提督が着任したのです!   作:ハイズ♂

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短編だったのを連載中に変更しました。

Φ村家のみんなのあこがれやまとさんって作品とネタ(作戦名)かぶってしまいました。
土下座行脚しに行ったら作者のかまぼこさんに快く許していただきました、感謝。


建造するのです!

「そうか、やはりこれ以上先の海域に出るならば……」

「はい、五人だけじゃつらいのです」

 

それぞれの皆も順調に錬度を上げ、全員が改となった。

 

真っ先に改に至ったのが、一番最後に艦隊に加わった五十鈴だというのは、そこまで……そこまで怒らせてしまったのか……と戦々恐々としたものだ。

改造後に本人にもう怒っていないと笑いながら言われたが、それまで生きた心地がしなかった。

 

 

先日のくたばれ潜水艦作戦……もとい漁船の警備任務にて食糧供給と、ある程度の物資の都合も付いた。

 

 

そう、物資の都合が付いたのだ。

 

漁協の皆様からこれからも警備を回してもらえるのならば、海産物のみならず、利益の一部を資金で支払ってもらえる契約を結んだ。

 

その資金にて鋼財や火薬などを買い付けることが出来るそうなのだ。

 

買い付けた鋼財や火薬を妖精さんが弾薬に加工してくれるそうなので、戦闘について物資不足という大きい心配事が減った。

 

 

「警備任務は近い場所でほとんど深海棲艦が出ないとはいえ、安全にいくなら単艦でなく数艦は必要なのです」

 

「出撃の編成もしなければならない……やはり建造か」

 

「幸い食料については問題なくなったのです」

 

「五十鈴の、おかげでな」

 

潜水艦を沈めて爆雷が切れたら戻ってきて、弾薬補給したらすぐ出て行ってたからな。

 

 

「漁船の皆さんもすごかったのです、民間人に舵の取り方が甘いと言われちゃったのです……」

 

「漁師さんは今までも出港してたらしいからな、イ級に出会っても弾切れまで逃げきった猛者がいるらしいぞ」

 

「何度もあの警備任務していると、錬度があがりそうなのです……」

 

「網をかけてしまえば魚雷は使えなくなるとか言ってたからな、警備いるのかあの人たち」

 

 

ともあれ、物資、食料の問題はある程度解決。

これならば艦娘が増えても受け入れられるだろう。

 

 

 

「それでは建造だが、戦艦レシピを1回、レア駆逐艦レシピを1回試してみるとしよう。

 レア駆逐と言われているようだが重巡や軽巡も多数出るようだからな」

 

「それだと出撃の編成は楽になるのです、でも警備任務を続けるなら、もうちょっと駆逐艦が増えて欲しいのです」

 

「そうか……まだ資材の余裕はあるようだし、何回か建造してみるか」

 

「なのです」

 

 

 

 

 

 

そうして工廠のドックに来てみた訳なのだが。

 

「また拡張されてないか、ここ」

 

なぜか来るたびに立派になっていってる気がするのだ。

最初なんて電の艤装を整備する程度の小さな工廠だったはずなのだが。

 

「ヤッチャッタゼ」

 

「また君か、そうか」

 

だいたい不思議なことは妖精さんのせい。

 

「このレシピで頼むよ、戦闘が楽になるから戦艦を作ってほしいのだが」

 

「イノレ」

 

「君たちが作っているんじゃないのかい?」

 

「ナニガデルカ、ワタシタチモシラナイ」

 

「そうか、重巡などでも出てきてくれればありがたいから試す価値はあるんで良いんだが」

 

 

いつもチャットで話している彼、これほどの情報を持つにはどれ程の苦労があっただろうか。

レシピと呼ばれるこの資材分配一つをとっても、まるで何千何万と建造の試行を繰り返したかのような精密な情報。

おそらくは私以外にも多数の提督に繋がりを持ち、そのデータを収集しているのだろう。

そしてその苦労して集めたであろう知識を惜しげもなく教えてくれる彼には足を向けて眠れない。

 

 

「ツッコンデキタヨー、ジカンナガイカラ、タブンセンカン?モウカタホウ、スゴクジカンミジカイ」

 

「お、戦艦がきたか。もう片方も時間短いということはレア駆逐艦と言うやつかな」

 

「コウソクケンゾーザイツカウ?」

 

「そういえば、そういうのもあったか、よし戦艦のほうに使ってみよう」

 

「モヤスゼー」

 

「もやす?」

 

 

ちょっと何いってるか理解できない間に準備は整ったらしく、ホースのような何かをドックに向ける妖精さん。

 

「それが高速建造材かい?それでどうするんだ?」

 

「ミテレバワカル」

 

 

ゴオオオオとドックに向けて強烈な火炎をぶっぱなす妖精さん

 

 

「ちょ、ちょ、待った待った!何だそれは!?」

 

「バーナー」

 

どうやらホースのようなそれは火炎放射器だったらしく、ドックごと強烈な火炎に包まれる戦艦(仮)

 

「デキタ」

 

火炎が収まると火災の一つも無く、何時も通りのドックの風景が広がっている。

 

「あぁ、うん、妖精さんだしね……」

 

すでに、この妖精さんに関しては考えるだけ無駄だと結論付けている。

本当に何なのだこの謎生物。

最近数が増えてきている気がするし。

 

 

 

 

「高速戦艦、榛名、着任しました。

 あなたが提督なのね?よろしくお願い致します。」

 

 

「おぉ榛名、と言うことは金剛型の、か」

「はい、金剛型3番艦です」

「この泊地で初めての戦艦だ、よろしく頼むよ」

 

これで出撃海域を広めても、かなり安全に進められることだろう。

 

「あの提督、隣のドック新しい艦が誕生したみたいですよ」

 

「あれ?妖精さん、高速建造材使ったのかい?」

 

「モトカラ、ミジカカッタカラ、ツカッテナイヨ」

 

「それじゃ出してみようか」

 

駆逐艦の子か、電も新しい駆逐艦の子を求めていたらしいし、これで今日の建造は最低目標達成かな。

 

 

「グーテンターク……あ、違った、ごめんなさいね……はち、と呼んでくださいね。」

 

 

出てきたのは本を手にした金髪の子だった。

 

いやそれよりも……水着?

