ミケちゃんたちが買い出しに行っている間、晴風はちょっとした休息時間になっていた。猿島の件から色々と大変だったみたいだし、こういう時間もたまにはいいかもしれない。
私は保健委員の美波さんの代わりに晴風にきていた。休息時間とはいえうっかり羽目をはずして怪我してしまう人が出るかもしれないし……だけど特にそういった様子はないみたいだ。
「こんなのんびりした時間は私も久しぶりかもしれないな~」
私自身も少しのんびりしてもいいかもしれないけど、いつ何が起きるかわからない。気を抜いている暇なんて無い。
「しっかりしないとダメね」
一人でそう呟いているとこっちに歩いてくる3人の姿を発見した。あれはましろさん、ひろみさん、ミーナさんだ
「ましろさんたちは何してるの?」
「あっ、彼女が晴風を見て回りたいっていうので」
「如月艦長は……」
「ゆきでいいよ。名前呼びのほうが呼ばれ慣れてるし」
「では、ゆきさんで」
「うん、ひろみさん」
ひろみさんに笑顔で返すとミーナさんが私の方をじっと見ていた
「何か?」
「いや、姉御から聞いてた感じとは全く違う気がするんじゃが」
そういえばミーナさんはレオナさんと知り合いだったんだっけ?レオナさんは一体私の事どんな風に言ってるんだろう?
「ミーナさんはレオナさんと知り合いみたいだけど、いつ知り合ったの?」
「ん?ありゃあ中学に上る前にシュペーの艦長と一緒に街で姉御とあったんじゃ。あん時は姉御は呑んだくれとって、何とか姉御に艦がある所まで連れてったんじゃ」
何だか身内が迷惑をかけてすみません。
「そん時に筑摩の中を案内してくれたり、酔った勢いでブラックホエールの切り札を自慢しとったぞ。開発中の如月の事も」
だからミーナさんはあの時如月の武装について知ってたんだ。そのおかげで助かったけど
「じゃが酔っ払った状態でも全く隙がない人じゃった」
「あの人は、例えどんな状態でも、いざ戦闘になると的確な指揮をしますからね」
「何だかすごい人だったんですね。あの筑摩の艦長は」
ひろみさんが感心していると機関科の子が何かを話しているのが聞こえた。
「ブルマーになれないとか、あるのかなぁ……」
「そうなったら何のためにこの学校に入ったんだって話よね」
「でも、ないとは思うよ。だって宗谷副長、校長の娘さんだもん」
「やっぱりそうなんだ。宗谷って苗字あんまりないもんね。あれ?なんで晴風?武蔵じゃないんだ。そこまで頭がいいクラスじゃないよね、晴風って」
「余計なおしゃべりはそこまでになさい!」
「この噂好きのドグサレ野郎共!修理する箇所がいくらでもあるじゃろうが!とりかかりんさいや!」
二人に怒鳴られ、みんなすぐにその場から走り去っていく。それを見届けるとひろみさんとミーナさんはため息を付いた。
「気にしないでね宗谷さん……」
「全く同胞への噂は度が過ぎると本当にいかんからのぉ」
「あ、あぁ」
そういえばましろさんって「来島の巴御前」の娘さんだったっけ。何だか聞いた話だと解答欄をずれて書いちゃったんだっけ?
あれ?
でもさっきの子たちの話を聞くと晴風って落ちこぼれなのかな?
「ましろさん、晴風って落ちこぼれのクラスなの?」
「えっ?いやだって……」
「私を含めたうちの乗員はみんな晴風が落ちこぼれだって思ってないよ?逆にすごく優秀な子がいっぱいいるし、もし落ちこぼれだったらこれまでの戦いは乗り越えられることなんて出来なかったよ」
「ゆき艦長……」
「だからましろさんは何を言われても気にしないほうがいいよ。ひろみさんもミーナさんも」
「えぇ」
「儂はシュペーの副長なんじゃが……」
四人でそんなことを話しているとどこからかネズミとそれを追う猫がましろさんにタックルしてきた。ましろさんはバランスを崩し尻餅をついてしまう。猫はそのままがましろさんを踏みつけて後ろに走り抜けていった。
「いたた、全く……猫なんて乗せるからだ」
私とひろみさんはましろさんに手を貸して立ち上がらせると砲雷科の松永利都子が走ってきた。
「何があったの?」
「あれ?如月の艦長さん、今五十六がネズミ追いかけてなかった?あのネズミ、アビスの箱から出てきたんです」
アビスって確か海上輸送専門の運送会社。話を聞く限りそのアビスの箱を拾い上げて中を確認したらさっきのネズミがいたということだった。私達はネズミと猫が行った場所を教えるのであった。
「そういえば晴風に猫なんていたんだね」
「どこからか入り込んで、艦長が世話しているんです。それも名前をつけてましてね」
「五十六だったかしら?」
何だか昔のとある司令官と同じ名前のような気が……でも猫って船旅にはかなり必要な存在なんだけどな……
(そういえばあのネズミ、見たことのないネズミだった気が……一瞬だったし気のせいだよね?)
次回から少々更新のスピードが落ちるかもしれません