天才の衝突
5年後
「四宝院夜一、浦原喜助が現世へ永久追放処分となった...。」
“五番隊隊長”藍染惣右介が尸魂界史上最高の大犯罪者と名高い藤堂リオの元へやってきていた。藍染は藤堂リオの鬼道の技術を教わるためという程で何度も勧誘を行っていた。藍染のその言葉にリオはピクッと反応し鋭く睨みつけた。
「てめえ...。“何か”したのか?」
リオは藍染に問い詰めた。思考力や観察力の優れるリオからしても藍染惣右介という人物を上手く掴めないのだ。
「心外だな...。私は四楓院夜一、浦原喜助には手を出していない。」
「...。」
藍染は微かに笑みを浮かべながら否定をした。確かに藍染は“直接”は二人に手を出していない。あくまでリオのいう“何か”の結果として意図せずに引き起こされた二次災害なのである。
「そう邪険にするなよ...。私は君の味方にしたいんだ。そんな真似をすると思うか?」
藍染は睨み続けるリオを嗜めるように言い放った。だが所作の一つ一つが高貴で威圧感を放っていたが、それはリオも同じだった。
「お前ならやりかねないな...。自ら情報を流し関与していないと見せかけ、いざとなったら脅すという算段...。その方が好都合だろ?」
人を効率的に支配下に置くにはそいつの心を最も多く埋め込まれたモノを取り除けばいい。そしてその代わりに自分がその埋め込まれたモノになればいいのだ。リオにとって夜一という最大の心の拠り所、そしてその次の大事な人の喜助まで失ったのだ。
リオは不安定になるはずだった。だが藤堂リオはその程度ではブレない。藍染惣右介も怪物ならば藤堂リオは化け物なのだ。
「やはり君は賢いな...。実に扱いづらい。」
藍染は心の底から気分が良かった。彼は常に...いや、いつも自分が優秀過ぎて張り合うということを知らなかったため新鮮なのだ。藤堂リオは頭脳は同等と言っても過言ではなく、己がひた隠しにしている総合的な実力と藤堂リオの実力とは比べられない。正確にはわからないのだ。五年前に尸魂界へ牙をむいた時、藍染は彼の実力をその目で見た。だが彼は夜一のために投降したため実力は“未知数”であり、何より卍解の全てをさらけ出していなかった。藍染も彼の卍解は東と西しか知ない。東の太刀の超回復に自分の精神系能力を無効化する力があるかもしれない。また防御系最強と呼ばれる彼の能力に万物を葬る起死回生の攻撃の太刀を秘めている可能性は十分にあった。
藍染惣右介は藤堂リオとの二人きりの時間が本当に心地良かった。彼は自分と並ぶ強さ、頭脳、才を持つ。故に油断した瞬間に敗れるのは自分だ。この世界に彼と並ぶのは自分だけであるという自信と優越、緊張はこの上なく藍染惣右介を酔わせた。
「その方がいいだろ?制御できる部下なんて他が知れてる...。」
リオは藍染に挑発的に軽々言い放った。その様子はどこか余裕すら感じる。頭脳を研ぎ澄ました
「フフフ...君はいつか私のモノにしてみせよう...。ところで崩玉というモノを知っているかい?」
「“崩玉”?なんだそれ?」
***
数十年前
「いや〜...。あるモノを造ってるんスけど、中々上手くいかないんですよね〜。」
三人はリオの屋敷の縁側で酒を酌み交わしていた。彼ら三人にとって三人の時間は限られるほど少なかったので月に一度同時に有休をとって過ごしていた。
「なんじゃ喜助!煮えきらん男じゃの!お主はやればできるんじゃ!」
夜一は少しイラっとして声をあげた。喜助ののらりくらりしているしている態度が気にくわないのだ。
「違うよ夜一...。“やればできる”はやる気を出させる言葉でも褒め言葉でもないよ。ただの一般常識。何事でも真剣にやれば誰でも何でもできるってことは誰でも知ってる。まぁ人外のスケールを除けばだけど...。喜助は何造ってんの?」
言葉の本質を見抜くのが得意なリオはいい抜くと夜一は納得したような顔をしているのを御構い無しに尋ねた。
「“崩玉”っス。」
「聞き覚えない...。リオ知っておるか?」
「俺も知らないよ...。なにそれ?」
リオと夜一は見覚えないワードを耳にし、リオは喜助にそのことを尋ねた。
「大分端折ると“虚と死神の境界を操る”モノってところっス...。」
***
「そうか...。確かに君は浦原喜助とは親交はありつつも四楓院夜一程は興味はなさそうだ。」
(嘘だな...。藤堂リオは浦原喜助の事を大層気に入っているはずだ。“真央霊術院”の時代から2人には親交があったという...。そもそも藤堂リオがいち死神候補生の名前を覚える時点で
「聞いた気もしなくはないが、そんなんに興味はねぇよ。」
(普通に見抜かれてるだろうね...。まぁいい。こいつは危険だ。出来る限りに
二人の天才は幾度となく高度な頭脳戦を繰り広げたが、どちらもボロは出さず決着のつくことはなく100年の年月が流れた。
***
〜現世〜
“空座町”
「貴様がこの斬魄刀を胸の中に突き立て...そこに私が死神の力の半分を注ぎ込むのだ。」
血にまみれ倒れている小柄な女性の死神が迫り来る虚を前にしてオレンジ色の青年に声をかけていた。
「刀をよこせ死神!テメーのアイデアにのってやろうじゃねぇか...。」
倒れた家族を前に青年は女性の死神の元へ歩いた。そして刃の目の前に屈んだ。
「死神ではない...。“朽木ルキア”だ。」
「そうか...俺は“黒崎一護”だ。お互い最後のアイサツにならないことを祈ろうぜ...。」
ルキアと一護が言葉を交わすと虚が二人へ迫る中一護の心臓に斬魄刀を貫いた。
この出来事がやがてこの二人だけでなく、尸魂界、そして四楓院夜一・浦原喜助...そして
藤堂リオ・藍染惣右介という交わらぬ二人の天才が凌ぎを削ることとなる...
原作入りやした。