白川良和はガンツが運び込まれるところを目撃したところで気を失ってしまった
「みなさん目が覚めましたよ」
誰の声だ?
ていうかここどこだ?
「くっ」
頭がひどく痛む。
「大丈夫かい?」
この部屋?にいる俺を含む7人のうちの眼鏡をかけたおっさんが話しかけてくる。
「大丈夫です。それよりここは?」
頭痛を堪えながら質問する。
「僕らにも分からない。ただ一つ分かっていることは玄関のドアも開かないし、窓も開かない。つまりこの部屋から出られないってことだけだ」
「そうなんですか?」
突然すぎてまだ頭がうまくまとまらない。
「それよりさ、君以外みんな自己紹介したんだ。
だからさ、君も自己紹介してくれないかな?
内容は名前と職業と死因だけでいいからさ」
「死因ですか?」
なんだよ死因って。てか俺死んだのか?
「覚えてないかな。君以外みんな死んでからここに来たんだ」
「だから死んでねぇって」
奥の方に座っているチンピラっぽい男が反論する。
それより俺が気になったのはその男の近くにある、あの黒い球だ。
どっかで見たことあるような。
なんだっけか?
「まぁまぁ。吉原さん落ち着きましょうよ」
あの男、吉原っていうのか。
まぁどうでもいいけど。
「僕の名前は木田 悟。塾講師をやってるんだ。
死因はその塾からの帰り道にトラックとぶつかったことかな。
見たところ君は山下高校の生徒みたいだし、ここを出れたら来てみてよ」
そう言うと木田は俺に微笑んだ。
つうかよくこの状況でそんなこと言えるな。
「じゃあ次、吉原さんお願いします」
次はあのチンピラ男か。
「吉原。無職。死因はどうでもいいだろ」
そっけなく答えるチンピラ男。
「ははは。じゃあ次、川崎さんで」
次はどこにでもいるようなサラリーマンのおっさんか。
「川崎 櫂です。サラリーマンやってます。死因は事故死です」
えらくおどおどしてるなこのおっさん。
「次は酒井さんで」
今度もサラリーマン風のおっさん。
でもさっきのおっさんよりもできそうだ。
「俺は酒井 かける。職業はこいつと同じ。死因はこいつの巻き添え」
このおっさんとさっきのおっさんは同僚だったのか。
どうやら酒井が上司で川崎が部下って感じか。
だから川崎っておっさんはおどおどしてたのか。
「次は浅田さん」
「俺は浅田 真也。職業はパティシエをやっている。死因は転落死」
この男は浅田っていうのか。
見た感じパティシエには見えないな。
吉原と同じような感じだ。
「じゃあ最後は西尾さん」
最後は女なのか。
「私は西尾 加奈子。東嵯峨高校3年。死因は事故死よ」
俺を見下すように西尾が話す。
何を隠そう俺が落ちた高校がこの女が通う東嵯峨高校なのだ。
東嵯峨高校は山下高校の上位互換で、俺たちを見下す傾向がある。
まぁ平常心を保つために俺を見下すようにしているって感じたな。
それでもいい気はしないが。
西尾は涼子とは違ったタイプの美人って感じだ。
チンピラ男が吉原。
部下が川崎。
上司が酒井。
チンピラ風のパティシエが浅田。
いけ好かない女が西尾。
今仕切っている眼鏡が木田か。
「あとは君だけだから」
眼鏡がそう言う。
「えーと俺は白川 良和。山下高校の2年。死因はよく覚えてな」
‘‘まるたけえびすにおしおいけ”
俺が言おうとした時この黒い球から京都人ならば誰もが知っている歌が流れてくる。
「なんなんだよ。ほんと」
チンピラ男が泣きそうになっている。
案外肝っ玉は小さいらしい。
‘‘‘とどめさす”
「⁉︎」
歌が終わったと同時に球が開く。
その中には銃?とスーツケースみたいなのが入っている。
「ウワァ」
またしてもチンピラ男が情けない声を上げる。
ほんとこいつ見た目だけだな。
「人が人が入ってる」
「ほんとだ人が入ってる。生きてるのか?」
チンピラ男の言うことを確かめるために眼鏡が球を覗き込む。
「それにこの銃にこのスーツケース。どうやら1人1つはあるようだけど」
眼鏡の言うとおり銃は3種類あってどれも7本づつある。
スーツケースも7個ある。
「白川くん。これ君のじゃない?」
眼鏡が差し出したのはヨッシーと書かれたスーツケースだった。
誰がヨッシーだってーの。
眼鏡は次々にスーツケースを、渡していく。
しょうがない開けてみるか。
「コスプレ?」
スーツケースの中に入っていたのは黒いスーツだった。
周りの奴らも同じみたいだ。
「あなた着るの?」
西尾が話しかけてくる。若干見下しながら。
「一応着てみるよ」
そう答える。
「そう」
それっきり西尾は俺から離れていった。
離れていく時のあいつの目には侮蔑が込められていたように見えた。
やっぱりいけ好かない女だ。
別に着たくて着るんじゃない。
この不可思議な状況では試せることは試してみるべきだと思うから着てみるだけだ。
外に出れるようになったら、こんなもの着ない。
そうして俺はドアを開け玄関スペースでスーツに着替えることにした。