救いたかった世界
圭視点の話
生きているって素晴らしい 1話
ワンワンワン放送局今日も元気に放送中4話
がっこうぐらし+異物1.7
⇒あの日の事〜2人になるまで
⇒放送局の建物の感じ
圭視点の話
生きているって素晴らしい 1話
ワンワンワン放送局今日も元気に放送中4話
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圭が駅まで行きラジオを流した後
ワンワン放送局のDJ
木梨奈緒美
青色の瞳でパールホワイトのショートヘアー、若干コーカソイド(白人)寄りの雰囲気、スレンダーな体型とも相まってややボーイッシュだが内面は完全に年頃の女の子そのもの。アクセサリーの類は身につけておらず制服のサスペンダーも部内で唯一しっかり着用している。
「『今、巡ヶ丘駅北口にいる。北口の駅長室。
足を怪我して、噛まれてない……とは思うけど、うまく動けない。
結構痛くて、1人で外に出るのは無理かも。
聞いている人、もしいたら来てください。
水が少ないので、長くはいられない。
あ、あと駅前のショッピングモールの最上階に、待機してる子がひとり。
良かったらそっちも向かって。』」
私、祠堂圭は、駅の放送設備を使い、今日何度目かの救助要請を終え、痛む足を引きずりソファに倒れこんだ。
「……もう、誰もいないのかなぁ。」
救助要請をして、もう何度目か分からないけど、かなり長い時間行っているのは分かる。
……なのに一向に誰も来ないのは、もうこの街には人は1人残らず“彼ら”になってしまったという事なのだろうか。
いや、違った。私は1人、“彼ら”になっていない人物を知っている。
親友の直樹 美紀だ。
私と彼女は数日前まで共にショッピングモールで暮らしていた。
でも、私は助けを呼ぶ為に彼女を残し外に出た。「このまま生きていれば良いの?」と言う、言葉を残して。
でも、私は助けを呼ぶ事は出来なかった。それどころか、足を怪我してしまったから、モールに帰る事も出来ない。つまりもう、美紀と会う事も出来ないのだ。
「……美紀、会いたいよ」
眼尻に溜まった涙が流れる。
どうして私は美紀を置いて来たんだろう。どうして、あのまま一緒にいてあげなかったんだろう。どうして……。
次々と溢れてくる後悔の言葉。それをこぼす度に、頬に涙が流れた。
「……グス、美紀、もう一度会いたいよ」
私は泣きながら彼女の名前を呼ぶ。もう、2度と会えない彼女の名前を。
ビルルルルル!
「!」
突然、扉の向こうから甲高い異音が鳴り響いた。その音はたしか、防犯ブザーの音。 知識を無くした“彼ら”に紐を引くなんて事は出せるはずはない。出来るとすればそれは……。
私はソファから身体を起こし、痛む足を引きずって扉の前まで行き、静かに鍵を開け、そっと扉を開けた。
「えっ!」
扉の向こうにいたのは女性だった。私より歳上の女性で、手に持ったシャベルを使い、“彼ら”を次々と倒して行く。
私はその女性から眼が離せなかった。
次々と“彼ら”を倒していくその様ではない。私が眼を離せないのは女性の髪色が、モールに置いて来た親友と同じだったからだ。
そう思うと女性が、美紀に見えるような気がした。
(まさか、美紀が助けに……?)
