こっちの明乃は何気優秀なのかも
艦橋に戻った私はシロちゃん達にネズミのことを話した。
「それじゃ、猿島、シュペー、武蔵のあの行動の原因がネズミにあるということですか?」
「そうみたいなの。美波さんはもう少し調べてからブルーマーメイドに報告するって」
「でも信じられない。ネズミにそんな事ができるなんて……」
シロちゃんはまだ信じられないみたいだけど、話を聞いたミーちゃんはあることを告げた。
「いや、儂は艦長の言うことを信じる。シュペー乗員の件はもしかするとネズミが関わっているかもしれない。知らずの内に感染していた可能性があるからな」
ミーちゃんの言うとおり、シュペー乗員の命令違反もネズミが持つウィルスに感染しているのであれば、全て辻褄が合う。
でも、少し気になる事があった。どうしてモカちゃんは無事なんだろうか?
あの時モカちゃんの姿を見たけど、ウィルスに感染した様子もなく、私に助けを求めていた。
色々と気になることがあるけど、今は私達が出来ることをするべきだと思う
「今は武蔵の捜索を続けよ」
「そうですね」
「そういえばタマの奴は?」
メイちゃんはこの場にいないタマちゃんの事を聞いてきた。
「艦橋に戻る時に、あのネズミを見つけたの」
ネズミを見つけた瞬間、五十六が捕獲しに向かった。
タマちゃんには、五十六を追いかけ、ネズミを捕獲したら美波さんに届けるようにと伝えておくのだった。
そして今は如月にもこの事を伝えないと、
「ココちゃん、如月に通信繋いで、」
「分かりました」
ココちゃんが如月に通信を入れた。
『もしもし?こちら如月のトシコっす』
「こちら晴風艦長の岬です。あれ?トシコさんですか?副長の波奈さんは?」
『あ~、波奈って泣き出したあと、部屋に篭っちゃうんっすよ。それで何かあったんっすか?』
「実は……」
私は行方不明になっている艦にネズミが関わっていることを伝えた。
『なるほどっす。こっちも大艦長から連絡あって、伊201もそのウィルスに感染してたみたいっすよ』
「それって本当ですか?」
『本当っすよ。伊201の中を調べたらそのネズミの死骸が見つかったみたいっす。死因は窒息。どうやら睦月の攻撃を受けて浸水しちゃったみたいっすね』
浸水、あれ?伊201の乗員って
「あの伊201の乗員って救出された時はどんな様子だったか分かりますか?」
『一応そこらへんも調べてくれたみたいっす。救出された時は特に変わった様子がなかったみたいっすけど、そういえば乗員全員浸水してた所為かびしょ濡れだったみたいっすよ』
その話を聞いて、何だか色々とつながってきたかもしれない。
「ココちゃん、美波さんに伝えて!ウィルスの弱点があるかもしれない」
「どういう事ですか?」
「伊201もウィルスに感染してたみたいなんだけど、ホワイトドルフィンに救出された時には特に変わった様子はなかったの。ただ浸水してたみたいで乗員全員がびしょ濡れだったんだって」
それを聞いて、シロちゃんは何かを思い出していた。
「砲術長が暴れだした時、ミーナが海に落とし……」
「あれは不可抗力で……」
「でも戻ってきた時には元に戻ってた。ということは……」
シロちゃんもウィルスの弱点に気がついたみたい。私とシロちゃんは口をそろえて言うのであった。
「「ウィルスは海水に弱い!!」」
私とシロちゃんは顔を見合わせた。
すると通信中のトシコさんから
『本当にゆきが言ってた通りっすね。晴風はみんな優秀っす。この件は大艦長にも伝えておくっす』
「はい、こっちもブルーマーメイドに報告します」
『了解っす。こっちも波奈が戻ってきたら伝えておくっす』
「お願いします。あとゆきちゃんのことなんですが……」
『起きたっすか?』
「いえ、まだです。あのゆきちゃんはどうして倒れたんですか?それだけが気になって」
『………』
トシコさんはしばらく黙りこみ、ため息をついていた。
『あたしが言うべき事じゃないことだっていうのは解ってるっす。だけど言うとすればゆきは自分でも分からなくなったんだと思うっす』
「分からなくなった?」
『ゆきはあまり感情的になってはいけないって思ってたんっす。あたしや波奈、姉御や大艦長はその事をずっと気にしてたっす』
感情的になってはいけないって、もしかして私が感じてたゆきちゃんの笑顔もそのせいなのかな?
『でも晴風と……岬艦長と再会してから変わり始めたっす。感情的になるようになってきたっす。』
確かにあの時の笑顔は久しぶりに見た気がする。
『でも、岬艦長が飛び出した時、もしかしたらゆきは自分はどうしたらいいのか分からなくなったんだと思うっす』
トシコさんが言うには、ゆきちゃんは私を助けに行くべきか、このまま武蔵を見張り続けるべきか、どうするべきか分からなくなり、倒れたかもしれないらしいとのこと
『だから岬艦長、ゆきが目覚めたら話して下さい。あんたにはそれが出来るっす』
正直私にそんなことが出来るかわからない。
でも、トシコさんは私に出来ると言ってくれる。
私はトシコさんの、如月のみんなの期待に応えるように……
「分かりました。話してみます」
『お願いっす』
通信を切ると艦橋に美波さんの声が響いた。
『艦長、話は聞いた。ウィルスが海水に弱いっていうのはあり得るかもしれない。そのことも踏まえて報告書を作る』
「お願いね。美波さん」
『あと彼女が目覚めた』
「………美波さん、少しゆきちゃんと話がしたいから……」
『分かった。私は医務室から出てるから…』
美波さんと話し終え、私はシロちゃんに伝えた。
「シロちゃん、私」
「分かってます。艦長が今できる事はゆき艦長と話をすることですね。行って下さい」
「ありがとう。行ってきます」
私はゆきちゃんと話をするために医務室へ向かうのであった。
次回でオリストも終わりですね。
次回はゆき視点で行います。
前書きでも書いたようにこっちの明乃は優秀ですね。