「ガンバラランチャ、ガンバラランチャ。ウヒャヒャヒャヒャ!」
「オギャア、オギャア」
「うぅっ…」
夜、女性は夢でうなされていた。見たこともない怪人が不気味に笑い、おぞましい化け物が捨てた子供と同じ泣き声で泣いているのだから…
我らが科学特捜隊は、この頻発する怪奇現象への対策を考えていた。
「さて、この頻発する母親の夢の異常事態について、何か考えている事はあるか?」
隊員の意見を聞こうとムラマツキャップは尋ねる。
「偶然じゃないですかね?」
と、簡単に済まそうとするのはアラシ隊員。
「そうそう、母親の罪悪感からそういう夢を見るとか」
あくまで現実的な意見を出すイデ隊員。
「でも、それにしては数が多すぎるわ」
「しかも、その夢を見た女性たちは共通の発言をしていました」
そこに、数と共通項を基に意見を出したフジ、そしてハヤタ隊員。
「怪人と、怪獣が現れる…か。何かありそうだな。アラシ、イデ。被害に遭った女性に話を聞いてこい」
怪獣の出てくる証言から怪しんだキャップは二人に指示を出す。
「了解!」
と、そのまま被害女性の家まで直行して行った。
「すみませんね。過去の古傷に触るようで」
と、イデ隊員は労わる発言をするが
「いえ、良いんです」
と女性は二人を気遣う。
「で、どういう夢か教えて下さい」
もう一人の隊員、アラシが本題に入る。
「はい…あれは本当に、嫌な夢でした。見たこともないような怪人が私を囲んで、呪詛のように嗤い、怪獣はあの子の声で私に訴えるように…‼」
そう言うと、女性は狂ったように泣きながら謝りだした。それは、居ない筈の子供に向かって…
「大丈夫ですか?」
流石に心配になってイデが訊く。
「すみません…今日はお引き取りください」
顔色の悪くなった女性は申し訳なさそうに言う。
「分かりました。お大事に」
アラシ達は女性に労りの言葉を言うと、女性の部屋を後にしたその後もアラシ達は他の女性達に聞き込みをしたが、女性達は揃って夢の怪人と 怪獣、そして子供への懺悔を口にした…
「と、言うわけでして」
報告を終えたイデ。
「やはり異常だな。何者かが絡んでいる危険性もある。夜になったら、出動するぞ」
指示を出すキャップ、同意する隊員たち
「了解!」
~夜~
「さ~て、鬼が出るか蛇が出るか」
楽しそうにイデ隊員は呟き
「…ん?あそこの空き地に誰かが居ますね。」
「それに、何か騒いでるみたいだわ」
誰かに気付いたアラシにフジ。
「よし、近づいてみよう」
隊長を含めた隊員達は騒いでる者に近付き、物陰に隠れる。
「大地は母なり!母は創造主なり!その創造主に捨てられた哀れな子供達よ!自分達を捨てた愚かな母親達に復讐したくはないか?」
怪人…マザロン人がこう叫ぶと、それに呼応するかのように、怪獣…いや、超獣マザリュースは赤ん坊のような鳴き声で鳴いた。
「そこで何をしている!」
ハヤタが謎の男にスパイダーを向ける。そして、後ろから声をかけられたマザロン人はハヤタ達の元に振り向く。そして、見えた姿は、女性達の証言で出ていた怪人そのものだった。
「貴様、ここで何をしている!」
ムラマツが怒気を含めて尋ねる。だが、マザロン人は不気味に嗤うだけで、答える事はしなかった。
「ちっ…撃て!」
ムラマツの指示により、総員マザロン人に銃を撃つ。
だが、マザロン人には当たらず、夜の街を逃げて行った。
「ま、待て!」
ムラマツは、隊員達にマザリュースを頼むと、マザロン人を追っていった。
ハヤタはマザリュースを倒すべく、ウルトラマンに変身する。
