見上げてごらん、夜空の星を meet この大空に、翼をひろげて feat X   作:la55

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フライト実行

 そして、フライト予定時間となる。何百時間ものフライト経験によって余裕な表情を見せる小鳥、かたや、フライト経験数回のひかりにとってフライトは緊張の連続だった。落ちるのではないか。落ちたらどうしようかとつい考えてしまう。それでも最初のときよりかはましだった。リハビリを続けているとはいえ、足が不自由な小鳥がグライダーを操縦する。このことはひかりにとって最初、通常以上に墜落の危険性がある、そう思っていた。最初は乗車拒否すらしていた。しかし、何度も飛ぶことで杞憂だったことが分かった。小鳥用に設計された天音特製コックピット、そして、経験に舌打ちされた小鳥の操作テク、どれ一つみても普通のパイロット以上だった。

 でもスマートな機体。ゆえに恐怖心ばかりが先行していた。実は最初、モーニンググローリーを飛ぶときに用いたゴム策曳航をなぜか織姫が提案していたが、ひかりの(恐怖心からくる)猛反対で普通のウィンチを用いた方法となった。

「ランウェイズクリアー」

「テイク、オフ!!」

小鳥の掛け声とともにウィンチにグライダーに結ばれた曳航索と呼ばれるロープが巻きとられる。加速するグライダー。

 そして、グライダーは静かに、そして、ダイナミックに離陸する。この大空に、翼をひろげて-。

 

 グライダーは十分な高度に達するとロープを切り離し、山の方へと進む。上昇気流にのるために。雲がない、というわけにはいかない。やはり2割がた雲がでていた。それでもグライダーを飛ばすには良い天候だった。

 結局、ひかりはグライダーに天体望遠鏡どころか双眼鏡すら持っていくことが出来なかった。そんなひかり、フライト前は腹が立っていたが、飛び立ってからは緊張と怒りが入り混じったカオスな気持ちとなっていた。

 上昇気流をつかむと一気に高度を上げていく。この感覚は小鳥にとってとても気持ちいいが、ひかりにとってはとてもつらいものだった。それでも、この試練を乗り越えてこそ宝がある。そう無理に思い込むひかり。

 そして、グライダーは雲の上に到達した・・・。

ひかりはこの時のことを一生忘れないとフライト後に言っている。

(雲を抜けるとそこは・・・)

「きれーーーい!!」

あかりは絶句した。いや、小鳥すらも絶句した。

あたり一面、まるで天然のプラネタリウムのようだった。太陽がもうすぐ出てくる。あまり星が見えない。しかし、それでも地上で見るよりかはだんぜん、比べものにならない。

「あの光、あの時のサイリウムみたい」

「サイリウム?」

「そう。モーニンググローリーを飛んだ時、道しるべとなった地上のみんなの光・・・」

「そうなんだ」

「今の私がいるのも、その光のおかげ」

「私も星の光はそれみたいだからね」

「私もそう思う」

感動に浸る2人だったが、空はそれすら待ってくれない。それどころか、流星によって2人の目の前で一大ビッグショーが繰り広げられていた。次々降る流星、どんな願い事すら次々と叶えられる。そう思えるような光景だった。そう、空のショータイムは2人にとって感動の連続だった。

 一方、地上ではグライダーにつけたカメラを通してこの光景が見えていた。そらはこの飛行場だけでなく、ハーバータウン、恵風学園、それにネットを通じて全世界へと配信されていた。あっけにとられる人多数。一大ビッグショーは人々の目を引き付けていた。

 

ピコン ピコン

 

あまりの光景にあっけにとられていた2人だったが、いきなりのビーコン音がなったのですぐに気を戻した。

「せっかく楽しんでいたのに」

「本当よ、本当!!」

「ごめん、ぴかりんには内緒でグライダー電波観測装置の中継器、つけちゃった」

ころなのちょっとのイタズラ、グライダーに電波観測装置の音を伝える中継器とそのスピーカーを仕込んでいた。

「でも、これはこれで許す!!」

「まじー。ありがとう、ぴかりん」

流星の映像、それに流星が奏でる音にみんな、酔いしれていた。それは小鳥もひかりも同じ。

 しかし、それは長くも続かなかった。忘れないでほしい。暁斗、ひかり、沙夜は喧嘩状態であることを。

「上はどんな状態だい?」

「うるさい!!どんな状態でもいいでしょ!!」

暁斗のたわいもない一言はひかりをふたたび怒りの気持ちをぶり返すことに。

「こんな美しい状況なのに、宙見くんの言葉で全てが台無しよ!!」

「なんだってー」

「なんだよ!!」

2人はこれが世界全てに中継されているにも関わらず口論を始めようとしていた。

 そのとき、ある奇跡が起こる。

 

ピコピコピコピ ピコピコピコピ

 

グライダーの中にあるスピーカーからある曲が流された。それは地上にいる暁斗たちにも聞こえていた。

 繰り返し聞くと、何の曲かひかりと暁斗にはすぐにわかった。

 

Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are!

(なんで英語の歌詞なの、って、ツッコミはやめてください。いろんな理由があるのです。というのはおいていて)

 

そう、キラキラ星。スターライト・パレードのときに演奏した曲、そして、プロジェクト・スターライトの中で2人が愛をはぐくんでいった、そういった思い出の曲である。また、この曲はプロジェクト・スターライトに関わった人たちにとって、心を一つにした曲でもあった

 2人にはプロジェクト・スターライトでの楽しい思い出が走馬灯のごとく思い出していた。そう、この曲によって2人は閉ざされた愛への気持ちが溶かされていった。

「暁斗、ごめん。わがまますぎた」

「ひかりこそごめん。自分も言いすぎていた」

2人の仲直りを祝福するがごとく、空には新たな光景が展開されていた。

「きれい、宵の明星と有明の月だ」

宵の明星、明け方に東の空に見える金星のこと。有明の月、古来より日本で和歌にも詠まれていた、太陽がでているときに見える月のこと。宵の明星、有明の月、そして、流星。まるでとてもきれいな風景画をみている状況がひかりの前に展開されていた。

「・・・」

小鳥にいたっては無口にならざるをえない、そのような美しさだった。

 こうして美しい画が日の出とともに消えていく。世紀のフライトはこうしておわった。

 

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