番外編は全3話でやるつもりです。
学校再開して、早速実習が始まり、晴風は最初の目的地へと向かっていた。
そして私はというと……
「とりあえずは今のところ晴風には異常はないみたいだね」
「うん、前みたいに遅刻せずに目的地にいけそうだよ」
艦橋でミケちゃんから現状報告を聞いていた。
私が今就いている役職は教官代理。
教官代理の役割は艦の状態、乗員の体調、航路に問題はないか逐一知る必要がある。
そして一番の仕事はもしも武装集団との戦闘になった場合、戦闘するべきか逃げるべきかなどの最終判断を下す役割を持っている。
「でも何が起きるかまだ分からないわよ。気を引き締めてね」
「うん」
ミケちゃんと話している中、モカちゃんとましろさんは…
「ゆきちゃんがいるおかげで色々と助かるね」
「そうですね。岬さん……艦長の事を止められる人がいて助かります」
「前は本当に色々と大変だったって聞いてるよ。ミケちゃんが暴走したりとか」
「ゆきかんちょ……ゆき教官代理がいたおかげで、艦長が暴走してもそこまで関係がこじれたりなくってよかったと思います」
「そうですよね~」
二人の話に幸子さんが入ってきた。
「ゆきちゃんがいなかったら、少しの間、艦長と副長の間に微妙な空気が流れていたかもしれませんよね」
幸子さんはため息をつきながら、そう言うと鈴さんが苦笑いをしていた。
「でもそんな風にならなかったのはゆきさんのお陰だね」
「まぁそうだけど……」
「あれ?知床さん、そろそろ交代の時間じゃない」
「あっ!そうだった」
芽衣さんにそう言われ、慌てる鈴さん。
すると艦橋に一人の少女が入ってきた。
「航海長。交代の時間だよ」
「ご、ごめんなさい。キリさん」
艦橋に入ってきたのは制服を着たキリだった。
「謝らなくっていい。あとさん付はいらない。航海長のほうが私より上なんだから……」
「ごめんなさい。まだ慣れなくって……」
「別にいいけど……ゆきもそろそろ時間だよ」
「あっ、そうだったね」
私はキリにそう言われ、鈴さんと一緒に艦橋へ出るのであった。
鈴さんと一緒に歩いていると、鈴さんがある話をしてきた。
「でも本当に驚きました」
「何が?」
「ゆきさんが教官代理にいるだけじゃなく、マリン・スノーの人たちも晴風に乗り込むことになるなんて……」
「あはは、そうだね」
そう、私が教官代理として晴風に編入しただけではなく、マリン・スノーのみんなも編入してきたのだ。
とはいえ、狐さんは弥生に配属となったため、晴風にはいなかった。
それでもほぼ全員が横須賀海洋女子学校に編入してきたのはびっくりだった。
「私的にはよく大艦長が許可してくれたなって思ったけど……」
「きっとゆきさんが寂しい思いをさせないためにじゃないんですか?」
「そうかな?」
「きっとそうです」
「それじゃそう思うようにするわ」
「はい。あっ、私、こっちなので」
「うん、ゆっくり休憩してきてね」
鈴さんと別れ、私は各部の見回りに向かっていた。
マリン・スノーのみんなが編入して、鈴さんとキリの二人は交代できるようになった。
他のマリン・スノーのメンバーの配属先というと……
「こんにちわ。万里小路さん、楓」
「あら、ゆきさん」
「ゆきちゃんどうしたの?」
楓は万里小路さんと一緒に水測員として頑張っている。
「見回りだよ。今のところ何か問題は?」
「ないですね」
万里小路さんがそう答えた。
私は端末にチェックを入れた。
「もし何かあったらすぐに報告お願いね。でも万里小路さんと楓は仲良くやっているみたいね」
「えぇ、同じ『楓』の名前を持つ同士、争うのはどうかと思いまして」
「同じ名前だから親近感が湧いて……」
「それは良かった。それじゃ行くね」
私はその場を後にし、次の場所へと向かった。
次の場所は機関室だった。
機関室の前に行くと、中から争う声が聞こえた。
『だから……なんだって!』
『てやんでぇ……だろう』
「またやってるのね」
ため息をつき、機関室に入ると麻侖さんと雨の二人が言い争いをしていた。
「あっ、ゆきさん」
「洋美さん、機関部には異常は?」
「特にないですね。あの二人がまた喧嘩していること以外」
「また喧嘩してるのね。二人共!何が原因で喧嘩してるの!!」
喧嘩をしている二人に向かって、大声で喧嘩を止める。
「教官代理!こいつとはやってられねぇ」
「ゆき、私はこの子とはやってられない。別部署に異動を……」
「雨、私は喧嘩の原因を聞きたいの。異動願いを聞きに来たんじゃないのよ」
「は、はい」
「それで理由は?」
「教官代理、最初にこいつが艦の速度を上げるために少し改修しないかって聞いてきたんだよ」
「麻侖さんはそれを反対したの?」
「いいや、改修には賛成だったさ。だけどこいつはいじんなくっていい所を……」
「あそこをいじったら、いい感じになるのに……機関長は何も分かっていない」
意見の食い違いね。
というかそれ以前に……
「喧嘩の原因はわかりました。とりあえず二人はしばらく正座ね」
「「どうして!?」」
「晴風の速度をあげようと改修するのはいいことだけど、まずは副長、副長補佐に報告。そして艦長から私に報告が来て、私が最終判断を告げるようになっているはずだけど……まったくもってその話が聞いてないのはおかしいことだわ」
二人は冷や汗を流していた。
私は笑顔で二人に告げた。
「喧嘩をするなって言わないけど、報告はしっかりね」
「「は、はい」」
二人は大人しく正座をすることになった。
「洋美さん、これでいいかしら?」
「何だか色々と助かります」
「いいのよ。10分くらいしたら二人に声をかけてあげて」
「いいんですか?また喧嘩しそうだけど……」
「いいの。喧嘩しているけど、あの一ヶ月間、二人の姿を見て思っていたのよ。この二人が一緒に動いたら、きっと凄いことになるって……多少の喧嘩は許すけど、洋美さん、二人がおかしなことをしそうになったら、すぐに知らせて」
「分かりました。ゆきさん」
機関室を後にとりあえず艦橋に戻ろうとしたが、
「そういえば顔ぐらいは出しておかないと」
私は医務室へ向かった。
医務室に入るとそこには制服に白衣を羽織った波奈とトシコがいた。
「あれ?ゆき。どこか怪我でもしたんっすか?」
「違うわ。二人の様子を見に来たの」
「こっちは特に問題は有りません」
波奈は報告をし、美波さんにお茶を出した。
「ゆき教官、二人を私の助手にして悪いね」
「いいのよ。美波さんも前の事で手が足りないってことで、人数を増やして欲しいって言っていたものね」
「私としてはゆき教官を助手として欲しかったけど、すでに教官代理として任命されていた」
「私なんて美波さんの助手には向かないと思いますよ」
「そうかな?でも、彼女たちには色々と助かっている」
「それは良かったわね。波奈、トシコ」
「私やトシコはゆきより艦に乗っていた時間が多いですから」
「その分、色んな役職を経験しているっすから」
「そうだったわね。それじゃ何かあったら報告お願いね」
医務室を後にしようとした時、突然伝声管からましろさんの声が聞こえた
『ゆき教官!今すぐ戻って下さい』
「どうしたの?」
『ゆき教官、今どちらに?』
「医務室にいるわ。何かあったの?」
『大変です!武装集団に見つかりました』