私達を襲撃した不死者の魔術師。
とある人物の最も信頼のあるというナンバー5を名乗る少女は
『刺客を送る必要はない』
『安心しろよ。俺は逃げたりしない』
『準備を終えたらこちらから直接出向いてやるさ』
『だから、それまで大人しくしてろよ、、、救世主』
自分を追い詰めた目的のターゲットに、そう伝えとけよと言われた後、残り一つしかない命を守るかのように手で胴体を覆い隠すように抱きながら少女は逃げていった。
「上ノ恵、傷は?」
「大丈夫。それより、」
瓦礫の上に立つ彼は、逃げて行き、もう見えない少女の方を見ていた。
「ここに居ても良いことは無さそうだな」
「刺客もそうだが
『…………、』
「おい、助手一号聞いているのか?」
『……ああ、さっさとずらかろう』
分からないことは山ほどあるが、今度こそ何とか最初の山は乗り越えられたのだろう。自称ナンバー5を語る少女が彼の伝言を伝えたのか、刺客が訪れることもなかった。
こうして私、上ノ恵ハルは上条当麻という少年が抱えているナニかに足を踏み込んで行くことになった。
そして、私は
そして、
誰の寮でもない。私の寮が跡形もなく崩壊しているのを目の辺りにする。
「、、、、、、は?」
「これはまた、派手に逝ったな」
『………忘れてた』
損害費やら保険やらで豹変している私に真顔ながら汗を浸らせてる彼は何があったか申し訳なさそうに話してくれた。
「で、その女二人組の、そいつらはどこ?」
ちょっと消し炭にしてくる。と、かつてないほどの力が右手から溢れでるかもしれないほどの威圧を出す般若、こと私を博士が抑える。
…数分後…
「こういう時、こんな時学園都市はどんな処置を、待遇をしてくれるんですかね」
『レベル0に対しては…だがな。一般的に何もしてくれなかったな』
「やだ、もう、不幸、」
金が絡むことになると、最初に親の顔を浮かべたり知人の顔を浮かべたりする。大抵、金が絡むことのせいか、言いにくいのはこの上ないのだが。
う~ん、と唸っていると後ろで少年が立ち上がる
『一食一泊の恩義どころか約一ヶ月も負担してもらったツケがある』
『元々と言えば、巻き込んだのは俺のせいだしな』
「上じょ、神じょうさん……」
『助手として人には言えないことをもろもろやってた時期に随分と貯金したはずだ』
「ああ、そういえば助手は金貯めてたな」
『博士、俺の口座から負担してやってあげてくれ』
金の管理は博士に任せてる。俺が管理してると嫌なことが起きるから、とのことらしい。
「神、それだと悪いです」
『ゴッドになった覚えはないけどね』
イヤイヤ、お前神じゃん by博士
「多分、今回の一件で上ノ恵ハルという人間もアイツの標的の一人になるのは間違いないし」
「なら、助手のコイツがこれからも側で一緒に暮らしてやれば少しは安全だろう。だから、まあツケとこれからお世話になる謝礼の前金だと思えばいいさ」
「だから、まあ、まずは」
「ここの寮のオーナーに謝りにいこうな?」
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上ノ恵ハルのことを助手二号と新に命名すると言った博士の滅茶苦茶なコミュニケーション力で寮のオーナーを上手いこと口車に乗せたり
「では、学校に行ってきますよっと、」
「ん~こちらも手続きが済んだら向かわせるさ」
「…はい??」
襲撃から二日後。休日も明けていつも通り登校することになった。博士のお陰で怪我の一つもなく当たり前の日常に戻れるようになったわけだが、新しい家にお引っ越ししたというレッテルは盛り上がる話題の一つでもあり、それだけで気分が乗れるのは平凡な高校生の楽しみ方でもある。
「ほう、これが指定の制服か、」
『俺はもう、関わりがないと思っていた場所なんだがな』
「な~に、年齢的には大学に通ってても可笑しくないだろう。それが高校へと位が下がるだけさ」
あ、そうそうと、思い出したかのように博士が言う。
「お前さんの貯金だが、研究費に割り当てててな、家賃と換算したらほとんど0だ。」
「それとだな何度もしつこく言うが……」
『おい、ちょっと待て。今とんでもないこと言ってたな?』
「お前には似合ってないさ」
『何の話だ。それより俺の貯金は』
「お前に復讐何て似合わない」
『…………』
『………何だよ急に』
「お前には平凡な高校生が似合ってるよ」
「少女を追い詰めて、怒りに身を任して、ましては命にとどめをさそうだなんて」
「お前は人でもない。まあ、皮肉にも神の器だがな」
「あの時、上ノ恵が止めてくれた」
「覚えておけよ。お前が再び人の道を外れたなら」
「私がお前を殺してやるさ」
『…………』
『その時はお前も人の道それるが』
「私はいいんだよ。既にそれてる」
『……俺は復讐者ではないんだけどな』
『まあ、そうだな。その時はよろしく頼む』
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「それで、何で上条さんが転入してくるんですか!?」
『上条じゃなくて、上ノ恵アキ。アンタの親戚なんだが、ちゃんと覚えような』
皆さん喜べです。新しいお友達を紹介するのですよ!