一瞬そんな事を思ったが、瞬時にその考えを打ち消した。
ありえない。だって、似ているけど女性は美紀ではなかったし、世界には自分と同じ人間が3人いると言うからきっとただの偶然だろう。
そんな事を考えていると、女性はついに最後の一体を倒した。その後、落ちていた防犯ブザーを拾い、音を止める。音が止んだ通路に静寂が包んだ。
「あ、あの!」
その静寂を破ったのは私だった。私の声に反応した女性は、こちらを振り向く。私と女性の目が合う。
女性の青色の瞳はまるで久しぶりに再会した恋人に会うかの様な色を灯していた。
その瞳から一雫の涙が女性の頬を伝う。
「ありがとう……」
女性は震える声で、かすれた声で呟きながらこっちに来る。
「ありが、とう……」
女性は再び呟き、私の元に来て、私を優しく抱きしめた。
女性は何度も、何度も、「ありがとう」と呟いた。
生きていてくれて、ありがとう。
無事でいてくれて、ありがとう。
“あいつら”に成らないでいてくれて、ありがとう。……と。
女性の頬を大粒の涙が流れる。女性はそれを拭おうともせずに、まるで子供のように顔をくしゃくしゃにして、ただひたすらに泣き続けた。
女性は、繰り返し私にありがとうと言う。助けられたのは私の筈なのに、まるで彼女の方が救われたかのような表情だった。
ギュッ
私は女性を抱きしめた。モールに置いて来てしまった親友を抱きしめるように。
――――
「恥ずかしい所を見せちゃってゴメンね。あ、私の名前は双月 奈緒美(ふたつき なおみ)。貴女は?」
泣き止んだ女性は、少し赤くした顔で私に謝り自己紹介をした。謝ったその顔は子どもっぽく、まるで同級生の様だった。私は大丈夫です。と首を左右に振ってから自己紹介をする。
「私は祠堂 圭です。双月さん、助けて貰いありがとうございます。双月さんはどうしてここへ?」
「貴女の放送を聴いて、助けに来たんだよー。」
「?」
答えた双月さんは何故かむすっとした顔で返事した。
「“双月さん”は何か他人行儀だから、“ナオミ”で良いわ。口調も友達に話す様な感じで、ね?」
「呼び方は良いですけど、口調までは……歳上ですし。」
「私は圭と友達になりたいんだ。……ダメかな?」
そう言って上目遣いをしたナオミさんは、大人っぽく、思わずドキッとしてしまう。
「わ、分かりました/// じゃない、分かったよナオミさん」
「んー、“さん”も無くて良いんだけどな。まぁ良いや。
さて、じゃあそろそろ行こうか。」
ナオミさんはそう言うと立ち上がり、私に手を差し出す。
「行くってどこへ? それに外には“あいつら”が。」
私は身体が震えるのを感じる。
「大丈夫だよ」
ナオミさんは再び私を抱きしめ、頭を撫でる。そこには母親の様な安心感があった。
「ここに来る途中“あいつら”は粗方倒したし、もし現れたとしても、貴女は私が必ず守るから。」
「……うん。」
その後、足を怪我している私は、ナオミさんに寄りかかり駅長室を出て、駅の北口に停めてある車は白いキャンピングカーに乗り込んだ。
車内は広く、簡易ベッドの他キッチンやトイレといった水回りも付いていた。
ナオミさんの介護を受け幾つかある簡易ベッドの1つに腰を下ろす。
「すみません、私の補助に“あいつら”との戦闘までさせて」
ここまで来る途中で数度“あいつら”と遭遇したが、全てナオミさんが倒した。さすがに戦闘中には私の補助は行えないので、私は壁際で小さくなっていたが。
「いいよ、いいよ。『貴女は私が必ず守るから』って格好つけて守られちゃ格好がつかないし。さて、足の手当て始めますか」
そう言ってナオミさんは持って来た救急箱を開ける。
「ちょっとしみるよ」
ナオミさんはガーゼに消毒液を染み込ませ、私の足を消毒する。
「っ!」
