東方友探記   作:フィン(受験生)

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不定期更新なので遅かったら申し訳ありません。楽しんで書いていこうと思います。


白と黒の元気な自称魔法使い

霊夢が初めてここを訪れてから、少し変化が起きた。といってもただ霊夢が時々来るようになってくれただけだ。今までは人里の人が来てはくれるがその後繰り返し来てくれる人というのはいなかった。客寄せをしているわけでもなし、当たり前なのだが。霊夢は時たま顔を出しては私と他愛もない会話をしてお酒を飲みにくるのだ。もちろん来てくれることは嬉しいがこの店のどこを気に入ってくれているのだろうか、理由を聞くのは無粋なので聞かない。

 

なんてことを考えながら少し曇りがかった空を眺める。風に乗せられた空気が雨を知らせてくれていた。

 

「本当にいつでも開いているわね、定休日とかないの?」

 

少し悪態を付く、最近よく聞き慣れた声がした。

 

「開いてても別段忙しくないから構わないのさ。いらっしゃい……そちらはお連れ様かい?」

 

霊夢の後ろを覗くともう一人いた。どうやら霊夢と同じくらいで、みてくれはこれぞ魔法使い!という服装や帽子を被っていて、白と黒基調の服に髪の金色がよく映えている。

 

「えぇ、こいつはき」

「霧雨魔理沙だぜ!」

 

「……私が紹介してるんだから少しくらい待てないの?」

 

「自己紹介くらい自分で出来るんだから人にやってもらう義理なんてないだろ?」

 

霊夢とは異なり元気とか快活、という印象を受けた。言葉も男の口調に近いのでなおさらその雰囲気が強く感じられる。

 

「まぁまぁ、来てくれて感謝するよ、立ち話もなんだろうし座ってくれ。飲み物はお酒でいいかな?」

 

「えぇ、構わないわよ」

 

「こんな昼前から巫女が飲み始めるなんて聞いたら神様が悲しむんじゃないか?」

 

「説教聞くために誘ったんじゃないわよ。嫌なら帰りなさい」

 

「私は巫女ではなんでもないからいつ飲んでも問題ない、だから帰る理由もないんだぜ」

 

魔理沙が霊夢にちょっかいを出しながら二人は席に座った。霊夢も軽く受け流しているが決して迷惑そうには見えない、きっとそのくらいは気にならない間柄なのだろう。

 

「はい、取り敢えずお酒どうぞ。二人は昔からの知り合いなのかい?」

 

「ん〜……別に幼馴染ってほどの昔ではないんだよなぁ。いつの間にか知り合いだった、って感じだよな霊夢?」

 

「まぁ、確かにそんな感じかしらね。よく考えるとそういう頃の記憶って曖昧ね、アオヤはどうなの、幼馴染とかいるんじゃないの?」

 

まさか話題を自分の身の上話に振られるとは思わなかった。これといってめぼしい話も見つからない、というか話に出すような知り合いもいない。物心ついてから誰かとずっといるということがほとんどなかったのか、記憶に残っていることもないのだが…

 

「あー、霊夢?もしかしてあんまり触れられたくない話題だったんじゃないか?」

 

「いや、大丈夫だ。決してそういう訳ではないから」

 

「その割には顔が引きつってるわよ…」

 

「……そ、そうか……」

 

なんだか初対面の魔理沙にまでフォローされてしまって返す言葉もない、なんだかんだで交友関係がないことをコンプレックスに感じているのかもしれない。そんなことを考え内心ため息をつきながらお酒のおつまみを準備する。

 

「そういえば話は変わるんだけど、魔理沙あんたまた宴会勝手に企画したでしょ、しかも神社でやるつもりで」

 

「いいじゃないか、あれだけ色んな奴が集まると楽しいだろ、というか前回霊夢が抜け出したせいで結構私大変だったんだぜ?」

 

「自業自得でしょ、そんなの私の知るところじゃないわよ」

 

「だって他に出来るような場所もないだろ?一番集まりやすい場所なんだよ」

 

「だから妖怪が住んでるとか噂が流れるのよ……」

 

