ただそこに現代兵器が平然と存在するし電化製品もあるし民主主義。それだけの事。
つまりは半ニート的『もし転生するなら転生先に欲しい要素』と『もし転生するなら欲しい能力、設定』を詰め込んだだけ。
異論反論は許す。
プロローグ
「あ~、だりぃ」
木漏れ日の降り注ぐ中、木の枝の上で眠る少年はそうぼやきました。
時刻は午前10時。少年の見た目は高校生ほどですから、普通であればまだ授業を受けている時間帯でしょう。
ですが、彼はそんなもの無いかのように眠っています。
実際は通うべき学校も、受けるべき授業もあるのですが、ただ1つ『めんどくさい』という理由でこうしているのです。
ただ、彼が通う学校はかなりの難関で、実力さえあれば学費も免除される代わりに実力がそれなりであればかなり高い学費を払うことになる学校なので一般人がそれを見たら『金の無駄遣いだ!』と憤慨すること間違いなしです。
ですが彼は、その実力が学校内………いえ、国でトップとも言われているが故に、学費など掛からずに通っているのでした。
だからといって面倒だからとサボるのは見上げた事ではないと自分の家族であり友であり従者でもある少女に言われていますが、彼はその事は気にせずに一人、木の上で眠ります。
それはもう、何十年も昔から続けているような動作でした。
その姿にはどこか哀愁すら感じさせる所があります。
「あー、クソが…なんで一時間目からあのかったりぃ上に効率はそれほどでもない古代ルーン語の授業なんだよ………日本語で十分だっての」
そして、彼は不意にそんな言葉を口にしましたが………誰の耳にも入ることはありませんでした。
場所は変わり、国立魔法学園高等科第一校舎。
ここは約100年ほど前に発見された“魔法“という技術を専門に扱い、将来の栄達を目指し日々、多くの少年少女達が切磋琢磨する場所です。
そんな偉大な学園に、今日も盛大な怒号が響き渡ります。
「また“アレ”は欠席だって言うの!?一体何回目よ!」
「すいません、すいません………」
鬼のような形相の金髪の女…この学園の教師の一人で、史上最年少でこの学園を卒業した“アカネ・キタザキ”は目の前にいる黄緑色の髪をした少女に怒鳴り付けました。
彼女は見た目は美しいのですが、すぐ感情的になる癖があり、この学園ではあまり人気のない教師なのです。
ただ、その原因の一端は目の前の少女………の、主にあるとも言えます。
実は目の前の少女は人間に見えるがその実“妖精”と呼ばれる種族のいわゆる魔法生物で、現在欠席しているとある生徒の使い魔(召使い、メイド、お手伝いさん等の職業を人間以外がやっているものと考えてよい)だったりします。
そして、彼女の見た目は美しいというよりも可愛らしく、庇護欲を掻き立てられるような部分がありました。
それが原因でしょうか、彼女の主への怒りのあまり怒鳴るアカネの人気は毎年ストップ安状態です。
現に今も周りから妖精の少女への同情の視線とアカネへの批判的な視線が降り注いでいました、と言えばお分かりになられるでしょうか。
「まぁ良いわ………流石に私も慣れて来たし。とりあえず明日からは伝えに来て貰わなくても結構よ」
やがてアカネは、周りからの視線に耐えきれなくなったのか必死に怒りを抑え、妖精の少女に遠回しに『明日から来るな』と伝えました。
ですがまぁ、基本的にこういう意思は伝わらないのが世の常、それがこの場にも適用されているのか、妖精の少女は『お、お気遣い頂かなくて大丈夫です!私、先生のその反応、悪いものじゃないと思いますよ?』と微笑みながらアカネの心に深めの傷を残し、窓から飛び去って行きました。
それをアカネは『違う…違うのよ…』という意思を込めた視線で見送ったあと、軽く咳払いをして色々と強引に授業を始めてしまう事にしました。
さて、ここまで色々と残念な所ばかりが見える彼女…アカネですが、実はこう見えて授業の人気はトップなのです。
何しろ彼女はこの学園を史上最年少で卒業しただけあり天性の才能を持っていますし、その上人に教えることは在学時から得意でした。
ゆえに、彼女自身はその感情的になりやすい気質といつも怒鳴ってしまう相手の問題で人間的な人気はまったく皆無に近いものでしたが、授業のみを取ってみればその人気は学園でもトップでした。
