トラック諸島へと向かう比叡を止めるために、私達如月は前に出た。
「みんな、こちらから比叡に攻撃することは出来ないって分かってるわね」
「はい、あくまで比叡の妨害ですね」
「でもそれってかなり厳しいんじゃないっすか?」
トシコの言うとおり、こっちからの攻撃はできないけど、相手は容赦なく攻撃してくる。
「ミケちゃんたちが打開策を見つけてくれるのを信じたいけど……場合によっては比叡を沈没させます」
正直ウィルスに操られている比叡の乗員を傷つけたくない。
でもそんな甘い考えを持ったままじゃこっちがやられてしまう。
だからこそ覚悟を決めないと
「砲撃準備!まずはこっちに注意を向けさせます」
「了解っす」
「主砲発射!」
放たれた砲撃が比叡の前に着弾すると同時に大きな水柱が上がった。
水柱が上がったおかげか比叡がゆっくりと進行方向をこちらに変えてきた。
「雨!切り札は何発撃てる?」
『第四部隊が修理、改装してくれたおかげで5発は撃てるよ。おまけに連射もできる』
「それじゃ切り札発動!横一直線に発射」
『了解!』
如月の艦首が開き、ウォーターカッターが比叡の横一直線に放たれた。
放たれた箇所から水柱が上がり、比叡の視界を奪った。
これなら迂闊に攻撃はしてこないはず
「残り四発!切り札が使用できなくなった瞬間、みんな覚悟を決めて」
艦橋にいるみんなにそう伝える私。
みんなはただ頷くのみだった。
(ミケちゃん、急いで)
晴風は如月と比叡との戦いを見届けながら、比叡を止める方法を考えていた。
「ゆきちゃんたちが妨害している間に何か方法を考えないと……」
「どうしてゆき艦長は私達に比叡を止める方法を考えろって言ったんですか?」
シロちゃんの言うとおりかもしれない。ゆきちゃん達ならそういう事を考えられるはずだと思うけど……
「わからないけど、でもゆきちゃんはきっと私達なら比叡を傷つけずに止められる方法を思いつくって信じてくれているからだと思う」
「ゆき艦長が……きっとそうですね」
「でもゆっくり考えてられないかもしれない。もしかしたら……」
もしかしたらゆきちゃんは比叡を沈没させてでも止めなければいけないと思っているはず。
そうしなければ如月がやられてしまうとゆきちゃんなら考えているはずだ。
「何か方法を……」
何かないかと考えるけど、何も思いつかない。
そんな時だった。
艦橋の配管から多聞丸が出てきた。その後に五十六も出てくるがお腹が大きいからか中々出てこれないでいた。
それを見て私はある方法を思いついた。
「そうだ、これなら……」
私は急いで比叡を止める作戦計画書を書き上げ、学校に連絡を入れた。
「こちら晴風艦長岬明乃です。私達は現在行方不明になっていた比叡を発見。比叡がこのまま進めばトラック諸島に着いてしまいます」
『ブルーマーメイドの到着が間に合わないということね』
「はい、今はブラックホエール第三部隊が比叡を妨害していますが、このままだと如月か比叡が大破。または沈没してしまうかもしれません。だからこそある方法を行えば比叡を無傷で止められると思います。そのために戦闘許可を出して下さい」
『待ちなさい!いくら何でもそんな危険な事は……』
電話越しから校長先生以外の声が聞こえた。
でもその人の言うとおり危険なことだけど、比叡を止めるにはこれしかない。
私は学校に作戦計画書を送った。
『…‥…これはよく考えられているわね』
『それでも危険過ぎるわ』
「今この海域には晴風と如月しかいません。だからこそ私達がやらなければいけないんだと思います」
『………』
校長先生はしばらく黙り込んでいた。すると
『気に入ったよ岬艦長』
「えっと」
聞いたことのない声だった。誰なんだろうか?
