インフィニット・ストラトス~The Lost Rabbit~ 作:ヌオー来訪者
『近年、少年犯罪及び男性によるテロの増加が危惧されています。尾賀教授はこの事実に対してどのような見解を?』
『えー、男性の脳には刺激的なマンガ、アニメ、映画によって一種の異常を……』
インチキを振りかざす教授と言うのはいつの時代になっても出て来るのか。と言うかまともな証拠も無いのになんでそんな事が言えるのだろうか。
1950年代から人は学習しないのだろうか。
祝日の月曜日。自室で自習していた玲次はラジオ代わりに点けたテレビから流れ来る音声にツッコんだ。
男性は皆犯罪者の素質を持っている。女性は異常を来さないのだ、と。自分の事を棚に上げて彼は熱弁する。なお……とうの尾賀寺教授だって男だったりする。
テレビを消してしまおうと思い立ち、玲次は机の上に置かれたリモコンの電源ボタンを押す。さて、自習再開としようとした所で部屋のインターホンが鳴った。
「はいはいはい……」
何故こんな、嫌なものを聴かされた直後に。玲次はちょっとへの口になる。テレビに関しては点けっぱなしで勉強していた身から出た錆な節もあるが。
苛立っている様子を悟られないように深呼吸し、身を落ち着かせてからドアを開けた。
そこには箒が立っていた。やけに神妙な顔もちで。
「今、お前、一人か?」
箒の様子が少し変だった。つま先立ちして部屋の中を見ようとしたり、外をきょろきょろしたりしている。疚しいものでも隠しているのか、誰かに見つかってしまう事を恐れているように見える。
「あぁ、箒か……一夏は居ないよ? あいつは10分くらい前に走りに行った」
一夏は今IS学園敷地を走っているのでしばらくは帰ってこない筈だ。
「そうか、それなら少し……良いか?」
「あ、うん」
玲次に用があるとは珍しい。玲次自身説教される要因は作ってはいない事はないけれども、どうやら今回は別件のようで怒っている様子はなかった。
両手を背中に隠している彼女の体勢に玲次は違和感を感じた。……何かを隠している。ナイフか?包丁か?
普通に考えてあり得ないが。
「腹は減っているか?」
「え? 何を唐突に」
唐突かつ予想外な質問に玲次の首が傾いた。
「腹は減っているかと聞いている」
ずい、と箒が詰め寄り、玲次は思わず気圧され足が2歩くらい下がる。
今は15時ぐらい。一応小腹は減っている所だ。だがそんなもの、夕飯までに待つか事前に買って来た板チョコレートを齧っていれば何でもない。
「ま、まぁ食えない事はないけど」
「そうか! なら――」
背中に隠していた何かを差し出す。それは刃物とか物騒な物ではなくラップを被せられた茶碗と割り箸。ラップ越しでも茶碗に入ってるものはチャーハンだと分かった。玲次は目をぱちくりさせて、しばらく言葉を失った。
それでやっと出た言葉が
「……なにこれ」
「チャーハンだ」
「や、見れば分かる。なんで唐突にチャーハンなのさ。てか料理出来たんだ……」
重要人物保護プログラムによる一家離散を喰らうまでは、箒が家事をやっている様子なんてこれっぽっちも見た事が無かった。もしかして一人暮らしのうちに自炊スキルを身に着けたのだろうか。
が、玲次の推測に反して箒の反応はやや歯切れが悪かった。
「ま、まぁ……な。兎に角、部屋に入れてくれるか。あまり見られたくないのだ……」
「あーへいへい」
気の抜けた返事と共に箒を部屋に迎え入れた。
「ご馳走様でした」
内容はどうあれ
机の上には空になった茶碗がある。玲次の向かいに座っていた箒はこれまでにないような神妙な顔つきでチャーハンを食う玲次を凝視していた。怖い。
