とある魔術の禁書目録(真理の扉)   作:まーぴん

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序章

序章

 

 

 

 

偶然か運命なのかは分からない。でも彼女はここに来てしまっている。

 

魔神としての膨大な力を得ている者だけが許された空間、それは人間界への接触を阻むためにある『位相』である。

 

宇宙に存在するものはここにまず訪れることはない。

例え、魔術を多大に遣えし者でも『絶対』に行くことはできない。

 

 

それでも彼女は今ここにいる。

 

 

だがこの『絶対』は今でも神の理(ルール)と戦っている世界最強の魔術師アレイスター・クロウリーが既に覆している。

 

それと、もう一人…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……嫌だ……」

 

ここ、学園都市ならば誰もが噂にしたことがある。

不可能と思われた事柄や、強大過ぎる壁、絶望や説明出来ない者にだって、右の拳を握り締め、守るものを背に立ち向かう。そして、最後には必ず救って魅せてくれる。

他にも色々な噂があり、尾ひれがありそうな、噂。

そんな、子供が読む絵本に出てくるようなお話…

童話などに憧れなどはあるが、この話を信じる人はまずいない、それが一般的なものである。

 

 

だがこの話は実在するものであった。

それは、第三次世界大戦時に世界を…

未だ信じかたい世界をも滅ぼしかねない魔神を…

世界中の人々の目に彼の姿が写し出された。

 

そう、噂でしかなかったものをとある彼が証明してくれたのだ。

 

「……嫌だ……」

だから、私は信じてみた。どんなピンチに陥りようと、

 

「……嫌だ…嫌だ……」

 

どんなに絶望的だろうと、

 

「…嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

 

私が死にかけても、

 

 

きっと、

 

その人は、

 

 

 

 

 

「嫌っ!……、、、」

 

 

、、、

 

 

 

助けて…くれるのだと、

 

 

 

 

 

 

『存在しない数字で埋め尽くされた世界、誰かが座標に迷い混んだようだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

……………

 

………

 

……

 

 

 

「何……ここ……」

 

 

白と黒の混ざったかなりのロングヘアで女性からしたら身なりは大きい部類に位置する、私、上ノ恵(かみのえ)ハルは突如ある世界に迷い込んだ。

 

自然物らしい自然物はない。人工物らしい人工物はない。

往来の表現をしたが、地平線、という概念についても微妙だった。陸地も空も全てが黒で統一されているため、その区別がつけられない。

ぐるりと一周、360度見回しても、景色に変化はなかった。自分が最終的に『戻った』と思っている場所が、本当に正しい位置なのか。目印になるものが何もないため、その自信さえない。

 

「……どうしよう、わからない」

 

 

「んんっ、ああ~、ああ!!、どなたか………!!」

 

咳払いをし恥じらいを捨てて、といってもこんな状況で恥ずかしいだの何だと理性が追い付かないのだが…おもいっきり誰かいないかと叫んでみることにしたが、反応は得られなかった。

 

理解が追い付かず、ただひたすら反応を得るために叫ぶことにした。

 

「………」

 

だが、一向に思い通りに行かなかったが、この黒で統一されている世界での恐怖が何かを上回って不安を必死に隠すため叫ぶのをやめれなかった。

 

五感で得られる事実はとても単純明快なのに、頭がそれを理解するまでがとてつもなく長い。

それだけは認めたくはなかった。が、

 

 

この世界に迷い込む前の出来事、何をしていたのか、ふっ、と少しだけ思いだし、叫ぶのを停止した。

 

そして、

 

「……私、死んだ…のか……」

 

 

私は腹部の辺りを刺されたことを思いだ。

正確には刺されたであろうなのだが。

 

そっとお腹の辺りを触る。他にも身体のあちらこちらに傷があったのではと他にも意識を向ける。

 

しかし腹部や身体全体には一切の傷痕はなく、ボロボロの服も綺麗だったりする。

 

他にも色々と気になる点があるのだが、死んだとなるとどうしても気になることがあった。

 

