横須賀女子海洋学校
校長室には校長である宗谷真雪の元に、校長の娘である真霜が訪れていた
「貴方がここに来るなんて余程のことなのね」
「はい」
真霜はある報告書を取り出し、真雪は報告書を見ると……
「これは……」
そこに書かれていたもの、それは例のネズミについてだった。
それは水深1500mまで沈没した実験艦が、海底火山活動による西之島新島の形成によって海上に露出。
その実験艦には海洋研究機関内で偶然誕生した生物RATtがいた。
海洋実習で猿島及び教育艦隊が西之島新島近海を第一次集合場所として集結する予定の情報をつかんだ研究機関は、関係者を猿島に乗船させた。
実験艦を回収させる手はずだったが、その際、猿島乗員がRATtウイルスに感染し、その海域にいた人々にも感染した
「このウィルスの怖い所は、感染力」
一次感染者はウイルスが発する電磁波のハブとなって周囲の二次感染者の脳波に干渉することにより生体電流ネットワークを構築させる。
単一の意思に基づいて行動する「ひとつの群体」を形成しより強力になった電磁波によって感染を拡大すること。
さらにこの電磁波によって電子機器の機能不全を引き起こすほどのものだった。
それが一連の騒動の真相だった。
「……晴風は遅れてきたからこそ感染を逃れた」
「そしてうちの子たちと会えたということだね」
突然、扉の方から声が聞こえ、二人が振り向くとそこには安奈が扉に寄りかかっていた。
「あなたはブラックホエールの!?どうしてここに……」
「真霜、落ち着きなさい。彼女は私の古い友人よ」
「なんだい、私とあんたの関係は娘に話してないのかい?まぁいいさ、どうやらそっちも真相っていうやつにたどり着いたみたいだね」
「ということはブラックホエールの方も」
「あぁ、ネズミが関係しているということはゆき達から報告を受けてるしね。おまけに手癖の悪い子達がその報告書を覗き込んだりね」
安奈の言葉を聞き、真霜は呆れた顔をし、校長はクスクス笑っていた。
「たまに確認されたハッキングの痕跡は貴方達だったんですね」
「悪かったとは思ってるよ」
校長と安奈が笑い合う中、校長室に置かれた電話が鳴り響いた。
校長が電話にでると……
『校長、晴風から通信です』
時間が少し遡る
霧の中を抜けていく如月、晴風。
私は艦橋でミケちゃんからある報告を受けていた。
『ごめんね、色々とあって遅くなったんだけど……モカちゃんは無事だったよ』
「モカちゃんが無事……武蔵はネズミに感染している可能性があるのに?」
『うん、一瞬だったけど助けを求めるモカちゃんが艦橋にいたの』
それを聞いて、安堵する私。
モカちゃんは無事でいる。だけど助けを求めている。
「確認できたのはモカちゃんだけ?」
『うん』
もしかするとモカちゃんの他にも感染していない人がいるかもしれない。
『本当に遅くなってごめんね』
「ありがとうね。教えてくれて……きっとモカちゃんはつらい思いをしてるだろうし、早く助けに行こう」
『そうだね』
ミケちゃんとの通信を切ろうとした時、見張りに出ていたトシコが慌てて艦橋に入ってきた。
「た、大変っす!前方に大型艦が!?」
「もしかして武蔵!?」
「いや、似てるっすけど、あれは金剛型の比叡っす」
ミケちゃんと話している間に霧の中を抜けたせいか、遠くの方にいる艦を確認できた。
双眼鏡で見ていると確かに比叡だった。
「波奈、比叡って……」
「行方不明になっている教育艦です。もしかすると」
「ウイルスに感染しているかもしれないっていうことね」
私は繋いだままだった電話で、ミケちゃんに報告をした。
「ミケちゃん」
『うん、こっちでも確認してるよ。ブルマーに連絡して、派遣部隊が来るまで比叡の監視を続けよって』
駆逐艦二隻で戦艦を相手するのは少し厳しい。ここはブルマーの言うとおりに……
「艦長!比叡の進行方向先にトラック諸島があります!」
トラック諸島に向かっているということ、もしも到着したらウイルスの感染が更にひどくなるということ、
「派遣部隊の到着を待つことは?」
「到着する頃には、比叡がトラック諸島に……」
間に合わないということか……
「波奈、トシコ、楓、キリ、機関室にいる雨。そしてミケちゃんも通信切らずに聞いて」
私は比叡を止めるためにある行動に出るために、みんなに話すのだった。
「私はこのまま比叡を監視しているだけじゃ駄目だと思うの。だから……如月は比叡と戦おうと思うの」
このまま放ってはおけない。
私達がやるべきことは比叡の監視ではなく、止めること。
「悪いけど、皆には私のわがままに付き合ってもらえないかな?」
私がそう言うと波奈たちは頷いてくれた。
『ゆきちゃん、晴風は?』
「晴風は指示された通りに監視を続けつつ、打開策を見つけてほしいの」
『打開策?』
「なるべく比叡を傷つけずに止められる方法がないかって……」
如月だと沈没しかねない。相手が海賊とかならまだしも、ウイルスに感染した人間が乗っている。
無闇に攻撃を当てたくないからこそ、ミケちゃんたちに打開策を見つけてもらわないと……
『分かった。皆と話し合ってみる!何か思いつたら連絡入れるから』
「うん、お願いね」
ミケちゃんとの連絡を切り、私は艦橋にいるみんなに向かって言った。
「ブラックホエール第三部隊マリン・スノーはこれより金剛型二番艦比叡の妨害を行う!!海の自由とともに!如月出撃!!」
次回如月vs比叡