真剣でオラに恋すんの?GT   作:縦横夢人

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 あけましておめでとうございます!
 いや~ついに年が明けましたね、これからもジャンジャン更新を……え?2015年始まったのは一ヶ月前?
 え?この小説、前話から三ヶ月も過ぎてる?
 ……ふっ、大人になれば時間なんてあっという間だったよorz

 とりあえず今回は説明回と新ヒロイン登場で我慢してください。
 本当にすいませんでした(真剣あやまり)


第16話

 

 

 

「ふっ、ほっ、たぁっ!!」

 

「おっ、よっ、ほいっと!」

 

 九鬼家にある中庭兼訓練広場。そこには紋白と悟空の毎朝よく見る姿があった。

 

「くっ、えぇい、このっ、いつもいつも、ちょこまかと!!」

 

「おっと、へへっ! お~にさん、こっちら、べーろべーろ、ばぁ~!」

 

「ムキ―ーッ?!!!?!?」

 

 ……まぁ、これもいつもの光景である。

 

 

 

 さて、あの後話をしよう。

 

 裏道タワーでのテロは、負傷者は少数いたが死者0名という奇跡的な数字で幕を閉じた。

 

 表では裏道家の噂を聞きつけた九鬼家が潜入し、これを一網打尽。何とか退けようとした頭首――裏道切道が最終手段として自爆しようとしたが九鬼が完全制圧。裏道家は頭首含めそれに関与していた部下並びに企業の多くが御縄に付いた――そんな朝の一分少々のニュースで報道されていた。簡潔に報道されているが、元々川神はあらゆる奇人変人の現れる場所であり、そんな事件も日常茶飯事と思われている。また裏道家は表世界で目立たないようにと中小企業の皮を被っていた会社だ。名の知らぬ企業より九鬼のビッグネームのほうが大きく、一般人に「あぁ、また九鬼か」とBUSHIN&KAWAKAMIと並ぶ認知力として伝わっている。いや、海外にも進出している九鬼の方が世界中に多く取り上げられているだろう。

 ただその報道映像の際、チラリと映った切道の顔は最後まで笑っていた。多くの人間が狂者の末路と認識していたが、それの本当の想いを理解した少数の者にはどこか、先の見えぬ暗い道から抜け出した子供のように、晴れやかな顔に感じたそうな……。

 ここで裏での話になるが、裏業界で名の知れた裏道がその名を消し、意外とてんやわんやだったらしい。まぁそれもそうだろう。長年裏では橋渡し役として多くの取引に関わっていた裏道とその関係者が消えたことで、他の企業への取引手段が大幅に削られたのだ。九鬼では現在それを利用して大物を大量にFishしているとかなんとか、ヒュームが楽しそうにしているのが印象的だった。

 

 などなどなど事件の方は九鬼家の力によっていろいろ情報を規制できたのだが……いよいよ核心の話に入ろうと思う。

 

 あの時、龍が飛び立って空へと消えていく幻想的な奇跡に心奪われていた五人。それから一番に現実へ戻ってきた紋白が龍が生まれた場所へと振り向けば、先ほどまでいた赤い衣の戦士の姿はいつの間にか消え、元のちびっこ姿のの悟空が瓦礫の山の中心でポツンと立っていた。その顔にはいつもの笑みが浮かんでいた。

 思わず目を真ん丸にしてごしごしと二度見してしまったのも悪くない。夢を見ていたような気分だったが、あれは現実だったと証明っするように夜の星空が瞬いていた。

 

 その後全員が悟空にさっきのはなんだったのかと説明を求めたが、未だ崩壊の危機にあるタワーからの脱出を一番にして走った……それはもう悟空が瞬間移動できるのを忘れるほど全力で。

 今までもったことが奇跡だったのか、それとも先程の余波の影響か。どちらにせよ遂にタワーが限界にきたようで、瓦礫の雨を駆け抜けた。最後は壁を蹴り破って何とか脱出できたが、あと5秒でも遅かったら晴氣と一緒に生き埋めにされていただろう、とある意味こちらも奇跡だっただろう。

 

「たはは、やりすぎちった……」

 

 頭をかきながらそんな「テヘペロ☆」と思わせる仕種にアポォウ!!とチョップを見舞った紋白にその場の全員が心の中で拍手喝采を送っていたのはまた別の話。

 