刑務所で飯を食う服役者のような気持ちになりながらも無事、完食した。
「味はどうだった」
「あー……ちょっと待ちんしゃい」
どう表現したら良いものか。玲次は悩みに悩んだ。あれこれ悩んでいると箒が口を開く。
「不味いなら容赦なく言ってくれ」
「えぇ? キレないでよ?」
「キレないぞ」
何だかキレられそうな予感がして内心ビクビクしていたが、ここは言葉に甘えさせて戴こう。玲次は大きく息を吸ってから――
「はっきり言って……イマイチです」
容赦なく言わせてもらった。
「ぬっ……むぅ」
流石に堪えるものがあったのか。箒は肩を落とし顔は一瞬にしてしょんぼりとしたものに変わる。言い過ぎたかと後悔しそうになったものの、別に言い過ぎじゃないハズだと自分の言った事を脳内でリフレインさせつつ
「なんかみょーにべちゃ付いてるし、味もちょっとおかしい気がするし……」
「そうか……」
「そもそも料理した経験は」
「……無いに等しい。作れても雑なもの程度だし、自分以外の誰かに作った事はない。チャーハンだって冷凍食品のものでどうにかしていた」
一夏の話によると鈴音は親が中華料理店を営んでいたらしく、一時期はそこでよく世話になっていたそうだ。一朝一夕で鈴音に対抗出来る程簡単な事ではないのには間違いはないだろう。チャーハンは簡単のように見えて難しいと何処かで聞いた事がある事を玲次は思い出した。
恋敵の登場に対し料理が出来るようになりたいと思うのはおかしな事じゃない。
「おれも料理関連はからっきしだからなぁ……」
が、玲次だって、チャーハンを食べたくなったら冷凍食品なり店で食べに行くかだけで自分で1からチャーハンを作った経験はない。と言うか料理自体誰かの為に作った経験はない。自分のこめかみを人差し指で軽く叩きつつ眉を顰める。
こうなったらチャーハンを作るにあたって、失敗しないやり方のようなものを調べるしかないという考えに玲次は至る。まず情報が必要だ。
そのときふと、鈴音が一夏に毎日酢豚を作ると言う約束のくだりを思い出してしまった。
酢豚が日本人で言う味噌汁に相当するならばそれはもう告白どころかプロポーズに近い。こうなったらチャーハンじゃなくて味噌汁の作り方でも学んだ方が直接的でいいんじゃないかとすら思いはしたものの、奥手な箒にそれが出来るかと言われたら微妙な所だった。
プロポーズ紛いの発言をした鈴音にリーチが掛ってしまっている状況下、箒が料理を始める事など単なる悪あがきなのかもしれない。まぁどっちにしろ料理は出来る事に越した事はない。
玲次は勉強机の片隅に置かれたノートパソコンを無造作に立ち上げた。
「はぁ……」
玲次が可能な限り、箒がどうして失敗したか、その理由を纏めて指摘してから箒は息巻いて部屋に帰って行った。再び一人になった玲次は大きく伸びをしてから、ノートパソコンを閉じて箒が現れた為に中途半端な状態の参考書を引っ張り出した。
この参考書は、教師陣から一夏と玲次に向けて特別に課題がセットされており、提出日は1週間後との事。何故そんな猶予がまだある課題をやっているのかと言うと、単純に面倒事を先送りにするのが嫌だっただけだ。これを先に終わらせればある程度走ったり機体の稼働テストなど行う時間が出来る。
既に参考書の課題は60%ほど終わっており、折り返し地点は通り越している。
その時机の上で充電していたスマホが鳴った。
「あぁもう……」
今日の自分の間の悪さに辟易する。テレビでやっていた今日の運勢は1位だったのに。やっぱり占いなぞあてにならない。スマホを手に取り画面を見ると『非通知設定』と表示されていた。
――誰?
