話のペース早いなー(棒読み)
世界での大抵の物事は上手くいかない。
取引しかり、政治しかり、抗争しかり。
まぁ思う通りに進めようとするやつが数名いる場においてお互いに同じことを思っていたり利害が一致していたりしなきゃ上手く行くわけがないのだが。
まぁそういうわけで、大抵物事は上手く進まないんだ。
故に……
「校長に頼まれて来た。支配人出せ」
「おいおい坊っちゃん、寝言は寝て言いな?ここはガキの来ていい所じゃないぜ?」
このように、単純な事でも上手くいかない。
確か俺、前もここに来てなかったっけ?あぁでもこいつら見たことねーや。
つまり門番というか警備が変わったから俺がそういう事をしに来ただけという事を分からないのか。
と、なれば押し通るしかないな。
幸いにして魔法による拘束手段は豊富だ。エレクトリックディバイドに限らず範囲拘束のグラビティバインド、ダメージを与える拷問用のフレイムバインド、体の感覚を奪うことで逃走を防ぐフリーズバインド、物理的に拘束するメタルバインド。
と、まぁものすごく沢山拘束手段があるので、その内の1つ2つで簡単に片付けられるだろう。
正直エレクトリックディバイドが一番手っ取り早いんだが、あれは魔力をある程度意識的に送り続ける必要があってめんどくさいし、ここは手っ取り早くフリーズかメタルで動きを止めよう。
あれなら魔力を送らなくともしばらく持つからな。いっと両方使うか。
「おい…話を聞いてるのか?あ?」
おっと、警備がキレたな。まったく、一番冷静に対処できる奴が良い警備がこんなんで良いのかっての。
「『フリーズバインド』『メタルバインド』」
あ、そうだ。ディバイドとバインドの違いを教えてやるよ。
ディバイドは体の中に魔力を流して属性の効果を与え動きを止める魔法で、バインドは属性に応じた拘束具を作り出す魔法なんだ。
ただ拘束具を作るためにそれなりに魔力を使うから効率で言えばディバイドの方が上だがな。
まぁめんどくさいときは持続性があるバインドの方が便利って訳だ。
俺はバインド2つを食らって倒れた警備を蹴り倒し、カジノに侵入する。
無論使い魔と共に。
コイツには種族として人間より優れているいくつかの能力を使って軽く稼いで来てもらおうと思う。
見た目については変身魔法という都合の良い魔法が丁度あるし、それを使おう。
てな訳で行ってきな。資金はポケットの五万円で。
「マスター、どう考えても普通ポケットに五万円は入れませんよ……」
仕方ないだろ、魔法的なポケットなんだからさ。
というかこれくらい1/10000にも満たないからな?校長からのバイトって割が良いし、すぐ金が貯まるんだわ。
それでまだ稼ぎのある校長もすげーが。
「五億とか普通全財産足しても足りない額ですよね!?」
知るか。俺は俺だ。普通には当てはまらねぇんだよ。
それにどっかのアイドルも言ってたろ?
ナンバーワンよりオンリーワン。ってさ。
かくいう俺はそのナンバーワンにしてオンリーワンなのだが。
まぁ、とにかくこまけぇことは気にせず行ってこい。
スロットなら外れないだろ。お前動体視力妖精でも良い方だった気がするし。
さ、魔法を掛けよう(シンデレラの魔女感)
「『メタモルフォーゼ』」
ちなみにこのメタモルフォーゼ、今時の特撮で欠かせない魔法の1つだな。
姿を自在に変えられるから必要なのは顔ではなく演技力で、最悪の場合アクションと声を変えられるし代役可能と言う特撮に革命をもたらした魔法でもある。
この魔法の特徴は見た目を変える時身長等は足の長さの変更や腕の長さの変更で補正するが他はただ見た目が変わっているだけなことだ。
つまり多少体の感覚にズレが生じるということ。
まぁコイツには割と使わせてるから問題ないがな。
レッツゴー使い魔。ファイト使い魔。二十万くらいはよろしくな?