 兎にも角煮も砂糖にも、そんなこんなで無事全員生還し、治療を終えてからクラウディオ含めて人払いしてもらいさて説明してもらうぞコノ野郎と悟空を囲んでのOHANASHIが始まった。最初こそ何か隠すようにして話していたが、何とその嘘のわかりやすいことか(泣)。わたわた目を泳がせて笑って誤魔化すという悟空全力の嘘は30秒と持たなかった。

 駄菓子、答えは出てこなかった……いや『わからない』という答えがわかった。渋々話すことを決めた悟空だが、その説明の何と下手なことか(泣-part2)。

 

 

 

 だがこれには悟空なりの考えあってのことである。悟空自身にも少し自覚のあることだが、彼には理不尽な悪意を引き寄せてしまう運命――所謂悪運が付きまとっている。

 彼という存在はある意味奇跡である。だがそれゆえにその奇跡を起こしを形作るための事象がその世界へと落とされてしまう。

 彼は正義を名乗るつもりはないが、英雄と呼ばれる存在だ。だがその英雄は一人でなれるものではない。

 

 そう、英雄という“正義”には、”悪”と言う相対者が必要である。

 

 世界征服を目指す軍の支配者。

 若返りを目指す魔族。

 弱肉強食を生きる誇り高き同族。

 不老不死を目指す宇宙一の最悪。

 完全無欠を証明する科学の怪物。

 純粋故に全てを染め奪う純粋悪の魔人。

 奪いつくされた星の怨念によって生まれた機械生物。

 星と星の科学を融合させた超科学の人物。

 ――そして、彼ら自身の願いという欲望によって闇に染まったの龍神達。

 

 これらの者達と闘い、勝利し生き残ってきた。だがそれがまた新たな争いの火種を呼んでしまった。

 故に今度こそ……と。この世界に自身の争いを持ち込みたくなかったのである。

 

 

 ……とまぁかっこよく言ってみたが、悟空が説明下手ということには関係の無いことである。その思いを汲み取ることが出来るには長い付き合いが必要だろう。

 

 結局その内容から何とか読み取れたのは、ここにいるほとんどが聡明な頭脳の持ち主だったからであろう。……まぁ、頭脳の無駄遣いだが。

 それでもわかったことをまとめると

 

「ちょっと遠いところ(別世界)から来た」

 

「これでもそれなり(宇宙一)の武術家である」

 

「俺にはあと5回の変身が残っている(笑)」

 

 ということであった。

 これではどこぞの宇宙人(今度復活しそうな……メタ略)みたいであるが、超人やKAWAKAMI人がいるこの世界においてもぶっ飛んだ内容であったためさすがの聡明な者達でも頭を悩ませた。

 

 結局のところ、この中で一番付き合いの長い紋白が言った「悟空だから」という言葉に全員が何度も頷いたのはご愛嬌。ぶっちゃけ疲れたから。

 

 

 

 

 

 現在に戻ってみれば、先ほどよりもリズムを上げて悟空と紋白の拳が交わされる。

 出会った頃から続く変わらぬ光景。しかし出会った頃と違って変わったことがある。それは――

 

「ふははは! 元気におはよう 我 参 上 !」

 

「きゃるる~ん☆ 朝早くからご立派です英雄様ぁ~☆」

 

 バンッと壊れそうなほど全快に開けられる。九鬼家本館へと続く中庭のドアから登場したのは、変化その“1”九鬼英雄と忍足あずみ(その“2”)である。

 毎回後ろで紙吹雪を降らせ悶えるあずみはさておき、以前には会うことさえ稀だった英雄が自分から進んでこの朝練に参加したのである。

 以前の英雄は姉の揚羽と自分の武の才能の差を感じて早々に経営の道に進み始めていた。護身程度には武術を習っていたが、それよりも勉学の時間の方が圧倒的に多かったのは確かだ

 だが今回のことで自身が習っていた護身術が護身でさえなかったことを思い知らされたので今一度鍛えなおそう。何せ我は九鬼英雄、英雄(ヒーロー)たる者常に己を磨かねばならぬからな、フハハハ!……というのが英雄自身の言であり、また従者達にとってもそれが建前であることは周知の事実だった。

 何故なら彼の瞳にはただ漠然と燃えているだけだった赤い炎よりも、確固たる目標を見つけ目指すための“覚悟”と言う青く純粋な炎が宿っているのだから。

 そしてその目標を超えるために、あえてその者に教えを乞い、向き合うのだ。

 