傷口に消毒液がしみ、思わず声が出てしまった。
「あっゴメン、でももう終わったよ」
そう言って今度は傷口に包帯を巻く。その手付きはとても慣れたものだった。
「あ、ありがとうございます。……手当て、慣れてますね」
作業中、ナオミさんは全く迷いやもたつきがなかった。
「ある人に習ったの。……今はもういないけど」
言った後、ナオミさんの顔には陰が出来ていた。
「……すいません」
「いいよ。もう、過去の事だし」
私の傷の手当てを終えたナオミさんは救急箱を片付け、カップにココアを入れ、私に渡し、隣に腰を下ろした。
「ちょっと話聴いて貰って良い?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとう。・・・私ね、少し前まで、他の人と一緒に避難生活をしてたんだ。私を入れて4人」
「……その人達は、今は?」
ナオミさんは首を横に振った。
「3人とも良い人達で、3人とも私より1つ歳上だった。
1人は、みんなのお姉さんみたいな人で、いつも先の事を見てた。家事もその人が担当してたし、手当てもその人から習ったの。
1人は、いつも元気で、みんなの精神的な支えになってた。あの人を見てると不思議と元気が湧いての。
そしてもう1人は、困った時に頼りになる人だった。“あいつら”との戦闘もその人が殆ど1人で倒してた。」
「……。」
「でもある日、戦闘を担当してた人が“あいつら”に噛まれた。その人を噛んだのは先輩の大切な人。
だから、“あいつら”になったとしても先輩はその大切な人を殺す事を迷ってしまい、……その迷いのせいで先輩は噛まれてしまった。
・・・でもそこで終わったなら良かったんだけどね、
他の人、家事を担当してた人が、噛まれた先輩を交錯して後を追って自殺したの。」
「!」
「残ったのは私ともう1人。
その2人で何とか生きていた。でもそれは生きているだけで死んでいるのと変わらなかった。そんな生活をしていく内に、ストレスが溜まって、ある日先輩に当てちゃったの。そして先輩は出て行った。私は先輩を探したけど見つけた時には先輩は“あいつら”に噛まれた噛み傷があって私は先輩を……。だから」
ナオミさんは私の手を握る。
「貴女が生きていてくれてとても嬉しい」
ナオミさんは微笑む。
――――
“あいつら”
“彼ら”
ブザーの音は数分で鳴り止み、
「ーか、ーして!」
「!」
瞳を閉じた時、遠くから人の声とに何か聞こえた。
「助けに来た。誰か、返事して!」
あの日。友人と2人で駅前のショッピングモールに来ていた彼女は、そこで事件に巻き込まれた。なんとか生き残った彼女たち2人は、同じくモール内で生き残っていた人と合流したものの、今度はグループ内で感染者が発生。結局生き残ったのは、彼女とその友人である「美紀」という女の子2人だけだったということだ。
「生きてる、生きてる! 生きてる!! ありがとう、ありがとう! 見つけられて良かった。あなたを助けられて・・・救われた」
救いたかった世界
圭視点の話
生きているって素晴らしい 1話
ワンワンワン放送局今日も元気に放送中4話
がっこうぐらし+異物1.7
⇒あの日の事~2人になるまで
⇒放送局の建物の感じ
片足を怪我しながらも、なんとか駅長室に辿り着いた祠堂 圭はそこの無線設備を使い助けを呼ぶ。
圭の声(助け)を聞いてやって来たのは、圭がモールで見捨てた親友と同じ髪色を持つ女性だった。
その女性に連れていかれた白い四角い建物で、圭と女性の2人暮らしが始まる。
設定
圭が駅まで行きラジオを流した後
ワンワン放送局のDJ
木梨 奈緒美
決意と代償
???Side
「はぁはぁ……」
