白子と黒猫の誓い   作:ニルドアーニ四世

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卯の花との同棲 2

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは帰りましょうか...。」

 

いつもの鍛錬が終わり、リオの手をほぼ強制的に繋がされたが、特に拒まなかった。そのまま卯の花の屋敷に到着すると口を開いた。

 

「では風呂へどうぞ。汗を流しきれてないでしょう?」

 

卯の花はニコニコしながら風呂へ入る様に提案した。なぜ今帰ってきたのに風呂が沸いているのだろうと考えたが、使用人がいるのだと思った。だがリオはちゃんと礼儀をわきまえている。

 

「卯の花殿からお先へどうぞ。」

 

客人であるリオは主人である卯の花に一番風呂を譲ろうとした。だが卯の花はニッコリ微笑んだ。

 

「いいえ、私は後で入ります。」

 

卯の花は笑みを浮かべたまま断った。

 

「ですが...。」

 

リオが引き下がらず否定をしようとした。貴族たるもの礼儀はわきまえるべきだからだ。

 

「ここの主は私ですよ。」

 

卯の花は有無を言わさぬ笑みを浮かべて言い放った。そしてリオの心はヘシ折られた。

 

「...わかりました。」

 

リオは静かに同意し、そして風呂の場所を聞いてから向かった。

 

 

 

 

***

 

 

 

風呂

 

 

 

 

 

敷居の中に造られた広い木造の湯船は湯気を立ち昇らせている。その中で全身が純白の少年はその中で腑抜けた声をあげていた。

 

「ふわぁ〜気持ちぇ〜。」

 

リオは本来父の諒影と同様軽い人間なのだ。ただ貴族という立場上守らなくてはならない振る舞いというものがある。だがここ最近の藤堂家の宗家では肌に合わない者が多かったため、屋敷では使用人もかなりフランクな振る舞いを許されている。

 

「湯加減どうですか?」

 

すると卯の花の声が聞こえ、足音がこちらへ向かってきていた。リオは弛んでいた顔を引き締めて外面用の仮面をかぶった。

 

「あぁ卯の花殿。最高で...ってオイッッッッッッッッ!なに入ってんだよォッ!」

 

リオは普通に返事をしようとしたが、髪を解いた卯の花が一糸纏わぬ姿に手縫いほどの小さなタオルで身体を隠しているが、豊満な胸の両端とスベスベで白い太ももは隠し切れていない。

 

「?」

 

卯の花は真顔で首を横に傾げて、リオが何を言ってるのかわからないという様子だった。

 

「いや『?』じゃなくて、なに入ってるんですか?ってかタオルの面積小さすぎでしょ!」

 

リオは声を荒げて抗議をした。だが卯の花の姿を直視できず、顔を湯船に埋めた。

 

「私はちゃんと後で入る言いましたよ。それより先ほどの『入ってくるな』とはまるでエロ本を隠してある部屋に反抗期の息子のいる母親が掃除にくる時のようですね///」

 

確かに卯の花は嘘をついてない。ただ“リオがリオがあがった後に入る”とは言っていない。つまりリオに勝ち目はない。

 

卯の花は頬を赤く染め反抗期の息子を持つ気分を恥ずかしがりつつ楽しんでいた。

 

「恥ずかしがるんなら言うんじゃねぇ!」

 

リオは声をあげると、卯の花の顔色が戻って真顔になった。

 

「あら...本当に恥ずかしかったらこんなタオルで来ませんよ。」

 

卯の花はごもっともな事を言うとそのままこちらに近づいてきた。

 

「自覚はあるのかよ。じゃ変えてこいよ。」

 

リオはタオルを変えてくるように諭すが卯の花は嫌がった。

 

「嫌ですよ。今日から一ヶ月はリオで遊ぶ倒すって決めてあるんですから...。」

 

卯の花はニッコリ微笑みながらリオに言い放った。実の所この日も有ろうかと多くの悪戯グッズや遊び道具を用意してあったのだ。

 

「恐ろしい計画だ...。」

 

リオが静かにつぶやき終わると同時に卯の花は口を挟んだ。

 

「あら?言葉使いがはしたないですよ。つまりこれは気を許している...。つまり風呂に入っていいという事ですね...。」

 

 

「...卯の花殿。淑女たるも『チャプン』

 

卯の花はリオの言葉を無視して、湯船に浸かった。そしてそのまま一息吹くと声をあげた

 

「中々の湯加減ですね。」

 

 

 

(...もう何も言うまい。)

 

リオは背を向けて何を考えないようにした。数分間の空白の間が空くと卯の花が口を開いた。

 

「そういえば回道を教えましょうか?」

 

かつて卯の花は斬術のエキスパートであったが、現在は回復の鬼道である回道を教えようという提案をした。回道はかなりのセンスを必要とするため、モノにできる死神は少ないのだ。

 

「よろしいのですか?ではご教授お願い致します。」

 

リオは少しテンションがあがったが、貴族らしく振舞うために抑え込んだ。

 

「えぇまずは手をこういう形にして...。」

 

卯の花の手の形を見ようと振り返った。卯の花はタオルを頭に乗せていたため身体を隠していなかった。無論手の形などは見れず卯の花の女性らしい身体を凝視してしまう。

 

「なんでタオル取ってんだァァァァ!」

 

リオが真っ赤になって水面に顔を思いっきり打ちつけ、辛うじて理性を保った。

 

「?」

 

卯の花は先ほどと同様に首を右に傾げてリオを見つめた。

 

「持ってきた意味ねぇだろ!」

 

リオは声を張り上げてツッコんだ。だが卯の花はすかさず口を挟んだ。

 

「はしたないではありませんか...。」

 

確かに湯船にタオルをつけるのはマナー違反である。だがこの状況においてはしたないのはどちらであろうか...。

 

「もういいや...疲れた...。」

 

 

 

 

 

その日から一月の間はただひたすら卯の花はリオにベッタリで揶揄い続けた。風呂に一緒に入るのは勿論、(リオが用意したタオルは奪われ、卯の花はタオルを使わない) 完璧な食事は何故かリオの箸が用意されておらず一つ一つ卯の花に食べさせられたり、現世で買ってきたらしいコスプレ(ナースやチアなど)を無理やり服を剥がされて着させられたり、寝る時は同じ布団で寝たりした(逃れようとしたらガッチリ固められた。)

 

鍛錬以外の卯の花はリオ揶揄い、必ず論破するためトラウマになったのだ。そして卯の花の笑顔には決して勝てないと本能が理解した。

 

 

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