「あの男の子、大丈夫…かな」

 

 

元々今回私がある事件に巻き込まれて死んだ(?)のかというと、ある小さな……小学生の中でもまだかなり幼さそうな少年を助けてあげたかったからだったりする。

でも、この場所にその少年は当然いない。

仮に居たらその少年も死んだことになるのかと、色々と考えてみた。

 

 

黒で統一されているこの世界で少しではあるが、その少年のことを考えることによって冷静さを取り戻し初めた、その時のことだった。

 

 

ツンツンした髪の毛が魔女の被るような帽子で隠れている碧眼の男性がない(存在しない)壁に寄り掛かるように片足を曲げ、もう片方を伸ばして案外近い位置に座っていた。

 

あまりに唐突で気づいた時は悲鳴のような声をあげてしまったのだが、彼女も今や普通ではない。まるで近所によくいる野良猫に話し掛けるように居るなら言ってくださいよと声をかける。

 

「貴方も死んでしまってここに存在しているのですか?それとも天使か、それとも悪魔やら死神だったりするのですか?」

 

『…………』

 

 

「私、色々と分からないことばかりで知っていることがあったら是非教えてもらいたいのですが。ここは一体どこで…っ、て聞いてますか?」

 

それから少し間を開けてもその男性は口を開くことはなく、生気を余り感じられなく死んでしまったような目をして真っ直ぐ一点だけを見ている。

 

私もこのままこの男性との会話が出来ないのが府に落ちず、立ち尽くしたまま男性と同じ方向を見つめることを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、

 

 

 

 

 

『……何故、泣いている……』

 

何を言ってるのかわからなかった。

やっと口を開いた碧眼の男性は此方には目もくれず小さく開いた口で何で泣いてるのか、尋ねているのだ。

 

「あれ、……私、何で、、、、」

 

疑問に思い、頬を触れると涙が流れている。

可笑しいなと、涙を拭こうとすると、涙がドンドン溢れてきて感情的なものが徐々に心を締め付けてくる。

 

涙が止まらない目を両手で覆い隠し、ここまでに陥る経緯をハッキリ思い出した。

 

私は、私はただ、男の子を、

 

武装していてかなりの人数で男の子を拉致しようとしていた集団から一刻も早く助けてあげたかっただけ、なんだと、

 

ある日を境に、いつも、いつも、事故や災害に巻き込まれ…その元凶の右手でただ、ひたすら手を伸ばしていただけなのに、、

 

「だって、、どうしようもないじゃないですか。こんな右手があっても女の私があんな集団から男の子を守れるはずないじゃないですか。たった一人で、どうしろっていうんですか、、いつも、いつも一人で…いつも私の目の前で、なんで、こんなことに、、、」

 

今、自分はどんな顔をしているのだろうか。目を覆う腕がただ濡れていることだけしか情報はない。

 

 

「私はただの人間何です、、こんな右手持ってるだけで頼られて、時には化け物扱い、、どうして私なんですか、どうして私ばっか不幸なんですか、、」

 

あの時、あの時、私はただ、願った。私を、、いつも一人な私を、、誰にも助けてもらえなかった私を、右手の拳を握り締め、私を背にして、こんな、不幸で理不尽な幻想をぶち破ってくれるような、そんな、あの英雄を、

 

 

「どうして私ばかり………!!」

 

「……あ、……」

 

頭が真っ白になった。

 

(私何やってるんだか)

 

誰か何なのかも分からない男性に、ただ泣き叫んでるのがなんだかとても恥ずかしくとても惨めになり、とたんに冷静さを取り戻したくなった。

 

 

「……すいません……」

 

 

 

よくよく思うとこんな黒で統一されている世界で私の表情がどう写っているのか、認識されているのかも定かでもないことではあるのだが。

 

 

自分の置かれている状況は全く分からないし、どうすればいいのか検討も着かないが、今はこの恥ずかしい場面を一刻も早く抜けんと軽く謝罪をしその場を去ろうとしようとした。

 

 

その時

 

 

 

