ウイングランサーは消えました。
謎の電波人間二人を確保したロックマンはナイトから奪ったダークバイザーを弄りながらサテラポリスが来るのを待っていた。
「ねえちょっと、なんで俺達が捕まらないといけないんだ? 一緒にモンスターを倒した仲じゃないか!」
仮面ライダー龍騎が『リアルウェーブ』で構成されている巨大な檻の中で左手を布のリアルウェーブで覆われ拘束されたまま騒ぐ。
「やめておけ城戸、それにどうにもならん」
「だーもう! 訳わかんねぇ事が多すぎる!」
頭を抱える仮面ライダー達のナイトにロックマンが声をかける。
「あの、質問に答えてもらっていいですか?」
「……なんだ?」
「あのバトルカードをここに入れるんですか?」
「バトルカード……ああ、カードならそうだ」
「それならどんな仕組みか教えてくれませんか?」
「生憎だが俺も知らん、知ってそうなのはこのカードデッキを作った『神崎士郎』だ」
ナイトは腰の蝙蝠の紋章が描かれているカードデッキをポンポンと叩く。
「神崎士郎、その人はどんな人ですか?」
「妹を一番に考えてるってことは確かだ」
「その人は普段どこにいますか?」
「こっちが知りたい、それにこんな状況になったのも何か知ってるかもしれん」
「なるほど、ところでお二人はどうやって電波変換しましたか?」
「なんだ? その電波……なんちゃらは」
「電波変換、人間と電波体が一体となり体をこんな風に電波にすることです」
ロックマンは自分の体を指で示す。
「悪いが知らんな、目覚めてたら仮面ライダーに変身してたんだ」
「つまりその仮面ライダーに変身とは電波変換と同じなんですね、目覚めた場所はどこですか?」
「さっきの場所にあった裂け目の中だ、その裂け目の中は『かいさつの電脳』とやらにそっくりだったぞ。なぁ城戸」
「うんそうそう、そっくりだった」
「ノイズウェーブの中で目が覚めた!?」
ロックマンは驚いた声を出すと、左手に付いている液晶を操作して誰に何かを伝え終わると頭を抱えた。
「どうしたんだ? それにさっきからそれで何度も誰かと話してたけど何の話をしてたんだ?」
「あのですね、その裂け目の中はノイズまみれでノイズは毒なんです。だからそのノイズを洗浄する用意をしてもらったんです、それより体調不良等はありませんか?」
「いや、特に無いけど……蓮は大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ」
ロックマンがそれを聞いてほっとすると同時にサテラポリスのウィザードが続々と集まってくる。
「ロックマン、待たせてすまない」「現場はこの先か」
ロックマンに声をかけながら次々とウィザードがかいさつの電脳に入ろうとしている。
「うん、中は壊れてるから注意してね」
「了解した」
そして新型ウィザードが二体やってきて龍騎とナイトが入ってる檻を持ち上げるとウィザードは通信機に向かって喋る。
「それでは22XX年五月十八日十五時三十六分現在確保しました」
そしてロックマンはその片方のウィザードにダークバイザーを渡そうとするがナイトと龍騎が騒ぐ。
「待て、なんだそのデタラメな年は!」
「そうだぞ! 今日は二千三年の一月十九日だぞ!」
困惑するロックマン、困惑するのは当然だ。二百年前の日付を今日と言われて困惑しない人間は少ないだろう。
さらに突如かいさつの電脳から巨大な影がサイバーアウトする。その影は先程倒した蜘蛛のモンスターと酷似しており唯一違うのは人のような上半身がついている位だ。
更にそのモンスターはカサカサと驚異的な速度でコダマ小学校へと走り去った。ロックマンはモンスターを追いダークバイザーを持ったまま小学校に向かって全速前進する。
―――
ロックマンが小学校に戻ってくると蜘蛛型のモンスターは屋上目掛けて学校の壁を這って上って行くところだった。
ロックマンは飛び上がり、モンスターに捕まると『ブレイクサーベル』とダークバイザーを突き刺すが一瞬動きを止めただけで、モンスターは止まらずロックマンをぶら下げたまま壁を登り屋上の一歩手前の所まで来る。
そして、異変はその時起こった『金色の羽』が降ってきたのだ。
無数の金色の羽がモンスターに当たると羽は爆発し、ロックマンはモンスターもろとも地面に落下した。幸いモンスターが下敷きになったのでロックマンにはそれほど落下のダメージはなかった。
ロックマンはモンスターから離れバスターをチャージしながらあの羽は明らかに攻撃だったと考え辺りを見回す。
するとあの独特な電子音『ソードベント』が上から聞こえ見上げると金と茶の『仮面ライダー』が落下しながら翼のような二振りの剣を両手に持ち、ダークバイザーが突き刺さったままの蜘蛛のモンスターに斬りかかる。
疾風の如く流れるように、そして烈火の如く激しく舞うように戦う姿は、まるで鳳凰のようだ。
しかしその舞は仮面ライダーが突如として体勢を崩すことで終わり、その隙にモンスターがロックマンを撥ね飛ばしコダマタウンに逃亡する。
だが撥ね飛ばされたロックマンはすれ違い様にチャージショットをモンスターに当て刺さっていたダークバイザーを取り返しており、それを杖代わりに立ち上がる。しかしあの巨体に撥ね飛ばされるのは