もう駄目。私の足が、傷だらけでもう動けそうにない。もう駄目だ。この駅長室もうそろそろ火事になると思う。ごめん……美紀許して。『生きていれば、それだけでいいの?』なんて言って私今わかったかもしれない。私も『生きていれば、それで良かった』のかもしれない。ごめんごめんごめんごめんごめん、美紀。だけど、必ず生きてね。私は、とうとう奴らに囲まれた。私は、覚悟を決めて目を瞑った。
目を瞑っていると、周りが暗くなっていた。おかしい、奴らの声が聞こえてこない?私は、急いで目を開けると、奴らを倒している女性が目に入った。どうして、此処に?人が?私は、呆然としながら女性を見ていた。私を助けに来てくれたのだろうか?それとも……。
真紀Side
「ァァァァァ……」
「フッ!」
斧で奴らの肉が切れる音が聞こえ、血が私へと飛び散っていた。後、1体……。これで、あの子を救える。見たところ巡ヶ丘学院の子ね……。
「ァァァァァ……」
「邪魔……!」
私は、斧で奴の首を刈り取り、そのまま斧でその首を投げた。グロテスク……。
「はぁはぁ……」
やっと辿り着いた。
??Side
私は、辺りを見回していた。床や壁は奴らの血だらけとそして奴らの死体……。そこでまるで、私が立て籠もっていなかったような痕跡ばかりだ。私が、辺りを見回していると、女性が近づいてきた。
「大丈夫?」
「は、はい……」
「動けそう?」
「そ、その……足怪我してしまって」
「ちょっと、診せて」
女性は、私の足と膝を診て、消毒液と包帯を巻いてくれた。どうやら、いい人に助けてもらったようだ。あっ、私の事より美紀の事が先だ……!私は、立ち上がろうとしたが……。
「っ……!」
足を痛めていて、まだ歩けなかったのだ。私は、こんな時まで情けないのかと自分自身を悔やんだ。
「どうして、そんなに慌てているの?」
疑問に思ったのか、女性がそう聞いてきた。
「ショッピングモールで私の友達が未だいるんです。だから、助けに戻らなくちゃ……」
美紀に『謝ろう』と思っていた私は、足を無理にでも動かそうとしていた。
「助けにいきたい?」
「はい!!」
いや、違った。私は1人、“彼ら”になっていない人物を知っている。
親友の直樹 美紀だ。私と彼女は数日前まで共にショッピングモールで暮らしていた。
でも、私は助けを呼ぶ為に彼女を残し外に出た。「このまま生きていれば良いの?」と言う、言葉を残して。
その言葉が呪いのように私を苦しめる。どうしてあんな事を言ってしまったんだろう、と。
結局、私は助けを呼ぶ事は出来なかった。それどころか、足を怪我してしまったから、モールに帰る事も出来ない。つまりもう、美紀と会う事も出来ないのだ。
「・・・美紀、会いたいよ」
眼尻に溜まった涙が頬を流れる。
私はどうして美紀を置いて来たんだろう。どうして、あのまま一緒にいてあげなかったんだろう。どうして・・・。
次々と溢れてくる後悔の言葉。それを繰り返す度に、涙は次々と溢れ頬を流れていった。
「・・・グス、美紀、もう一度会いたいよ」
私は泣きながら彼女の名前を呼ぶ。もう、2度と会えない彼女の名前を。
ビルルルルル!
「!」
突然、扉の向こうから甲高い異音が鳴り響いた。その音はたしか、防犯ブザーの音。知識を無くした“彼ら”に紐を引くなんて事は出せるはずはない。出来るとすればそれは・・・。
私はソファから身体を起こし、扉の鍵を開け、そっと扉を開けた。
「!」
扉の向こうにいたのは女性だった。私より歳上の女性で、手に持ったシャベルを使い、“彼ら”を次々と倒して行く。それはまるで舞を踊っている様だった。
私はその女性から眼が離せなかった。
次々と“彼ら”を倒していくその様ではない。私が眼を離せないのは女性の髪色が、モールに残して来た親友と同じだったからだ。
そう思うと女性が、美紀に見えるような気がした。
(まさか、美紀が助けに・・・?)