男子は残念!女子は喜べ!と、小萌先生のホームルームにて突然現れた男。
『上ノ恵ハルの親戚、上ノ恵アキです。宜しくお願いします』
偽名、というより私の親戚を名乗り転校してきた同居人のせいで私の引っ越ししたという話題も転校生という話題によりプチ話題程度のモノとなってしまった。
『博士が、いつ襲撃されてもいいように側にいてやれとさ』
「そういう配慮の前に私の話題のレッテルの配慮をしてほしかった……」
思惑とは違ったが、親戚が転校してきたとのことで話題の中心に居られたことは確かだったりする。
ここ最近でジュリウスやらベアトリーチェやらバードウェイやらフォクスワードやらで、名前が変わりすぎなのでは、と会話をしながら話題の中心の人物二人は屋上に向かう。
『サングラスしてるけど、面影ある?』
「何とも言えませんけど、そうそう変人扱いされそうですね」
知人もサングラスしてたんだがな、と一言だけ呟いて屋上のフェンスに腰を掛ける。
『…………』
「懐かしいんですか?」
『………そう見える…かな』
『ここ俺の母校だからさ』
「え、ここ上条さんの通ってた学校だったんですか!?」
『んー、それも担任は小萌先生と来たもんだし、顔見知りがね』
明らかにガン見されてたよ、ある二人に…と、髪でも染めるべきかね、と言う今は親戚という関係にある彼に訪ねる。
「準備が終えたらその、直接出向いてやるとか言ってたのにこんな所にいていいんですか?」
『あれはまあ、その場しのぎの発言かな』
「ハッタリ…ですか?」
『ハッタリってわけでもないさ。暗い所に帰れない限り何処に居てもアイツにはバレる。なら、一緒にいた方が良いってのは博士の案』
『俺が言った準備ってのは仲間が揃うまでの期間の話』
『いずれ来るジュリウス、ベアトリーチェ、バードウェイっていう俺の知っている中では最強の部類の魔術師達を待っているんだ』
「上条さんが偽名に使ってた適当な名前じゃなかったんですね……」
「どんな方々何ですか? 」
『魔術組織のグレムリンの現トップの男性。ジュリウス…といってもこれこそ偽名だけど』
『好戦的な戦闘マニア…だな』
『ベアトリーチェは現ローマ教皇ぺテロ=ヨグディスの側近の人で、無口な女性』
『彼女は聖人と呼ばれる世界に20人といないと言われる、生まれた時から神の子…まあ、凄い力を宿している女性で』
『後は明け色の陽射しという黄金系魔術組織のボス、レイヴィニア=バードウェイ』
『まあ一生懸命背筋を伸ばしている子供みたいな女の子かな』
『あと、そのうちの一人。俺が助手として組み込まれている規模の小さな仮の魔術組織』
『カラクリ使いのトップ、といっても俺を入れて二人しか居ないけど既に到着している博士』
「博士もそのうちの一人なんですね。てことは博士も最強の魔術師なんですか」
『ああ、博士は化け物だよ』
「上条さんも充分化け物ですけどね」
なんというか、こう早いというか、パンチの威力が高いというか、とあやふやなことを言うと、タネさえわかれば簡単に相手は対応出来ると謙遜を言われた。
『彼等が揃うまで、やれることはやる。そして、また、巻き込むことになる……』
「気にしないでとは言いませんけど、頼りにさせてもらいますから」
博士が言っていた上条当麻という男の願いから生まれたという、私の右手について、口には出さなかったがいずれ訪ねたい。そう思った。