どうやら頻繁に神社で宴会をやっているらしい。人だけでなく妖怪なども一緒に行うというのは人里では考えられない話だ。

 

「魔理沙は妖怪が恐ろしいとは思わないのかい?人里では妖怪は恐れられているから一緒に飲むというのは中々考えにくいんだが」

 

そう聞くと魔理沙は少し驚いたようにして、

 

「全然怖くないぜ?意外と話してみるとどいつもこいつも人と変わらないんだぜ」

 

「それはあんたが魔法を使えて戦えるからでしょ?人里の人からしたら妖怪は怖いものよ」

 

「でもよ、永遠亭の奴ら薬売りに来てるんじゃないのか?あいつらも妖怪みたいなもんだろ」

 

「……もしかして結構人里に妖怪っていたりもするのかい?」

 

「おー、いるぜ?なんなら色んな妖怪私が紹介してやろうか?」

 

魔理沙は冗談交じりに私にそう問いかける。確かに妖怪は怖いと思うが興味本位なら見てみたい。

 

「ははは、友好的な人を頼むね」

 

「やめておいた方がいいわよ、ロクな奴いないんだから」

 

「興味本位さ。さぁ、おつまみ出来たよ」

 

会話を交わしながら料理を出す。と言っても豆腐を切って冷奴にしただけだ。ネギと生姜を乗っけてその上から醤油を垂らす、上からかつお節を乗せればの冷奴の出来上がりだ。

 

「お、いいねぇ、涼しげだぜ」

 

そう言いながら魔理沙は箸をどんどん進める。作ったものを喜んで食べてもらえるのはやはり嬉しいものだ、つい頬が緩んでしまう。

 

「お酒のつまみなんだからそんなにがっついてどうするのよ」

 

と、そんな魔理沙を尻目に霊夢は少しずつつまんでちびちびとお酒を飲んでいる。どちらかといえばお酒は霊夢の方が飲んでいるようだ。

 

「お酒のおかわりはいるかい?」

 

「あら、目ざといわね、頼もうかしら」

 

「珍しいな、霊夢がそんなに酒が進むとこなんて久しぶりにみたぜ」

 

「意外だな、ここで飲んでる時はいつもこれくらいは飲んでると思うけど」

 

「ここだと飲みやすいのよ、それだけ」

 

淡白に、しかしその中に少し賞賛が混じっているように感じた。真意のつかみにくい言葉回しだが、確かに自分の心には伝わっているような気がした。

 

「そうだアオヤ、今度私と色んな場所回ってみないか?暇つぶしには十分すぎると思うぜ?」

 

「んー、まぁ考えてみるよ」

 

「ん、あんまり乗り気じゃないのか?自分の世界は広い方が楽しいぜ」

 

「嫌なわけじゃないさ、でもまぁその時にお客様が来たら申し訳ないって思うのさ」

 

「はー、お堅いなぁ。店開いてるのはアオヤなんだから開いてない時は仕方ないってこっちは考えると思うぜ?」

 

そういうものなんだろうか、というかタダでさえお客様来てないのにそれやったら尚更来なくなるんじゃないかなぁ、うーん……

 

「別にアオヤが店を開けておきたいならそれでいいんじゃない?気分転換にならないことしてもしょうがないでしょ」

 

「んー、それもそうだな。じゃぁ魔理沙、気が向いたらお願いしてもいいか?」

 

「あぁ、私はいつでも構わないぜ。一人で行くよりはよっぽど楽しいと思うぜ」

 

誘われたこと自体は嬉しいのだが、誘われた経験というのがないのでしどろもどろになってしまった。霊夢が助け舟を出してくれなかったらどうなっていただろう。なんとも自分が不甲斐ない。

 

その後は魔理沙が先に潰れてしまい、霊夢が連れて帰る形になった。面倒臭いと言いながらしっかり連れて帰るところに面倒見の良さが出ている気がした。真逆な性格に見える二人の仲の良さの秘密はきっとそういうところなのだろう。そう考えながら、いつの間にか晴れた夜空を見て澄んだ気持ちになっていた。




どうだったでしょうか。良かったら感想お願いします。
誤字などがありましたら、是非教えてください。
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