蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH ~まだ私は、ここにいる~   作:鳳慧罵亜

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戦い ~らんせん~

サイレンと共にやってきた敵は、その武器だけでなく戦法まで人類を模倣し始めていた。

 

ヴェルシールドに阻まれるが、淡々とライフルを撃ち続けていくエウロス型。大群で空中から島を爆撃しだすスフィンクスE型。それを見た溝口たちは感嘆と呆れの混じった息を吐いた。

 

「空爆に艦砲……。上陸の下準備ってか」

 

「人間の様に攻めて来る」

 

いままで個という概念が無く、ただ数の暴力で攻撃してくるだけだったフェストゥムが人類の戦い方、所謂戦術を知って攻めてくるのは脅威だ。が、それは同時に突破口も見えてくる。

 

「ならば戦い方はいくらでもあるぞ。フェストゥム!!」

 

そう、今までは無計画に攻撃してくるだけだったので、先が読み辛かったのだが、戦術を使用してくると話は別だ

。幸いフェストゥムもごく初歩的な戦術しか使ってきてはいないため、対処だって可能だし、戦術を使うのならどうやって撃破するかも見えてくる。

 

「了解、後続のファフナー、出撃!」

 

ナイトヘーレの扉が開き巨人が動き出す。

 

Ⅴ、Ⅸ、Ⅹ、ⅩⅡ、ⅩⅢ、そして0。6体の巨人が戦場に投入され、総勢10体のファフナーが戦場に舞い降りた。

 

その中の一人、堂馬広燈はマークフュンフに乗り竜宮島に降り立つ。彼は黄金に輝く敵に見とれ、呟いた。

 

「綺麗だ……」

 

――直後、アラームが鳴り響く。

 

「え、う、うわああああ!!」

 

マークフュンフをワームスフィアーが包み込む。闇色の球体が消え、その中に在った草木や炎が全て『無』へと還って行った。だが、紫色の巨人……マークフュンフは無傷で其処に在った。

 

「い、生きてる?」

 

堂馬の声にカノンが応える。

 

「改良を重ねたノートゥングモデルだ。そう簡単にやられはしない」

 

それに続くように剣司が警告を発する。

 

「くるぞ!食い止めろ!」

 

剣司の言葉に堂馬は前を向く。其処には今まさに突進をしようとするフェストゥムがいた。堂馬は「うわあああ!!」と悲鳴を上げるが、突進の速度を少しでも緩めようと、側面から剣司が射撃を加えていたおかげでマークフュンフの専用装備、防御シールド、「イージス」を展開することができた。

 

展開される蒼いシールドはフェストゥムを受け止める。

その側面から、マークアハト。剣司が射撃を加えた。撃ち出された弾丸は僅かだったが、その少ない弾数でフェストゥムのコアを正確に破壊する。

 

その瞬間に、フェストゥムは消滅していった。

 

――――

 

フェストゥムにルガーランスが突き刺さる。展開かれた刀身から放たれるプラズマ砲はフェストゥムのコアを内部から破壊し、消滅させる。すぐさま赤い巨人は振り向き、次の敵へと突撃する。

 

「機体に内蔵されたミールのコアが、敵の力を防ぐ!」

 

赤い巨人……マークドライツェンに搭乗しているのは羽佐間カノン。ドライツェンの高機動で瞬く間に、フェストゥムに迫る。フェストゥムは攻撃を仕掛ける間もなく、マークドライツェンの間合いまで詰め寄られ、ルガーランスを突き立てられた。

 

「自分と機体を信じて戦え!!」

 

言葉と同時にプラズマ砲が発射され、撃ち込まれたフェストゥムは爆炎とともに砕け散った。

 

深紅の巨人は、まるで疾風のような速さで次々とフェストゥムを消滅させていく。マークドライに乗っていた時とは違う、常に高速で動き回り、接近戦で確実に敵を仕留める。これが彼女の本当の戦い方なのだ。

 

――――

 

「そらそらそらぁ!」

 

フェストゥムはマシンガンのように撃ちだされる赤いレーザーに次々と貫かれて、次々と消滅していった。前腕部を前に押し出すような構えを取る黒い巨人の腕からは凄まじい速度で発射されるレーザーバレットは、雨のように多数のフェストゥムを消滅させている。

 

黒い巨人、マークヌルに乗るレイ・ベルリオーズは普段からは想像もできないような笑みを浮かべて、苛烈な攻撃を続けていく。

 

側面から突進を仕掛けるフェストゥム。だが、その突進は振り抜かれた右腕の爪によって簡単に引き裂かれてしまった。

 

「この程度で、僕を消せると思うなよ土くれがあ!!」

 

