何年か前に書いたまま放置してたのですが、とりあえず投稿します。
「……空が、黒いな……」
気持ち悪い天気、そう少女はこぼした。
少女が住む村は何の変鉄もない普通の村。だから自分の限界を知る為に村を出てあちらこちらの戦に首を突っ込んで武を高めてきた。
旅の中で出会った者と手合わせしたり、気の合った者と共に士官する先を探し回ったり、村を襲う盗賊をボコボコにしたり、旅を通じて様々な経験をした。
今回も同じ。賊退治の手伝いでこの戦に首を突っ込んで戦った。
「みんな……誰か……!」
呼び掛けても声はない。もう逃げて行ったか、はたまた自分以外生きた者はいなくなったのか。
その時、人型の暗雲の空のような色の異形が槍を持って走ってくる。今まで見たことが無い敵。こいつらが今回の相手だった。
そして、こいつらの親玉らしき女に自分たちは敗北した。
今やってきたのは恐らく残党狩りをしている奴なんだろう。槍の穂先を最後まで抗っている少女に向けて、殺気立った
しかし、少女はうんざりとした様子で今日何度目かになる動作をするだけ。
細い腕に力を込めて。
足を踏ん張り腕を真上へ。
振り上げた大斧を一気に降り下ろす!
豪快な音と共に足場ごと異形を砕き、赤い血が少女を汚すのを気にせずにふぅ、とため息をついた。
「もう、終わりかな」
その言葉通り、もう終わり。少女に向けて一斉に槍が突き付けられる。
そう。
少女は戦った。
そして異形の軍団に蹂躙され、負けた。
おそらく人間で戦っているのは自分一人だけだろう。身体中が軋んでいるし、共に戦う者も居ない。もう斧を降ろして寝転んで楽になりたい。
仕事人気質な彼女だが、元々は空を浮かぶ雲を眺めているだけで一日を費やすほどのんびりした事も好きなのだ。
本当ならコイツらを蹴散らした後、ぼんやりと村の風景を眺めていたはずなのに。それが出来なくなるのは非常に残念に思う。
けど、
(いや、だな)
それでも、絶望的な状況下でも、武人の性か、
その思いが少女を駆り立てる。
敵が何か喚いている。けどもうどうでもいい。
自分は覚悟を決めた。後は斧折れ気力尽きるまで戦うのみだから!
妖光照らす中、斧を片手に一歩踏み出して―――
「……?」
……おかしい。いや、自分でも何がおかしいのかはっきりしないが、ふと足を停めてしまう。
よく観察すると周囲に居る異形が揃ったように自分の先にある空を指さして慌てふためいているではないか。
いったい何が? 少女は異形どもが指さす方向を振り向き、
「えっ」
「あっ」
強い光。その中にある瞳と目が合った瞬間、脳天に強烈な衝撃を受け少女の意識が飛んだ。