訝しみつつ応答のマークをタッチした。
「はい、篠ノ之です」
『篠ノ之玲次様ですね?』
聞きなれない声だ。しかもテレビのニュースでよく聞くようなボイスチェンジャーを通した音声だ。その声を聴いた瞬間玲次は耳に全神経を集中させた。
「はい。そうですけれど。どちら様です?」
『……警告です。クラスリーグマッチ開始時、第三アリーナAピットで待機してください』
「あのー質問に答えてくれませんかね……あんた何者だ?」
玲次の声色に少し険が混じる。IS学園のイベント事情を知る人間となってはかなり数が限られてくる。それに――
『答える必要はありません。もし、この警告を無視した場合――織斑一夏と凰鈴音の命は――無いと思って下さい』
「あ、そう。政府もこの電話を聴いているかもしれないけど。そんな馬鹿みたいな事をしてタダで済むと思ってるんすかね。悪戯電話はその辺にしたらどうです?」
一瞬動揺しかけるも、努めて平静を装う。
友人と顔見知りの命が無い、と。そう脅されもすれば冷静さも失いそうにもなる。しかし、返って来た言葉は実に平坦で、平静で、焦りの色一つも見えなかった。
『単なる悪戯を期待しても無駄です。政府の監視は既に無力化しています。なお、他者に吹聴した場合も同じくお二人の命は無いと思って下さい。それでは、良いご判断を期待しております』
ボイスチェンジャー越しでも分かる。一語一語から滲み出る自信――政府如きに遅れは取らないという絶対的自信が。機械的な抑揚の無さが物語っている。
IS学園内の情報を把握しているという事実を鑑みれば――これは冗談じゃない。
「それ以外の要求は」
『そうですね……機体は万全にしておいてください。何が起こるか分かりませんから』
――こいつは一体何をする気なんだ
目的が見えない。自分を殺す気ならばこのような忠告はしない。何も知らず無防備な所を不意打ちすればいいだけの事。こいつは一体何がしたい。
疑問と不可解さが玲次の頭を支配していく。
『質問はそれだけですね。私は貴方を常に見ています――それでは』
「あ、ちょっと」
ぶつり、と一方的に電話を切られた。履歴を見たがこちらから通話をかける事は出来ない。玲次は力なくソファへと座り込み、大きく溜息を吐いた。
――最後にストーカー宣言と来たか。
カワイイ女の子がストーカーしてくれるのならば嬉しい話だけれども、顔も見せないし声もボイスチェンジャーを通した所為で低くくぐもった音声で全くもって分からなかった。
……最悪の事態を考慮すれば、教師への吹聴は迂闊には出来ない。ではあのよくわからない電話の要求に応えざるを得ないのか。悔しい話ながらそうせざるを得ないだろう。悪戯だったらそれで良いのだから。
さて、次は先ほどの電話をしてきたものが一体誰だったのか、という事だ。
玲次は幾つか仮説を立てた。
一つは――生徒、教師、研究員含めたIS学園関係者。これは可能性としては低いものの、自分たちにヘイトを持っているタイプも少なからず居る。……未成年でもIS学園生徒は他の高校生よりは優秀な部類だ。研究員も教師も同じだ、生半可な人材ではない。
二つは――テロ組織。こちらは既に自分たちがマークされていると言っても過言ではない。……外部からIS学園に侵入出来るかと言われたら甚だ疑問だが。最近呼称が確定した所属不明IS
三つは――不明。不明、と言うのはまだ明らかになっていない黒鉄をこちらに寄越して来た人物が分からない。もしかしたら束は生きているんじゃないかという考えも湧いてくる。なんせISコアを1から作れるのは束だけなのだから。
「どうした?」
一夏がいつの間にか部屋に戻って来ていた。玲次はびっくりしつつ「何でもない」と誤魔化した。