「フハハ。次は我の番であるな悟空!」

 

「おう! んじゃ、いっちょやってみっか!」

 

 英雄がビシッと指させば、悟空がクイっと手で招く。二人は嬉しそうにニヤッと笑い、それをゴングにして英雄が悟空へと飛び掛かった。

 交わることがなかった二人が今こうして向かい合い、お互いのためだけに拳を合わせる。あずみから差し出された椅子に腰かけながら見るその光景に、紋白は二人と同じように笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

「ハッ、ホッ、――――――ぁぁぁあアチャーーッ!!!!」

 

「ほっ、はっ、ていっりゃ!」

 

 拳を打ち合い芝生を踏み鳴らし、タメを作るためにお互い離れ一呼吸ついた時、不意に英雄が笑いを溢した。

 

「ッハハハ! やはりお前は強いな悟空!」

 

「そっかー? オラもまだまだだと思うけどなぁ~。それにオラには|これ(拳)しかねぇしな!」

 

「ククッ……いいや悟空、お前は強いさ。力も――」

 

 ――“心も”――

 

「?……そっかぁ? 

 ん~やっぱ何かわかんねぇけど照れるなぁ~」

  

「ふっ、そうであるな。

 ……では、仕切り直してもう一度ゆくぞ!!」

 

「おぅ! バッチこい!!」

 

 言葉を切り朝独特の静寂だけが残る。そして次の一呼吸でお互いの拳がぶつかり合う……前に、またまた新たな声が割って入った。

 

「フハハッ! 天から元気に 我 降 臨 !」

 

「ついでに私も空元気です……天から元気に……空元気…………Goodです」

 

「私もいますよ……って予想以上に高ぁああああぁァァア揚羽様アアァアァァァ――――プげらっ?!」

 

 これまた良く響く笑い声で登場したのは変化その“3”九鬼揚羽、変化その“4”李静初と相変わらずのお約束、《|武田 小十郎(たけだ こじゅうろう)》が頭から地面へ落ちていた。

 

 あの事件の後、揚羽も英雄と同じく自身の武に未熟があると教えられ、一から鍛えなおすことを決めた。それに合わせヒュームの師事する一方、悟空との組手も鍛錬に取り入れられたのだ。

 ただ悟空には簡単に了承をもらえると思っていたが、まさかヒュームからも許可を出してくれるとは思わなかった。最悪ヒュームが離れたときに内緒で会おうと思っていたのだが、とっくに読まれて問い詰められ素直に白状すると――。

 

『ふむ、ちょうどいいかもしれん。私も少し用事で九鬼家を離れることが多くなるでしょうから、自主練と言うことでなら許可しましょう。』

 

 と言ったのだ。

 以来同じ考えだった英雄と共に頼み込み、九鬼の仕事と併用しながら鍛錬に参加している。

 

「おお、おはようございます姉上!」

 

「ふぅーーーーっ・・・・・・フハハ、おはようございます!」

 

「おっす揚羽!それに李と・・・・・・おめぇは相変わらずだな小十郎。よっと!」

 

 キュポンっ

 

「っぷはぁ~。あ、ありがとうございます悟空様。よい――」

 

「これくらいの高さで何を埋まっておるか、この軟弱ものがぁーーーー!!!!」

 

「――しょっ、精進致します揚羽様ああぁぁぁぁーーーー……(キラン)」

 

 そしてこれまたお約束通り揚羽にぶっ飛ばされる。……彼は星になったのだ(遠い目)。 

 

「フハハ、小十郎は相変わらずであるな。ところで姉上の下での生活はどうだ李よ?」

 

「はい、すこぶる順調です。それはもう掘り返すほどに」

 

 李とあずみもあの事件の後、揚羽から正式な依頼とともに専従として雇われていた。まぁしかしそれもヒュームの“ちょっとした教育(・・・・・・・・)”でいつの間にか冥土従者となってしまっていたが……。

 まぁ元々二人とも九鬼家に隷属する気持ちでいたので従者になれたのはよかったのかもしれないが、メイドにまでなる予定はなかったとは本人たちの談。

 ――因みにあずみのキャラだが、一度やっちまったからには元の調子に変えると英雄に嫌われてしまうかもしれないのでそのままで行くらしい……。

 

