あの日…あの人が助けにこなかったら今私はいないでしょうね
男の子と私より年上だと思う女の子…
いつか…お礼を言いたい
…それと謝りたい
私が生まれてきてごめんなさいと…
刃…使い方を間違えれば
タタタタタタタッ
タタタタタタタッ
2つの走る音が、深夜の暗闇に溶け込むようにその場に鳴り響いていた。
人間、人々の住む街の直上には幼く見える少年と和服に身に纏い髪の長い少女が見えぬ物を踏みしめて走る。
「やっぱりご主人様は凄いニャ。 結界にこんな使い方があるなんて」
「色々な試行錯誤に応用…」
少年と少女は、少年が生成する結界を足場に変えて自分達が進み方向に伸ばしていた。 その為に地上から高い場所での移動は、障害物が存在しない為移動が楽になっていた。
「ご主人様、今日はあの場所に行ってみたいニャ。 もしかしたら手かがりがあるかもしれないニャ」
「わかった…明日は学校休みだ。 少し長めに探すか」
「はいニャ」
今夜も月に被る2つの走る姿があったそうだ。
★☆★☆★☆
私の名前は黒歌。 イッセーのペットであるニャ。 強く賢く優しいご主人様。
イッセーの家に住み始めて1年が過ぎた。 少年としてのイッセーは、時間がある限り私の妹を一緒に探してくれている。
そんな中、イッセーは私に色々な事を教えてくれた。 戦い方や私が見た事の無い術だったり、仙術の応用など。 私より年下の彼が何処でこんな知識を学んだのかは聞かないけど…不思議な男の子だと本当に思う。
確実に私が手こずる相手でも、簡単にのしてしまい……途中にはぐれ悪魔に出くわしても私が難なく倒せる実力をつけてくれた。
毎晩とイッセーの親が寝たのを見計らってから、私の妹を探すのだ。 その為、イッセーの睡眠時間は確実に短い筈なのに一言も愚痴らずに日常を過ごしている。
普通なら寝不足になる筈なのに、本人に聞いたらショートスリーパー?と言っていた。 余り英語は分からないが、他の人より寝ないで済む事はわかった。
ここだけの話、いつもイッセーの家では私が猫の姿で甘えるが…イッセーが寝ている時に人の姿で一緒に寝るとね。 イッセーったら寝ているのに、甘えるようにくっ付いてくるの。
本当に可愛い。
そんな彼は赤龍帝。 色々とイッセーは教えてくれたの。 赤龍帝の証としての神器であるブーステッド・ギアがイッセーのストッパーと言う事を。
彼の特殊な目によって、あらゆる周りの力を無意識に吸収してしまい力加減が難しいらしい。 それを調節しているのがブーステッド・ギアだそうだ。 調節無しに少し殴ったりすると殴った物がチリと化してしまうらしい。 神器越しにドライグと話せた時は、私は吃驚した。
あの目はイッセーの災いを呼んでしまうかもしれないとドライグは言っていた。 ドラゴンは力ある者を引き寄せてしまうと、ドライグが語っていたが…イッセーのあの目が巻き起こしてしまうと…。
そんな話を聞いて、私は知っている限りの封印術を使ってある物作った。
それは眼鏡である。 普通の眼鏡と違い、力を抑え込むのでは無く散らす眼鏡なのだ。 私の力を最大限に使い、完成した眼鏡をイッセーにかけさせると…普通に目を開いても普通の瞳だった。
あの怖い十字の目は出なくなっていて成功した。 しかし、表情や感情を表に出してしまうと戻ってしまう。 そこはイッセーには気をつけてもらった。
だけど、最初に比べてイッセーは眼鏡をかける前の少ない口調にしなくても良くなったのは大きいと思う。 そのお陰でイッセーの両親も喜んでいたしね。
後、イッセーの秘密を教えてもらった。 それは…イッセーとドライグの意識の交換だった。
確かに雰囲気が全く違って、大人しいイッセーと話し方が古いドライグなのだ。 なんか…二重人格みたい。 ドライグに聞いた所、歴代の赤龍帝の中で初めての事だと。
そして歴代の赤龍帝は、ドライグを恐怖して力だけを使う保持者ばかり。 だけど、イッセーが赤龍帝で本当に良かったとドライグは喜んでいた。
家族の様に接して優しくしてくれるイッセーが赤龍帝になってくれて、ドライグは幸せだと言っていた。
色んな彼を知って、色々なもの知って私は大切な妹を探しながらも…楽しいと思えた。 そして今日も妹の手かがりがある可能性が潜んだ場所を目指して…。
それがイッセーと別れる切っ掛けになるとは知らずに。
☆★☆★☆★
「ここら辺か…手かがりがあるのは」
「そうニャ、この神社に堕天使がいるニャ。 其奴がもしかしたら、知っているかもしれないニャ」
