~一年後~
あの決闘騒ぎから一年。
宿無しの僕は川神鉄心(かわかみてっしん)さんに世話になっている。
弟子である釈迦堂(しゃかどう)さんをボコボコにしてしまったのに実に
ありがたい。
しかし、勘違いしないで欲しい。
僕はタダで世話になっているのではなく、主に戦闘民族である百代の面倒と
修行僧の修行や行事や祭りのお手伝いなどをやっている。
それにしても……
「ハオ兄~さ~ん、勝負しようよ~~勝負しないと背中にとりつくぞ~~」
「断る。さっき相手してやったじゃないか」
早朝の手伝いが終わり、ゆっくり庭先で日向ぼっこしている時に
戦闘民族、百代の相手をするのは精神的にかなり堪える……。
来年には小学校高学年になるのだから、少しは成長してほしい。
「勝負って言うけど、十秒も相手してくれないじゃないか」
「それは百代がちゃんとガードしなからだろ」
ちなみに百代の言っている、勝負組み手の一本勝負。
彼女はガードがあまくすぐに一本が決まるので面白くないのだろう。
そして面倒なのが……
「Zzzzz」
「またか……」
何所で覚えたのか、最近の百代は都合が悪くなるとすぐに寝たフリをする。
本当に、手の掛かる子だ……。
「よう、お前等は相変わらず仲がいいな」
「釈迦堂さんか……」
寝たふりをする百代を見ていたら横から釈迦堂さんが現れた。
時間的にいつものサボりなのだろう。
この後、ルーさんと鉄心さんの説教をふてくされた態度で聞いている光景が目に見える。
百代と一緒で懲りるという言葉を知らないのではないだろうか?
「何だよ、文句あるのかハオ。勝負すっか?俺は構わないぞ。
去年のリベンジだ」
「面倒だから遠慮しておくよ。それに勝負するにしても
超・占事略決は鉄心さんの許可がないと使えないし、使ったら怒られる」
「ちっ。あの時のお前は面白かったのに、川神院に住むようになって
すっかり、丸くなっちまった」
アレは僕じゃありません。ハオがやったんです。
なんて言えるわけもなく……。
結局、バトルジャンキーな師弟の相手をルーさんが来るまでしました。
つかれた……。
☆☆
バトル師弟に絡まれ精神をすり減らした僕は、精神を回復させるために
散歩をする事にした。
川の近くの道を通り宛もなくフラフラと散歩をする。
ここら辺は実にのどかで平穏だ。
そのはずなのに……。
「……」
公園で一人、銀髪の子供が倒れていました。
周りには誰も居らず、助ける人間はいない。
僕って本当にトラブル体質なんだな……。
しょうがないかと思いつつ、少女を担いで川神院に走る。
神様、僕の平穏がそんなに許せませんか?
☆☆
「ハオ兄さんが子供を誘拐したーーー!!」
変な事を考えて、神様のバチが当たったのか?
川神院に帰ってきた、僕に対する百代の一声で師範代はもちろん
鉄心さんが風の如く百代と僕の元に駆けつける。
「おいおい、ハオ。いくらルー見たいに彼女がいないからって
さらってくるなよな」
「そうだ!そうだ!ハオ兄さんに彼女なんていらないんだ!!」
「ルーさんに鉄心さん。こいつ等、燃やしてもいい?」
いいよね?こいつ等を燃やしてもいいよね?
許可さえもらえば、この二人をSOF(スピリットオブ・ファイア)で
ボコボコにしてやんよ。
許可プリーズ!と鉄心さんの顔を見ると、鉄心さんは
僕ではなく真剣な眼差しを少女を見ていた。
「……とりあえずお主に担がれるておる少女を何とかしてからじゃな。
見たところ、かなり衰弱しておる」
「総代。燃やすに関しては何も言わないんですネ」
……。
少女は川神院の医務室に連れて行かれ、治療を受けることになった。
倒れた原因は空腹によるもので、体には打撲などの虐待、もしくは虐めにあった
とされる怪我が発見され、少女の保護者は警察に逮捕となり、身寄りの無い彼女は
拾った責任という事で、僕が世話をする事になったとさ。
どうしてこうなった!?
もちろん、この鬱憤はおバカな師弟をボコる事で晴らしました。