蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH ~まだ私は、ここにいる~   作:鳳慧罵亜

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な、なんだこれは(驚愕)

あれがルガーランスの使い方だとでも言うのか!?

第9話。いろんな意味で凄まじ方ですね。
まさに神回というべき出来だと思いました。

ザルヴァートルモデルの活躍に隠れがちでしたが真矢さんの狙撃も凄まじいですね。
あれ実際やるとしたら空中で移動するヘリからほかのヘリの操縦者を狙い撃ちするようなもんですよ。

いったいどんな難易度だと思いますか。
そして溝口さん。なにやっても死なねー(by冲方)


灯火 ~ひかり~

ファフナーブルグは慌ただしく作業が行われていた。

 

マークアハト、マークドライの2機に特戦仕様の武装を施し、さらに竜宮島西部のブロック『Rボート』へ運ばなければならないのに加え、エーギルモデルの積み込み作業もあるのだ。

 

無論それだけにとどまらず、Rボートのデナイアルミサイルも、対フェストゥム用の特殊弾頭に切り替える必要があり、本島の防衛戦力の準備もある。

 

CDCでの予測では敵の襲来まで時間はまだ多少あるとはいっても、ギリギリであることに変わりはない。

 

ファフナーのパイロット達も準備に追われていた。

 

「とりあえず、貴方たちは、改良型のアクティビオンを服用してください。あと、戦闘が始まるまでは負担をできる限り減らすように」

 

遊撃部隊を担当する剣司と防衛部隊のレイは積み込み作業が行われているマークアハトの前で話をしていた。

 

丁度剣司が乗り込むところで、レイが彼にアクティビオンを渡したところだった。

 

「ああ。サンキュな―――それにしても」

 

剣司が首筋に注射を打ち、針の痛みに若干顔をしかめる。注射器をレイに返した剣司はマークアハトを見上げて言った。

 

「まさかまたメドゥーサを使うことになるのか」

 

「ガルム-44だけでは火力不足でしょう。機動性は落ちますが、ボレアリオス付近での戦闘では特に支障はきたさないはずです」

 

剣司の言葉にレイはそう答え、「それに」と続けた。

 

「ルガーランスは現状改良途中で数が少ないですから、メドゥーサが持っていけるだけでも儲けものだと思いますよ」

 

ルガーランスは現在改良が加えられて、以前のレールガンから熱核プラズマ砲に乾燥されているのだが、現在その改良が済んでいるのはマークドライツェンが使用するものと、マークザインが使っているものだけで、ほかは全て改良のため使用不能であった。

 

「それもそうか。そうだよな」

 

レイの言葉に剣司は笑って、コックピットに乗り出した。近くの端末は既にレイが手をかけている。いつでも機体に搭載できる状態だった。

 

「きちんと帰ってきてくださいね。全員で」

 

「当たり前だ。お前等も、死んだりするんじゃねえぞ」

 

言葉少なめに、だけどしっかりと互の意思を表した2人は互いに親指を立てた。

剣司がコックピットに乗り込むと間もなくブロックシャッターが降りる。そして、直ぐにマークアハトにコックピットブロックが搭載されるのを見送ったレイは踵を返し、2番格納庫へ足を運ぶ。

 

マークヌル。人類軍によって作られた唯一のノートゥングモデル。マークドライツェンに類似した形状を持ちながら、決定的に違う右腕部。

 

ほかのファフナーよりも機械的で一回り大きく。3本の爪と掌部に空いた穴、前腕部にある3問の銃口。2年前から乗り続けた機体を見上げている。

 

「レイ!」

 

声に振り返ると、カノンが走ってくるのが見えた。視界の隅にマークフュンフのコックピットが機体に搭載されるのが見える。

 

「どうかしました?」

 

軽い笑みを浮かべてレイはコックピットの端末を操作し、シャッターを開く。これで搭乗の準備は出来、あとは誰かにシャッターをおろして機体に搭載してもらうだけ。

 

「体は、大丈夫なのか?」

 

カノンの問にレイは一瞬目を見開いたが、直ぐに「大丈夫ですよ」と答える。

 

「改良型のアクティビオンは既に投与しました。この戦闘で最後になるんですから、持たせてみせます」

 

