〈ギョーーーン〉
最近では聞きなれた音が響く。
〈ドバーーーーン〉
少しのタイムラグのあと今いる廃ビルにはふさわしくない大きめの岩が破裂する。
「やっぱりこっちの方が威力も射程もこれよりうえね」
そう言いながら俺のもとへやってきたのは西尾だった。
「見た目からしてそうだろうな」
あの部屋から帰る際、俺たちは自分のスーツとそれぞれ全ての種類の銃を持って帰った。
「でもこれいちいちグリップを引かなきゃならないから接近戦ではやっぱり普通のXガンのほうがいいね」
Xガンとはあの部屋にあった小型の銃だ。
撃つ時にXのかたちになるのでXガンと名付けた。
ちなみに転送用の銃はYガン、今さっき西尾が撃ったのはXショットガンと名付けた。
「ていうかさ白川くんいつまで透明でいる気?」
そう俺は今西尾の言う通り透明になっている。
これは別に俺の特殊能力とかそう言うのではなく、スーツの性能だ。
スーツについているあのコントローラーを使うと透明になることができる。
これは光学迷彩とかではなく周波数をかえて姿を消しているらしい。
スーツを着てるものどうしなら周波数を合わせればお互いの姿を見ることができる。
しかしずっと透明でいられるわけではなくこのコントローラーにはバッテリーがあるらしく45分が限界だ。
しかもそれはただ消えていたらの話で、消えた状態で動き回ったり戦ったりするとバッテリーの減りが早くなる。
「あぁ、悪い」
俺は透明化をとく。
俺が姿を消していたのは、本当に45分持つのか最終確認したかったからだ。
あれから3週間たった。
ガンツの言うことが本当なら俺たちはまた星人と戦わなければいけない。
それに俺や西尾のようにあの部屋に呼ばれる人間もいるだろう。
その人間を木田たちのような目に合わせないようにするためにこのスーツの透明化は役に立つ。
どうにかスーツを着せて俺と西尾が星人を倒す間透明になっていてもらい、隠れておいてもらう。
こうすれば少なくとも木田たちのような目には合わないだろう。
「たぶんもうすぐだよね」
そう言う西尾の顔には悲壮感が漂っているわけではなく、なんとしてでも100点を取るという覚悟が表れていた。
「あぁそうだろうな」
俺たちはこの3週間この廃ビルで訓練をおこなってきた。
最初はスーツを使いこなせなくてビルから落ちそうになったこともあった。
しかし今ではそれなりに戦えるようになったという自負がある。
「俺とお前なら絶対100点取れるさ」
ミッション前の緊張からかずいぶんとらしくないことを口走ってしまう。
横にいる西尾はポカーンとしている。
「ありがとう、白川くん」
そう言うと西尾は少し笑った。
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「僕もあの部屋の住人にしてくれない?」
そう言われた柳は呆れながら目の前にいる自分の息子、
柳 総一郎を見る。
「どうしてだ?」
柳が聞き返すと
「飽きたんだよね、あれ。
それに彼らは面白そうだしさ」
あれ、とは日本政府が作ったカタストロフィーのシュミレーションだ。
息子の言うかれらとは白川 良和と西尾 加奈子のことだろう。
「ふぅ」
柳は後悔した。
日本には日本における重要な人物、もしくはその親族にカタストロフィーに対するシュミレーションを受けさせるプログラムがあるのだが、当時いじめられ、引きこもっていた息子にそれを受けさせたのだ。
すると息子は才能を発揮にみるみるうちに我々政府のガンツ課にも劣らない、戦闘技術を身につけ、そのシュミレーションの最高得点をたたき出した。
そして今、この息子はとうとう飽きたと言い出した。
おそらく、本当に命をかけたゲームに参加したくなったのだろう。
「ねぇいいでしょ、お願い」
まるで子供が欲しいおもちゃをねだるように言う。
「いいだろう」
もういい、この馬鹿息子がどうなろうが。
「いいんですか、柳さん。
万が一息子さんの身に何かあったら」
隣で聞いていた部下がそう言うと息子はその部下に
「余計なこと言わないでくれる」
と今にも殺すと言わんばかりに睨みつけながら言った。
「総一郎、お前覚悟はできてるんだろうな。
あの部屋の住人になるということは本当に命をかけた戦いに参加するということだ。
政府が作ったちゃちなおもちゃとは違う、本当に命をかけた戦いだ。
無論おまえが死ぬことがあっても我々監視側は干渉しない。
それでもいいんだな?」
息子に最終確認をとる。
しかし息子はひるむ様子もなく、予想通りに
「そうこなくっちゃね」
YESと答えた。
「次の開始日は?」
そう聞くと
「明後日です」
と帰ってきた。
「分かったか、おまえがあの部屋に参加するのは明後日だ。
それまで待て」
「分かった」
こうして次のミッションへの参加者が1人決定した。