蒼き鋼のアルペジオ ~The new world~ 作:ARUba4g
2039年、人類は温暖化などの影響により、地図上での版図を大きく失った。
そしてそれに呼応するかの様に、正体不明の「霧の大戦艦」が出現。
人類はその謎の大戦艦群により、全ての海洋から駆逐された。
全ての大陸、全ての島嶼は孤立を余儀なくされ、人類の文明とその隆盛は大きく減衰させられた。
そして人々は、かつてのような海洋の主たらんと願い、来るべき「大反抗」の日を夢見ていた。
「霧の大戦艦」と相まみえ大敗北を喫したあの日より17年、
………この封鎖された世界に風穴を開けるべく現れた「人類の希望」は、蒼い巡航潜水艦ではなかった。
******
2056年某日、黄海にて。
「まつかぜからの信号、前途絶!これで4隻目です!」
黄海攻略第四艦隊旗艦「じんつう」。
日本一国のみで行われた、黄海に駐留する霧の艦隊を駆逐する作戦「黄海攻略作戦」に参加した第四艦隊の旗艦だ。
この艦は、2040年に初めて造られた「旗艦専用艦」と呼ばれる種類の艦で、旗艦設備はもちろんのこと、他の艦よりも重厚な装甲、装備を有し、180メートルにも及ぶ大きさで速力40ノット以上を誇る、まさしく日本の「最新鋭艦」だ。
だが、そんな装備を誇る艦の中は、異様なほどに騒がしかった。
「くそッ!振りきれないのかッ!?」
「だめです!敵艦隊、依然として我々を追尾してきます!」
「くそッ!こんなふざけた作戦のせいでッ!」
「じんつう」司令部内。
最新型のレーダーやソナー、大型モニターなど、「最新鋭艦」に相応しい機具がそこかしこに設置されている。白で統一された厳かとも言える大きめの部屋で、特に目をひくのは、中心部にある、ホログラムによって作り出された3Dの海図。
リアルタイムで少しずつ変化しているそれには、四つのばつ印と、五つの青い印、そしてそれを追うように四つの赤い印が映し出されていた。
「艦隊の被害状況を報告しろ!」
「現在、しおかぜが中破、あまつかぜ、ゆきかぜ、はまかぜが小破!本艦も至近弾により左舷に浸水あり!」
「まだ九州は見えないのか!?」
「まだ距離が……ッ!?敵重巡洋艦!転進ッ!こちらを向きました!」
司令部内に戦慄が走る。
薄く理解はしていた現実。
ついに、この艦に順番がまわってきたのだと皆が理解した。
ここは戦場。戦闘中は、人間の緊張がピークに達する時。その瞬間に、それは起きた。
極度の緊張に長時間晒され続けた人間に突き付けられたのは、深海ような、深い、深い、恐怖。
この地獄のような恐怖を突き付けられた人間は、――例え幾多の厳しい訓練を乗り越えてきた軍人であっても、いとも簡単に…
――崩壊させる。
乗組員たちは、様々な反応をした。死にたくないとわめき散らす者。覚悟を決め、静かに目を閉じる者。最期まで足掻こうとする者。まだ終わっていないと、皆を奮い立たせようとする者。
だが、皆本当は理解していた。
待つものは、総じて「死」。
簡単なことだった。理解したくなくても理解してしまうのだ。人類は、霧には勝てない。
17年前に痛いほど理解したはずだった。だが、もう遅い。
死を目前とした生き物たちの悲鳴という名の狂想曲が鳴り響いた。誰もが思った。もう終わりだと。
………だが、そうはならなかった。
ピコン、と中心部に浮かぶ海図に表示された一つの反応。それに、一人の軍人が気付いた。
「れっ、レーダーに感あり!距離100000!」
その一言が、崩壊した司令部に静寂を呼んだ。
「何!?新手か?」
「いえ、これは………ッ!?ヒビキです!ヒビキが来てくれました!」
その言葉に、乗組員たちは、またしばしの静寂。そして・・・
「帰れるかもしれない………帰れるかもしれないぞ!!」
誰かが、そんな一言を発した。
希望ともとれるその一言は、水面を広がっていく波紋のように、絶望に浸っていた乗組員たちに広がっていった。
「まだだ、まだ終わってねえ!」
「帰れるんだ!帰れるぞ!」
「ああ、神よ……」
それはあっという間に広がった。
それを見た「じんつう」艦長、四宮刑はのちにその時の感情をこう述べている。
あの艦の影響力、強さ、頼もしさ。
やはり、あの艦は人類の希望なのだと。
感服、そしてわずかな無力感、悔しさを感じながら、四宮はゆっくりと皆に背を向け、一人、スクリーンに映る「戦場」となった海をながめながら呟いた。
「奴等に抗えるのはお前たちだけだ。どうか、皆を救ってくれ」
******
薄暗い部屋の中。部屋の構造はほとんど不明だが、青白く光るパネルが幾つもあり、その付近だけは明るく照らし出されている。
その明かりで確認できる人影が四つ。女性と思われる影が二つに、男性と思われる影が二つ。
