ご注文は「笑顔」ですか?   作:未完

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ご無沙汰しています


五話 早起き出来る人って凄いよ!

窓から日が差している。

俺は気づいていながら拒否をする。

何を拒否するのか…それは嘘だったり、現実だったり、自分のちっぽけさ…

 

ではない。

答えは簡単だ。

「眠い…」

そう、布団から出ることである。

現在春期休業中。そして今年から俺は一人暮らしを始めた。

つまりだ。

俺を起こすものは文字通り何もない!

この為に一人暮らしをしてると言っても過言ではない。

ということで俺は新天地にて初めての惰眠をむさぼるべく再び微睡みへと身を委ねる…

「リン君!起きてるー!?」

…何か外から大声で幻聴が聞こえる。昨日色々あったからな。きっと疲れているに違いない。うん、そうに違いない。

「おーい!」

ドンドンと少し古びたドアをそこそこ強くノックする音。共に響く声。だか俺には何も聞こえん。聞こえんぞ。

…ガチャ

そこで聞きたくない音が聞こえてきた。お前聞こえてんじゃん!とかいうツッコミは無しで。

「アレ?鍵空いちゃった…まあ、いっか。リン君入るよ~?」

不法侵入よろしく、ココアの声がまだなにもない住居に響く。

「返事ないから入っちゃお」

「おいこら!」

そこで俺はダッシュで玄関へ向かう。少し入られると困るわけで…

俺は起きたままの姿、つまりパジャマ姿だが、気にしている暇はない。

「何しに来たんだよ…」

少々息を切らせつつ、なんとか玄関へたどり着いた俺は、そこにいる彼女へと問いかけた。

「宿題教えてもらおうと思って」

てへへと笑いながらそう言うココア。本日最初のため息と共に頭を抱えた。昨日に引き続き賑やかな一日になりそうな予感。

俺の静かなる休日は終わりを告げたようで。

 

 

 

 

 

 

五話 早起き出来る人って凄いよ!

 

 

 

 

 

 

ココアが俺を叩き起こしに来てから数十分の時が過ぎた。その間に支度を済ませた俺は家から出た。そこで振り返る。目の前に有るのがこれから三年間住むことになる家だ。周りの建物と比べると少々小さいが一軒家だ。二階もある。この趣有る町並みの例外に漏れず、木で建てられているそれは温かさをなんとなく感じる。一高校生の一人暮らしとしてはこれ以上ない贅沢さだなぁ…と我ながら思う。

玄関の鍵を閉めた俺は(さっきは何故か開いたが今度は無事に閉まった。)数歩道を歩いて立ち止まった。立ち止まったというより、もう目的地に着いた。扉を開きカランコロンという音とともにその建物に入る。

「いらっしゃいませ。」

可愛らしい店員さんがちょっと愛想なさげに挨拶する。コーヒーの香ばしい香りが漂う。そこは喫茶店ラビットハウス。

「リン君こっちこっち!」

と向こうから呼ばれる。カウンター席に座ってる彼女が俺の安眠を妨げた張本人である。その彼女の向かいにいるのがこの店の小さいマスター。

「チノちゃん。おはよう。」

「おはようございます。リンさん。」

「もう時間的にはこんにちはだよ!」

ココアにそう言われて掛けてある時計を見る。短針はほぼ11を差している。

「まあ、休日だし。このくらいに起きるのが丁度良い。」

「リン君私が起こしに行かなかったらまだ寝てたでしょ。」

うぐっ痛いところをつかれる。引っ越して来たばかりで疲れてた、ってことで勘弁して欲しい。

「私みたいに早起きしないと!」

そういえば意外、なのか。予想では何となくココアも昼間まで惰眠を貪っていそうな気がしていたが…

「私が起こしたんです。ココアさんったら全然起きないんですよ。」

「チノちゃんそれは内緒に!」

やっぱりな。ココアは期待を裏切らないようで。チノちゃんの方がよっぽど姉よりしっかり者だ。

「そ、それでもリン君より早く起きたんだから良いの!」

「はいはいスゴーイスゴーイ」

「もうっ」

ムスッとするココア。早く起きないのが悪いんだから仕方がない。

え?俺?俺のことは気にしない方向で。

「それより宿題はどうなんだ?」

そんなことよりも、本日俺がここに来た要件である。

「それなんだけど」

はいっと言って渡されたのは国語の課題。それを手に取りパラパラと捲る。

紙の擦れる音だけが鳴る時間…。

そして一通り目を通し終わった後、俺は口を開いた。

「ココア」

「はい。」

「諦めも肝心だぞ。」

「いきなり諦められたっ!?」

それも仕方が無いというもの。だって全然やってねぇんだもん!

「…どこがわからないんだ?」

「えっと…全部?」

目の前が真っ暗になる感覚がした。しかし課題は真っ白っていう無駄な対比。

「課題テストもあるんだが…ヤバいな」

「へっテスト…」

課題だけじゃなくココアの顔からも色が引いていく。どうやらテストの存在も忘れていたらしい。学校始がまるまで一週間を切っている。もしココアが課題の存在を忘れたままだったらどうなっていたのだろうか。あんまり考えないようにしよう、

 

 

 

 

「数学は結構出来るのな。意外過ぎる…」

「なんか酷い!?」

意外も意外。さっきまで(文系科目)の悲劇が嘘みたいだ。

とにかく計算が早くて正確なのである。俺より全然できやがる。なんか悔しい…。あんな暗算俺にはできません。

「意外ですよね。」

「だな。意外だ。」

「二人とも酷くない!?」

チノちゃんも同様の意見のようで。

とりあえず数学は心配無いことがわかったので一安心。まあそれを補って余るくらいの文系科目の壊滅さなのだが…

まあとりあえず一段落付いたので時計を見る。二つの針はちょうどそろって13を差している。

「もうこんな時間か。そろそろ昼飯にするか。」

「賛成!」

「お二人とも、サンドイッチ作りましたよ」

そう言ったチノちゃんがカウンターから出してきたのは美味しそうなサンドイッチが乗っている。

「あれ?チノちゃんに頼んだんだっけ?」

「いえ、そろそろお昼ご飯食べるんじゃないかと思って作ってました。…迷惑でしたか?」

チノちゃん…

 

良い子すぎる!