「あはは、李も相変わらずですね~☆ (おい、もしかしてすこぶるとスコップを掛けたつまらんダジャレを英雄様にきかせたんじゃないだろうなぁ~、ああ゛ん!?)」

 

「えぇ、あなたも相変わらずでなによりです。できればもっとこう採点を優しくしてほしいですが」

 

 お互い表面上は笑顔と無表情であるが、あずみの指で作られたピースと○のサインに内面の顔は面白いほど真逆であった。

 

「ところで小十郎は飛んでっちまったけど大丈夫なんけ?」

 

「ふん、心配せずともどうせ何時ものようにひょっこりと戻ってきよる。あとでまた相手をしてやれ。

 ……それよりも、次は我とだな。存分に手合わせ願おう」

 

「おう、始めっか!」

 

 さすがにこの二人だと周りにも被害が出るかもしれないので残りの四人は離れた場所の縁側へと座り見学する。これからの組手は紋白と英雄だけでなくあずみと李にとっても学ぶことの多いものとなる。故に二人は主達に許可を頂いたうえで横で観戦。

 悟空は軽く自然体に、揚羽は適度に緊張を維持した状態でお互い構える。それだけで空気がピリっと弾けた。

 お互い心に渦巻く感情を止められない。自然と口角が上がっていた。紋白や英雄たちとの組手も教える側として楽しいが、揚羽との組手は戦士としての部分が交ざってくる。

 つまる所、これは戦う者特有の“戦闘狂(バトルジャンキー)”と言う病気である。

 そしていざっ、

 

「――大変恐縮ながら失礼させていただきます」

 

 …………というところで、悟空の後からの声が停止を呼びかけた。

 もちろん止められた側はいい顔をせず、揚羽は眉を顰めながらもその人物に声をかけた。

 

「……なんだクラウよ、これからがいいところなのだ、重要な案件でなければ下がれ」

 

「いいえ、これは重要な案件でございます」

 

 少し言葉に冷たい棘が入ったがクラウディオの表情は何時もの穏やかな顔からは想像できないほどで、冷たいを通り越して無表情だった。

 何が彼をそこまでさせるのか。仕方ないと溜息を吐きながら構えを解く揚羽に頷きながらクラウディオは悟空と向き合う。流石の悟空も冷や汗をかいて構えを解く。と同時に嫌な予感が走ったのか若干後退りしていた。

 

「……悟空様、私はおっしゃいましたよね?」

 

「えっ、えへへ……なっ、何が?」

 

「……しらばっくれてるとは、いけませんねぇ~」

 

 クイっと眼鏡を光らせたクラウディオ。後ろにゴゴゴゴ聞こえてきそうな圧迫感はこの世界で紋白に次いで二番目に怖かったかもしれない。そのまま懐に手を伸ばし、それを広げた。

 そこには――

 

『猿にもわかる、ていおうがくのす・す・め☆ドリル』

 

 と書いてあった。

 

「い゛ぃッ?!」

 

 

 

「    」

 

「    」

 

「    」

 

「    」

 

「    」

 

 冷たい風が一つ、葉をさらっていった。

 

 ついでにページが真っ白であることも証明していった。

 

 

 

「…………あぁあっ!!!? それ昨日が〆切の宿題ではないか!!!!!」

 

 一番に理解したのはもちろん紋白。何せ昨日散々に確認をとろうとしていたからだ。だがそれを訪ねようとする度に悟空は従者やメイドたちの手伝いで忙しかった。

 

「そうか、そのために昨日はあんなに手伝って避けてたのか……」

 

 あぁ納得いった、そうかそうかと紋白は俯きブツブツと繰り返す。ぶっちゃけ髪で隠れた目が光って怖い。それにいつの間にかクラウディオの隣に立っているし。

 悟空は周りを見回す。揚羽たちはもう傍観する気で助ける気はない……というか自業自得である。

 ならば一時撤退をと思った瞬間にはクラウディオが後ろにいて、鋼糸で体をグルグル巻きにされていた。

 

「わっ、ちょっ、たんまタンマ!!!?」

 

「クフっ、クフハハハ!

