ハイスクール・フリート Freedom   作:水甲

10 / 37
原作四話の話です。

この話は買い出し組と待機組の話で別れます


10

ブラックホエールの基地

 

黒鯨に連行されたまいの前に安奈がいた。

 

「久し振りだね。まい」

 

「……大艦長」

 

「解体が決定しているとはいえ、勝手に睦月を持ち出し、如月への攻撃……どんな組織でもあんたがやったことは反逆になっちまうよ。弁解はあるかい?」

 

「………ありません」

 

「そうかい、じゃあついてきな」

 

安奈はまいと共にある場所に向かうのであった。

 

 

安奈の案内でたどり着いたのは黒鯨があるブロックとは反対のブロックだった。そこにはある艦が開発されつつあった。

 

「あれは……」

 

「改造型駆逐艦弥生。これは如月と同時期に作らせていたんだけどね。まだ艦長が決まってない」

 

「艦長が決まってない?」

 

「そしたらね。この弥生の副長がどうしてもあんたに艦長をやってもらいたいって言ってるのさ。なっもえ」

 

まいが後ろを振り向くとそこには金髪の女性、まいの姉であるもえがいた

 

「まい、聞いたよ。如月と……ゆきちゃん達とのこと……私があの子達にマリン・スノーを託したのは……この弥生の副長を務めることになったからよ」

 

「そ、そんなこと……」

 

「実は驚かしたかったんだけどね。それが原因みたいだったね。ごめんね。隠してて」

 

「わ、私は……」

 

俯くまい。安奈はため息をつきある処罰をまいに告げる。

 

「弥生の準備ができ次第、マリン・スノーの手助けに行くこと!第五部隊キロネックスの改造型駆逐艦弥生艦長東坂まい!それがあんたの処罰だよ」

 

「はい!!」

 

「ふふ、大艦長は随分と甘いですね」

 

「ふん、レオナから言われたんだよ。この子の処罰を軽くしてやれって……ゆきの頼みだって……」

 

「ゆきちゃんはどんな感じですか?」

 

「……レオナが言うには変わりつつあるってさ。あの晴風艦長、岬明乃のおかげで……」

 

「……でもそれでもまだ……」

 

「あぁ心配さ。あの子が本当に変われるかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、私達如月、晴風一行は横須賀へと向かっていた。

 

現在艦橋には私、トシコ、キリ、楓の四人しかいない。雨は如月の応急処置で徹夜が何日か続き休んでいるため、臨時として波奈が機関室にいる。狐さんは現在見張り員を行っている

 

「でも良かったっすよね。晴風が横須賀に戻れて」

 

「そうね。でもまだ謎が残っているわ。猿島、シュペーの件」

 

「そういえば睦月があたしらと遭遇する前に伊201と戦ったみたいっすけど……いきなり攻撃してきたって言ってたっすよ。本当に何が起きてるんっすかね?」

 

私とトシコがそんなことを話していると楓が通信を受けた。

 

「はい、岬艦長さん。どうかしたんですか?」

 

ミケちゃんから通信?何かあったのかな?

 

「はい、はい、えっ?確認してみます」

 

通信を切った楓はある報告をした。

 

「ゆきちゃ……艦長、晴風から通信です。実は晴風の………」

 

楓が深刻そうな顔をしている。本当に何かあったのかな?

 

「トイレットペーパーが無くなったそうです」

 

「………はい?」

 

私も含めトシコ、キリも最初は何の冗談かと思った。

 

「何だか多めに用意していたのが切れたみたいです」

 

「流石にトイレットペーパーがないのは結構きついっすね」

 

「そうね。こっちも確か波奈が色々と不足してきてるから物資の補給をしたいって言ってたわね」

 

一応第四部隊には物資補給、如月の修理を依頼してるけど合流するまでは時間がかかりそうね。

 

「楓、付いてきて、晴風に行くわよ。トシコは晴風にそっちに行くことを伝えなさい」

 

「了解っす」

 

 

 

 

 

 

 

晴風へ訪れた私と楓はミケちゃんから状況の確認をした。

 

「それじゃ少数のメンバーで買い出しに行くのね」

 

「うん、でもね、問題が出てきてね」

 

「問題?」

 

「お金がないの。一応皆に募金を募ったんだけど……」

 

