「“卍解” 凍泉の太刀...。」
リオが卍解をすると一瞬で蓮華雹泉が解き放った全ての水と氷が一瞬で刀に封じこまれ、リオの斬魄刀に閉じこめられた。雹泉の美しき刃からは冷気のようなモノが漂っている
「おんしの卍解を見ると元柳斎を思い出すの...。“流刃若火”と対をなす斬魄刀故、似ておるのかの?」
和尚は立派な顎髭をさすりながらリオの卍解を観察していた。するとリオは誰にも聞こえぬ様につぶやいた。
「“北の太刀” ...................。」
リオがそう呟き、素早くその場で剣を四回、それぞれの方向に鋭く振い終わった瞬間に突然、四人の身体が一瞬で斬り裂かれ、口から大量の鮮血を吐き出した。和尚は持ち堪えたが、王悦達は静かに同時に倒れた。和尚はリオによる斬術だと思ったが、リオはちゃんと目の前にいる。そして剣をには一滴の血すらついていない。つまりこれが“雹泉”の北の太刀の半分の力の能力だと思われた。
「この太刀の利点は俺の剣筋が見えないことなんだよね。まだやる?」
(諒影の小僧が使用した能力の記録では西と東の太刀しか残っておらん。先の北、そして南の能力は未知数といったところ...)
「微かに湿度が上がったの。先の北の太刀はおそらく水質は“霧”じゃな。儂らほどの使い手なら剣の気配など容易く察知できる。それなのに先の太刀では気配どころか風圧すら感じなかった...。察知、防御不可避の剣というわけか...。」
(厄介じゃの。ただのリーチのある斬撃など躱せなくはないが、気配、攻撃のタイミングも分からず、回避は至難...。そして霧を斬るのは不可能な以上、筆で受け止めれず擦り抜けて儂の身体を引き裂くじゃろう...。つまり躱し続けるしかない...。だがたった四回の攻撃にしては霊圧の減りが激しいの。つまりハイリスク・ハイリターンというわけか...。
さて本気を出すか...。)
「“黒めよ” 一文字...。」
和尚が筆を槍のように持つと始解?をした。リオはその筆先に戸惑いを見せた。
「ッ!」
「なんじゃ?筆が剣か区別がつかんのか?」
先ほどから筆先が墨のついた筆のようだったり、鋭い刃に見えたりしたのだ。その様子を見た和尚は愉快そうに笑みを浮かべた。
「文字を塗り潰す墨か...。さっきが名前を半分に斬って相手の性能を削る能力から見て、無効化ってとこかな?名も無きものに強さはないんだろ?」
リオは一文字の能力を考察した。すると和尚はほんの少し感服したような顔をした。
「惜しいの...。この世の黒は全て儂のモノじゃ。」
リオはその言葉を聞いた瞬間に己の黒い死覇装を素早く斬って投げ捨てた。裸になったリオは静かに和尚を見ていた。
「理解が早いの...。じゃがなぜその髪留めは捨てぬのじゃ?忘れておったわけではあるまい...。」
リオのシルクのような髪には黒く少し年季の入った髪留めを見ていた。頭の回転の早いリオがこのようなミスをするわけがないと考えたのだ。
「これは俺の誇りなんだよ。おめぇのモノになろうとも俺はこれだけは捨てない...。」
リオがそう答えると和尚はリオの覚悟に感服し、それ以上は何も聞かなかった。
「あんたは逆に理解が遅いな...。今度はてめぇで一人で防げよ。“破道の91” 千手皎天汰炮...。」
和尚が筆型の剣を勢い良く振ると、墨が飛び散り、リオの放った広範囲の光の全てが黒く染まり、和尚が手でそれらを手で払うようにすると光の塊は砕けた。だがそこにはリオはいなかった。すると突然、胸を刃が貫いた。和尚が振り向くとリオが後ろから己を突き刺している。そのまま和尚は刃を左手で掴んだ。左腕は筋肉が異常なほど膨張し、リオの刃を素手で掴んだ事によりポタポタと血を流した。リオは斬魄刀を引き抜こうとしたが抜けなかった。
(抜けねぇ...。なんて馬鹿力だよ。)
「“裏破道3の道”鉄風殺ッ!」
和尚はリオの斬魄刀を掴んだまま振り返り、右手で鬼道を放った。突然目の前に風龍が現れ、リオに遅いかかった。裏破道という聞き覚えのないものに驚いたのかリオはもろに受けた。爆音が響き土煙が舞った。
やがて晴れると右手に雹泉を持ったまま顔を両手でクロスしてガードしたリオが現れた。身体からは煙が立ち昇っているが傷は浅いようだった。
リオがクロスした手を戻して正面を見ると和尚がリオに筆を振り下ろしている様子が見えた。すると一瞬でリオの目の前が突然真っ暗になった。
「白い身体が黒く染まったの...
“真打” しら筆一文字...。」
全身が黒に塗り潰されたリオを見た和尚はつぶやくと同時に卍解のようなモノをした。そして黒く染まったリオの身体に字を書いた。
「主は“鴉”じゃ...。忌み嫌われる謀反人には相応き名じゃろ?」
リオの身体に鴉と書いた和尚は深手をおった仲間達を助けようと振り返ったが、信じられぬ者の声を聞いた。
「あいにく俺は黒い動物は黒猫以外に興味持てないから却下...。」
するとリオの身体についていた墨が一斉に消え去った。リオは妖艶に口元を歪めて微笑むと静かに言い放った。
「再開しようか...。兵主部一兵衛...。」