‘‘はいらねぇ”
スーツに着替えようとしたら入らなかった。
‘‘全裸にならないと着れないのか”
「はぁ」
仕方なくパンツも脱ぐ。
「ぴったりだな」
あまりにジャストフィットだったのでついつい声が出てしまった。
着てみた感じただのコスプレでしかない。いったいこのスーツにはどんな意味があるんだ?
もしかしたら意味なんてないのかもな。
まぁじきに分かるか。
そう自分を納得させ元いた部屋に戻った。
‘‘クス”
西尾を除くメンバーたちはどうやら銃を、いじっていたらしいが、俺がスーツを着てるのを見てバカにしたように笑いやがった。
「何か分かりましたか?」
このままだといつまでたっても笑われそうだったから、こっちから話を振る。
「いいや。今のところ何も分からない。この銃の使い方もね。それより君、ガッツあるね」
俺の質問に若干笑いながら答えたのは眼鏡だった。
まったく余計なお世話だよ。
「みなさんは着ないんですか?」
「なんで俺がそんなもん着なあかんねん」
あからさまに不機嫌な様子で俺の質問に答えたのはチンピラ男だった。
なんだよさっきまでビビってたくせに。
「ははは。僕らは遠慮しとくかな。
西尾さんはどうするんだい?」
眼鏡が話を振ったのは西尾だった。
「私も遠慮しておきます」
西尾は俺をちらりと見てからそう答えた。
結局スーツを着るのは俺1人だった。
それは突然写し出された。
【あなたたちの命は無くなりましたドス〜】
【せやからあなたたちの新しい命をどう使おうがアチキの勝手な理屈な訳ドス〜】
「なんなんだこれは」
今まで冷静を保っていた眼鏡が慌てだして周りの連中もあたふたしだす。
それにあてられて西尾も取り乱しているように見える。
【あなたたちはこのかたを倒してくださいドス〜】
《ハバネロ星人》
特徴 赤い
好きなもの ハバネロ
口癖 ハバネロ食べろよ
この黒い球にどこかおかしい京都弁が表示される。
俺たちはやっぱり死んでいたらしい。
もっとも俺には死んだ時の記憶はないんだがな。
それよりもハバネロ星人だ。
見た目は某お菓子メーカーが発売しているお菓子のパッケージに似ている。
て言うかまさしくそれだ。
「みなさん落ち着きましょう」
冷静さを取り戻した眼鏡が他の連中を説得している。
ある程度理由は予測できるが、西尾は俺を睨みつけている。
おおまか自分が取り乱してしまったのに、俺が取り乱さなかったのが不満なんだろう。
あそこの学校の生徒は無茶苦茶プライド高いからな。
「これはテレビなんですよ。そうだそれに違いない。僕らはテレビの番組かなんかで、このハバネロ星人の役をした俳優を捕まえるんですよ。絶対そうに決まってます」
「そうだよな。こんなもんテレビに決まってる。きっと催眠術かなんかで」
周りも眼鏡の的外れな意見に同意する。
まぁ100パーセントテレビではないとは言い切れないが。
だが99パーセントテレビじゃないと断言できる。
西尾も俺と同じことを思ったのか、眼鏡たちに侮蔑の目を向けている。
そしてそれは突然始まった。
「うわぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ッッ」
部下の男が突然悲鳴をあげながら頭から消えていったのだ。
「みなさん落ち着いて、これはテレビなんです、催眠術なんですよ。だから安心してください。きっと大丈夫ですから」
眼鏡の言葉に落ち着きを取り戻すメンバー。そして上司の男、チンピラ男に次々と消えてゆく。
‘‘これはダメだな”
万が一あの黒い球に書かれていたことが真実なら俺たちはハバネロ星人とやらを倒さなきゃいけない。
そうなった時あいつらは役に立たない。
万が一という時はあいつらを見捨てる覚悟をしておく必要がある。
次々と他の面々が消えていく中、俺は冷静だった。
理由は多分俺が死んだ時の記憶を持っていないからだろう。
俺も死んだ時の記憶を持っていれば、ああなっていたかも知れない。
死んだ時の記憶がないからこそ、俺はここまで冷静でいれた。
死とはそれほど人を狂わせるのだと思う。
眼鏡たちが安易な希望に縋ったのも分からないでもない。
でも俺はああはならない。
俺は銃を手に取り消えるのを待つ。本当に星人と戦うかはそのうち分かるだろうし、今焦ってもしょうがない。
最後の1人が転送される。
そしてこの部屋から誰もいなくなった、、、。
京都の亀岡市ってところがハバネロの生産で有名なので最初の星人はハバネロ星人にしました。
原作でいうネギ星人みたいなチュートリアルキャラですww