俺は比企谷八幡、高1だ。
今日は久々というか初めての登校日だ。
「スナ、電車っていっつもこんな感じなの?」
「そうだよ。…そっか、八幡、今日が初登校だよね。」
「ああ。」
今俺たちは電車の中にいる。
一緒にいるこいつは両方目立ちまくってる。
整った顔立ちで目立っているこいつが、『砂川真』。
身長は俺とあんま変わらないが、とてつもなくイケメンだ。
だから、女子から大人気だ。
俺はこいつと幼馴染なのだが、それを知った女子から紹介しろと今まで何度言われてきたことか。
その度に勘違いをしたのもいい思い出…な訳ない。
もう一人いるのだが、いまはいないみたいだ。
「そういえば、八幡。頭の怪我大丈夫?」
「ああ、多分大丈夫だ。ただ傷がまだどうなってるのか知らねえんだけど、何となく包帯巻いてる。傷口見せたくないし。」
「犬を庇って、道路に突っ込んだんだっけ?」
そう、俺は、入学式の日に浮かれて早めに登校したら、登校中に道路に飛び出した犬を庇った。
車が来てたんだが、後先考えず飛び出してしまった。
幸いかは知らんが、車とは衝突しなかったのだが勢い余って、頭をぶつけた。
結果、頭を切って結構血が出た。
そのあと救急車で運ばれ、無事入学式に参加できなかった。
そして、俺は入学式から一週間経った今日、初登校なのである。
「ようやく高校生活が始まるな。」
「そうだね。」
「…俺、自分の教室どこかしらねえや。」
「大丈夫。俺と猛男と一緒だよ。」
「またかよ。何度目だよ、全く。……まあ、よろしくな。」
「うん。」
初めて教室に入ったが、悲しいことに一週間とは早いもので、もうクラス内でコミュニティができていた。
そして、俺は案の定どこにも所属できていない。
「砂川!おっはよ〜。てか、その人誰?転校生?」
「ええと〜、同じクラスの比企谷八幡です。転校生じゃないです。」
「え、マジ?そっか、よろしくな比企谷!」
「お、おおう。よろしく。」
「つかお前その頭大丈夫?包帯巻いてるけど。」
「ああ。大丈夫です。」
何だこのアフロの人、フレンドリーっつーか馴れ馴れしいっていうか。
おい、スナ。笑うの必死にこらえようとするな。笑えよ。…やっぱやめて。
「みんな、席につけ。」
ぞろぞろとみんなが席に着きだす。
「ああ、そうか。みんな、入学式の日に言っていたと思うが、君たちにはもう一人クラスメイトがいる。今日ようやく登校してきたようだ。紹介しよう。」
そう言って先生は俺のとこまでくると、『立て』と小声で言ってきたので素直に従う。
「自己紹介をしろ。」
「ええと、比企谷八幡です。よろしくお願いします。」
「みんな仲良くしてやってくれ。」
あんたは俺の何なんだ。
母親か?
