見上げてごらん、夜空の星を meet この大空に、翼をひろげて feat X 作:la55
着陸後、フライトを終えた小鳥とひかりの周りに駆け寄るみんな。
しかし、ひかりには笑顔がなかった。そう、沙夜とはまだ喧嘩中だったのだ。美しい光景を見ても沙夜の心は固く閉ざされていた。
ひかりの前に沙夜がいる。沙夜のまえにひかりがいる。
「はやく謝ってよ!!」
「謝るなら天ノ川さんから言ってよ」
このままではらちがあかない。ってことで沙夜はひかりに飛びかかる。
「力づくでも謝らせてもらう」
「こちらこそ」
そして、2人が手を組んだ瞬間、沙夜の持っていた白い物体は赤くひかり、いきなりまったく違う感覚に襲われる。
「ん・・・、ここどこ?」
「どこにいるの」
今までいた空間とは違う空間のようだった。それもひかりと沙夜の2人だけの空間。これまでとは違う。それでいてやさしく感じる。そのような感覚・・・。今までの怒りは抜けてしまい、慈愛に満ちた、そう思うものだった。
「なんか・・・、とっても、気持ちいい」
「私も・・・」
そして、ある言葉が2人の脳に直接聞こえた。
『システム・・・、認証。・・・手と手、・・・結ぶ、・・・TRY、・・・ON』
(沙夜にいろんなこと言われたけど、全部、私のことを思っていたんだね。でも、謝りたいんだけど、謝るタイミングがとれない)
ひかりの思いが沙夜の心に直接鳴り響く。
(ひかりは一直線しか考えないところがあるけど、いつもみんなのために言ってくれているんだ。私もそういうとこ、見習いたいな)
沙夜の思いがひかりの心に直接鳴り響く。
そう、2人は常に相手のことを心配していた。今回もそうだった。しかし、今回はどこかでボタンのかけちがいが発生した。そして、謝るタイミングがとれなかったのだ。
「沙夜、ごめん。自分が暴走しているとこ、教えてくれていたんだね」
「ひかり、私こそごめんなさい。私の目指している人ってひかりだよ」
2人がお互いの気持ちを知り、かけまちがえたボタンを正しく直す。そのことを知った2人。ひかりと沙夜、唯一無比の大親友。2人はそれを再確認する。
「沙夜、これからも大親友でいてね」
「ひかり、私も・・・」
2人がお互いを親友と認め合ううちに感覚がもとの空間、現在に引き戻される。2人とも感覚を徐々に失っていく。やさしい感覚を・・・。
「ひかり、沙夜、大丈夫か」
「ん・・・、ここは?」
「私達、ここにいるよ」
「ひかり!!沙夜!!」
目を開いた瞬間、涙目にして悲しんでいる暁斗の姿が飛び込んできた。
「ひかり、沙夜、ごめん・・・。自分が言い過ぎていた」
「大丈夫、大丈夫。気にしていないから」
心配していた暁斗に、ひかりと沙夜は微笑み返した。
「今日は私のわがままからおこしたもの。本当にごめんなさい」
「大丈夫。今回のことは私たちもひかりの気持ち、くみとれなかったもの」
ひかりの謝罪に沙夜は笑顔で答えた。
「でも、なんで暁斗がないているの?」
「それは・・・」
ひかりからの突然の問いに詰まる暁斗。その横から織姫が答える。
「実は2人が手をとった瞬間、あたり一面赤く光って、気付いたら2人とも倒れていて、まったく動いていなかったもの」
「倒れて」
「いた」
ひかりも沙夜も驚いていた。
「だって私たち不思議な空間に飛ばされていたもの」
「たしかにそうだったね」
「?」
ひかりと沙夜の答えに不思議がるみんな。
「そういえば不思議な体験をしたのはこの物体の・・・」
「何も持っていないよ」
「えっ!!」
沙夜は何度も手やポケットの中を探すが何もでてこない。
「どこにいったのかな?」
「幻を見ていたんじゃないかな」
「ひかり、それはないけど・・・」
「不思議なことがあったからじゃないかな」
「そうかな」
ひかりの言葉に沙夜も微妙に納得するしかなかった。
「不思議といったら、「きらきら星」の音と流星が微妙にずれていたけど・・・」
「えっ、そうなの」
ひかりの突然の言葉に驚くみんな。
「やっぱ気づかれていたかあ」
飛行場の端にツインテールをした幼い(?)少女が立っていた。手には沙夜がなくしたと思っていた白い物体「PITA」リーダーを持っていた。でも、実態はない。透けている。ものがとんできたら通り抜ける。そう、彼女はVR(仮想現実)が作り出した少女である。
「でも、3人とも仲良しに戻れて良かったね。この「PITA」リーダーを沙夜に渡したのも、(流星電波観測)装置に介入して「きらきら星」を流したのも、この「ベル」のお・か・げ!!全てが丸くおさまってよかった、よかった。でも、今の技術からみてこの「PITA」システムも、この私、「ベル」もオバテク(オーバーテクノロジー)だもんね。みんなと会うのはまだ先のは・な・し!!だから、帰るね。悩み事は全てこの「ベル」にお・ま・か・せ!!じゃーねー」
その少女は白い物体「PITA」リーダーと共に消えていった。まるで幻が、3人が見せてくれた、幻実(げんじつ)が消えていくように。
「まっいいか」
さすがひかり、立ち直りが早い。
「そうだね」
まわりのみんなも少し不思議に思いながら納得していった。
「今回も大成功、V(ブイ)!!」
「そうだね。V(ブイ)!!」
ひかり、小鳥、共にVサインをだしながら答えた。
「でも、今まで星空をあまり意識していなかった」
「星空も見れば楽しいものでしょ」
「そうだね」
小鳥の言葉に星空も楽しいものだと答えるひかり。
「これで空の楽しみ、一つ増えたわ」
「私もまたグライダーにのって夜空さんぽ楽しみたい」
小鳥の言葉にそれを重ねるひかり。
「またやろう」
「そうだね」
「またあの楽しさ」
「感じたいなあ」
「でも、またあのことがおこったら成功するかな」
小鳥の問いにあかりは答える。
「できるよ。だって私たち・・・」
そして、2人が答えようとした瞬間・・・
「くーるびゅーちーだから!!!」
その瞬間あたりは鎮まる。また2人を怒らせたのか。
「「先に言っちゃだめーーー」」
小鳥とひかり、2人とも笑いながらツっこんだ。
ははははは・・・
その答えに笑顔で答えるみんな。まわりは笑顔で満たされていた。
そして、その笑い声は遠くまで聞こえていたそうだ。
こうしてグライダーで流星を見るプロジェクト・スターダストは無事に大成功のうちに幕を閉じた。
2つの作品の主人公たちはそれぞれの舞台にもどっていく。でも、この経験により、作品の枠を超えた熱い友情が結ばれたことは間違いない。
もし、あなたがこれから無理なことに挑戦するとき、苦しい時は夜空を見上げて欲しい。仲間という星がずっといることを。そして、挑戦という大空に仲間という翼とともに飛んでいってほしい。
-そう、「見上げてごらん、夜空の星を」、そして、「この大空に、翼をひろげて」-