どう考えてもこの電話は罠だ。それでも一夏や鈴音の命を人質にすると言われた以上その罠に引っ掛かりに行くしか無かった。
嘘でも真でも良い。真偽を突き止める必要がある。
◆◆◆
やれるだけの事はやった。
一夏は大きく深呼吸をしてから、クラスリーグマッチ開始までの時間を第三アリーナのAピットで潰していた。
箒やセシリアや玲次との特訓に、授業での可能な限りの知識の叩き込み。そして、暇あれば現役時代の千冬の試合を見たりもした。
何事も上級者の動きを見て盗むのは大事だ。千冬との実力差は歴然でも、千冬だって自分と同じブレード一本でどうにかしてきたのだ。相応の努力は必要だろう。しかし姉に出来て弟が出来ない事は無いハズだと己を鼓舞する。
「で、反省した?」
Bピットに居るべきハズの鈴音が一夏の前に立つ。一体何を反省しろと。幾らなんでも理不尽じゃないか。
「何をだよ」
「だ・か・ら、あたしを怒らせて申し訳なかったなーとか、仲直りしたいなーとかあるでしょが!」
ぷんすか怒る鈴音に軽く気圧されつつこれまでの言動を振り返る。身に覚えは勿論ないし、そもそも謝りに行こうとしていても鈴音が避けていたので謝りようはなかった。
「話そうとしたってお前逃げるだろーが」
「じゃぁ女の子がほっといてと言ったらそのまんまほっとくワケ!?」
「そりゃ、煩わしいと思われてるなら俺は」
一夏の返しに鈴音は盛大に溜息を吐いた。
ここは認識のすり合わせでもした方が良いんじゃないかと思ったがそのタイミングが見つからない上に鈴音が突っぱねるか逃げるのでうまく行かない。
「あー駄目こいつ……それと、約束について、気付いた事ある?」
「いやだから酢豚をおご……」
「約束の意味が違うのよ、意味が。……ったく反省の色はないみたいね」
「いやだから何を反省しろと。ちゃんと説明してくれよ、してくれたら分かるかも知れないだろ!」
「言うに事を欠いて、余計な恥をかかせるつもりなのアンタは……だぁぁぁぁッもう! じゃぁこうしましょう!」
むしゃくしゃしたように唸ってから、続けた。
「この試合で勝った方が負けた方になんでも一つ言う事を聞かせられる! それでいいわね!」
指を一夏に差し条件を突き付けた。
成程。それなら話が速い。一夏は「いいぜ」とその条件を呑んだ。
そうとなればこの戦いで勝って訊き出せば良い。どっちにしろ勝つ為に、代表としての最低限の責任を果たす為、白式の戦い方も出来る限り身に着けて来たのだから。
「但し、俺が勝ったら説明して貰うからな」
「せ、説明はその……」
何故か鈴音が急にもじもじし始めた。全くもって女心とは複雑怪奇と思わずにはいられなかった。
「……やめたいのか?」
自分で言った事が時々取り消したくなる衝動に駆られる事は時々あるので一夏も共感せずにはいられない。
「誰がやめるかッ! アンタこそあたしに謝る練習でもしときなさいこの馬鹿! ドアホ! 朴念仁! スットコドッコイ!」
鈴音の返しは想定外のものだった。キレた鈴音の有無も言わせぬ罵詈雑言のラッシュに、一夏のイライラも募って行きついに爆発した。
「何だよ貧乳」
それは、鈴音を傷つけられる最大級の暴言だった。たった2文字。されど2文字。
鈴音の額に青筋が浮いていたのはきっと気のせいじゃない。鈴音から込み上がる気迫に圧倒され、一夏はまさに今、自分の発言を取り消したい衝動に駆られていた。
「……悪い今のは無かった事に」
「出来るかァァァァァァァァ!」
釈明する一夏の顔面にお構いなしで鈴音の拳が電光石火の如く勢いで飛び、炸裂した。身体が宙に舞い、金属造りの床に背中が叩き付けられた。一夏の脳内でコングの音が何故か鳴り響いた。
「つか今の『は』って何!? 今の『も』でしょーが! 9割方アンタが悪いわよ! 悪意は特にないだろうからちょっとは手加減してあげようかと思ったけど、どうやら死にたいらしいわね……いいわよ、希望通りにしてあげる。全力で、叩き潰してあげる……!」
