白子と黒猫の誓い   作:ニルドアーニ四世

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悲しき別れ

 

 

 

 

 

三年後

 

 

 

 

「強くなったなリオ。」

 

木刀をもった諒影は同じく木刀を持つ息子のリオと共に何度も道場で剣術の力量を確かめあっていた。リオの腕では油断はできるかできない程度に追いついている。鉄斎によればそろそろ70番代の鬼道を詠唱破棄でこなせるという。流石に90番代の鬼道は詠唱をすれば成功率は10%程にはなるらしい。

 

「私は父上と今は亡き母上の霊力により、成し得た力にございます。第一あの環境で強くならぬ訳がございません。」

 

リオはまだ人間単位で8歳程だが、父親に迷惑と負担をかけまいと常に己に厳しく振舞っていた。無論、諒影と卯の花は少し寂しがっていたが、息子の成長として割り切るようにした。やがて諒影が素早く手首を切り返し、リオの刀の峰を強く弾くとリオは剣を手放してしまい、刀は道場の端の方へ飛ばされた。

 

「やはり私はまだまだ未熟ですね。」

 

リオは自分の飛ばされた剣を見ると悔しそうにつぶやいた。だが諒影はむしろ我が息子ながら楽しみと恐れを抱いていた。

 

成長速度と死神としてのポテンシャルが卓越しぎるのだ。まだ霊圧の扱い方や“瞬歩”などのスキルは教えていないが、ただ霊圧が強過ぎる。産まれながらに隊長格といっても過言でない程の霊力を持ち、そして出産時に自分のおよそ半分の霊力、そして雪奈のほとんどの霊力を与えたのだ。そして今現在もリオ本来の霊力は少しずつであるが通常の霊力を持つ子供のように成長を続けている。まだ斬魄刀の元となる“浅打”は与えていないため、斬魄刀は持っていないがこのリオの才ならば容易く引き出すだろう。

 

 

 

その事を図らずがリオのもう二人の師匠も同じ事を考えており、己の力の最高峰の力を託し、全てを吸収できる器の持ち主の藤堂リオにより、形成された一つの結晶を見てみたいと感じていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがそんな日常も長くは続かなかった。二週間後、父親が任務で家を留守にしている時、リオの元に悪夢の手紙がやって来たのだ。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

“護廷十三隊十三番隊長”藤堂諒影

 

 

 

 

 

現世における任務中大量の虚に襲われ、部下を逃がすために戦死。

 

 

 

“護廷十三隊総隊長”山本元柳斎重國

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

その知らせを受けたリオは絶句した。そしてただ動かなかった。そしてこの文章だけでは実感が湧かなかった。

 

やがてリオは死神達が運んできた棺の中に入れられた諒影を見た。顔は正気が失われ、身体はただ冷たかった。いくら声をかけても反応がない。そして泣け叫びながら理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最愛の父親...藤堂諒影はこの世を去った。

 

 

 

 

 

 

諒影の遺体は所々焼け爛れている。また傷はないのに死覇装には微かに血の匂いがした。運んできた死神曰く虚の“虚閃(セロ)”を受けたもので、血の匂いは部下のものであるらしい。どうやら虚の群れに遭遇し、部下を逃がすために殿となり、戦死したらしい。

 

 

 

 

後日、諒影の葬儀が執り行われた。式の手配は新当主であるリオである。葬儀は誰を呼べばいいのか分からなかったため、他の四大貴族を頼り、何とかなった。

 

葬儀の手配をしていると、藤堂家の分家の者がリオを呼ばずに話し合いをし、裏で何かコソコソしているのは他の貴族の当主から警告され気付いていたが、大して気に留めなかった。父の葬儀より今後の事について話し合う方が大事だと考える連中などに葬儀に加担して欲しくなかった。

 

 

無事に葬儀を終えると藤堂家の分家の者たちがリオの元に近づいてきた。リオとは直接面識はなかったが、父親曰くいけ好かない連中らしい。

 

「リオ君ですな。我々が話し合った結果、君に藤堂家の当主とは認めないと満場一致の結果となった。」

 

年長者のような人物がリオに話し合いの結果を告げた。だがリオはそんな事はどうでもよかった。ただそれだけのために父親の葬儀の手伝いをしなかったという事に腹を立てていた。

 

「私が今まで何をしていたのか知ってますよね?貴方方のいう“藤堂家の当主”の葬儀を取り仕切っていたのですよ⁉︎ それなのに貴方達は私が後継者かどうか相応しいかを話し合ってたって?ふざけるなッ!そんな話し合いは葬儀の後でいつでもできるでしょう⁉︎藤堂家のしがらみなどを振りかざしたくはありませんが、分家の連中が宗家の私に何の断りもなく、そして私を除いたメンバーで藤堂家の行く末を話し合うなど道理に合わないでしょう?今すぐ私の前から立ち去れッ!そして二度と私の前に現れるなッ!」

 

リオは父親の言った事を理解した。分家(こいつら)は藤堂家を守るという名目でどうにかして分家が力を得ようと考えているクズであると...

 

リオの予想外の反応に分家の連中は顔を見合わせて、引き返した。そしてリオは葬儀業者に依頼し、遺体を墓に供えさせた。そして周囲に誰も居なくなり、貴族としてではなく、一人の息子として、ただ父の墓標の前で泣き叫んだ。

 

 

一時間後、泣き止んで落ち着いたリオは人の気配を感じ、振り向くと五大貴族の“四楓院家”の当主である四楓院朝霧が刀を手に持ってこちらに近づいてくる。無言で刀を突き出すと

 

「泣いてもいい...乗り越えろ。ただ強く、ただ生きろ。それがお前を命がけで救った両親にできる餞けであると私は考える。」

 

その言葉にリオは枯れ果てたはずの涙を流した。確かにその通りだと、そして刀を受け取ると父親の刀であると理解した。そして朝霧は後ろを振り返り、無言で去っていった。

 

 

 

 

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