「マスターって私の性能計測一桁間違えてませんか!?私の手に掛かればその十倍は出せますよ!?」
え?マジ?
まぁ別に良いわ。校長から一千万もらうしさ。二十万くらいでおkよ?
「はぁ…とりあえず適当にやってますよ」
いってらっしゃーい。
使い魔は俺の所を離れて近くにあったスロット(リール9つで最大倍率は777777777による10000倍。確率にあってねぇ気がするが最大の倍率だけならここで一番だと思う)へ向かっていく。コイツ絶対一桁多く稼ぐ気だ。
それでも良いか。損はないし。
とりあえず俺はもうさっさと事務所の方まで行きますかねー。
そんな事を思いながら、前に一歩進んでみる。
するとそこであることを思い出した。
そう言えば事務所はVIPエリアにあるんだったか。
めんどくせー。俺運ねぇしなー。
それにここじゃ不自然に動いた時簡単にバレるし。
あーめんどくせ。
そんなボヤきをしつつも俺はポケットから二十万(現金)を取り出してチップに交換する。
レートは一枚一万円くらいにしておこう。失敗したとき大変だ。
んでもって参加するゲームは……お、あんなところに畳発見。あれは丁半か?
丁半のルールは……サイコロを転がしてその目の合計が奇数か偶数を当てる。だったな。
あれなら魔法でのイカサマも容易だし、参加していいか。
使うのは簡単な(ただし割と違法どころかかなり違法な)透視魔法のクリアアイズで良いだろう。
いや、別に手間を考えなければグラビティコントロール(重力操作)とサウンドバレット(望んだ音を出せる)を組み合わせる事でずっとピンゾロの半とかでも良いんだけどさ。
そうすると皆丁に賭けないからそこで上手いこと賭けて勝つってのも良い。
それに、ここオリジナルのルールで丁半どっちとも同数が賭けていなくとも全員が決定したら終了って事になってるからね。一人勝ちもありえる。
寺銭取られるのだけはちょいとイラッとするけどな!
「参加させてもらう……『クリアアイズ』」
俺は小声で魔法を発動し、それを隠しながら丁半に参加する。
人数は奇数か。まぁ問題は無いだろう。
それよりも……サイコロに何か魔法が仕掛けてあるな。これまではやっていなかったのに。
まさか絞り取りに来てるとか……一応対策しておこう。
「『ディスペルバレット』」
ディスペル用の魔法でも隠密性、射程及び使いやすさに重きを置いたもの。
それでサイコロの魔法を解除した。
さぁ、真剣勝負と行こうじゃないか!
まず最初は……半。俺もそこにチップ三枚を賭けよう。
あぁそうだ。今の内にここのレートと細かいルールを解説しておくか。
ここにおける丁半では勝ちは敗けた奴等のチップの半分を賭け金順に山分け、敗けは×0となっている。
それで、参加料とも言える寺銭は後払いで儲けがマイナスなら一万、プラスなら儲けの一割。
で、丁半ってのは確率は1/2。つまり儲けにくいってわけだな。
まぁあれだ、単純だからこそイカサマがしやすいってやつだ。
え?ルールがおかしい?知るかっての。ここの独自ルール混ざってんだから仕方ねぇよ。
それにしても、今回は俺の他に半を出した奴は居ないから俺の一人勝ちだな。幸先が言いとも言えるだろうか。
やがてサイコロが開示される。もちろん結果は半。俺の勝ち。
だが周りの……というか正面のおっさん、お願いだからスタッフさんを睨まないであげてくれよ。イカサマなんてしてないんだからさ。
さぁて次だ次。
今度は……2、5で丁。周りも丁半半分ずつといったところだ。多少丁が多いがな。
さて……ここで俺が自然にイカサマしてやっても良いんだが、まぁやると不自然すぎるし意味が無いからやめておこう。
俺は丁。チップは一枚。ここで自信満々に全賭けとかやって下手に俺と同じに賭けりゃ良いと思われちゃたまらんからな。
もちろん結果は丁。半に賭けてた奴等のチップを得る。
ってん?なんだ、サイコロの入れ換えか。イカサマ防止策みたいだな。
しかも懲りずに魔法掛けてやんの……ディスペルバレット。魔法は解ける。
んじゃま、正々堂々()丁半を楽しみましょうか!(大爆笑)
ー三十分経過ー
何やら物騒な方々が俺を取り囲んでいる。
あれ?俺はただ楽しく丁半で延々と的中させてただけなんだが……
あぁなんだ、事務所に案内してくれるのか。いやー、親切だねー。
でもさ、なんで手錠してんの怖いよ。魔法無効の手錠するとか入念過ぎない?別に効かないけどさ。
とりあえず一旦使い魔回収…うぉっと。
おいおいそこのキミ、刃物は人に向けちゃいけないって言われなかったか?