一瞬そんな事を思ったが、瞬時にその考えを打ち消した。
他人の空似だろう。世界には自分と同じ人間が3人いると言うし。
そんな事を考えている間に、女性は最後に残った一体にトドメを刺す。そして落ちていた防犯ブザーを拾い、音を止めた。
音が止んだ通路に静寂が包む。
「あ、あの!」
その静寂を破ったのは私だった。私の声に反応した女性は、こちらを振り向く。女性の目が合った。
私を見た女性の青色の瞳は驚きの色を写していた。そしてまるで久しぶりに再会した恋人に会うかの様な色を灯すと、その瞳から一雫の涙が流れた。
「ありがとう・・・」
女性は震える声で、かすれた声で呟く。
「ありが、とう・・・」
女性は再び呟き、私の元に来て、私を優しく抱きしめた。
「えっ、あの・・・」
突然の事だったので戸惑った私は女性から離れようともがくが、しっかり抱きしめられていたので離れる事は出来なかった。
女性は私を抱きしめながら、何度も何度も、「ありがとう」と呟く。
生きていてくれて、ありがとう。
無事でいてくれて、ありがとう。
“あいつら”に成らないでいてくれて、ありがとう。・・・と。
女性の頬を大粒の涙が流れる。女性はそれを拭おうともせずに、まるで子供のように顔をくしゃくしゃにして、ただひたすらに、泣き続けた。
女性は、繰り返し私にありがとうと言う。助けられたのは私の方なのに、まるで彼女の方が救われたかのような表情だった。
そんな彼女を私は抱きしめた。モールに置いて来てしまった親友を抱きしめるように。
----
「恥ずかしい所を見せちゃってゴメンね。あ、私の名前は木梨 奈緒美(きなし なおみ)。貴女は?」
泣き止んだ女性は、少し赤くした顔で私に謝り自己紹介をしてきた。
謝ったその顔は子どもっぽく、まるで同級生の様だった。
「私は祠堂 圭です。木梨さん、助けて貰いありがとうございます。木梨さんはどうしてここへ?」
「貴女の放送を聴いて、助けに来たんだ。・・・んー、木梨さんか・・・。」
「?」
木梨さんは少しつまらなさそうな顔をする。
「苗字で呼ばれるのはあまり好きじゃないんだ。出来れば“ナオミ”って呼んで。それに口調も友達に話す様な感じで大丈夫よ」
「呼び方は良いですけど、口調までは・・・歳上ですし。」
「私は圭と友達になりたいんだ。・・・ダメかな?」
そう言って上目遣いをしたナオミさんは、大人っぽく、思わずドキッとしてしまう。
「・・・わ、分かりました。じゃない、分かったよナオミさん」
「んー、“さん”も無くて良いんだけどな。まぁ良いや。さて、じゃあそろそろ行こうか。」
ナオミさんはそう言うと立ち上がり、私に手を差し出す。
「行くってどこへ? それに外には“あいつら”が。」
私は身体が震えるのを感じる。
「大丈夫だよ」
ナオミさんは再び私を抱きしめ、頭を撫でる。そこには母親の様な安心感があり、いつの間にか私の震えは止まった。
「ここに来る途中“あいつら”は粗方倒したし、もし現れたとしても、貴女は私が必ず守るから。」
「・・・うん。」
ナオミさんの言うとおり外には“あいつら”の姿はなかった。
その後、足を怪我している私は、ナオミさんに寄りかかり駅長室を出て、駅の北口に停めてある車は白いキャンピングカーに乗り込んだ。
車内は広く、簡易ベッドの他キッチンやトイレといった水回りも付いていた。
ナオミさんの介護を受け幾つかある簡易ベッドの1つに腰を下ろす。
「すみません、私の補助に“あいつら”との戦闘までさせて」
ここまで来る途中で数度“あいつら”と遭遇したが、全てナオミさんが倒した。さすがに戦闘中には私の補助はおこなえないので、私は壁際で小さくなっていたが。
「いいよ、いいよ。『貴女は私が必ず守るから』って格好つけておいて、守られちゃ格好がつかないし。さて、足の手当て始めますか」
そう言ってナオミさんは持って来た救急箱を開ける。
「ちょっとしみるよ」
ナオミさんはガーゼに消毒液を染み込ませ、私の足を消毒する。
「っ!」
傷口に消毒液がしみ、思わず声が出てしまった。
「あっゴメン、でももう終わったよ」
そう言って今度は傷口に包帯を巻く。その手付きはとても慣れたものだった。
「あ、ありがとうございます。・・・手当て慣れてますね」