「それでは、授業を始めます。今回は古代ルーン語における属性魔法の運用という物をやっていきましょう」
アカネは、先程の一言による心へのダメージを抱えたまま、普段通り授業を開始しました。
「あー、やる気しねー」
木の上で寝る少年は、葉が擦れる音で目を覚ますと、やる気無さげにそう呟いたのでした。
そもそも彼がやる気を持たないのはいつもの事ですが………どうやら自覚はないようです。
それも彼らしいと言えば彼らしいのでしょうか。
そんなとき不意に、彼は下の方に何者かの気配を感じました。
「マスター!校長先生が呼んでます!」
それが自分の使い魔である妖精の少女の物だとと気付くと、面倒だと思いながらも世話になっている相手が呼んでいるとあって、木から降りる事にしました。
その降り方は至って簡単で、ただ木の枝で助走を付けて飛び降りるだけです。
これが低い一般的な木だったら問題はなかったでしょう。
ですが彼が寝ていた木は異様なほど高く、軽く見積もっても50mはありそうな木で、しかもかなり上の方から飛び降りたのです。普通であればただでは済まないでしょう。普通であれば。
てすがここは魔法学園。普通なんてものは通じないのが常識なのです。
「んと…『ウィンドバレット』」
彼は自由落下の最中、手を地面に向けて突き出すと、一言呟いてその手の先に巨大な風の塊を作り出し、それを地面にぶつけてその速度を相殺しました。
使った魔法この学園で習う中でも最初に習うような魔法『ウィンドバレット』です。
本来であれば敵などに当てて距離を稼ぐための物ですが、彼は基本これを木から降りる時などに使っています。
やがて彼は空中で姿勢を整えて地面に着地すると、今度は妖精の少女を肩に担ぎ、少女が何か言おうとするのを無視して走り出しました。
ですが、そのままでは速度が低いので、途中で新たに魔法を使用します。
「『バースト・ウィンド』」
先ほどの風の魔法の強化版で、主に障害物などを退ける用途で使われる物です。
彼はそれをわざわざ自分の足の裏に発生させ、自らを吹き飛ばしているのです。きっとこんな事をするとはこの魔法の開発者は思わなかったでしょう。
ですが、そんなことをすれば担がれている身である妖精の少女は………
「マスター!お願いですからせめて背負って………」
「『バースト・ウィンド』」
断続的に発生する強烈な揺れによって顔色を悪くしてしました。
だがそれを気にせずに彼は魔法を使用し、校長室へ急ぎます。
別に急がずとも問題ないとは分かっていながらも、急ぎます。
良く分からない自分ルールでもあるのでしょうか。
「これで終わりだから安心しろよ…『バースト・ウィンド』………『ウィンド・シールド』」
やがて校舎が近くなると、途端に魔法を使う方向を変更して、自らを空中へ飛ばしました。
その間に自らを破片などから護る魔法を使用、校長室へ窓から突っ込みます。
その姿はさながらスポーツ選手の様で、ある種の美しさすら感じさせました。
さて、突然ですがここで問題です。
校長室と言う物は大概、入り口から遠い場所、つまり窓際に校長の椅子があります。
そんな場所の窓めがけて突っ込めばどうなるでしょうか。
それは………自明の利でした。
ガシャン!という音を立ててガラスが割れました。
魔法への高い耐性を持つ筈のガラスは彼の体当たりによって砕け散り、その破片は彼の体が纏う風の楯により弾かれて、校長へ直撃します。
それに追い討ちを掛けるかのように彼は自らの体が物にぶつからぬよう勢いを相殺しようと、『ウィンドバレット』を使用したから大変です。
校長の体は、ガラスが突き刺さり強烈なキックを喰らった挙げ句、吹き飛ばされて壁へと激突したのでした。
しかもこの校長、なんと魔法に才能があるわけでも無いからさぁ大変。
対抗魔法を唱える間もなく大ダメージを受けてしまいました。
それを普通の人が見れば、きっと校長の事を何もしてないのに可哀想だ、という感情を込めて見るでしょう。
ですが彼と妖精の少女は違いました。
壁にめり込んでいる校長を見て、頭が非常に可哀想な物を見るような目で見ているのです。
