ハイスクール・フリート Freedom   作:水甲

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今回から何話かepilogueになります。

epilogue01の主人公はモカちゃんです


epilogue01

あの日、私達が横須賀に戻ってきて、最初に見た光景は沈みゆく晴風

 

そして晴風を見届けるミケちゃんの姿だった。

 

だけどその場にはゆきちゃんの姿がなかった。

 

「ゆきちゃん……どこ?」

 

ゆきちゃんの姿を探すけど、どこにもいなかった。

 

 

 

 

 

 

数日後

 

横須賀に戻った私たち武蔵乗員は、念のために病院で検査入院をすることになった。

 

そして今日その退院の日であった。

 

「モカちゃん、退院おめでとう」

 

病院から出ると出迎えてくれたのはミケちゃんだった。

 

「ごめんね。わざわざ来てくれて」

 

「謝るようなことじゃないよ。私が好きで来たんだから、それにモカちゃん、ここは……」

 

「そうだよね。ありがとう。ミケちゃん」

 

「うん」

 

あの一件からミケちゃんは変わった気がする

 

入学式で再会した時は、何だか無茶をしそうで心配だったけど

 

救出しに来てくれた時、そんなに心配するような感じはしなかった。

 

「ねぇ、ミケちゃん」

 

「何?」

 

「ミケちゃんがそんな風に変われたのって、ゆきちゃんのおかげなの?」

 

「……ゆきちゃんだけじゃないよ。晴風のみんなのおかげで変われたと思う」

 

ミケちゃんが俯きながらそう答えた。

 

ミケちゃんもあの日以来、ゆきちゃんと会っていないみたいだ。

 

「ゆきちゃんは今何処にいるんだろうね?」

 

「わからない。でもあの後、ブラックホエールに戻ったんだと思う」

 

ミケちゃんからゆきちゃんのことはある程度聞いている。

 

ゆきちゃんはあの事故の後、ブラックホエールに拾われ、ずっとブラックホエールの一員として暮らしていたらしい。

 

そしてあの一件でミケちゃんと再会を果たした。

 

「モカちゃんはゆきちゃんに会いたい?」

 

「うん、折角再会出来たのに、お別れになっちゃったのは嫌だった。それにお別れをするんだったら私だってちゃんとお別れしたかったもん」

 

私がそう言うと、さっきまで俯いていたミケちゃんが笑っていた。

 

「そうだよね。モカちゃんにはお別れちゃんと言ってなかったもんね」

 

「ゆきちゃんはまたいつか会えるって言ってたんだよね。もし会ったら、文句言いたいもん」

 

「ちゃんとお別れを言って欲しかったって?」

 

「うん」

 

私達は笑い合いながら、学生寮に戻ろうとしていた

 

だけど

 

「そうだ、あそこに行かない?」

 

「あそこ?」

 

「慰霊碑に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの事故の慰霊碑がある場所に来た私達。

 

ゆきちゃんが生きているのが分かったから、もうここには来る必要はないと思っていた。

 

来る必要が無いというのは失礼だった。

 

ここにはゆきちゃんのご両親も眠っている。

 

「ここに来るのって久し振りだね」

 

「モカちゃんは中学に上がってから来てないんだよね。私は入学式の日にここに来たよ」

 

「ゆきちゃんに報告しに?」

 

「うん、でもあの時は会えるとは思っていなかったけど」

 

「そうだね」

 

そう言いながら、花を添えようとした私だけど、ある事に気がついた。

 

「あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「ゆきちゃんの名前が消えてる」

 

「あれ?でも前に来た時はあったよ」

 

この慰霊碑には確かにゆきちゃんの名前が書かれていたはずだった。

 

ミケちゃんが訪れたのは一ヶ月前くらい。

 

それまでは名前があったということになるのに……

 

私達二人がどうしてなのか悩んでいると

 

「名前が消えているのは当たり前のことです」

 

後ろから声をかけられた。振り向くとそこには黒髪の女性がいた。

 

「あれ?波奈さん」

 

ミケちゃんはこの人のことを知っているみたいだ。

 

もしかしてこの人は……

 

「ミケちゃん、この人ってブラックホエールの?」

 

「うん、如月の副長の水無月波奈さん。私達の2つ上の人だよ」

 

大人っぽく見えたから二十歳を超えていると思っていたけど、歳代わりと近かった

 

「お久しぶりというべきですか?岬さん」

 

「そんなに経ってないと思いますよ。そうだ、こっちの子は」

 

「知っています。知名もえかですね。貴方のことはゆきから聞いています」

 

「あっ、はい。初めまして」

 

波奈さんは花を添えると、さっきの話を続けた。

 

「さっきの名前が消えている件ですが、ブルーマーメイドが生きている人間の名前を慰霊碑に刻んだままなのは不謹慎ではないか、との事で、少し前に消したんです。よく見てみて下さい。消した後が残ってますよ」

 

確かによく見ると消したあとが残ってる。

 

でも、波奈さんはどうしてここに来たんだろうか?

 

ここに知っている人の名前があるのかな?

 

「あの、波奈さんはどうしてここに?」

 

私の疑問をミケちゃんが代わりに聞いてくれた。

 

「ここにはあの子の両親がいますから、家族である私が……私達がこうして訪れるのはいけないことですか?」

 

「いいえ、いいことだと思います」

 

私がそう言うと、波奈さんは私に一枚の封筒を渡した。

 

「あの、これは?」

 

「あの子が書いた手紙です。知名さんとはちゃんとお別れが出来なかったと後悔してましたから」

 

「ゆきちゃんが……」

 

「あの、私の分は?」

 

「岬さんの分は預かっていません。もしかしたら渡し忘れたのかもしれないですけどね」

 

「そっか、あの一つ聞いていいですか?」

 

「何ですか?」

 

「ゆきちゃんは今は……」

 

「ゆきは……頑張っているとしか言えないですね」

 

波奈さんはそう言って、その場を後にするのであった。

 

ゆきちゃんは頑張っているって、何を頑張っているんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

寮に戻った私は、早速ゆきちゃんからの手紙を読み始めた。

 

『もかちゃんへ、こうして手紙を書いたのは私が貴方にちゃんとお別れを言えなかったことが理由です。

正直手紙でお別れを告げるのは何だか嫌だよね。本当にごめんなさい。

でもお別れ、お別れと書いていますが、これは永遠のお別れではないと思います。きっといつかまた再会するためのお別れでもあると思います。

だから、モカちゃん。またね。

 

PS 学校の件は聞いています。でも大艦長のおかげなのかどうか分かりませんが、廃校にも、宗谷校長が辞任したりとかも無いと思います』

 

「………またねか」

 

何だかゆきちゃんらしいお別れの言葉なのかもしれない。

 

「ゆきちゃん、また会えるよね」

 

私はそう呟くのであった。

 

ただ気になったのは……

 

「どうしてゆきちゃんは学校の件知ってるんだろう?」

 

 

 




もかちゃん主人公回でした。

何気にもかちゃんも孤児って設定を忘れてしまっていました。

ミケちゃんともかちゃんの二人が中学校で一旦離れ離れになったのは知っていたのですが……

というか幼なじみ3人孤児って……

次回は事件後の学校の話や狐さんの話に触れます
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