ある山の中に建てられた神社。 それを高い場所から見下ろす2人。 そんな2人より早く来ていた集団が、その神社に只ならぬ雰囲気を出しながら鳥居をくぐって行く。
時刻AM7:00
姫島神社、そこに2人の親子が境内で微笑ましく笑いあっていた。
「お母さ〜ん」
「慌てるではありませんよ、朱乃」
テテテッと走る女の子と、それを歩いて追いかける母親。 その親子は、誰かの帰りを待っている様に見える。 朱乃と言う女の子は、黒髪のポニーテールで可愛らしい顔付きの美少女だった。 和服を着こなして、とても似合っていて場の雰囲気と合っていた。
「お父さんは、もう少しで帰ってくるんでしょ?」
「ふふふ…そうよ、朱乃」
「楽しみだなぁ…久々に会えるんだもん」
満面の笑みを浮かべる娘の姿に、母親は娘に吊られ笑みをこぼす。
しかし、彼女達の家庭の問題が無ければ…そんな光景は崩れる事は無かったであろう。
シャンシャンシャン
錫杖(しゃくじょう)の先端にある6個の遊環がお互いにぶつかり合い、境内に鳴り響かせる。
その音に気づいた朱乃は、鳥居を潜り境内に入る来訪者を見つける。 だが、全員が綱代笠を頭に被り顔が余り見えず只ならぬ雰囲気を発していた。 それに気づいた朱乃は母親の後ろに隠れる。
我が子を守るように母親は、来訪者に問いかける。
「朝早く団体で、何の用でしょうか?」
「……」
来訪者達は、母親の言葉に返答せず彼女達の周りを囲うように陣を組んだ。 男10人が子供と女性を囲えば、大きな圧力を感じるだろう。 その所為で朱乃は身体を震わせて、母親の服を強く握りしめた。
「…お主が姫島か?」
「……えぇ、私が姫島です」
シャンッ
母親が来訪者の言葉に返答すると、来訪者達は錫杖を地面に突き立てると先端を持ち引き抜く。 すると錫杖には仕込み刀が姿を現わす。
「お前は堕天使と交わり穢れた子を産んだ悪女なり。 其処にいる幼子は、居てはならん存在…貴様と共に葬らせてもらおう」
男達は仕込み刀を母親と朱乃に向ける。 10人の殺気に母親は身体を震わせ朱乃は涙を流し恐怖に襲われていた。
「この子は何もしていません! 見逃してください!!」
「ならん! どんな姿であろうと、穢れた存在は許されん!」
男達は一斉に2人に襲いかかる。 母親は服の中にある護符を何枚か取り出して交戦する。
母親は朱乃を守る為だけに必死に足掻き、男達は術を放ちながら母親が張る結界を破ろうとしていた。
「くっ!?」
「足掻くな! 見苦しいぞ、我等が苦しむ事なく葬ってやろう!! 娘と共にな!!」
母親の防戦は少しの時間しか持たず、娘と自分を守る結界が破られる。
そして1人の男が好機と見て、後ろから近寄り朱乃から片付ける為に仕込み刀を振り上げる。 それに気づいた母親は、朱乃を守る為に自分の身体を盾にするように抱きしめて背を向ける。
ザシュッ
「ギッ!?」
仕込み刀は母親の背中を深々と切りつけ、傷口から吹き出た血が周りに散乱する。 そして、血が多く流れ母親の力は抜けていき抱きしめていた朱乃からスルリと地面に倒れこむ。 それを見た朱乃は、横たわる母親にしがみ付く。
「お母さん!? お母さんお母さん!! 起きて! ねえってば!?」
「哀れな女よ、娘を差し出せば命だけは許して我等で浄化しても良かったものを」
男達は下卑な表情に染まっていた。 しかし、彼等の思い通りにならなかったのか朱乃に向ける顔は無表情だった。
「では、お前も母を追うがいい」
「ああああああぁぁぁぁっ」
朱乃は横たわる母親の側で泣いているが、男は近寄り仕込み刀を振り上げ朱乃の首に目掛けて振り下ろす。
「横槍…ゴメーーーン!!」
「ごぶっ!?」
突如、朱乃に斬りかかる男は1人の仮面を付けた少年に横からドロップキックが炸裂する。 男は吹き飛び、地面に転がっていき勢いが止まるが動いていなかった。 ドロップキックをかました少年は、綺麗に着地をして朱乃を守るように立つ。 その後遅れて、少年と同じように仮面を付けた少女が現れる。
男達と朱乃は2人の突然の登場に驚いていた。 少年は首だけ朱乃の方に向き口を開く。
「…助けに来た」
これが一誠と朱乃の出会いだった。
どうも、ヨッピーです。(`・∀・´)
短く投稿していこうと言うスタイル。(・Д・)
これからどんなストーリーになるのか、お楽しみをw
では、次回作で…ネオ・ヨッピー!( ̄^ ̄)ゞ