そんな悪い子にはお仕置きだ。
「『クリムゾンバレット』」
火属性最強のバレット。まぁここで使うのに丁度良い威力がこれだったのさ。余裕で鉄も溶ける。
しかし周りに被害が行かずただナイフを溶かす。そんな素敵な魔法なんだ。
あ、でも溶けたナイフ蒸発してんじゃん。うわー。
まぁ良いか。とにかくな?人に刃物を向けちゃダメな訳よ。俺みたいなのに向けたら大変よ?
容赦なくクラビティ系とかで押し潰したりテンペスト系で切り裂いたりクリムゾン系で骨も残さず焼き尽くしたり出来るんだからな。
あとなぁ……俺はただ校長にお願いされて来てるんだよ。ここのアタマに会えば分かるさ。Are you OK?
俺がそう言うと、物騒な方々は俺を取り囲むのをやめ、事務所に案内してくれることになった。
うんうん、言葉による交渉ってのは大事だねぇ。
ところでさ、俺が居たところに何やら俺ほどでは無いにせよやたら強力な魔力を感じるんですけど。
一体誰かな~?地属性と火属性の強い感じがする魔力なんて感じたこと無いぞ。
そもそも変な使い方をしなきゃ片寄らないからこんな魔力になんねーんだが……一体誰だか。
ただものすごく面倒事の予感がするので早くこの仕事を終わらせて帰りたい。
そう思ってしまう、カジノの中での移動中であった。
種族についての解説的な。
この世界における種族は多種多様で、人間と直接言葉を介してコミュニケーションが取れるものだけでも細かく分ければ100種以上になり、テレパシーや文字などを用いたコミュニケーションも含めれば500種以上となる。
その中でも特に魔法を得意とし魔力を多く持つのが妖精族である。
妖精族は精霊族に並び特定の物質や現象を司るという特性を持つ。
その妖精族における内訳は大まかに言って以下の3つ。
大妖精
妖精の中でも一際能力が高い。戦闘能力や魔力、知力と全てに優れたオールラウンダー。妖精社会における特権階級のほとんどはこれ。
代表種:属性系妖精、妖精女王
妖精騎士
妖精の中でも運動能力が高い物を指す。
運動能力だけで言えば妖精女王と属性系妖精を除く大妖精すら上回る。
主に軍事、警察機構の実動部隊に多い。
その強さは剣の一振りで斬撃を飛ばすことも出来るため現代兵器を保有する軍とも渡り合えるほど。
代表種:剣の妖精、盾の妖精
妖精
いわゆる通常種。だが通常種とはいえ嘗めて掛かってはいけない。
これでも平均的な人間の魔法使い数人程の魔力を持つし、魔法の腕も長い寿命ゆえかなり高い者が多い。
ただし妖精騎士にくらべ物理的戦闘能力は低いため接近戦に持ち込めば倒せない訳ではない。