらない。だが、私の中のバイドは騒ぐ。思い出せと。

 

 

 

「(切欠は勿論『バイド』。だがそのバイドが作られたのはこの世界、それも兵器として。それは暴走し『次元消去型兵器』により---)」

 

 

 

そこで私は気付く。我々R大隊、いやR戦闘機の目玉とも言っていい武装は『波動砲』、『ビット』、そして『フォース』。

この世界の人間から見れば我々は不審者なのだ。しかも『バイド』を持って空間に次元の穴を開けてやってきた。

攻撃してくるのは当然だった。そして、兵器とは基本的に量産されるものである。

 

 

 

「ぜ、全機直ちに戦闘を中止しこの空域から離脱してください!」

『カロン? いきなりどうした! ゲートは?』

「ゲートはもう閉じます。それ以前に、バイドが我々の22世紀に来た原因の兵器が飛んで来ます!」

『なんだと!?』

『それは本当ですか!?』

「ですから、早くっ!?」

 

 

 

そう言った瞬間、私の中でバイドが暴れだした。

暴れだしたと言っても、それは私の感覚であって、実際には『正常に機能し出した』と言うべきだろうか。

それとも、ソレを感じたバイドが生存目的で焦ったのだろうか。

私の目は琥珀色以外に何も映さなくなり、片方は漆黒に、片方は琥珀色に塗り潰される。

 

 

 

「が、アアアアアアアア!」

『カロン!? どうした、何が起きた!』

『『R-13B カロン』より高バイド係数確認! これは、パイロットがバイド化しています!』

 

 

 

大隊長とスウィート・ルナの言葉も認識出来ないほどに染まりだした私は、反射的に()を動かし駆けた。

ジブン(・・・)の背後でゲートが閉じたのを感じると同時に、敵から忌々しいものが撃ち出されたのも感じた。

 

 

 

『敵戦艦から球体の射出を確認! デカイぞ!』

『その球体から、他のとは比べ物にならない程の高エネルギー反応! ヤバイぞアレ!』

『!? カロン! どうするつもりだ!?』

 

 

 

先頭に居た『R-9E ミッドナイト・アイ』と『R-9B3 スレイプニル』、『R-9D3 コンサートマスター』の頭上を飛び越える。

しかし、私の意識は既に曖昧で。機体の種類を選別出来ずにいた。

 

 

 

「サ、せる、カアアアアアア!」

 

 

 

最後に気合で意識を保たせ、サイバーコネクタ経由で『アンカー・フォース改』を構え忌々しき『次元消去兵器』に向かう。

そして、それが起動すると同時に『ドースシステム』で『アンカー・フォース改』の⊿ウェポン、今の名でスペシャルウェポンを起動する。

『R-13 ケルベロス』の頃から変わらない、『ヒステリック・ドーン』は次元障壁を一部破壊し異層次元その物を空間に発生させるもの。

 

 

 

「ウオオオオオオオオ!」

 

 

 

『次元消去兵器』相手に『ヒステリック・ドーン』の相性が見事に嵌り、ほぼ無効化することが出来た。

しかし同時に、膨大なエネルギーを開放したためか、私の意識は完全に琥珀色に染まったのだった。

 

 

 

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