キャトラやアイリスなどはヒーロー系キャラは登場しません。
稚拙な文章で粗い部分もかなりあるとおもいますが、
少しでも楽しんで頂ければ……と思っております。
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以下の本文は、『茶熊学園の歩み』という独自の文集を作成するために、学園で起きた印象的な出来事や事件などを、伝聞から想像して記したものである。
今回の物語では自身に関わりがなかったので、三人称で記述した。
後に、公表する時があるかもしれないので、その時に少しでも楽しんで頂けるよう、ささやかではあるが、演出が加えられていることを了承していただきたい。
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昼休みが始まる鐘が鳴った。
生徒たちにとっては嬉しい瞬間である。
「では、今日はここまでにしましょう。分からなかったところは、次回説明しますので、各自まとめておいてくださいね」
カムイ学長は教本を閉じながら言う。
「あ、それとですね」
一番後ろの席のミラとザックが我先にと学食に向かおうとしたが、カムイ学長が話を続けそうだったので、一旦席についた。
カムイ学長は一つ咳払いをし、話を続ける。
「そろそろこの学園の生徒会を決めたいと思います。やはり学校には生徒会が必要ですからね」
「生徒会……ですか?」
カモメは首をかしげた。ザックやミラもぽかんとしている。生徒会というものを理解していないようだ。
カモメが以前通っていた水兵訓練学校でも、生徒会というものが無かったのだろう。
「ええ。生徒会には、生徒会長が一人、副生徒会長が一人、その補助のような方も1名決めたいと思っております。
生徒会長とは、その名の通り、生徒の中で一番偉いと言っては語弊がありますが、責任者もしくは権利者といった存在であり、この学園をより良い方向へ引っ張ってゆく使命があります。副生徒会長とその他の方は、生徒会長を手伝うという位置ですね」
一呼吸おいてカムイ学長は続ける。
「えーっと、もし、是非ともやってみたいという方がいましたら、3日後にまた同じ授業がありますので、その時におっしゃってください」
「他のクラスのやつは誰かいなかったんですか?」
ソウマは頬杖をつきながら言った。
「そこですが、やはり、初代生徒会長は優秀な人材が集まったこのクラスから決めたいと思いますので、他のクラスにはまだ言っていません」
「優秀ねぇ……」
ソウマはそう言ってザックの方をチラ見した。
「ん? どうした? ソウマ」
「いや、なんでもないよ」
「まあ、そういうわけですので、急で申し訳ありませんが、各自ご検討お願いしますね。さあお昼お昼」
カムイ学長の話が終わるやいなや、ミラとザックは互いに競いあいながら学食に向かった。
その他の面々は暫く自席で生徒会について考えているようだ。
(生徒会長か……。このクラスだと誰が適任だ? ザックはいいとして、帝王さんは忙しそうだし、真面目な水兵さんか、王女様あたりがお似合いだな……。フランさんはなんか違うし、クライブ先輩は風紀委員以外やらなそうだしな)
ソウマもため息をひとつつき、学食に向かった。
茶熊学園【紅鮭亭】。大半の生徒はここで昼食を取る。ピーク時になると席がほとんど埋まってしまう。
ミラとザックは食堂の一番奥にある丸テーブルで麦パンとシチューを食べていた。
そこに遅れてソウマとクライヴが到着する。
「いつもそのメニューでよく飽きないな」
「うるはいあえ。やすくて、おいひいんあからひょうはあいえひょ」
ミラは麦パンを食べながらクライヴを睨んだ。口元にパンくずがついている。
「食べてから喋れ……」
クライヴはやれやれといった感じで、自分の分の注文をしに行く。ソウマもそれに続いた。
「ボンジュールでござるー」
ソウマ達の後にフランがやってきた。これで昼食時のいつもの面子が揃った事になる。
「ザック殿、またそれでござるか? ちゃんと食べないと力がでないでござるよ」
「お、フランか。食後に洋ナシくれよ」
「ノンノンノン。ザック殿だけにいくつもあげないでござる」
「ちぇ」
「皆そろったか」
クライヴとソウマがトレイに料理を載せてテーブルに戻ってきた。
「それじゃ、いただきます」
すでにミラとザックは先に食べ始めていたが、クライヴ、ソウマ、フランは3人で手をあわせる。ちなみにフランは自前のお弁当だ。ソフィとカモメも弁当だが、二人は教室で食べているようだ。ヴィルフリートは決まって部室で食べている。
5人は世間話をしながらいつものように食を進めていたが、自然に生徒会長についての話題となった。
「ところで誰か立候補しないのか?」
ソウマは4人に聞く。
「生徒会長の件か?」
「そうだよ。クライヴ先輩なんか適任じゃないか?」
クライヴは腕をくみ、うーむと考え込む。
「俺は風紀委員があるからな。あまり両立はしたくないんだよ。なにより、あのお方より上に立つなど……考えられん」
「そ、そうか」
あのお方とは誰だ、とは誰も問わなかった。もっともミラとザックは話を聞いていたか定かではないが。
「フランさんは、どうだ?」
「拙者でござるか? 性に合わないでござる。無理でござる」
フランも首を横に振る。
「俺はソフィ殿を押したいけどな。元々王女様だし、カリスマ性はバツグンだろう」
クライヴはそう言いながらうんうんと頷いている。
「俺もそれには賛成かな。水兵さんも良いんじゃないか? 真面目そうだし。仕事もテキパキ出来そうだ」
「カモメ殿、ああみえても結構ぬけているところもあるでござるよ? 先日は帽子を被ったまま風呂に入ろうとしてたでござる」
「へぇ……。それは意外だな」
ソウマはフランのカモメ話にお茶を啜りながら、時折驚きつつ相槌をうっている。ほかにも寮のほうでは、良く忘れ物を取りに来ていたり、ラウンジで居眠りをしていて風邪をひきそうなので起こしたところ、授業中と勘違いして飛び起きたり、などなど。色々とドジな一面もあるようだ。
しかし、芋の皮むきの速さは目を見張るものがあったという。
この面子の中には立候補者はでなさそうだなと思いながら、ソウマは食事を続けた。
ふと、なら自分はどうなのか? と、ソウマが思い始めた数秒後。
「ちょおっと。なんであたしにはなにも聞かないわけ?」
今まで黙ってやりとりを聞いていたミラが唸った。
「い、いや。絶対やらないだろうなと思って……」
ソウマは顔を引きつらせながら言った。
「失礼しちゃうわっ!」
「じゃ、じゃあ念のため聞くが、生徒会長、立候補するのかい? シスターさん」
「すーるわーけなーいじゃなーい! 絶対面倒くさいわよ!」
「なんなんだ……」
ソウマは頭を抱えた。
要するに、会話に混ざりたいだけの、ミラ・フェンリッタであった。