「聞きたいことがあれば何でも聞きにきてくれ。私は国語科の平塚だ。」
そう言って先生は教壇に戻る。
「では、朝のHRを終わる。」
そう言って先生が教室を出ると、また教室に賑やかな声が響いた。
「疲れた。」
1日というものは早いもので、もう放課後になった。
初めての授業は、あまり進んでなかったのが幸いしたが、久々の学校、というか初めての学校にいること自体が疲れた。
「そういえば、猛男来なかったな。なんかあったの?あいつ。」
「なんで俺に聞くの?」
「あいつが風邪引くなんてありえないからな。なんか知ってるんじゃないかと思って。」
「まあ、そうだね。実はあいついま停学中なんだよ。」
「なんかしたの?」
「痴漢見つけて飛び出して行って捕まえた。」
「そんだけで?」
「そこまではいいんだけど、そのあとおまわりさんの前で痴漢の犯人を殴ったんだよ、あいつ。」
「…猛男らしいな。」
「うん。これからあいつの家行く?」
「そうだな。ついでにノート見せてくれよ。」
「うん。」
そう言って俺たちは学校をあとにした。
場所は変わって猛男の家に俺たちはいる。
「猛男、入るぞ。」
返事がない。と言っても、いないわけではなく、部屋のドアは開いていて、真っ暗な中で彼はぼーっとしながらせんべいを頬張っていた。
「入るぜ。」
そう言って俺とスナは部屋に入って、ものが散乱した中で何とか座れるスペースを見つけて座った。
こいつが、俺のもう一人の幼馴染の『剛田猛男』。
身長は2メートルぐらいあり、体重も100キロ越えみたいだ。
身長とガタイの良さから、恐れられる時もあるが性格はかっこいいの一言に尽きる。
まさに男の中の男というやつだ。
「これ、授業のノート。一応ね。」
「おお、ありがとう。」
「俺にも見せてくれよ猛男。」
「ああ、いいぞ!」
スナが急に吹き出して笑いそうなのを必死にこらえている。
「スナ!笑いすぎ!」
「いや、ごめんごめん。」
そう言いつつも笑いそうだ。
「まさかおまわりさんの前で殴るとはね。」
「だってムカつくだろ、あの男。」
「俺も聞いたが、猛男がそんなに腹を立てるのは珍しいな。」
「まあ、そうだね。」
そんな話をしているとインターホンが鳴った。
「は〜い。」
そう言って猛男のお母さんが出た。
「誰だろうな?」
「さあな。」
「タケ!女の子来たよ!大和さんていう子。上げていい?」
「ああ。」
「つーかお前、この部屋に女子あげるの?」
「はっ!スナ!八幡!手伝え!」
「何で俺らも?」
そう言いつつも手伝ってしまうのは俺らの悪いくせだ。
「ちょっと待っててもらってくれ!」
「あの〜、もう入っちゃってるんだけど。」
「「!」」
「ごゆっくりね。」
「はい!ありがとうございます!」
入ってきた子は小さくてとても可愛らしい女の子だった。
そして、その子を見た猛男は固まっていた。
どういう接点があるの?
「この前はありがとうございました!あのこれ、お礼持ってきたんですけど…てかごめんなさい!急に押しかけたりして、迷惑でしたよね。」
ああ、そういうことか。察するにこの前ってことは、例の痴漢のやつか。
そうすると、この子は助けられた子か?
「いや、大丈夫だ。問題ない。」
「じゃあ俺たちは帰るか。」
「そうだな。猛男、先にスナのノート借りてっていい?」
「おお。」
「えっ!帰っちゃうの?」
そのセリフを聞いた猛男は少し残念そうな表情をした。
何だ、ひょっとしたら猛男はこの子のことが気になるのか。
でもさっきのセリフを聞く限り、きっとスナ狙いの子だろう。
「あの〜、助けてもらったお礼にケーキ持ってきたんですけど、人数は多いほうがいいかなって思って。」
そういうと彼女は持っていた袋を机の上に置き、袋から箱を取り出した。
その中にあったのは、彼女の言っていた通りケーキだった。
綺麗だ。いくらしたんだろこれ。
「じゃあお言葉に甘えて。」
スナはそう言って座っていた場所に戻る。
さて俺は帰るか。
「あの!」
「ひゃい!」
変な声出ちゃったよ。おいスナ、笑うなよ。
「ええと〜、…一緒にどうですか?」
「…わかりました。」
女子には弱いな俺。
そうして俺たちは彼女が持ってきたケーキを頂戴することにした。
「じゃあ俺は本格的に帰るわ。」
「俺も。」
「うちも。」
そう言って俺らは帰路についた。
「大変だな、猛男も。」
「あっ、お兄ちゃん。おかえり〜。」
「ただいま。」
「どうだった?初の高校は。」
「疲れたよ。風呂入ってくる。」
いかがでしたでしょうか?感想などお待ちしております。ありがとうございました。