蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH ~まだ私は、ここにいる~ 作:鳳慧罵亜
ようやく会社にも慣れてきて少しづつ各時間が取れたので更新を再開したいと思います。
とは言っても時間はかかりますが……不定期になりそうです。
筆記はできないけど構想は出来るのが唯一の救いか。
EXODUSの構想も会う程度固まってきたのでちょっとあとがきで。
では、どうぞ
竜宮島、防衛部隊の戦闘が始まった。
「全機、攻撃開始!!」
ファフナー部隊の隊長、レイ・ベルリオーズの声が各機体を動かした。
同時に現在存在する全ての防衛機構が全力で展開され、港の機関砲群が一斉に砲火を上げる。
本来、フェストゥムにとって防衛機構のミサイル群や機関砲などは、何ら障害になるものではなく、一瞬で消しされる程度の、吹けば飛ぶ埃程度のものでしかない。従って、いくら防衛機構が数を増やしたところで、モノの数秒で蹴散らされるのがオチだろう。
だが、ここに例外が存在する。
現在島を攻撃しているフェストゥム―――エウロス型は人類の兵器を模した武器を操り人類の戦術を使って戦ってくる。
高い読心能力に人類の武器。それは驚異以外の何者でもなく、通常のスフィンクス型よりもはるかに強力な個体である。が、そのフェストゥムには一つだけ、弱点が存在していた。
通常のフェストゥムを大きく凌駕する機動性、耐久力、攻撃力。それらを支える柔性に人類を模した火器。何より人類の武器であるファフナーに類似した人型の形状には、彼ら自身の身を守ってきたバリア状の防御が存在しないのだ。
人に近づいたことで、並外れた力を手にしたフェストゥムだが、それは逆説的に言うと、相対的に人の武器に弱くなったという事を示していた。
地球の外から来た驚異は、人を学び、人に近づいて力を得た代わりに人に近しくなりて人に討たれる。神話のような話だが、ここではそれが如実に出ていた。
そして、その欠点は島の防衛機構を相対的に強力にするばかりではない。無論彼女たちにも恩恵を与えてしまう。
「くらえええええええ!!!」
全身しながらルガーランスの砲撃を行うマークドライツェン。高機動による接近戦を主とするカノンだが、元軍人である彼女にとって、射撃は決して苦手な分野ではない。
後方からの機関砲による支援もあって軽快な軌道を描きながらルガーランスを突き出す。
青白いプラズマの閃光が奔るたびに、フェストゥムは消滅していく。その周囲では多数の機関砲に撃たれて、次々とエウロス型が傷つき、消滅していった。
「…………」
谷を下りながら狙撃を敢行するマークジーベンは敵のワームスフィアー攻撃を躱し様に空中へ飛翔、
新たに島の戦力として帰還したマークフィアーは、マークヌルと共に、背中合わせで敵を撃つ。
両肩のハードポイントに装備されたレーザー兵器「メドゥーサ」は依然ファフナーの装備できる中で1位を争う強力な武装だ。
単純な火力では傍らの黒いファフナーには勝てないものの、連射性能と2基同時発射という手数の多さにより多くの戦果を挙げている。
「土塊が、吹き飛べえぇ!!」
マークヌルは、その右腕「シヴァ」による砲撃で敵を駆逐する。
マークフィアーの「メドゥーサ」には連射力と数で劣るものの、その不利を補って余りあるのはその破壊力。
フェストゥムを覆い隠すほどの巨大な橙色の光柱はただの一撃で多くのフェストゥムを消滅させることができるのだ。
さらに、「シヴァ」は連射力が低い代わりにレーザーの放射をある程度持続させることが可能。
放射を維持したまま腕を振るえば、そのまま光で敵を薙ぎ払える。
隣のダークブラウンのファフナーにも負けない強力な力として、その場に黒いファフナーは君臨していた。
「行っけえええええ!!ゴウッ――バイン!!」