事実として、現状は安定しており、ファフナーに登場している間は

症状も軽減できる。70分間の最大戦闘時間のうち、レイ自身は自分が動ける時間は55分と予想していた。

 

「そうか・・・・・・」

 

カノンは少し伏せたが、それも一瞬ですぐに顔を上げて口を開いた。

 

「辛くなったら、私がフォローする。だから無理はするな」

 

「はい。ありがとうございます」

 

そう言ってレイはコックピットに乗り込む。それを確認したカノンがブロックの端末を操作した。

 

シャッターが閉じ、コックピットがファフナーの下腹部に搭載される。

 

同時に、周りの空間が幾何学模様に似た空間に変わり、ファフナーとの一体化が始まる。間もなく周りの空間が変化し、ファフナー視点のブルグ内部になる。

 

視界の左下に各機のクロッシング内容が表示さる。マークフュンフとマークヌル、マークジーベンが現在クロッシング下にあり、そして、一番上に新しくマークドライツェンの表示が入った。

 

「CDCへ、防衛部隊全機、出撃準備整いました」

 

レイは、手短に司令部へ報告を行った。

 

『防衛部隊、ファフナー全機。出撃しろ!』

 

現在島の指揮を執っている溝口の声が届く。

決戦の幕は音を立てずに、ゆっくりを持ち上げられていくのであった。

 

――――

 

海上を浮かぶ空母ボレアリオス。

紫色の空とそれを写す海面に浮かぶ無人の空母。

 

凪いでいる海面に白波が立つのは、この空母が進んでいるということであり、その目標は言うまでもなくあの場所である。

 

双同船の空母であるボレアリオスの中央にあったはずの艦橋は、白いドームに覆われており、原型すら残っていない。

 

そして、甲板にはおびただしい数の真紅のフェストゥム、エウロス型が並んでいる。

並んでいるとは言っても綺麗な列をなしているのではなく、甲板の面積に立てるだけ立っているという状態だった。その数はゆうに三桁は超えている。

 

そして、中央のドームにただ一機だけ真紅ではなく、紫暗の躯体が存在していた。

 

ザルヴァートルモデル・マークニヒト。

 

かつて人類軍によって作られ、一騎と総士によってマークザインに封印されていた呪われし機体。

この存在を知っていたという彼らのミールは、2年前に消滅した北極ミールを受け継いでいるということなのか。それはもはや誰にもわからないが、言えることは唯一つ。

 

この機体は、もう一度竜宮島にその牙を剥こうとしているということだ。

 

搭乗している彼、来栖操は今まで伏せていた顔を上げた。搭乗者と機体を繋ぐニーベルングの指環は依然緑色の結晶に包まれており、開放される気配はなかった。

 

「行こう、痛みを消しに」

 

その言葉に感情はない。

 

ゆっくりと、機体がドームから離れる。金属音を鳴らし、ふわりと浮かぶ。その際に広げられたワイヤーアンカーはその形状と大きさから、悪魔の翼のようにみえる。

 

まずはマークニヒト一機、空母から竜宮島に飛び立ち、空に昇っていく。

 

それから一体、二体、三体と追従していき、最後は軍となりマークニヒトに追従するエウロス型。彼らが向かう場所はただ一つ。

 

竜宮島である。

 

――――

 

竜宮島に響き渡るサイレン。もはや聞き慣れて久しい重低音をBGMに配置についてるファフナー防衛部隊。

 

港場のマークヌルを先頭にして、海岸線の半壊したヴァッフェ・ラーデンの防壁の前に立つマークフュンフ。

 

少し下がったところの山頂にマークドライツェン。右側の丘にマークジーベンが並ぶ。

 

全4機の準備が整い、さらに防衛部隊は彼らだけではない。

 

アルヴィス内部。ファフナーブルグの4番ナイトヘーレに、焦茶色のファフナーが立っている。型式番号4番機。期待コード『マークフィアー』それはかつてこの島を守り、仲間を救い、今なおファフナーのコアとなって島を守ろうと帰還した、春日井甲洋の搭乗機。

 