それはまるで腕に止まった蚊を見るかのごとく『コイツウザい………』という感情を隠していません。
窓を壊され、魔法を当てられて壁にめり込まされた挙げ句蚊を見るような目で見られたら、誰だって怒るでしょう………ですが。
「いやー、いつも最高の登場ありがとう!出来ればもう少し物理ダメージの強い魔法をお願いできるかな?フレイムスピアとか」
「アンタアホ?」
校長は平然と立ち上がり、着ている服についた砂埃を払うと笑顔で馬鹿としか言い様のない注文をしました。
わざわざ自分に向けて炎の魔法でも貫通力とコストパフォーマンスに優れ、実戦でも多用されるような魔法を自分に当てろとは、正気とは思えません。
「うーん、言葉攻めも良いけどさ。やっぱり魔法で………」
なんとこの校長、度を越えすぎたレベルのマゾヒストなのです。
それはあらゆる魔法をその身で受ける事に快感を感じてしまう特異体質でもあり、魔法飛び交うこの学園で校長なんて事をしている理由でもありました。
ですが、流石にフレイムスピア………術者の指定した位置へ向かって炎の槍を放つ魔法…を喰らわせろ、なんてのは本当に命を省みてないようなものです。
彼は即座に校長の頼みを断ると、こんな魔法を唱えました。
「『エレクトリックディバイド!』」
雷撃を持って対象を麻痺させ、自由を奪う魔法です。
基本的に術者次第で拘束力が変わりますが一般的に魔法使いを縛るのは難しいとされている魔法でもあります。
それを彼は一応魔法使いでもある校長に向けて発動したのでした。
いくら校長といえど魔法使いの端くれ、その程度すぐに解除してやると息巻いていましたが、どういう訳か解除出来ません。
タネは簡単、彼の魔力があまりに大きすぎて抑えられないのです。
エレクトリックディバイドが魔法使いに効きにくいのはあくまで込められた魔力を上回るそれを内側から放出すれば容易に破壊できるからなのと、これ自体には魔力を込めにくいという2つの理由があるからです。
つまり、彼が使ったこれは魔力を込めにくい筈のエレクトリックディバイドに膨大な魔力を注ぎ込んでいるゆえにそう簡単には壊せない、そんな状態なのでした。
ちなみに、この魔法にはもう1つ特徴がありました。
「なんで!?なんでエレクトリックディバイドなの!?いかにあらゆるプレイを極めた私でも流石に放置は無理よ!?」
対象者には縛られている事が分からないのです。
故にこの校長にとってはただ辛いだけという対校長には最高に向いている魔法なのでした。
「解除して欲しけりゃさっさと用件だけ話せ。さもなくばそれを十倍の効果時間にして掛ける」
そして彼は、ただ動けないだけという環境に喚く校長を冷たい眼で見つめながらこう言いました。
元々のエレクトリックディバイドの効果時間は一時間、つまり十倍で十時間です。
それは校長にとって地獄とも形容しがたいものでした。
「ヒィィィィ!お助けを!単に調べて欲しい事があっただけなんですってばぁ………」
「ほぉ?」
情けない声で用件を話す校長に、彼は内心あと二時間ほどエレクトリックディバイドしてやろうかと思いながら答えました。
「それでですねー、調べて欲しいのはここの地下辺りで文字通りアングラにやられている違法カジノなんですけどー」
「話は察した。良いだろう。報酬は?」
「円換算で1000万をお好きな単位で」
校長はそれだけ言い残すと、バタリと倒れてしまいました。
きっと動けない苦しみのあまりショックで倒れたのでしょう。
ですが、そんなことは知らんと言うばかりに二人は校長室を去って行きました。
「『ウィンドバレット』」
何故か意味もなく校長をウィンドバレットで吹き飛ばして。
今作における主人公の強さ
主人公>>>>>>>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>反物質3tと少し>>>若い大魔法使いが十人単位で命を使い果たして撃った極大魔法>>>無限の壁>>水爆=極大魔法>>>原爆>>>大魔法>>その他
長くなるから省くけどとりあえず主人公は本当に最強。チート。無敵。
ちなみに反物質ってのは1gでもとんでもない威力になるらしい。
つまりは強さのインフレは不可避かもしれないということ。