堂馬広登も未だ戦力としては不安があるものの、両手に保持したゲーグナーを持って応戦する。彼の本当の仕事は未だ先ではあるが、今は少しでも他の皆と肩を並べられるように奮闘するのだ。
そして、敵の第1波の大多数を撃破した頃、マークジーベンは第1波の群れを突破し、続く第2波―――本命の敵群体へ接近していた。
第2波は第1波より倍以上の群れとなって押し寄せてきている。
そして、そこに突入するマークジーベン。ほどなくして彼女はその目に紫暗の機体を捉える。
「きた……!」
視線の先には―――マークニヒトが音もなくこちらへ迫っている。その中に来栖操を乗せて。
――――
一方で、遊撃部隊の戦いも始まろうとしていた。
敵の本拠地へ接近するRボート。甲板にはリンドヴルムに繋がり、飛翔を待つマークドライ。
彼女は緊張感を持ちながらも、どこか落ち着いた表情で暗い海中を見据えている。
ファフナー出撃口にはマークフィアーと同じように「メドゥーサ」を装備した深緑のファフナー、マークアハトが鎮座する。
搭乗者の近藤剣司は目を閉じ、ともすれば寝ているのではないかという様な、リラックスした表情でそのときを待っていた。
大型ファフナーの出撃口には、竜宮島の原書にして最大のファフナー。ゼロファフナー、「エーギルモデル」がいる。
全長100mにもなる巨大ファフナーにはかつてパイロットを務めた2人の遺児―――西尾里奈と西尾暉が緊張した表情で出撃に備えている。
簡易CDCにも緊張が走っていた。もうまもなく、皆城総士が残したメッセージ。その中にあった敵本拠地の現在地へと到達するのだから。
「GOAL AREA」と表示されたピントへ自らを示すRボートの印が迫った時、レーダーを目を凝らしていたイアン・カンプは言葉を発した。
「―――予定地点に敵影なし」
Rボートのレーダーには、何も写されてはいなかった。周囲に少なくも動揺が走る。左の席に座っていたジェレミーがイアンの方へ不安げな顔を向けた。
「もし航路が間違っていたら、島が―――」
そう、この航路が間違っていて、敵の本拠地が別の場所にあったとしたら、作戦の前提が覆される。
レイが予測した最大戦闘時間は70分。現在時点で出撃から80分。戦闘開始予測時間からは30分が経過していた。
CDCの全員に動揺が走ったその時―――
「魚雷用意」
一切の不安も動揺も感じさせない、堂々とした声が聞こえた。
CDCの全員がその声のほうを向く。声を発したところは中央―――真壁指令であった。
「真壁指令!」
イアンが思わず声を発したが、真壁史彦は意に介さずに海中を見据えながら言葉続けた。
「皆城総士が我々に託した情報だ―――」
そう、この情報は皆城総士、かつて全ファフナーを統括し指揮を行っていた少年が託したもの。
島の未来のために、仲間を切らねばならない己に苦悩したあの不器用な少年が託したものなのだ。
「―――必ず何かがある」
何を疑う余地が有るのだろうか―――真壁文彦はその瞳も、声も揺れることもなくそう締めた。
「「―――はい!」」
その言葉を聞いたイアンとジェレミーは、不安を飲み込み、強く言葉を返した。すぐに自らの向きを直しコントロールパネルを叩く。
「前部魚雷発射管、準備完了!」
「発射!」
真壁指令の支持により程なくしてRボートから多数の魚雷が順次発射される。
魚雷の群れは数多の筋を作りながら真っ直ぐに深海をすすむ。
その様子はCDCのレーダーにも克明に映し出されていた。魚雷を示すサインが「GOAL AREA」に接近する。その様子をあるものは険しい表情で、またあるものは息を呑み込んで見守った。
魚雷を示すサインが「GOAL AREA」を表すサークルの経線に触れるその時―――
「ソナーに反応!魚雷が何かに衝突、起爆しました!!」
CDCのクルーの1人が声を張り上げ、その場の全員に情報を伝達した。