 

 

「はち……だったか、はっちゃんや……何で水着?」

 

「潜水艦……ですから。

 提督が言いやすいなら、もう、はっちゃんでもいいよ……うん。」

 

 

潜水艦か、そうか……ちょっと予想外な艦種が来たな。

 

「それじゃ妖精さん、最低値レシピで駆逐艦の数が揃うまであと何回か……

 六駆が四人だから、同じ数の駆逐艦が出るまで建造してみてくれないか?」

 

「ワカッター」

 

 

 

その後、新しい二人を皆に紹介して

執務室で残りの建造終了を待っていた私の元に、新しく来た艦娘がそれぞれ挨拶が終わったわけなのだが。

 

「川内、神通、那珂、第11駆の吹雪・白雪・初雪・深雪……」

 

まぁ、それはいいんだ。

そして、建造の内訳の書類が来たわけだが。

 

「妖精さん、この、那珂6ってのは何だ」

 

「カブッタ」

 

「被ったって、挨拶に来た那珂一人だけだったよな?」

 

「ギソウダケ、デテキタ」

 

あー、なるほど被ったら艤装だけ出てくるのか?

 

「わかった、建造お疲れ様、このドロップを持っていくといい。

 何故か増えた他の妖精さんと分けて食べなさい」

 

「アリガトー!」

 

喜色満面で執務室を妖精さんが飛び出していく。

そういえばドロップを渡しておいてなんだが、あのサイズで飴玉って食べられるんだろうか?体のサイズに対して大きすぎやしないか?

 

……喜んでたしいいか。

 

さて、被った艤装はどうしたらいいものか……

 

 

 

『と、いうわけで、那珂が被ったわけなのですよ』

 

『それならば近代化改修や解体でしょうね、軽巡なら近代化改修に回すことで雷撃と装甲あがりますし』

 

『近代化改修……ですか』

 

『戦艦を材料にしたなら火力対空装甲、空母なら対空装甲が上がる、とそれぞれ材料にしたモノで性能が上がるんですよ』

 

『ほほう、戦艦空母を材料にとはなんとも贅沢ですが……』

 

『ドロップして被ったりすると案外溜まるものらしいですよ、私もそこまで進んではいないんですが』

 

『ドロップ?』

 

さっき妖精さんに渡したがそれのことじゃないよな?

 

『戦闘後や海域突破した時などに仲間になる艦娘のことですよ、戦艦や正規空母のドロップを狙うとなるとかなり難易度が高い海域になるようですが』

 

なんと、そんな事があるのか!?

 

あ、いや深海棲艦が襲撃してきて艦娘が味方になった最初期、艦娘との邂逅は海上で行われたらしい。

建造で作られたわけではない、海上で邂逅できる艦娘、それがドロップと言うわけか。

 

『今日はありがとうございました、近代化改修を試してみます』

 

『いえいえ、それではまた』

 

パソコンの電源を落として、開いた窓を見る。

その先からは新しく艦隊に加わった艦娘たちも含めて楽しそうに話す声がうっすらと聞こえてくる。

 

さっそくだが妖精さんに頼んで近代化改修を行ってみよう。

 

 

 

確か、他の泊地からの演習依頼などがあったな、駆逐艦一隻づつで錬度の上昇を図りたい、と。

同格の駆逐艦なら性能の確認にはもってこいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他泊地の新任提督の仕事はさほどの忙しさはない。

苦労していないわけではないのだが。

 

「司令官、作戦命令を……」

 

「響、今日はもう休みなさい、小破しちゃってるじゃないか、沈んじゃったらどうしようもないんだから」

 

「これくらいじゃ沈まんさ……でもそうさせてもらうよ……不死鳥の秘密は、修理のタイミングにもあるんだ」

 

「頼もしいよ、あ、演習の依頼受けてもらえたよ、この日時に指定の海域で行おうとのことだ」

 

「ハラショー、それは素晴らしい」

 

提督自身にはさほどの仕事があるわけではない、

しかし近海への出撃とは言え艦隊は一隻、相手をしているのは多数で出てくることすらある深海棲艦。

待っている間の心労はかなりのものだった。

 

「演習か……これで響が沈む心配をせずに錬度を上げられるな……」

 

これは、新任の提督のほぼ全てが持ちうる悩みである。

 

 




電「その程度の舵捌きは、漁船の皆さんでも出来るのです!」
響「どんな漁師だそれは!?」
電「はにゃっ!でもまだまだなのです!」
響「直撃だったよね!何でそんなに硬いんだい!?」
電「改造と改修を終えた電は……この程度では沈まないのです!」

響「(人体改造!?)でも魚雷なら!」
電「こちらも魚雷発射なのです!」
響「なんか魚雷が多い!?」
電「暁ちゃんから三連装魚雷借りてきたのです!」
響「ずるい!?」

こうして他泊地の響の錬度はすごく上がったそうな。
ついでに妹に負けないように硬くなることを誓ったそうな。

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