雨と話を終えた私は、艦橋に戻ると波奈からある報告を受けた。
「艦長、アドミラルティ諸島とトラック諸島の沖合にて大型艦を発見したとのことです」
「大型艦?識別は?」
「どうやらアドミラルシュペーみたいですね」
アドミラルシュペー、ミーナさんを救出した以来ね。
救出に向かうべきかどうか……
「悩んでる場合じゃないわね。トシコ、晴風に連絡を入れて」
「なんてっすか?」
「一時停船後、私と波奈でそっちに向かうって、シュペーの件について話したいことがあるってね」
友達のためにシュペーを助けないとね。
私と波奈の二人が晴風に訪れると、みんな会議室に集まっていた。
「ゆきちゃん、もしかしてシュペーのことで」
「うん、こうして皆が集まっているということはシュペーの乗員を助けに行くんだよね」
私は晴風の皆を見てそう言った。
皆はどうやらそうするつもりみたいだ
「ミケちゃん、私たち如月もシュペーの救出作戦に参加させてもらうわ」
「ゆき艦長、恩に着る」
ミーナさんが頭を下げながらそう言い、改めて作戦の概要を聞くのであった。
アドミラルシュペーの燃料中間タンクを加熱するための蒸気パイプが甲板上に露出されており、そこを破壊すればシュペーを足止めできるとの事だった。
だけど問題として、シュペーは晴風や如月の持つ主砲では抜けない装甲と一撃で沈めることが出来る28センチ砲を搭載しているため、危険も多い。
それでもみんなはシュペーを助ける気でいる。
それは私も同じ気持ちだけど……
上手くいくかどうかわからない。
「作戦は分かったわ。私と波奈が如月に戻り次第、すぐに出航するわ」
会議室から出ようとした時、私はミケちゃんに耳打ちをし、会議室から出て行くのであった。
如月に戻る途中のことだった。
波奈はさっきの作戦を聞いてある心配をしていた。
「艦長、本当にあの作戦で良いのでしょうか?」
「どういうこと?」
「確かに作戦を聞く限りでは可能ですが……そう簡単に上手くいくとは思えません」
波奈も私と同じ考えみたいだ。
もしも何らかの理由で作戦が失敗するかもしれない。
「やっぱり作戦の考えなおしを……」
「大丈夫よ。作戦その2があるから」
「作戦その2ですか?」
「ミケちゃんにはその事を伝えておいたから大丈夫」
晴風と共に目的地に着くとシュペーを確認できた。
「見えたわね。楓、トシコ。魚雷を発射し、速度が落ちたところを主砲で狙って」
「了解です」
「了解っす」
この作戦は事前にミケちゃんと打ち合わせしたとおりだ。
如月と晴風の魚雷が同時に発射された。
いくらネズミに支配されていても、魚雷を避けるために速度を落としてくれるはず。
このままなら上手く行けるはず。
でも……
「艦長!シュペーの速度が落ちません!」
「主砲で無理やり進路を変えさせて!」
「主砲発射っす!」
シュペーの真横に着弾させて、進路を変えさせようとするけど、それでもシュペーは進路を変えなかった。
「もう一度魚雷を……」
魚雷の発射を指示しようとした瞬間、晴風の砲台が爆発した。
「晴風!シュペーの砲撃を受けたみたいです」
「まずいっす!こっちに向けて砲撃してくるっす!」
「雨!艦首を開いて!ウォーターカッターで撃ち落と……」
艦首を開こうとした瞬間、大きな揺れとともに爆発音が響いた。
『艦長!艦首破損!間に合わなかったみたい』
「このままじゃ作戦失敗っすよ」
「どうするんですか艦長?」
私はただ立ち尽くすだけだった。
この状況を打開できる方法は……
そんな時、艦橋にある電話が鳴り響いた。
私はこの時を待っていた。
晴風では、シュペーとの接触が出来ないことを知り、ミーちゃんが嘆いていた。
「晴風も如月も攻撃を受け、接舷突入も無理……」
「駄目だよ!ミーちゃん。諦めちゃ駄目だよ!」
しろちゃん、タマちゃん、メイちゃんが諦めかけている中、ココちゃんだけは諦めていなかった。
だけどミーちゃんは
「だが、直撃を受ければこんな小舟一発で沈んでしまう。もう出直すしか……」
ココちゃん以外みんな諦めている中、私は如月に連絡を入れた。
「艦長?如月に撤退すると」
「ううん、シロちゃん、私もまだ諦めていない」
しばらくしてから通信に出たのはゆきちゃんだった。
「ゆきちゃん」
『分かってる』
ゆきちゃんはきっと私がこのタイミングで通信を入れることを分かっていたみたいだった。
だからこそ今こそ決行するべきだと思う。
通信を切り、私は乗員全員に指示を出した。
「作戦失敗!今から如月と共に作戦その2をやります!!」