あの日、私とモカちゃんは旅行に行っているゆきちゃんが乗っている船は何処らへんにあるかと海を見ながら話していた。
その日の夜、ゆきちゃんたち家族が乗っていた船が沈没したとのニュースを聞いた。乗員は全員死亡また行方不明とのこと。
ブルーマーメイドは嵐の影響で救助に遅れてしまい、この事件はブルーマーメイドにとって最大の汚点と言われるようになった。
そして私はより一層ブルーマーメイドになるという目指す夢が今まで以上に大きくなったと同時に大切な人を奪った嵐がより苦手になってしまった。
そして今、あの時死んでしまったと想っていたゆきちゃんが私の目の前に現れたのであった。
晴風と接触に成功し、私と波奈の二人は晴風の艦橋に訪れていた。だけどそこにいたのは幼なじみのミケちゃんだったなんて……
「ミケちゃん……えっと……その」
こういう時どうすればいいのかわからない。ミケちゃんからしてみれば私は死んだはずの人物だし……普通だったら驚きのあまり失神してしまうかもしれない。
だけどミケちゃんはポロポロ涙を流し始め、私を押し倒す形で抱きついてきたのだった
「ゆきちゃん、ゆきちゃん、ゆきちゃん」
「ちょ、ミケちゃん!?落ち着いて?他の人見てるから、ね」
「ゆきちゃん、ゆきちゃん」
駄目だ。落ち着かせようとしても全く聞いてもらえない。
「あの晴風副長、ミケちゃんをどうにかしてもらえない?」
「は、はい」
一方その頃、如月は晴風に並ぶように停船をしていた。するとキリが何かを察知していた。
「いま、私的にすごく美味しいイベントが起きてる感じがする!」
「またキリが変なこと言ってるっすね」
「そうだね」
キリの発言を聞いて溜息をつくトシコと楓の二人。
「ゆきちゃんは大丈夫かな?」
「大丈夫っすよ。何かあったらすぐに連絡くれるっすから」
心配そうにする楓だが、特に心配をしていないトシコは笑顔でそういうのであった。
それから何とかミケちゃんを引き剥がし、晴風の艦橋にいる乗員で落ち着かせること10分後にようやく落ち着いてくれた。
「うぅ、服がぐしょぐしょに……」
「後で着替えてください。今は任務の方を優先です」
分かってます。私達は晴風の反乱の真相を聞きに来たんだから、でもまさかのアクシデントだったし。
私は咳払いをして話を切り出した。
「私達マリン・スノーはブラックホエールの大艦長の知人からの依頼であなた方晴風の反乱についてお話を聞きにきました。お話を聞かせてください」
「はい、え、えっと艦長……」
副長さんがミケちゃんを見るが、少し落ち着いたとはいえまだ話せる状態ではなかった。代わりに副長さんが話すことになった。
「副長の宗谷ましろです。私達晴風は海洋実習で4時間遅刻して集合地点に到着したのですが、そこで古庄教官が指揮する教官艦猿島からの砲撃を受けました。最初は遅刻の処罰だと思っていました。ですが打電や旗信号にも応じず撃沈させようとする猿島に対し、艦長は乗組員の生命を重視した結果、反撃。模擬弾頭の魚雷を用いて、猿島の機関を損傷させ、海域を離脱したのですが……」
「その結果、反乱者扱いですか……」
話を聞いた波奈が険しい顔をしていた。あまりにも信じられない話だ。信じられないというのは猿島が攻撃してきたとのこと。
「猿島は…古庄教官は何を考えて晴風を砲撃したでしょうか?私達ブラックホエールの実習では遅刻とかしたらやりますけど……」
波奈は実習での辛い思い出を思い出していた。あれは色々と大変だった。何人かトラウマになってるくらいだし……
「ブルーマーメイドは私達を違う。普通なら集合地点に到着した後にちょっとした処罰が待っているだけですし……」
「そうですね。では猿島に何が起きたというのでしょうか?」
波奈と二人で原因が何なのか話しているとましろさんが戸惑いながらあることを聞いてきた。
「あの!私達の話を信じるんですか?嘘をついている可能性だって……」
ましろさんの言うとおりだ。普通なら信じられない話だし……だけど私には信じられる確証がある。
「大丈夫です。私はあなた方晴風乗員を信じられます」
「えっ?それはどういう……」
「それはね……」
「ゆき艦長は人が嘘を付いているかどうか分かるんです」
あれ?せっかく私が話そうとしたのに波奈に言われちゃった。
「嘘がわかる?それってどういう意味ですか?」
「ゆき艦長はある事故の後遺症というべきでしょうか。相手の感情が見える目を持っています」
波奈の言うように私にはあの日からそういう目を持つようになった。相手の喜び、怒り、悲しみ、落ち込んでいる、嘘を付いているなどの感情などを自然に分かってしまう。
「だからましろさん達が嘘をついていないというのはわかります。ですから信じられるんです」
笑顔で告げる私、逆にましろさんは信じられないという顔をしていた。
「とりあえず私達マリン・スノーは晴風と共に行動をします。波奈は如月に戻ってみんなに伝えた後にトシコと共に晴風に戻ってきて下さい。ましろさんは後々晴風乗員を全員集めるように、改めて挨拶をしたいので」
「は、はい」
「了解しました。艦長は?」
「私は……ましろさん、ミケちゃんを借りますね」
私はミケちゃんの手を取り、外へと出るのであった。
晴風の甲板に二人で出るとミケちゃんはまた泣きそうになっている。
「本当に、本当にゆきちゃんなんだね」
「うん、そうだよ」
「生きてたんだね」
「うん、生きてるよ」
本当はミケちゃんやモカちゃんに生きていることを教えたかったけど、色々とあって出来なかった。でもこうしてミケちゃんと再会出来たのはすごく嬉しいことだった。
「ゆきちゃん、昔と違って何だか強くなったね」
「うん、たくさん頑張ったから……」
ミケちゃんは懐中時計を取り出し、私達3人が写った写真を見せてくれた。
「またあの頃みたいに3人で会いたいね」
「きっとね。そういえばモカちゃんは?」
「モカちゃんは武蔵の艦長だよ。きっとモカちゃんがゆきちゃんを見たら私と同じようになったりして」
「モカちゃんだったら失神しそうだよ。でも会いたいね」
「うん」
多分だけどきっと近い日にモカちゃんにも会えるよね。
次回はアドミラル・シュペー戦です。
ゆきの目については某吹奏楽漫画の主人公の目みたいなものです。
ちなみにゆきは虹を出してくれとはいいません