技術もなければ戦術もない。ただ圧倒的な火力での強行撃破。それがマークヌルだ。

 

「フォーメーションは説明どおり、戦術指揮は剣司君がとる。僕は存分に暴れさせてもらう!」

 

指揮を彼に任せ、戦場を奔るレイ・ベルリオーズ。普段温厚な彼はファフナー搭乗時の変成意識の影響で、何時もとは全く違う姿を見せている。

 

「エウロス型……フンッ、目障りだ!!」

 

離れたところからレイフルで射撃を加えてくるエウロス型を発見したマークヌルは、

マークドライツェンに及ばないながらもかなりのの速度でエウロス型に接近する。

 

そのまま逃げようとするエウロス型を逃がさないとばかりにレーザーバレットを発射し、退路を断つ。そして―――

 

「捕まえたぁ!」

 

マークヌルの異形の右腕。その3本の爪が大きく開き、エウロス型を鷲掴みにする。刹那、掌に相当する穴から、深紅とは違う燈色の輝きが顔を見せた――

 

瞬間、巨大な燈色の閃光が奔る。その光はエウロス型のみならず、周りのフェストゥムを巻き添えにして覆いつくし、消滅させる。

 

「アハハハハハハハッ!!」

 

―――だけには留まらず、そのまま放射を続け、辺りのフェストゥムをその燈色の閃光で焼き払っていく。

 

「まだまだ。こんなんじゃあ、僕もヌルも満足しない!!」

 

レイはまた、次の獲物を求めて漆黒の巨人を走らせる。その姿はまるで、凶暴な猛獣を魅させている。

 

――――

 

空中にいるフェストゥムは島へ更なる爆撃を加えようと、島に接近する。だが、その一体残らずが、消滅していく。

 

「……もう一体」

 

空中からの狙撃で敵を抹殺していくのは、マークジーベン、遠見真矢である。

 

彼女は変成意識の影響で至極冷静になり、その集中力と射撃技能はまさにスナイパーにうってつけであった。今はその技能をさらに昇華させ、空中を移動しながら敵を狙撃する事まで、可能になったのだ。

 

その技術の高さから、今まで射程距離と射撃精度を重視していたドラゴントゥースではなく、取り回しを重視したレールガンに変更されている。

 

流石に精密な狙撃ができないレールガンでは命中精度は今までと同じというわけにはならないが、高速で空を飛び回りながら単発の射撃を連続して当てるというのは共学に値するだろう。

 

「次……」

 

フェストゥムの群れを撃破した真矢はそのまま上昇し、次の標的を求め、空を舞う―――

 

――――

 

 空を舞う敵の群れを一体の影が一掃していく。龍に身を包まれた黄色の巨人はマークドライ。搭乗者の名を要咲良。

 

彼女は、自身の体が激しい動きについていけないため、リンドブルムというファフナー専用の飛行装備を装備している。リンドブルムの火力は一級品であるため、今の彼女でも十分に活躍することができる

 

「そっちに一匹。任せたよ!」

 

咲良は、ミサイルをかいくぐり、離脱していったフェストゥムを遠見真矢に任せる。

 

「了解」

 

真矢はすぐに飛行ルートを変更しフェストゥムを追跡する。フェストゥムは多量のワームスフィアーを放出するが、一発もかすることなく真矢はフェストゥムをレールガンで狙撃していく。

 

今の彼女達はさながら、空を舞う一対の戦姫(ワルキューレ)の様であった。

 

――――

 

「マークドライツェン。ツインドッグ、いける?」

 

「ああ、もちろんだ!」

 

此処にもあの二人に負けないほどの連携を見せる者がいる。カノンとレイだ。彼等はカノンを前衛にレイが火力支援を行うという形で、ドッグを組んでいた。

 

「狙いはエウロス型。周りの雑魚は僕が消す。ドライツェンはそのまま突っ込め!」

 

「了解!!」

 

カノンは敵が多量にいる中をまっすぐに突き進む。無論カノンに攻撃を加えようとするフェストゥムはいるが、その全てが未遂のままで終わっていく。レイのマークヌルがカノンに近いフェストゥムを火力に物を言わせ、端から消しているのだ。その無骨な右腕から発せられる嵐のような深紅の雨の中、赤い巨人が疾風の如き速さで駆けて行き、エウロス型にその凶刃を振りかざす。

 

「ぬぁああああああああ!!」

 

その刃はエウロス型に武器を構えることすら許さぬまま、深々と突き刺さる。そして無慈悲に刀身は展開いていくのだ。

 

「喰らぁえええええ!!」

 

閃光が走り、爆発を起こす。エウロス型は何もできぬまま、粉々に消滅していった。




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