とある魔術の禁書目録(真理の扉)   作:まーぴん

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きっと、物語には希望で終わらない話もあるのだろう







第十八章

 

 

 

 

 

人のために、自分のために力が欲しかった。

何より、皆と肩を並べたかったら。

 

そう思うのは普通で平凡である。

受け売りでもあるけど、私自身そういうもの何だろうと思っている。

 

 

一つ

 

私はレベル0である。

正確には《空力使い》という力を持つのだが、それはないに等しく、トランプのタワーを倒すほどのものでしかない。

 

 

一つ

 

私は欲がある。

変わった力も個性もない自分が嫌いだった。好きになりたくて手を伸ばした幻想御手という希望には苦い記憶がある。

 

友人に支えられ、名の通り幻想だった希望を棄て、こんな自分を好きになろうと、こんな自分を好きでいてくれている友人のためにも今のまま頑張ろうと思えた。

 

一つ

 

時間こそ短いが、仲の良い友達がいた。その娘は個性に溢れていて自分とは全く違う世界にいた。それとバカみたいにサバ缶が好きだった。

 

実際、彼女の抱えていた問題に関わった時、私は遠近感を覚えた。知らない事ばかりだった。それでも自分の出来ることはないかと足掻いた。

 

結局、ほとんど彼女の力に頼る形にはなったが、その問題は解決した。

 

後日、それから彼女に会うことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここで一つ

 

周りに個性豊かな友人がおり、なんなら学園都市の誇る最強の能力者と友達である私は、皆が好きな私でいるために、今まで通り頑張るわけである。自分の出来る範囲を全力で頑張っていくわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、妥協ではないのか。

 

レベル0でも、私も出来ることがあるはず?

単に、諦めただけではないのか。

どんなに汚い事をしてでも皆と一緒になろうとは思わなかったのか?

きっと、そうやって変わった私だって友人は受け入れてくれるはず、好きでいてくれるのに。

 

結局、変わりたいと思う気持ちはその程度だった。

今の自分が好き……変わることが怖い。

楽をしているだけなのではないのか?

 

『結局サバ缶が一番ってわけよ』とサバ缶マニアと称していた彼女が死んだ事を知ったのは大分後のことだった。

 

私が変わろうと努力したら彼女は生きていたのでは?

実際、彼女は何の前触れもなく私の知らない所で彼女は死んだ。仕方のないこと……のはずだ。

 

でも、私に解決出来るだけの力があったのなら?

何があったのか。誰に殺されたのか。何故死ななきゃならなかったのか。そもそもこの事件はなんなのか。

何一つ知らない世界である。

でも、私が特別だったら?

彼女が私の力を頼って来てくれたかもしれない。少なくとも私の知らない所で死ななかったかもしれない。

 

私が特別でも変わらなかったかもしれない。変わったかもしれない。だって、何も知らないから。

 

 

 

 

 

さて、ここで一つ。

 

 

高校三年生になった私は今、どこにいるでしょうか?

私にもわかりません。

友人の後を追って来たのですが、ここには私の知らない世界が待っているのだろうか。

 

 

友人が困っていたからここに来た……。今となるとわからない。期待していたのかもしれない。友人が何か知らない世界にいるのかもと首を突っ込んだのかもしれない。刺激を求めて……。

 

次は間違わない。

 

 

運命が明確に変わった、これは私のそういう物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、まるで用意されていたかのように置かれていたランタンを持ち、歩く人影が二つ。

 

「上ノ恵、もう頭痛は大丈夫か?」

 

「平気」

 

廊下の壁を頼りに触れながら歩く男女はお化け屋敷を歩く光景のそれであった。だが、二人はお化け屋敷の出口に向かってはいない。終わりがあるのかもわからない、帰ることが出来ないのかもしれない一方通行な道筋を歩く。

 

「何があったのか聞かないのか?」

 

「話したいのならどうぞ」

 

「話したいってわけじゃないけどよ」

 

彼自身何があったのかよくわからないと前提を踏まえて話し出す。

 

「どうやってここまで連れてこられたのかさっぱりだがな、目が覚めたらこの研究所にいたんだ」

 

「目が覚めたのは、木原追求と男の研究員と女の研究員の話し声、そして他にも身動き取れなくされていた子達の悲鳴だったよ」

 

「その子達は研究員の奴らに拷問されていた。注射をされては悲鳴をあげ、何を基準にしているのかさっぱりだが失敗やら成功やらと何かを施していた」

 

「それは……きっと、俺の持つ不死身(イモータルリカバリー)の能力で何か実験していたんだと思う」

 

「お前を苦しめるために、だ」

 

私を……?

 

「全てを奪った上ノ恵への復習だと木原追求は言っていたよ」

 

「最高の実験動物っていうのは俺の事らしいが、それを拐った上ノ恵を殺してやる……つもりだったと言っていたよ」

 

「だが、上ノ恵には謎のオプションがついていて、アレイスターを出し抜く最高の実験動物になる」

 

そう言っていたよ、と彼は大体こんな感じと説明する。

彼は自分自身に何があったかは話さなかった。あの研究所の地獄絵図を見る限り、彼は恐ろしい拷問にあっていたはずた。それを言わないというのは心配をかけたくないという彼なりの配慮なのだろう。だから、私も追求はしなかった。

 

 

「確かに昔、捕まっていた金髪を助けに行き、木原追求をやっつけたのだから恨まれるのはわかるよ」

 

……けど、

 

「子供達を人質に取るっていうのにはやっぱし納得できない……。人情とかじゃなくて、私を誘き寄せるための手段としては筋が通ってないよ」

 

「……だったら、何か理由があるんだろ」

 

 

 

 

 

 

この物語を進むに当たって、過去に研究所であった出来事を無視するわけにはいかない。私たちに何があったのか、それを語ろうと思う。

 

紐をほどいていこう。複雑に絡まっていて……

 

 

 

 

 

 

 

絶対にほどくことが出来ない過去の物語を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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