白子と黒猫の誓い   作:ニルドアーニ四世

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新たな道へ

 

 

 

 

 

 

リオは困惑していた。始めから死神になるつもりだったのでほぼ無罪放免になったようなモノである。それにではない。自身を養子にしたいと屋敷の目の前に大量の人が集まっている。中にはかつてリオを白子扱いして差別した者達もいる。多くの貴族がリオに近づいてきて娘と婚約をさせようとしている。

 

 

 

 

なんだこいつらはッ!こいつらの醜い目はあの分家(あいつら)と同じだ。欲しいのは私じゃなく、私の財産と地位にしか興味の無い目だッ!近寄るなッ!私にッ!藤堂家にッ!

 

 

 

 

 

 

 

俺は一人で俺の場所を守る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(藤堂家)に近寄るな...。消え失せろ...。』

 

 

 

 

リオの殺気に卑しき人々は圧倒させ怯ませた。リオはそのまま一瞥もくれずに屋敷の中に入った。中に入ると辞めていた使用人達が手をついて謝罪をした。リオは使用人すらも目をくれず立ち去るように告げた。

 

 

 

 

屋敷の周りには誰一人いなくなり、そして使用人も誰一人居なくなったため、ただ孤独な夜を過ごしていた。そして天を見上げていると来訪者の気配を察知した。知っている霊圧だったのでただ待っていた。

 

すると色黒の女顔の男が現れた。その男を見るとリオは微笑んだ。目の前には恩人とも言える人物だったのだ。

 

「父の葬儀以来ですね。あの時は見苦しい所をお見せしました。」

 

リオは頭を下げて挨拶をした。前もって連絡がなかったのは少々無礼であるが、この人ならば構わない。

 

「それは構わぬ。ただ今の主の身柄についての話をしに来た。初めは卯の花が引き取ると言っておったが、奴は一人暮らしで子育ての経験はなく、任務で忙しい時もある故、代わりに私が主を引き取ろうと考えておる。無論、養子ではなく藤堂家当主としてだ。」

 

リオは思いがけない提案を受けた。少し驚いたが、返事は決まっている。

 

「お言葉ですが、私にその気はありません。貴方は信用できる人である認識しておりますが、世話になるつもりはありません。私一人で藤堂家を支えます。」

 

リオが素早く断るが、朝霧は怯まなかった。そして彼なりの理由があったため、説得するしかなかった。

 

「じゃがお主は分家の者達に逆恨みされておろう。その者達が金で主を始末すれば、宗家の財産は全て分家に入る。いくら主とはいえ、追っ手を全て払いのけるのは骨が折れるはずじゃろう。」

 

 

(確かにそれは有り得る。今まで父上という傘で身を守っていたが、その傘はなく逆恨みはあるとはいえ仇討ちという大義名分はある。)

 

 

「確かにそれは否定できませんね。私はまだまだ未熟者でありますから...。」

 

リオが素直に認めると興味深そうにリオを見た。人としての器を感じたのだろう。

 

「物分りが良くて助かる。それに私は主を高く評価し、気に入っておるのだ。家には主と同い年の娘とそれの弟がおる。最近隠密の技を学ばせ物覚えが良いのは助かるが、少々天狗になっておっての。諒影から聞く話と主の起こした事件から想定すれば娘の鼻をへし折るのは容易だ。まぁ結論、娘の数歩先を行くライバルや遊び相手のようなモノになって欲しいのだ。来てくれぬか?」

 

 

(これは良い条件だな。四楓院家が後ろ盾になれば落ちぶれかけた藤堂家を建て直すのも俺の身を守る事も可能だ。それに面倒な連中も諦めるだろう。だがこちらとしても藤堂家の当主としてのメンツを最低限保たねばならないな。)

 

「確かにそれは私にとって大変有難い提案ですし魅力的です。...三つ条件があります。」

 

「言うてみぃ」と言われるとリオは三つの条件を出した。その条件を聞くと朝霧は感服した。この年でこれほどの思考力を持つのか...

 

 

 

 

 

一つ、私の養育費は全て私が持つこと。

 

二つ、私に隠密の技を享受し、私の師匠との訓練を保障すること

 

三つ、私を気に入らぬと思う者が多く現れた場合は私から一方的に四楓院家の元から出ていくということ。

 

 

 

 

まずこの条件の意味する事は②と③が特に重要である。まずこの提案を受け入れるとなると『四楓院家の世話になるほど藤堂家は落ちぶれている』と世間に捉えられてしまうだろう。だが②と③がある事により、双家が対等であると示す事ができる。なぜなら②により四楓院家の隠密機動の技を教わるという点により、ただ己の力を蓄えるために指南をうけているだけという印象になる。また③により何時でも抜けるという意思を表示する事で「必ずしも四楓院家の力を借りなくても良い」という事になる。そして①により居候や養子でなく、正式に滞在をしているだけとなるのだ。つまり微塵も藤堂家の力が衰えていないと印象づける事が可能なのだ。

 

 

 

 

(やはりこの子は主の子だ...諒影。やはり“化け物”の子は“化け物を超える化け物”になるのだな。間違いなくこの子は“夜一”のいい好敵手になるであろうな。本当に素晴らしい。)

 

 

「呑もう。藤堂リオ...。主を21代四楓院家当主として歓迎しよう。」

 

 

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