 王の判決を言い渡す――――有罪(ギルティ)

 

「というわけですので悟空様、お覚悟を……」

 

 陸に上がった魚のように必死の抵抗を試みるが、現状はまさにまな板の鯉である。じりじり迫る紋白はコハー怪しく目を光らせ、クラウディオの両手はいつの間にかパイ投げをするかの如く大量のドリルが載せられていた。

 いくら悟空でもこの頑丈で細い鋼糸では力付くでやれば逆に自身の身体を傷つけてしまうだろうし、瞬間移動も行き先は我々を除けば帝とヒュームくらいだろう。そこにはもうクラウディオが手配しているらしいので大丈夫。

 これでもう逃げることは出来ない。完璧だ!!……と思っていたのだが。彼らは知らない。

 

「し、仕方ねぇ。これを使うしかねぇか……」

 

「む、クラウディオ! 何かする前に止めろ!!」

 

「はい!」

 

 そうして一足で近付いたクラウディオだが、それが間違いだった。

 

「むむむ~っ『太 陽 拳(弱)』!!!!」

 

「っくぅ?!」

 

「うぉ、まぶし?!!」

 

 近くにいたクラウディオと紋白はもちろん、遠くにいた揚羽達の目も悟空から放たれた光に手で覆ってしまった。

 そして次に目を開けたときには、クラウディオの鋼糸だけが地面に残っていた。

 

「あーまぁ、うん。逃げられてしまったな」

 

「うむ、……頑張れ紋白」

 

 思わず頬を掻く揚羽とポンと肩をたたく英雄が励ますように言うが、同時にプルプル震える紋白の姿に『あ~あ』と呆れのため息が出た。

 

「悟空の……悟空のっ、バカァアァァアアアアーーーーーーッ!!!!」

 

 青空に乙女の怒りが響き渡った。

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫?」

 

「ふぅ、いや~助かった助かった。サンキューな小雪!」

 

「?? 何かわかんないけど、どういたしまして! えへへ~」

 

 変態大橋から少し離れた場所の河川敷。九鬼から瞬間移動で逃げてきた悟空が頭を撫でる先には九鬼以外で初めて出来た繋がりある友達、榊原小雪の頭を撫でていた。

 

「ねぇ、ねぇ! 今度はどんな“しゅぎょー”するの?」

 

 悟空は初めて出会って以来小雪とたびたび会っており、紋白たちと同じように一緒に修行している。小雪的には“しゅぎょー”と称した遊びだと思っているし、何より初めて出来た友達なのだ。まだ幼い体で多少つらいことがあってもそれ以上に誰かと一緒にいることが嬉しく、楽しかった。そんな小雪が悟空に懐くのに時間は要らず、後ろをアヒルのように着いて回っていた。

 

「ん~そうだなぁ~……うん、決めた!」

 

「なになになに?」

 

「疲れたから寝る!」

 

「……ん??……えぇっ、ねちゃうの?!」

 

 遊ぼうよ~と悟空の左腕に引っ付いて揺らす小雪に、悟空は優しく説明する。

 

「いいか小雪? ずっと修行ってのもいいかもしんねーけど、休憩ってのは大事なんだ。おめぇの頭はまだ遊びたいって思っても体の方はぜってぇ疲れが残ってんだ。体が重くなるのは体からの“大変だぞ!”ってサインなんだ。そんな状態で修行してたら強くなるどころかケガしちまうかもしんねぇ。

 だからよく遊んでよく食べてよく寝る! これはオラの師匠の≪亀仙人≫のじいちゃんの受け売りなんだ」

 

「む~~……」

 

「まぁなによりも――」

 

「? わわっ!?」

 

 倒れる悟空の手に引っ張られ一緒に土手に倒れ込んでしまう。下は芝生ほどではないがそれなりに雑草が生えており、ところどころチクチクしたが二人の身体をやわらかく受け止める。

 自然と距離は縮まり、お互いの鼻が触れそうなところで目を開けば、彼の瞳の中に自分が映る。不思議と胸が高鳴った。

 

「こーんな天気がいい日に外で昼寝しなきゃ、お日様に失礼だろ?」

 

「……うん!」

 

 ニカっと笑う悟空の顔を見た時、小雪はお日様以上の熱さを感じた。同じようにぽかぽかして暖かいのだが、じーっと見てると熱がどんどん上がっていく。ドキドキ鼓動が早まり顔が真っ赤っかになるほど熱かったが、不思議と悪い気分ではなかった。

 小雪は掴んでいた手をそのまま絡ませて嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

「ぐぅ~……かぁ~……ぐぅ~……っんんぅ、…………ん?」

 