作業中、ナオミさんは全く迷いやもたつきがなかった。
「ある人に習ったの。・・・今はもういないけど」
言った後、ナオミさんの顔には陰が出来ていた。
「・・・・すいません」
「いいよ。過去の事だし」
私の傷の手当てを終えたナオミさんは救急箱を片付け、カップにココアを入れ、私に渡し、隣に腰を下ろした。
「ちょっと話聴いて貰って良いかな?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとう。・・・私ね、少し前まで、他の人と一緒に避難生活をしてたんだ。私を入れて4人」
「・・・その人達は、今は?」
ナオミさんは首を横に振った。
「3人とも良い人達で、3人とも私より歳上だった。
1人は、みんなのお姉さんみたいな人で、いつも先の事を見てた。家事もその先輩が担当してたし、手当てもその人から習ったの。
1人は、いつも元気で、みんなの精神的な支えになってた。あの人の笑顔を見るとどんなに辛くても頑張れた。
そしてもう1人は、困った時に頼りになる人だった。“あいつら”との戦闘もその先輩が殆ど1人で倒してた。」
「・・・・」
「でもある日、戦闘を担当してた先輩が“あいつら”に噛まれた。先輩を噛んだのは先輩達の大切な人、だから、“あいつら”になったとしても先輩はその人を殺す事を迷ってしまい、その迷いのせいで先輩は噛まれてしまったの。
・・・そこで終わったなら良かったんだけどね、他の先輩、家事を担当してた先輩が、噛まれた先輩を介錯して自殺したの。」
「!?」
「残ったのは私ともう1人の先輩。
その2人で何とか生きていた。でもそれは生きているだけで死んでいるのと変わらなかった。そんな生活をしていく内に、ストレスが溜まって、ある日先輩に当たっちゃったの。そして先輩は出て行った。私は先輩を探したけど見つけた時には先輩は“あいつら”に噛まれた後だった。だから」
ナオミさんは私の手を握る。
「貴女が生きていてくれてとても嬉しい」
ナオミさんは微笑む。
----
「神サマ!仏サマ!圭!!誰でもいい!!誰か先輩を!!ゆき先輩を救って!!私の命なんでどうでもいい!!お願いだからゆき先輩助けてぇ!!!お願いだから・・・・お願いだから・・・・」わたしたちはここにいた・・・・・確かにここにいたんだ・・・・・・
圭が現れた、
やつらと化して。
足を怪我している私はナオミさんに支えて貰い、駅長室を出る。
外は奴らの死体で溢れていた。
改めて見るその光景に思わず目を背ける。
「ごめんね、気持ち悪い・・・よね。」
私は何とか首を横に振って「・・・大丈夫です。」と呟くと、ゆっくりとだが歩き出した。
ナオミさんに支えて貰いながらやって来たのは駅の北口だった。
そこには1台の白いキャンピングカーが停めてあった。
その車はナオミさんのらしい。
私達はその車に乗り込んだ。
車内は広く、簡易ベッドの他キッチンやトイレといった水回りも付いていた。
ナオミさんの介護を受け幾つかある簡易ベッドの1つに腰を下ろす。
「すみません、私の補助に“あいつら”との戦闘までさせて」
ここまで来る途中で数度“あいつら”と遭遇したが、全てナオミさんが倒した。さすがに戦闘中には私の補助はおこなえないので、私は壁際で小さくなっていたが。
ナオミさんと別れた後、暫くしで自衛隊の人が救助にやって来て私たちは保護された。
そして、国から多額の口止め料が支払われ、新しい街での平穏な生活を過ごして、私はナオミさんと同じ歳になった。
今でも学園生活部のみんなとは交流がある。
みんなそれぞれ違う人生を送っていた。
まず、由紀先輩はあの後猛勉強して、学校の先生になった。
生徒からの評判も良く、”ゆきねえ”とアダ名で呼ばれているらしい。
まるで佐倉先生みたいだと思った
胡桃先輩は軍に入り、そこで出会った人と結婚して、娘を授かっていた。一度娘さんと会ったが、胡桃先輩に似た顔立ちで髪型も一緒だったから先輩をちっちゃくしたみたいで思わず笑ってしまった。
最近高校生になった娘さんが先輩と旦那さんの共通の知り合いが開いている喫茶店でバイトを始めたと嬉しそうに話していたのが印象に残った。
りーさんは
美紀も結婚して子どもを授かっていた。そして太郎丸によくにた柴犬を飼っていた。