『……救うことは出来ない……』

 

 

 

『心の傷は俺じゃあ癒すことは出来ない』

 

 

 

『でも』

 

 

そして、

 

この暗闇ではあり得ないほどの光が輝きだし、

 

 

 

私をその光が包みだし、、、

 

 

 

 

 

『背中を押すことは出来るかな』

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

序章終幕

 

 

 

 

 

 

「……あっ……」

 

 

上ノ恵ハルはそこで目を覚ました。

眠っていたという表現は可笑しいかもしれない。彼女は突っ立っていた。人間は立ったまま気絶できるのかどうか判断に迷うが、たった今目を覚ました以上はそういう事だったのだろう。

 

場所は真っ暗な闇でも天国でも地獄でもなく、古いビルに囲まれ外野から人が認識できない路地の中だった。

 

私の、上ノ恵の意識が急速に現実へとピントを合わせていく。

 

(私は今まで何を……あの暗闇は……何があったの?)

 

 

余りのことに驚いているが、生憎自分が今いる場所は私が絶望し、ただ願うことしか出来なかった最悪の場面、最悪の場所に戻っている。そして、あの時と状況は全く同じで銃やナイフのような物を構えている集団や駆動鎧(パワードスーツ)を身にまとっている集団や能力を武器に私を痛め付けた集団やらが私を取り囲んでいる。

 

そして少し離れたとこで小さな男の子を人質に取っているリーダーのような男の合図が今、あの時のようにかかり私を追い詰め死に追いやる、再びその場面が訪れようとしている。そんな状況である。

 

 

そして。

上ノ恵は見た。

 

「あの時の……?」

 

 

 

一瞬の出来事であった。

 

空から突如現れるその男は何か槍のような物を私を囲む集団へ凄い速度で放ち、男の子を人質に取る相手へ向かって空中を蹴るように一直線に向かい右手の拳を握り締め……を

 

 

 

ーーーーーー男の子を、私を、救ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

路地を出ると男の子の母親かと思われる人物がそこにいて、案の定、男の子は母親目掛けて泣き叫びながら飛び付きに行ったのは言うまでもないことだろう。

 

 

頭を下げる母親を宥めながらあの碧眼の彼を紹介しようとしたのだが、辺りにはおらずひたすらお礼を言われることになるのだった。

 

 

 

 

「どうして隠れてたんですか?」

 

「………」

 

「私なんて自分が助けたわけでもないのに礼を言われ……少し……いや、かなり気を落としました」

 

 

母親と男の子からのお礼やら警備員(アンチスキル)などが駆け付け騒動が収まり始めた頃に碧眼の彼は姿を再び表した。

 

相変わらず無口なのも言うまでもないが。

 

 

「色々とまあ……言いたいことが沢山あるんですけど、とりあえず」

 

 

「ありがとうございました」

 

 

碧眼の彼は少し頷く素振りを少しだけ見せ『帰る』と一言呟き背を向け右手を前にかざす。

 

 

「あ、そうそう……帰る前に色々と聞きたいことが少し……いや、山ほどあるんですけど」

 

「………」

 

「それと死ぬ前に私……というか死んだのか?……じゃなくて、あの時ある人を思い浮かべて、それで色々とあって暗闇の世界に行ったんですけど」

 

「………」

 

「もしかして、もしかすると貴方って………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……帰れない……」

 

 

「……へっ……」

 

 

「位相に、あっちに戻れない……」

 

 

「……え………」

 

 

碧眼の彼はこちらに向き直り、どよーんとした顔でこちらを見てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、始まるのだった。

 

右手に幻想殺しを宿す碧眼のツンツン頭、上条当麻と

右手に未だ見ぬ力を宿した上ノ恵ハルの物語が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








後書き



少しずつではありますが、上条当麻がどうしてこうなってしまったのか、少しずつ描かせて頂きたいと思います。
それと、碧眼の魔神でお馴染みのオティヌスが分からない人は新約を早めに読むことをオススメします。
ご存知なくてもお付き合いしてくれたら幸いです。
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