その瞬間、「GOAL AREA」と表示された地点に、戦艦規模の反応が現れる。
順次発射されていた魚雷の後進が今度は「GOAL AREA」の戦艦の反応に接近する。
今度は反応に触れる直前で全ての反応が消失した。
速やかにジェレミーが反応した戦艦の照合を開始する。結果はすぐに現れた。照合の結果が空中ディスプレイに表示される。
「照合、人類軍空母「ボレアリオス」!!」
続けてイアンが空母を解析した情報がディスプレイに表示された。それは驚くべき結果だといえよう。何故ならば―――
「偽装鏡面にヴェルシールド……!」
「竜宮島の防御システムを……っ」
そう、これら全ては竜宮島の防衛機構だった。レーダーに反応しなかったのはあらゆる波を吸収する偽装鏡面があったからなのだ。そして鏡面自体にも多少の防御力はある。最初の魚雷が鏡面を破壊し鏡面が剥がれ、続く魚雷が空母に直撃する前に、敵はヴェルシールドを張り、魚雷から身を守ったということだ。
その事実を聞いた史彦は納得したような表情で呟いた。
「我々から学びながら侵略者になったか……進路維持、ファフナー出撃用意!!」
今までの島への攻撃はこのためでもあったのかと、納得しながらも彼は指示を飛ばした。
「敵シールドまで、距離200」
CDCから情報が伝達され、文彦は新たに指示を発する。多少予定とは食い違うが、作戦通りに事を進めるだけだ。
「ゼロファフナー。出撃!!」
大型ファフナー出撃口が開き、内部に海水が流れ込み一瞬で出撃口は快ついで満たされた。
同時に出撃口内部の空気も気泡となって放出される。
その気泡の中から桜色に光るカメラアイが映る。
気泡が消えた後に残ったのは甲板に直立する水色の巨躯であった。海中に紛れる水色の巨体は直立した姿勢から、背中のサイレーンド装備を起動。気泡を後ろに吹き出しつつ前傾姿勢で出撃する。
その巨体にしてはなかなかの速度で懐中を進む様に、今まで後ろで待機していたマークドライ、搭乗者の要咲良は思わず口を開いた。
「まった凄い迫力ねぇ」
思わず頬が緩むが、すぐに引き締める。自らの仕事はまもなく始まるのだから。
懐中を進むゼロファフナー。程なくして2人はヴェルシールドの目の前まで来た。
両腕を突き出して、シールドに触れる。マークヌルと似た形状の手のひらから橙色の光が漏れ出しシールドを侵蝕、突破を試みる。だが―――
「破れない……シールドと波長を合わせろ!」
「理解ってるわよ……!」
敵ながら、ヴェルシールドの強度は島の物とほとんど同一のものであった。
だが、2人は既にシミュレータで島のシールドを突破する訓練を受けていた。
ゼロファフナーの両肩の大型フィンが開き、内側の小型フィンが展開する。すると、大型フィンの内部が光り出し、両掌の光も輝きを増す。
その直後、ヴェルシールドが強く赤光し、激しく波打っていく。同時に掌とシールドの間から気泡が溢れ出した。
激しさを増すシールドの波紋は、ついに臨界に達し―――
―――バシュンと音を立てて、手のひらの部分から広がるように消滅した。
そして、そのままゼロファフナーは敵空母へ接近する。
「敵シールド突破!」
「マークドライ出撃!T1からT3発射、雷撃支援!」
その様子を観測していたイアンはすぐさま情報を伝達する。その情報を聞いた指令はすぐに次の支持を発した。
対フェストゥム用の特殊弾頭を搭載したミサイルが順次発射される。その音をバックコーラスにマークドライは甲板から発艦、急速に海面へ浮上した。
海面に近づく影を見つけ、接近するエウロス型。マークドライを浮上前に撃破するために海面に銃口を向ける。だが、その砲口は火を吹く前に黒い球体に飲み込まれてしまった。
海面から飛び出たミサイル群は自動でフェストゥムを探知し、襲いかかるASミサイル。
破壊力も高く、エウロス型のフェストゥムを1発で消滅させていく。
