ジャージおじさん事、ルーさんと客間でゆったりした後
準備が出来たと、お坊さんとルーさんに戦う場所まで案内をしてもらうと
そこは道場らしき建物の前だった。
転んだりしたら石畳で痛そうだ。
「ふん、来たか。ボコボコにしてやる」
戦う場所について感想を抱いていると少女が出会った時以上にギラギラとした視線で
僕を見てくる。
かなりやばそうな雰囲気だ。
いっそ、棄権するか開始の合図と共にここから逃亡して……。
トクン
逃亡を考えた瞬間視界が暗転する。
何だ…?
状況が分からない。
もしかして今までのは夢で眼が覚めるのか?
だとしたら、もう安心だ。
早く眼が覚めてほしい。
『悪いけど、これは夢じゃないよ』
突然聞こえた聞き覚えのある声。
『僕はね、僕の姿形をした存在があんなちっちゃい奴に負けるなんて、気に食わないんだよ』
姿形…?まさか……あんたは…。
未来王…麻倉ハオ
『無駄話をするつもりはない。君にはこの体の使い方を学んで強くなってもらう』
は?え?ちょっとま……
『待ったなし。ちょうどいい実験台も居るし、体を借りるよ。
異論は認めない』
えーーー!?
『安心しなよ、体の使い方を教えたら、すぐに消えるから』
安心できないよ!!
☆
ハオに突っ込むと同時に視界が暗くなる前に戻った。
もしかして幻覚だったのだろうか?
「では、麻倉君、百代。川神院が責任を持って治療するので全力で戦いなさい」
「おう!」
「……」
うむ、棄権するなら今のうちと見た。
すみません、棄権します。
……あれ?口が動かないぞ?
感覚はあるのに何でだ?
「では、西方 川神百代(かわかみ ももよ)!」
「ああ!」
名前を呼ばれ気合を入れる少女。
動け僕の体!ここから逃げるんだ!!
体を動かそうと試みるも口と同じように動かない。
まるで誰かに操られてるよう……って!
あれか?ハオか?ハオなんか?
『言ったはずだよ、君には体の使い方を学んでもらうって。
嫌なら本気で覚えるんだね』
マジか!?
「東方 麻倉 葉王(あさくら はお)!」
「……」
逃げたいのに動かない体、もうどうしようもないようだ。
しかたがない、こうなったらさっさと覚えて開放されよう。
そうすれば僕は自由だ!!
「いざ尋常に!はじめいっ!!」
「いくぞ!」
小学生とは思えない、もの凄い速さで突進してくる少女。
おいおい!どうなってんだよ最近の小学生は!?
まるで弾丸のような速さでどんどん距離をつめてくる。
対する僕は…動かない!!
こんなに恐怖しているのに表情すら動かないよ!!
「はっ!」
なんて思っているうちに顔面に迫る少女の拳。
拳と僕の顔の距離は後数センチ。
かなり危ないのに何故だろうか?とってもゆっくりに見え、腕が少女の
手首に向かって動く。
「なっ!掴んだ!?」
「……」
僕の意思とは関係なく少女の手首を掴む僕の手は何故だか、筋力以外の何かの力を
使っているのが分かる。
何これ?
『気だよ。腕や体に込めるだけで身体機能を向上させたり怪我の回復にも役に立つ
チートな力さ。』
あー…ドラゴン○ール的なアレね。
疑問を頭の中で答えてくれるハオの言葉に納得する僕。
「せい!!」
腕を掴まれながらも、掛け声と共に繰り出される少女の蹴り。
狙いは僕の側頭部。
でも……。
「遅いよ。止まって見える」
挑発するようなセリフと共に気で強化された人差し指で少女の止める僕の体。
止められた少女の方は、かなり怒ってるようだ。
ハオさん?何挑発してるんですか?
心の中でハオに問いかけると驚きの答えが返ってきた。
『だってそっちの方が面白いし、こういう生意気なのは
精神的にも肉体的にもコテンパンにしたいんだよね』
まさかの少女、コテンパン宣言である。
「むらがあり過ぎて気の練りが甘い、攻撃が単調過ぎる。」
「ごちゃごちゃとうるさいぞ!!川神流!無双正拳突き!!」
制御不能となった口を黙らせようと止められた足を下ろし、
かなりの気?が込められた正拳突きを僕の腹に向けて放つが……
掴んでいた少女の右手を離し、そのまま少女にデコピンをする。
「だっ!!?」
だだし、普通のデコピンでは無い。
中指に気を込めて放ったデコピンで、かなり痛そうだ。
少女は両手で額を押さえ、涙目になっている。
「そこまでっ!!勝者 麻倉 葉王!!!」
あ、なんか勝ったみたい。
ハオさん。もう気の使い方とか分かったんで開放してほしんですけど……。
『だめだよ。まだ肝心の超・占事略決を覚えてないじゃないか』
え?オーバーソウルじゃなくて?
『魂を使わず気を使うからね。君の黒歴史ノートにはオーバーソウル=超・占事略決
って書いてあったよ』
え?読んだの?僕の秘密を読んだの?
『なかなか興味深かったよ。フフフ…』
笑うなーーーー!!忘れろ!!いや、忘れてくださいお願いします!!
「ジジイ!私はまだ戦えるぞ!!何で止めた!!」
「バカもの!これは死合ではなく決闘じゃ!!
…それに、攻撃を当てられないようではお主に勝ち目なぞないわ」
「っち!」
「悔しかったら、サボらず修行をするんじゃな」
「はっはっはっは!!ザマァないな、百代」
頭の中でハオに黒歴史を忘れるように懇願している中。
僕の視線が動く、そしてとある人物を捕らえた。
その人物は胴着を着たおっさんで負けた少女をおちょくっている。
『さっきの子は止められてコテンパンに出来なかったから、アイツを
コテンパンしよう』
いやいや!やめようよ!!明らかに強そうじゃん!!
僕の必死の抵抗も虚しく、少女の隣に居る胴着姿のおっさんに近づいていく
僕の体。
ヘルプ!!ヘルプミーー!!!!
「ねぇ、そこの胴着姿のおじさん」
「「ん?」」
「おい、なんでジジイまで反応するんだ?」
いーーーーーやーーーーーーーーーー!!!
ちなみに結果は言うまでもない。
胴着おじさんよ安らかに眠れ。