女性の影は、一つが部屋の端の椅子に座り、何やらヘッドフォンを装着し画面を静かに見つめている。もう一つの影は、部屋のちょうど中心部の椅子にちょこんと座っている。
男性の影は、一つはさきほどの女性の影と反対側の端の椅子に座り、何かを待つように腕組みして座っている。もう一つの影は、中心部の女性の影の隣の椅子に腰掛け、一つのパネルに目を落としている。
やがて、画面を見つめていた女性の影が、画面から目を切り口を開いた。
「敵前方。駆逐2に軽巡1に・・・重巡1」
「重巡!?」
女性……いや、少女の囁くような声に、小麦色の肌をした青年といえる若さの男性が驚いたように反応する。
少女は、明かりに反射し目映く光る短い金髪に、さわると消えてしまいそうなほど透き通った白い肌。小さめの身長で小動物的だ。笑ったら可愛いであろう整った顔は、全くの無表情。アメジストブルーの瞳は眠たそうに半眼開いている。
対する青年は、まず第一印象が「やんちゃ」という感じの青年だ。健康的に焼けた肌、細いながらもしっかりとした筋肉がついた手足。荒く切られた銀髪からのぞく髪色と同じ色の瞳。実に「対称的」な二人だ。
「重巡か、大物だな・・・まぁ、だからなにもしないって訳にもいかないからな。だろ?理可、幸?」
と、別の青年が話に入ってくる。
この青年は他の二人と違い、少し豪華なデザインのコートらしきものを羽織っている。それ以外背格好に目立った特徴はないが、短く切り揃えられた白髪からのぞく緋色の瞳には、不思議な光をたたえていた。
まあな、と「幸」と呼ばれた青年が呟き、それを「理可」と呼ばれた少女が無言で首肯する。
彼らが、一艦隊を壊滅にまで追い込んだ化け物を相手にしてもここまで冷静でいられるのには、勿論理由がある。
「遥、状況は?」
コートらしきものを羽織った青年が手元にあるパネルを見ながら言った。
すると、そのパネルの奥、正確にはここ以外のどこかにいると思われるロングストレートの快活そうな少女が、はいはーいと返事をした。
『調整は終わってるからいつでもいけるよー』
「ありがとう。さっそくとばすぞ」
『うぇー。おてやわらかにねぇ?』
遥と呼ばれた少女の辛そうな顔をガン無視して、うむと満足げに頷いたコート青年、いや、この艦の艦長・蒼矢連は、隣にちょこんと座っている少女に、行けるか?と聞く。
「ああ、いつでも?」
黒くしなやかな長い髪は、所々跳ねていて可愛らしい印象をうける。連とお揃いのコートは、まだ少しサイズが大きいようで、かなりダボダボだ。まだ10歳ほどに見える愛らしい顔立ちの少女は、顔や背格好のわりに大人びた笑みで答えた。
それを聞いた連は、即座に指令を下す。
「よし、ヒビキ!急速発進!目標、前方追撃艦隊!総員、第一種戦闘配置!」
ゴウン!と音をたて、「霧」の駆逐艦・ヒビキが発進した。
アルペジオが面白すぎたのが悪い。反省はしているが後悔はしていない(キリッ
というわけで完全にノリで始まってしまいました。はたして2話は出るのか?作者のやる気メーター残量はいかに!?
えーコホン。すいません。ちょっと編集しているのが深夜なもんで、ちょっと夜モード入ってました。ハイ。
この物語についての詳しいことは、のちのち活動報告にでも書こうと思っているので、ここでは控えさせていただくことにします。
99パーセントのノリと1パーセントのノリで始まってしまったこの黒歴史、生暖かい目で見守ってくださると幸いです。
コメントしてくださると作者が喜びのあまり禿げます。作者は、海軍などのことや兵器のこと、アルペジオのこともまだまだにわかレベルなので、その点も御指摘いただけると幸いです。
……誰か文才を(震え声)
【お知らせ】作者が学校のテスト旗艦……じゃなくてテスト期間に入るので、次回の投稿はかなり遅れてしまうと思われます。申し訳ありません。
じゃあなぜこのタイミングで投稿したの?と思うでしょう?……なんでだろうね?自分でもワケガワカラナイヨ。
まぁ、そもそもこの作品自体不定期更新なんですけどね。その点はよろしくお願いします。
霧の駆逐艦「ヒビキ」
全長・・・125メートル
排水量・・・3400トン
速力・・・120ノット
強制波動装甲装備(クラインフィールド)
12.7センチ連装アクティブターレット二基四門
25㎜自動三連装機銃八基二十四門
25㎜自動連装機銃十二基二十四門
25㎜自動機銃二十五基二十五門
艦底部魚雷発射管十八門
61センチ変動魚雷発射管三基
VLS発射管84門
???
???
ヒビキ艦長・蒼矢連によって、主に火力などがかなりの魔改造が施された霧の駆逐艦。その実態は、現在の所は不明な部分が多い。