本気で怒った鈴音を見るのは久々だった。
身を起こし、早足でピットを出て行く鈴音の後ろ姿を見て一夏茫然としていた。
そしていつの間にか玲次とセシリア、そして箒がピット内に居るのに気付き「いつから居たんだお前ら……」と思わず呟いた。
「女性に身体の事をあれこれ言うのはナンセンスですわ」
「うんアレはマズいね。実にマズい。リアルで貧乳はステータスとか明確に言えるようなのは基本居ないと思った方が良いだろうし」
「デリカシーという物がお前の辞書には無いのかまったく……」
一連の喧嘩を聞いていたらしいセシリアと篠ノ之姉弟が口々に一夏の発言について咎める。言い返す言葉は一つも見つからず溜息が出てしまった。
「いやぁ今のは良いパンチだった。ありゃIS戦でやられたらただじゃ済まなかったろうね」
玲次の感想を聴いていると、殴られた顔の痛みを頭が自覚してしまい急に痛みが襲って来て反射的に鼻頭を片手で押さえた。
「――取り敢えず戦闘時は基本的に攻撃は極力受けるな。受ければその分攻撃の機会を失うよ。噂によるとあの娘のISは出力が高いらしいし猶更ね」
彼の忠告を聞きながら白式の状態をチェックする。大丈夫だ、問題ない。整備はちゃんと行き届いている。
瞬時に白式を身に纏い一夏はカタパルトまで歩き、それを玲次とセシリアは追った。
「何はともあれ、無様に敗北する事は許しませんわよ」
セシリアのその言葉にはあまり棘は無かった。多分、多少は打ち解けていられていると、そう思いたい。
「分かってる。特訓した分は巧く立ち回って見せるさ」
「ま、気張んなさい。デザートが懸かってるんだ」
玲次が軽い調子でサムズアップしてそんな事をのたまい、一夏も「おう」と軽い調子で応えてサムズアップした。前回のセシリアとの試合の時と同じように白式の脚部をカタパルトに接続していくそんな中、箒が一歩前に出た。
「一夏――」
「――何だ箒?」
「勝って来い」
「あぁ」
◆◆◆
「行きましたわね……」
白式が発進して行ったのち、セシリアは呟いた。
「では、わたくしたちも観客席へ参りましょう」
開始時間までの残り時間は最早僅かだ。それまでに観客席にまで着かなければならない。まぁ良い席は既に他の生徒にとられていそうなので双眼鏡は必須だろうが。因みに箒の首には双眼鏡が下げられていた。
「……篠ノ之さん?」
このセシリアの言葉は玲次の事を差していた。
箒とセシリアがピットを出て行こうとしている矢先、玲次だけが動いていなかったのだ。
「あぁ、ちょっとね。先行ってて。すぐそっち行くから」
「そうか。なら早く来いよ」
箒はそう言い残してセシリアと共にピットのゲートから出て行った。そして――玲次は大きく深呼吸してから周囲を見渡した。
――さて、鬼が出るか蛇が出るか……
待機状態の黒鉄に手を掛ける。薄暗い空間に一人残されるというのは実に息苦しいものだった。しかも安全が保障されておらず何が起こるか、待ち受けているのかも分からない。あれこれ警戒している内に試合はもう始まってしまっていた。
このままだと試合は見られないのは明白だった。
ただの悪戯だったのか?
拍子抜けしかけたその時、
流れるような銀色の糸、否、髪が視界の淵の――物陰付近にて垣間見えた。
「誰……?」
一瞬見えた情報を頼りにそこへと近寄って行く。
……誰も居ない。錯覚か? 余りの恐怖心で幻覚でも見えていたのか?
何か圧迫感を感じる。何か別の、自分より大きなものが近くに居る。鳥肌が立つ。これは――
「黒鉄ッ!!」
咄嗟に叫んだと同時に頭上から桜色の光芒が玲次目掛けて落雷した。
次回はバリバリの戦闘回。乞うご期待!