何故か宵越しの金は持たない主義だとか、ジンバブエドルやらユーロやら、小切手しか持ってない人が多いみたいだ

 

「本当に晴風は個性的な子が多いね」

 

「ゆきちゃ……艦長、私達も割と個性的ですよ。特に雨さんが……」

 

「まぁね。それでお金だったわね。それだったら……」

 

私はポケットから財布を取り出し、一万円札を五枚ほどミケちゃんに渡した。

 

「えっ?ゆきちゃんいいの?こんなにたくさん……」

 

「うん、こうみえて貯金してるから、それに皆のために使ってくれるならいくらでも出すよ。あとこっちも買ってきてもらいたいものもあるから……如月から誰か行かせるよ。荷物も多くなりそうだし……楓、ついていって」

 

「えっ?私?」

 

「うん、あんまり晴風のメンバーと交流ないから丁度いいかなって、お願いできる?あとはキリも行かせるわ。」

 

「う、うん、分かった」

 

「それじゃ楓ちゃん、お願いね」

 

ミケちゃんがそう言って、楓の手を引っ張っていった。残った私は見張員の狐さんにある事を頼んだ。

 

「狐さん、買い出しメンバーの護衛をお願いね。何もなければいいんだけどもしブルーマーメイドに見つかる場合があるかもしれない。それも今回の寄港命令に対して納得出来ない人に命令されたね。お願いできますか?」

 

狐さんは何も言わずただ頷くのであった。私はトシコにキリと交代するように伝えに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓SIDE

 

私は晴風艦長、岬さんと乗員の和住媛萌さん、伊良子美甘さん、鏑木美波さん。如月からは私とキリちゃんと一緒にスキッパーに乗ってオーシャンモール四国沖店へとたどり着き、水上バスに乗っていた。

 

「そういえばこうして話すのは初めてだよね。楓ちゃんにキリちゃん」

 

「は、はい、岬さん」

 

「よろしく。所で岬艦長にお聞きしたいことが」

 

「聞きたいこと?」

 

「はい、ゆきさんと岬艦長はずばり……」

 

「キリちゃん、そういうのは心のなかだけにして。わからない人にはわからないから」

 

いつもキリちゃんは仲がいい子同士を見るとカップリングがどうの、受け攻めがどうのとか言うんだから……

 

「やっぱりなんでもない」

 

「?」

 

「岬さん、気にしないでください」

 

「何だか変わった子達が多いよね。如月の子って」

 

「というかあの雨って子、如月艦長に見張られながら晴風を修理してくれてたけど、ゆきさんってそんなに怖い人なの?」

 

媛萌さんがそう言うけど、雨だけああいう態度を取らないと止まらないんだよね

 

「何だか昔のゆきちゃんから全然想像できないな~昔は運動ができなくっていつも私とモカちゃんの後ろを必死についてきたんだよね。あとはよく泣いてたかな?」

 

「人は変わるもの。艦長から聞いた限りつらい目にあってから変わろうとする思いが強いからこそ、あぁ言う風に変われたんだと思う」

 

美波さんの言うとおりなのかな?

 

「そういえば楓さんはどうしてブラックホエールに?」

 

「う~ん、ブラックホエールに拾われたからかな?」

 

美柑さんの質問にそう答えた。

 

私は……私達ブラックホエールに所属する子はみんな、身寄りの無い子供だった。そんな私達を救い、育ててくれたのは安奈さんだった。

 

安奈さんは優しい笑顔でいつも私達を見守ってくれた。そして同じ時期にブラックホエールに入ったゆきちゃんは優しい光で私を照らしてくれる月のような子だった。

 

「何だか大変なんだね。ブラックホエールも」

 

水上バスに乗りながらそういう事を話すべきじゃなかったかな?

 

そして私はある事を考えていた。

 

ある日、ゆきちゃんのある異変に気がついた。それはあの子の本当の笑顔と涙を見たことがないことだった。涙を見せないことはきっと強い子だからかと思ってたけど、ゆきちゃんの笑顔は何だか作られたものに見えたのだった。

 

「岬さん、ゆきちゃんのことおねがいしますね」

 

誰にも聞こえないようにつぶやくのであった。




次回は待機組の話になります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。