『計画書みたけど良い作戦じゃないか。真雪、許可してやりな』
『……そうね。許可するわ。ただしクラスの皆とよく話し合って』
「はい」
『任せたよ。岬艦長。あの子と一緒に比叡を止めな』
「はい」
電話を切ると、私はさっきの知らない声が誰なのか気になっていた。
(さっきの人って、誰なんだろう?あの子と一緒にって……)
今は作戦に集中しなきゃ、まずは皆に作戦を伝えないと
「三発目発射!」
ウォーターカッター三発目を放つが、比叡は水の壁越しからこちらに向けて砲撃してく
る
命中精度が上がってきているということね
「艦長!晴風から通信です」
波奈がそう言いながら、私は通信に出た。
『ゆきちゃん、おまたせ。作戦計画書送るね』
ミケちゃんから送られた作戦計画書を読むと、
「確かにこれなら……」
『学校から許可ももらったよ。やろうゆきちゃん!』
「うん、キリ!後退!晴風と合流して比叡を座礁させるわよ」
「了解!」
「ゆき、座礁させるってどうやってやるんっすか?」
「トシコの言うとおりです。上手く座礁してくれると思いますか?」
「大丈夫。ミケちゃんたちを信じよう」
艦首を閉じ、後退しながら晴風と合流する私達。
比叡は私達を追ってくる。
「比叡の砲撃に注意をして、避けながら座礁ポイントを目指して」
砲撃を避けていく如月と晴風。
何とか砲撃を避けながら第一ポイントへたどり着くけど、比叡が座礁する様子はない。
「引き続き、第二ポイントへ向かって!」
第二ポイントへ向かう私達。
この作戦は本当に上手くいくかわからないけど、今はミケちゃんたちを信じないと
「艦長!第二ポイント到着します」
第二ポイントを抜ける私達、ここで座礁させないと……
だけど比叡は座礁せず、こちらに向かってくる
「失敗した?」
「どうするっすか!?」
作戦失敗に戸惑う波奈とトシコ。
作戦が失敗した上にさっき通った場所に戻ってきた。
まさか座礁するまで続けるの?
「………ミケちゃんがそんな無謀な事を考えるはずない」
私はミケちゃんを信じている。
突然比叡の速度が落ちてきた。
「どういうことっすか?比叡が止まったっすよ」
さっき通った場所に戻ってきただけなのに、比叡が止まった理由って……
しばらく考えているとその理由が分かった。
「そっか、そういうことだね」
「どういうことですか?」
「潮の満ち引きを利用したのよ」
潮の満ち引きは変わりやすい。そのためさっき通った場所でも潮の満ち引きが変われば、座礁することだってある。
「なるほどっす。よく晴風のみんなはそんなことを思いついたっすね」
「幸子さんがタブレットか何かで詳しく調べてくれたからだと思う。あの子って凄い細かく記録してくれたりするからね」
「本当に優秀ですね。晴風の子は……」
波奈はそう言うけど、私は最初から優秀な子達だって思っていたから
ただ一瞬とはいえ、弱気になって、ミケちゃんを信じられなかった自分がいる。
反省しなきゃ、信じ抜くようにって
そして今回の戦闘で分かったことがある。
今の如月の武装では武蔵に勝てない
ブルーマーメイドの派遣部隊が来た頃、私は機関室に入る雨のところに来ていた。
「雨、少し良いかしら?」
「何だい?艦長」
「……現状の装備では武蔵の救出は難しいと思うの」
「どうしてだい?切り札を使えば……」
「最初から沈没させるつもりなら現状のままでいいけど、今回の戦いも、これからの戦いも救出が目的になっているわ」
今のままでは救出をすることが難しい。下手をすれば相手の艦を傷つけてしまう。
だからこそ今必要なのは……
「第四部隊と合流後、ある武装を如月に取り付けてもらおうと思うの」
私は一枚の紙を雨に見せた。雨がソレを見ると……笑みを浮かべていた。
「面白いですね。こんな武装考えつくなんて……いいですよ。こんなこと私には思いつきません」
「やってくれるわね」
「えぇ、やりましょう」
今回も後半がグダグダに……
如月の新武装は武蔵戦で
次回はシュペーとの再戦です