オーシャンモールで買い出しをしている私、キリ、岬さん、媛萌さん、美甘さん、美波さん。
私達は岬さんが福引で当てたトイレットペーパー一年分を持ちながら帰ろうとしていた。
「岬さんって運がいいんですね」
「あはは、昔から運がいい方なんだよね~」
「あなた達、ちょっと待ってもらえないかしら?」
突然背後から声をかけられ、振り向くとそこにはブルーマーメイドが数人いた。
「あなた達、晴風の子達ね」
ブルーマーメイドの一人がそういった瞬間、この人達が何のために声をかけてきたのか理解し、逃げるのであった。
「待ちなさい!」
後ろを振り向くとさっきの人達が追ってきている。おまけに私とキリの二人も晴風乗員だと思われてるし……
(このまま逃げきれる?でも相手はプロ、追いつかれてしまう……それなら)
私は立ち止まろうとした時、岬さんが転んでしまった子供に声をかけていた。
もしかして逃げようとした時にぶつかっちゃったのかな?
だけどそんな岬さんがブルーマーメイドの女性に拘束されてしまう。
岬さんだけじゃない、媛萌さん、美甘さん、美波さんもだ。キリちゃんは……どこかに隠れた?
今の状況を打破できるのは私だけだというのなら……
「待ってください!!」
私は女性を睨みながら訴え続けた。
「海の平和を守るブルーマーメイドが無抵抗の女の子を捕まえようとして……それでもブルーマーメイドですか!!」
「楓ちゃん……」
「私達も逃げようとしました。だけどそれはあんな威圧的な言い方をされれば誰だって逃げたくなります!」
別に威圧的な言い方ではなかったけど、こういう状況では言っちゃったもん勝ちということで……
「今すぐ岬さんたちを離して下さい!!じゃないとこのブラックホエール第三部隊マリン・スノーの大元楓が許しません!」
私がそう叫んだ瞬間、物陰に隠れていたキリが呆れた顔で出てきた。
「全く相手は大人だっていうのに楓一人で何とか出来るの?私も手伝うよ」
「ありがとうね。キリちゃん」
私達はブルーマーメイドの女性を睨み続けると一人の女性がため息を付いた。
「……分かったわ。手荒な真似をしてごめんなさい。晴風艦長岬明乃さん」
岬さんたちを解放するブルーマーメイド。
「あ、いえ、こちらこそ突然逃げ出してすみません」
「私は海上安全整備局情報調査隊の平賀二等監察官よ。私達は宗谷監察官の指示であなた達の反乱の真偽を確認したかったの。でもそっちのブラックホエールの子達と一緒にいるということはあの報告通りだったわね」
「あの報告って何のことでしょうか?」
岬さんが質問すると平賀監査官は私とキリちゃんの方を見た。
「彼女たちブラックホエールの大艦長からの報告よ。もし彼女たちの誰かが晴風乗員と行動をともにしているならば反乱はしていないという話よ」
平賀監査官が言うには大艦長から、私達第三部隊が晴風を護衛しているということになっている。
もし晴風がマリン・スノーと行動をともにしていない場合、晴風が何らかの理由で反乱しているとのことだ。
とはいえそういう事にしておかないと宗谷校長が出した寄港命令に納得していない人達が何らかの行動をする可能性があるかもしれないからだった。
「これからあなた達を晴風に送って行くわ。もしかしたら明石と間宮も合流している頃ね」
「明石と間宮ですか?」
「えぇ、晴風の補給のためにね」
岬さんと平賀監査官が話している中、私たちから離れたところにいる狐さんがいた
(狐さん?もしかしてゆきちゃんに言われてこっそり護衛してくれてたのかな?)
狐さんは海の方を指差していた。もしかして前にゆきちゃんが第四部隊に来てもらうって言ってたから……
「あの平賀監査官、お願いがあるんですが……」
ゆきSIDE
ミケちゃんたちとの合流地点に艦を進めているなか、私はというと晴風の艦橋で波奈に電話をかけていた。
『それでは合流後、こちらに戻るのですね』
「うん、代理の衛生兵としてまだ居たほうがいいかなって、波奈が艦橋に戻ったって言うことは」
『はい、雨が起きて機関室にいます。トシコは航海長代理をしていますので』
「それじゃまた後でね」
『はい』
電話を終え、荒れている海を見た。
(何事もなければいいのだけど……どうにもあのネズミが気になる)
少し前に逃げ出したネズミを捕獲した五十六が艦橋に訪れていた。ネズミは現在タマちゃんが保護していたような気がするけど……
(あのネズミ、本当に気になるわね。見たことがないからというだけなのかな?)
如月に戻ってからゆっくり調べてみようかと思っているとましろさんがあることに気がついた。
「あれは……明石に間宮!?」
「もしかして晴風を狙って!?」
「違うと思うわ。夜とはいえ如月の姿が見えてる。今まではこっちを確認した瞬間すぐに攻撃をしてきたけど、そんな素振りを見せていないということは敵じゃない可能性が高いわ」
もしかすると学校側が手配してものかもしれない。私はましろさんに停船するように話、波奈にも連絡を入れた。
「波奈、如月も停船して」
『はい、了解です』
ゆっくりと晴風と如月が停船させると明石、間宮の他にブルーマーメイドの艦隊が周りを囲んでいた。
(念には念ということね。今はあっちからの連絡を待つしかないわね)
「何をのんびり立ち止まってやがる!!」
突然艦橋に怒鳴り声が響いた。その怒鳴り声を出したのはしまさんだった。
晴風のメンバーとは日が浅いとはいえ、しまさんがこんな風に怒鳴り声を出すようには思えない
(この子、襲われるかもしれないという緊張感からこんな風になったようには見えない?)
私の目ではそういう風に見えなかった。ただ好戦的になっているようにしか見えない
そうこうしている内にしまさんが艦橋を飛び出した。
「明らかに様子がおかしい!艦を現状維持で!これで波奈にも連絡して!」
私は携帯をましろさんに渡して、しまさんを追うのであった。
しまさんは機銃を使って明石、間宮に砲撃をしていた。
「間宮!明石!お前なんかにやられるタマじゃねぇんだ!」
「やめなさい!!」
私はしまさんを後ろから抱きかかえ、機銃から引き剥がすが、物凄い力で私の拘束を抜けだした。
「邪魔すんじゃねぇ!!」
しまさんは私を殴ろうとするが、私はしまさんの拳を掴んだ。
「どんな考えでこんなことをしているかわからないけど……」
しまさんの腕を掴み、投げ飛ばした。
「こっちはブラックホエールで戦闘訓練を積んでるの。並の相手には負けないわよ」
「おい大丈夫か!」
心配になって駆けつけてきたミーナさん。しまさんはミーナさんに飛びかかってくる
「いい加減落ち着け!!」
ミーナさんは咄嗟にしまさんの腕を掴み、飛びかかってくる勢いを利用して海へと投げ飛ばした。
「しまった!?」
暗い海へと投げ出されたしまさん。私とミーナさんは助けに行こうとするが、大きな波と共にしまさんが戻ってきた。
「?」
戻ってきたしまさんは自分が何をしていたのか分からないでいるのであった。
(元に戻った?それじゃさっきまでのは一体?)
フッと明石と間宮の方を見ると……いやその二隻の後方に一隻の艦がこっちに向かってきている。
「あれは第四部隊シーホースの改造型工作艦北上!」
次回で原作四話終了です。
北上が軽巡ではなく工作艦なのは戦後の設定です。