ウィザードのウォーロックが実体化しロックマンを動かそうとするがウォーロックにもダメージが入っているのか二人とも動けない、そこに金と茶の仮面ライダーが近づいてくる。
ウォーロックは仮面ライダーに来るなと吼えるが何の効果も無く、そのまま仮面ライダーはロックマンに二枚のカードを渡すと、視界を埋め尽くすほどに金色の羽を撒き散らし、羽が消え景色が見えるようになると、もうどこにも姿が見えなくなった。
ウォーロックに支えられながらロックマンは見よう見まねで、渡されたカードの内一枚をダークバイザーに入れようとすると、風が吹き荒れダークバイザーが変化しダークバイザーツバイとなりロックマンの右腕に装着された。
ロックマンは驚きつつカードをベントインすると『『サバイブ』』とエコーがかかった電子音が鳴る。それと共に体が風に包まれ、その風を鎧として身に纏ったロックマンが立っていた。
―――――
コダマタウンに戻ってきたディスパイダー・リボーンはサテラポリスのウィザードに襲いかかり、ウィザードは必死に戦うも次々と発射されるモンスターの針や糸によって倒れる。そしてその光景を
「蓮、この檻を壊すぞ!」
龍騎が言うが早いか檻を掴むと横に引っ張るがナイトは手伝おうとはしない。
「なんで手伝ってくれないんだよ!」
「無駄だ、俺達じゃこれを壊せないし残ってるはずの筈のサバイブカードも無い」
「だからって、このまま見捨てられるか!」
すると龍騎のその叫びに呼応するかのように近くの犬小屋から赤い龍『無双龍ドラグレッダー』が飛び出し檻に近づくと檻を破壊しようとその巨体をぶつけてくる。
しかし衝撃は相当なものでナイトが「城戸! 止めさせろ!」と叫ぶほど。
龍騎が止めろと叫ぶと言うことを聞いたのか体に対して小さな、しかし人間よりは大きい手で檻を掴み頭を龍騎に近づける。龍騎はそのドラグレッダーに声をかける。
「おい、あのモンスターと戦ってくれ!」
龍騎はディスパイダー・リボーンを示すとドラグレッダーは火球を放ちながら向かって行く。
―
ドラグレッダーは遠距離から火球を放って有利に戦っていたがディスパイダー・リボーンは檻の中の仮面ライダー目当てに檻に飛びかかりガツンガツンと檻を壊そうとし、ドラグレッダーは龍騎に火球が当たるのではと危ぶんだのか攻撃の手を止めてしまう。
するとダークウイングが同じく犬小屋から飛び出し、ディスパイダー・リボーンを掴むと檻から引き離した。
―
仮面ライダー二人に見られながらモンスター三体が時々三つ巴になりながら戦っていると、どこか遠くからエコーのかかった『シュートベント』の電子音が聞こえ、風の矢が連続してディスパイダー・リボーンに直撃、ドラグレッダーとダークウイングから弾き飛ばされた。
仮面ライダー達は檻の中から矢が飛んできた方向へ顔を向けると今日何度目かわからない驚愕を受ける。なぜならロックマンが明らかにサバイブカードを使ったとしか見れない姿に変わっていたのだから。
ロックマンは腰の液晶に手を
ロックマンは右腕をディスパイダー・リボーンに向けると『ウォーファング』にエネルギーをチャージしながら前進する。ディスパイダー・リボーンは針を乱射しながら逃げ惑うが、吹き荒れる風が障壁のように守りロックマンには当たらない。
チャージされたエネルギーは小さな家一軒ほどの大きさになっており、それがロックマンの手を離れ螺旋を描きディスパイダー・リボーンに炸裂すると、誘爆したかのように体の至るところが爆発し、崩壊しながら辺りを眩しい光で覆う。
光の中、ロックマンの腰の液晶から一枚のカードが浮き上がり、ロックマンの手の中に収まる。ロックマンはその『SEAL』の文字とブラックホールのようなイラストが描かれているカードを、このまま崩壊すれば残りカスすら残さないであろうディスパイダー・リボーンに押し付けた。するとそのカードの中にディスパイダー・リボーンが吸い込まれ、そのウェーブロードに残ったのはロックマンただ一人。
そしてそのロックマンもその場に倒れるとサバイブ形態が解除、それに連鎖する形で電波変換も解除されスバルはウェーブロードから落ち地面に落下した。
――
ナイトは光の中で混乱していた。なぜロックマンがサバイブカードを持っているのか、そしてなぜ使えているのか。しかしその思考は落下するスバルと揺れと衝撃で中断された。
二人はウェーブロードから地面へと落下したことで壊れた檻の中で立ち上がると、衝撃によって変身が解除された生身の体で発生した隙間から檻の外に出ると同時に真司と蓮はスバルに駆け寄り、蓮がスバルの肩を叩き声をかける。
「おい、しっかりしろ!」
「ええと蓮、救急車って何番だっけ?」
「俺がやる、貸せ!」
蓮は真司の携帯電話を奪い取り119とボタンをプッシュし電話をかけようとするが全く繋がらない。
「どうなってるんだ! 繋がらない!」
蓮が携帯電話の画面を見るとそこには圏外の文字が表示されていた。
―――
あーだこーだと騒ぐ二人の元に白い電波人間が飛来し、ブラスターを構え二人に命令する。
「アシッド・エース見参! そこの二人はスバルから離れろ!」
暁さんはうまい棒がある限り何度でも蘇るさ!