 お日様がさようならと手を振る夕暮れ時。風に頬を撫でられた悟空が目を覚まし、体を起こして伸びをしようとする。が、しかし身体に違和感を感じた。

 

「すぅ、すぅ……」

 

 左を見る。先程まで一緒に寝ていた小雪が悟空へと温もりを求めるよう体を寄せ、安心したように頬を緩めている。

 

「Zzz…………」

 

 右を見る。同じように寒さを感じたのかオーバーオールを着た青い髪の少女が悟空へと身を寄せて頬を緩めた。幸せな夢を見ているのかにゅふふ~と嬉しそうにも口を動かしてる。その様子から何処かポワンとした雰囲気を持っている。

 

「……あり?」

 

 全くの見知らぬ赤の他人が隣で寝ていたのだ、思わず首を捻る悟空を責める者はいないだろう。

 

「んっ、はほわあぁぁ……んん~……あれ? だ、誰その子?」

 

 起きたのを何となく察したのだろう、一つ欠伸をして起きた小雪も悟空の隣にいる見知らぬ少女に元来の人見知りを発揮し悟空の背にサッと隠れた。

 

「んふふ、あったか~い……んん~?…………ほぇ?」

 

 すると連鎖するように青い髪の少女がごしごしと目を擦りながら起き上がる。まだかなり眠そうだが、擦った後もそのままなので閉じているような目は元々のようだ。

 

「?? あれ、君達は~?」

 

「おめぇこそ誰だ?」

 

「あ、そっか~。お散歩してたら~君達が気持ちよそう寝てたから~何か私もおひるねしたくなっちゃったんだ~」

 

「おぉそっか! こんなに天気がいいと眠くなっからしかたねぇや」

 

「うん。そうだね~。お日様もさびしいもんね~。けど今日は何かいつもより気持ちよく眠れたな~」

 

 微妙にかみ合ってない会話だが、天然+天然ではがっちり歯車がかみ合うようだ。

 うんうんと頷く悟空をじっと見る少女。どうしたのかとまた首を捻る悟空にかまわず少女は見つめ続け、やがて納得したのか嬉しそうに笑った。

 

 

 

「お日様もあったかいけど、君もあったかいね~」

 

 

 

『お~い、辰姉ぇ~!』

 

『どこいったんだい、全く!』

 

『またいつもの様にどっかで寝てんだろ……』

 

 土手の向こうから声が聞こえてきた。

 

「あ~皆が呼んでる~」

 

 少女はそういって立ち上がり、眠気が残っているのかふら付きながらも土手を登っていく。

 だが途中でピタリと止まり、こちらに振り向いた。

 

「んん~……ねぇ?」

 

「ん、何だ?」

 

 

 

「また、一緒にお昼寝してもいい?」

 

 

 

 尋ねられたときに?薄く開かれた瞳を見て、悟空が何を感じたかわからない。

 だがかれはそれに答える前に、後ろに振り向いた 

 

「なぁ小雪、おめぇはいいか?」

 

「へ? う、うん。ボクはかまわないけど……」

 

 小雪自身、彼女に対してはまだなんともわからないのでどう答えれば良いのか迷ったが、悟空の顔を見て自然と頷いていた。

 

「いいってさ!」

 

「そっか~。でも、キミは?」

 

 

 

「んなの聞くまでもねぇさ、もう友達だろ?」

 

 

 少女の目が少し大きく見開かれたが、やがて嬉しそうに頷く代わりに目を閉じた。

 

「……ん、そっか。ありがとう。

 じゃあ、またね~」

 

「あ、その前にオラからも聞いていいか?」

 

「ん? なぁ~に?」

 

「おめぇ名前は?」

 

 

 

「私は板垣、

 

 ≪板垣 “辰”子(いたがき たつこ)≫だよ~」

 

 

 

 

 

 この日、≪龍≫を関する者達が出会い、新たな友達になった。

 

 

 

 

 

 




燃えた、燃えたぜ……真っ白にな…………。
という感じでオリジナルストーリーだけでこんなんなってた。
信じられるか? これ、まだ序章に過ぎないんだぜ?

しかし次回は皆さんお待ちかねのバトル回!!
遂にあいつが孫悟空に牙を向く!!……全部呼んでくれてる皆さんなら、わかりますよね?
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