ウルトラマンは、マザリュースにダメージを与えるべく、突進をする。
しかし、ウルトラマンの突進は、マザリュースの体をすり抜けるだけだった。
その頃、ムラマツ隊長はマザロン人を追っていた。
すると、マザロン人はとあるアパートの一室に入っていった。
ムラマツ隊長は、マザロン人の入っていったアパートの部屋の前に立ち、ドアをノックした。
「すみません。科学特捜隊のムラマツです」
ドアをノックした後、暫くしてから一人の男性、湯川が部屋から出てきた。
「何ですか?科学特捜隊が何の用ですか?」
「ここ最近、騒ぎになっている怪人がこのアパートの部屋に入っていきまして。怪しい人は見ませんでしたか?」
「いえ、見てませんね」
湯川は否定し、首を振る。
「そうですか…」
「その怪人って、子供を捨てた母親を狙うヤツですか?」
湯川は逆に尋ねる。
「そうです。そいつです。何か知ってることはありませんか」
ムラマツが尋ねると、湯川は面白そうに笑い出した。
「そうですか…。ふふふ。あんな女どもには、当然の報いですよ」
「キミ、何てこと言うんだ!」
ムラマツは激昂、いまにも掴みかかろうとする。
「ククク…。ムラマツさん。私はね、孤児院の職員なんです。新しい子供が来るたびに、腐った母親気取りたちが無責任に子供を捨てるのを許せないんですよ!子供に罪はない!ただ、罪深き母親に理不尽に捨てられる!…こんなのが許せますか?」
「それは…」
返答に窮するムラマツに湯川は言葉を重ねる。
「最近、夢を見るんです。怪物になり、マザリュースと共に子供を捨てた母親を苦しめる夢を」
「そんなっ…。なら、アレは君の生き霊とでも言うのか?」
「でしょうねぇ。まァ、止めるつもりはありませんが」
その顔は、どんな怪獣よりも悪どい顔をしていた。
「君は、なぜそこまでするんだ?」
「ボクはね。親に愛想をつかされ出ていったんですよ。『お前なんかいらない』って言われてね」
「それは本気で言ってると思っているのか?」
震える声を抑え、短く尋ねる。
「違うんですか?」
湯川は悪びれなかった。
「ああ。君、出身は?」
「長野ですが…」
ムラマツ「分かった。なら、長野へ行こう。キミの親に会いに行く。一日後だ。分かったな?」
「分かりましたよ…」
翌日、長野駅に着き
「さあ、着いたな」
「はあ…」
「さて、キミの家まで案内してくれ」
「分かりました」
湯川は自分のの家の前
ムラマツ「ごめんください」
湯川の母「はいはい、誰ですか?」
ムラマツ「私は偶然あなたの息子、湯川さんと知り合ったもので」
湯川の母「もしかして、郁夫!?」
郁夫「そうだよ、母さん」
郁夫の母「郁夫!?郁夫なのね!?」
そう言って、郁夫の母は郁夫に抱きつく。
郁夫「母さん!?ボクなんて、要らないんじゃなかったのかよ」
郁夫の母「そんな事、本気で言えるわけ無いでしょう!私はアンタを追い出して、ずーっと後悔してたんだから」
郁夫「母さん…」
郁夫は母に抱きつかれたまま、涙を流した。その様子を、ムラマツは微笑みながら見ていた。
~その後~
ハヤタ「そう言えば、変な怪人達を見て魘される人達は居なくなりましたね」
アラシ「ああ、これで俺らも枕を高くして寝られる…」
フジ「でも、なぜあの怪獣は消えたのかしら…」
基地でワイワイ話し合う隊員達を尻目に、湯川郁夫の活動が載った新聞を読んで、微笑んでいた
次回予告
帰ってきた宇宙飛行士、ジャミラ・ミラー。
記者会見で沸き上がるなか、彼を狙う影とは!?次回unbalanceウルトラマン、「故郷に帰還」