無人の筈のコックピットブロックは、ブランクモードの緑色の幾何学模様に似た空間から、ファフナーの視界と一体となり、周りの空間がはっきり見える状態に移行した。

 

登場席の周りにデータのラインが表示され、出撃準備が整い、出撃許可を求めるブザーがブルグに響く。

 

「フィアーから、出撃許可の要請です」

 

羽佐間容子は椅子から振り返り、ファフナーを見つめる小楯保に報告する。報告を受けた保は、目線をわずかに持ち上げて口を開いた。

 

「扉開け」

 

その口調は、他の者達と何ら変わらぬ、ファフナーの搭乗者を、戦場にを送り出す時ものだった。

 

「マークフィアーが、出撃る」

 

――――

 

海面に浮かぶ光、それはすぐに水の弾となって海面から飛び出す。

 

爆音と共に弾ける水の弾。そして姿を現すのは最後の防衛部隊、ノートゥングモデル4番機。手に武器は持たず、だがマークアハトと同型機のフィアーは肩のハードポイントに

マークアハトと同じレーザー砲、『メドゥーサ』を装備している。

 

ブースタの噴射音を響かせてマークヌルのすぐ後ろに降りたフィアー。着地してすぐに、マークヌルはフィアーに振り向いた。

 

「こうして面と向かって会うのは初めてになるね、春日井甲洋。僕はレイ・ベルリオーズ。この防衛部隊のリーダーを務めるよ」

 

無人の機体と知ってなお、レイはマークフィアーに話しかける。無論フィアーからの返事はないが、彼には返事がなくとも良かった。

 

「初対面の人間だといろいろ不安だろうけど、とりあえず僕の指揮に従ってもらう。いいね?」

 

レイの言葉を聞いたマークフィアーは、ゆっくりと右手を上げた。了解の意思を伝えるジェスチャーだろう。それを見たレイは、ほっと息を吐いた。

 

「ありがとう」

 

話には聞いていたし、彼が島を離れた瞬間を見ていたけれど、面と向かうのが初めてな人だ。少し不安はあったのだろう。

 

丘にいるマークジーベン、真矢は微笑んでいるが、山頂にいるカノンも息を吐いていた。

 

「それじゃ、作戦開始だ。全機、合図とともに行動を開始、各機連携して戦線を維持する」

 

指示を聞いた各メンバーに緊張が走る。

 

迎撃の準備は整った。

 

――――

 

アルヴィス。真壁史彦率いるRボートでも作戦が始まろうとしていた。この戦いの行方の鍵を握る、最も大事な部隊。

Rボートの内部は、かつてL計画で使われたLボートと同じように、簡易的なCDCなどが存在している。

 

「防衛部隊、迎撃準備整いました」

 

「遊撃部隊、いつでも行けます!」

 

各報告を受け、史彦はゆっくりと椅子から立ち上がる。彼の号令と同時に、作戦は始まるのだ。そして、その作戦名は―――

 

 

 

 

 

 

            「第二次蒼穹作戦を開始する!」

 

 

 

 

 

 

皆城総士を救出し、敵と共存の可能性を手に入れるための作戦。それは2年前と変わらない。

 

簡易CDCのモニターに映像が空中投影される。

遊撃部隊ファフナーの状況、Rボートの現在地、作戦時間、ボート周囲の状況などが映し出される複数の映像は全てがこれが最後の戦いだという緊張感を引き出す。

 

島本当のブロックから、ボート部分が切り離される。

それは3年前のL計画と同じように、今度は右側のブロックが島を離れていく。

 

違うのは、このボートは囮としてではなく、生き残るための戦いに出るということだ。

 

アルヴィス本部の第1CDCでも、作戦と同時に作業が行われていた。

 

「偽装鏡面、ロムモードで維持」

 

「コントロールプログラム、始動開始!」

 

CDCのコンソールモニターに映し出されたRボートの切り離し。更新され続ける映像には徐々にしまを離れるRボートの様子が流れている。

最初は潜水艦のように海中を進み、ボレアリオス周辺の安全ポイントで浮上する。そして、甲板にでた日野美羽と彼らのミールを対話させる。

 

それがこの作戦の目的だ。

 

迫る北極ミールの欠片の一つ。彼等との最後の決戦が始まった。




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