 

「ありがとう、チノちゃん。自称駄目姉ちゃんとは違うな!」

「あ、ありがとうございます。」

「駄目姉ちゃんは自称してないよ!?」

ちゃんとしたお姉ちゃんだもんと言い張るココア。いやでも見て見ろよ。日中はほとんど一人で店を切り盛り出来る位しっかりしてて、おまけにこんなに気遣いできて、それでも頭撫でられて年相応に照れてるとかもう可愛すぎ…頭を撫でられて?

普段ティッピーが乗っている頭。そこにたった今乗っているのは俺の右手だった。

「あの、そろそろ離して頂けると…」

恥ずかしそうに頬を赤めつつそう言うチノちゃん。

あ、つい悪い癖が出た。

急いでチノちゃんの髪から手を離す。さらさらの髪を少し別れ惜しく思ったのは内緒である。

「す、すまん。」

「いえ。大丈夫、です。」

ちょっと気まずくなってしまった。確かにいきなり兄弟でもないのに頭を撫でられたら戸惑うよな。

「嫌だったよな。次から気をつけ…」

「い、嫌と言う訳じゃ…」

そこで二人とも黙り込む。

…気まずいんですけど。なんかとっても微妙な空気になってしまった。おい、どうすんだこれ。

「むぅ…」

そこで俺達二人の空気とは別の視線を感じた。

「なんでココアがふてくされてるんだよ…」

ココアがむすっとした顔でこっちをみている。

「だってずるいよリン君!私なんかチノちゃんを撫でようとすると怒られるのに!」

どうやらチノちゃんを取られたのが癪らしい。てか取ってないから。

「しかも、もふもふもさせてくれないんだよ!」

「当たり前です」

そこですかさず突っ込みを入れるチノちゃん。

なんかこういうやりとりを見ると、昨日別れた後の攻防が想像に難くない。主に苦労してるのはチノちゃんだが。

「チノちゃん。とりあえず駄目姉ちゃんはほっといてサンドイッチ食べよう。」

「そうですね、賛成です。」

「駄目姉ちゃんじゃないもん!…あれ?でも駄目でもチノちゃんのお姉ちゃん公認ってこと?」

「違います。ココアさんはただの「駄目」です。」

「なんか悪化した!?」

とまあこんな感じで賑やかに昼食は進んでいくようだ。

…もしかして実はココアは気の使える奴なのか?とか少し思ったりして。

「チノちゃんあーんしてあげようか?」

「遠慮しておきます」

あ、いや、やっぱりただの駄目姉ちゃんなんだろう。

 

 

 

 

結局あの後夕方までココアの課題の面倒をみていた。

「スーパーは…こっちか」

結局今夜も俺は夕飯を香風家のお世話になることになった。というのも家の整理が全くできてないため自炊ができる状態ではないからだ。まあ一日あいつの世話してたから仕方がないよね。

決して自炊ができないわけではないぞ。できるからな?

「公園を通っていくのか。」

お世話になるなら買い出しくらい行かせて欲しい。ということで現在スーパーへ向かっているところだ。可愛らしい地図を見ながら(チノちゃんに書いてもらった)を見ながら歩いて行く。靴の裏から伝わる石畳の感触と木のぬくもりを感じられる街の景観はやっぱりまだ慣れない。なんだか旅行に来ている気分だ。

「ん?…んん?」

ちょうど公園に入ったところで立ち止まった。というのも目の前にちょこんとうさぎが座っているからだ。

気の所為かもしれないがなんとなく圧を感じる。まるで「お前は行かせん」と言わんばかりの感じで。

(まあ脇を通ればいいよな)

そう思った俺は脇を通ろうとした。したのだが…

ガシッ

急に足が重くなった。目線を下に下ろすと足にしがみつく黒ウサギ。そしてこちらをじっと見てくる。一体何を考えてるかわからない目だ。

…なんか怖いんだけどぉ!?

そもそも俺は動物があんまり得意でないのだ。これは懐かれているのか??そうなのか???

この街は金髪だけでなくうさぎも闊歩するのか。リアリージャパン?

とりあえず足から引き剥がすしかない。そう思いうさぎの脇腹を掴んで持ち上げる。思いの他軽い力で剥がれてくれた。とりあえずそのうさぎを抱える。大人しすぎてやっぱり何を考えてるかわからない。

しかしこれからどうしたものか…このうさぎ飼い主いるよな?どうにかして見つけ出さないと…

「あんこ~待って…」

そこで公園に人が入ってきた。着物姿にエプロン的な物を付けている女の子だ。誰かを追いかけて来たようだ。

バタン

そしてそこで倒れた。

 

うさぎを抱えた少年と倒れ込んだ着物姿の少女のいる公園。

やっぱりこの街は俺を落ち着かせる気がないようで。

 

 




忙殺されてましたがぼちぼち更新していきます。何卒よろしくお願いします。
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