海面から飛び出したマークドライは直ぐに大型ミサイルを全て空母へ向けて発射した。
ミサイルは空母へ迫り、直撃すれば激しい爆煙を上げる。それを尻目にマークドライは空母の周囲を旋回する。
直後、海面から巨大な手が浮上、空母の甲板を掴む。甲板は機体の握力と重量に負け大きく凹むが、空母自体は傾いたり沈むことはない。そして、巨人が海から浮上しだした。
大量の飛沫を上げ、節々から海水を滝のように滴らせながら、ゆっくりと巨体は空母へ乗り込む。空母の片側に立ち、両腕を眼前へ掲げる。すると、両腕の至るとことから子窓が開き、球状のレーザーパレットが姿を現した。
直後、数多の真紅のレーザーがゼロファフナーを中心に発射された。
マークヌルが参考にし開発された右腕部を遥かに超える強力な暴威となってエウロス型のフェストゥムを攻撃する。
その1撃はフェストゥムを容易に撃破せしめ、弾幕のように絶えることなく発射される様は正に圧巻の一言に尽きよう。
その様子を見ていた咲良も思わず「すっご……」と感嘆するほどであった。
だが、ゼロファフナーはあくまで陽動。本命はこれから出撃する彼にこそある。
「マークアハト出撃!雷撃支援!」
真壁指令の指示で出撃するマークアハト、そしてその新緑の機体を追い越す魚雷群。
魚雷は空母艦艇中央に直撃し爆炎を上げる。そこに巻き込まれたフェストゥムを消滅させ、艦上のマークドライ、及びゼロファフナーによる陽動の影を縫ってマークアハト空母の中に乗り込んだ。
「さあて、っと」
そして、中央のドームへの入口へ「メドゥーサ」を発射、扉を破壊し内部へ侵入。中央には青白い光の柱が存在し、その上部にはエメラルドカラーの結晶――ミール本体が存在していた。
それを視認した剣司は両手に保持したライフル「ガルム‐44」を発射する。
彼の役目はこの中央部分の破壊だ。とは言っても明確な破壊目標はなく、ミール結晶を傷つけないようにして手当たり次第に爆砕する。それが剣司の役目。
これによりミールの注意を可能な限りこちらへ近づけ、Rボートと島の防衛戦力への危険をなるべく減らす狙いがあった。空母周囲のフェストゥムはマークドライとゼロファフナーが引き受けてくれる。
ミール本体の真下、青白い光柱に囚われている存在、マスター型フェストゥム「ニョルニア」はマークアハトの攻撃を見ながら、そのときを待っていた。だが、剣司はその存在に気づくことなく攻撃を続行する。
だが無論、この行動はミールの危機感を煽り、ある行動の引き金を引く。
襲われているミール本体から光が放たた。するとドーム頂上から、白い渦が現れ、上を目指して螺旋を形作る。それがある程度の高さまで来ると、今度はミールと同じエメラルドカラーの結晶の柱が空へ向かって伸びた。
光の輪を放ち、オーロラを散らしながら宇宙へ1直線に伸びる結晶の先端はまるでボーリングのように歪なドリル状になていた。
その様子を映像としてCDCは確認していた。
「空母上、敵ミールに起因すると思われるフィールドの発生を確認!」
それを見ていた文彦はいよいよか、と表情を引き締めた。
「日野親子をここへ呼んでくれ」
その指示を聞いたイワンとジェレミーは真壁指令の方へ振り向き、顔を見合わせた。
それは他のCDCのスタッフたちも同様、その指示を聞いた各々はこれから始まる事へ、多少なりともざわついた。
お互いの存在を賭けた対話が、始まろうとしているのだ―――。
感想、評価、お待ちしています。
さて、前書きでEXODUSの構想について触れましたが、大きく分けて2つの構想がありまして
①レイ、島に残る。
②レイ、遠征組に入る。
この2つの構想があります。現在はどっちを選ぼうか迷っていますが、これが完結する頃には決めたいと思います。
何かしら意見、疑問等ありましたら感想欄にください。お待ちしています。